韓国経済の初心者に必見!ウォンとは何か?チャートと看取る面白さ

韓国経済の初心者に必見!ウォンとは何か?チャートと看取る面白さ

2017年1月2日。今年から本格的にウォンとKOSPIを看取っていくことになる。

管理人はこのサイトを運営して9年ほどになるのだが、結構、初心者さんを置いてけぼりの解説をしていることがある。そういった意味では「原点」に返りつつ、2017年の韓国経済危機の現状を解説しながら、ウォンとKOSPIを中心に韓国市場をリアルタイムに追っていく。前置きは長くなっても仕方がないので基本的な説明に入る。そもそもウォンって何ですか?からはじめる。

■ウォンとは何か

ウォンとは大韓民国(韓国)・朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の通貨の単位である。wonと英語で表記する。元々ウォンというのは圓(円)の朝鮮語読みであるが公式には漢字表記しない。

市場では「KRW」とも表記する。また、基本的にウォンのチャートといえば、アメリカドル=ウォンとなる。それ以外の通貨もあるわけだが、影響が最も大きいのはドル=ウォン。また、市場ではUSDKRWとなっている。市場のチャートを見たいときにwonで探しても出てこないので「KRW」と覚えておいて欲しい。

現在、ウォンの下に「チョン」と呼ばれる通貨単位があり、1ウォン=100チョンとなっているが実際は使われない。日本の「銭」と同じようなものだと思って良い。そこで呼び方を説明しておく。例えば、2016年12月30日のUSDKRWは1207.93。正式な呼び方は1207ウォンと93チョンである。

■ウォンの歴史

ウォンの歴史を簡単に説明しておくと、今のウォンは元々、朴正煕将軍(パク・チョンヒ)の国家再建最高会議で誕生した。1962年、朴正煕はクーデターで国を乗っ取ると経済対策として第一次五ヵ年計画と通貨改革を実行に移した。そして、1ウォンは10ファンと交換され1ドル=125ウォンに固定されていた。朴正煕の娘が2017年現在の韓国大統領である朴槿恵(パククネ)ということで、今と繋がりがあるので触れておく。

ここから通貨の切り下げが何度も行われたが、1997年のアジア通貨危機が発生し、国はデフォルト(経済破綻)した時、IMF(国際通貨基金)によって「完全変動相場制」に移行された。

1ドル=125ウォンなんて信じられないと思うが、実際、プラザ合意(1985年)で円の価値を上昇させたのは日本のみであって、韓国の場合は逆にウォンの価値を暴落させていったわけだ。固定レートは数年で1ドル=580ウォンとなるが、さらに下落したことで1981年に変動相場制へと移行する。変動相場制となった韓国のウォンのチャートを見ておこう。

これが50年のチャート。1ドル=580ウォンの固定相場制が崩壊して、1981年から変動相場制となり、段々と下がっているのがわかるだろう。韓国ウォンのチャートは大きく3つの区分に分けることができる。

1.1981年から1997年のアジア通貨危機前

2.1981年のアジア通貨危機から2008年のリーマン・ショック前

3.リーマン・ショックから現在まで

1については変動相場制に移行されてから段々とウォン安=ドル高となっていく経緯。それでもアジア通貨危機前は700ウォンぐらいだったわけだが、それがアジア通貨危機で韓国は経済破綻を招いた。そして、最後は1952ウォンまで大暴落した。韓国はIMFに入り、IMFと日本の支援によって経済を復興させる。それが2となる。

2からはウォン安によって輸出をどんどん拡大させていく。そして、2007年には1ドル=900ウォン台ぐらいまで上昇したのだが、その後のウォンは投げ売りされていく。また、2007年が韓国経済のピークだったことを知っておくと実はこの「ウォン高」がヘッジファンドに填められたことで引き起こされたことがわかる。

余談であるが、この頃から管理人はウォンや韓国経済に興味を持つようになった。それでどんどん下がっていくウォンを見て面白いと感じて2008年の8月頃からちょうどサイトでその動きを特集することにして現在に至る。つまり、管理人が実際、リアルタイムで看取ってきた区分は2~3ということになる。なのでウォンウォッチャーとしては10年目ぐらいだろうか。

3からのリーマン・ショックについて大事なのは、ウォンの大暴落を食い止める米韓通貨スワップ協定300億ドルで韓国経済が救われたこと。そして、1631ウォンまで大暴落したこと。韓国は為替介入でドルを溶かしていき、銀行が市民のタンス預金(ドル)を探すほどとなった。そして、毎日のようにウォンは投げ売りされた。

それを管理人は「第2次韓国経済危機」と呼んでいるのだが、このウォン安効果で韓国輸出が一時的に増加して2010年にまたピークを迎えることになる。2010年は1000ウォンまで上がっている。それから下がり続けてまた2013年にピークとなり、結局、また下がって2017年となる。

ウォンのピークはそのまま韓国経済の頂上を示す。そして、2017年は1207ウォンでスタートすることになる。下がる時があるなら、上がるときもあるわけだが、米国の利上げがある限り、このまま上がることはない。1600ウォンを超えるかまではまだ未知数なのだが、1200ウォンまで下がったのがちょうどウォッチしていくには最適なレートということになる。

■ウォンを看取る面白さ

最後にウォンを看取る面白さについて解説する。通貨レートとは他国の通貨に交換するときに用いられる比率なわけだが、今なら1ドル=1207ウォンである。これは1ドルの価値が1207ウォンあることを意味する。

例えば、これが1ドル=1600ウォンまで下がれば、1ドルで1600ウォンの価値となるので通貨安となる。反対に1ドル=1000ウォンとなれば、1ドルで1000ウォンの価値となるので通貨高となる。韓国の輸出の理想的な為替レートは1100~1150ぐらい。管理人は1150を超えたらウォン安傾向。1100以下ならウォン高と考えている。

次に通貨安になれば韓国が困る理由について解説する。韓国の外債は2015年末で3959億ドルである。すでに4000億ドルは突破していると思われるが、仮に4000億ドルと仮定しよう。この外債には短期と長期が含まれているのだが、短期は1年以内で返済するもの。長期は1年以上と分けて考えて欲しい。これは金融用語の基本である。また、基本的な貿易決済はウォンはローカルカレンシーなのでほとんどドルレートで変換して行う。

だいたい、韓国の短期外債は1000億ドルあるといわれている。そして、その償還時期が2017年の9月頃となる。

今のレートを1207とすると1000億ドルの返済に必要なウォンは1000ドルが127000ウォンなので、120兆7千億ウォンとなる。これが仮に1307となれば、130兆7千億ウォンとなる。さらに1507ウォンとなれば、150兆7千億ウォンとなる。

同じ1000億ドルでもウォンが安くなればなるほど返済するドルが増えるわけだ。日本円の場合なら、だいたい一桁減らせば良いので15兆7000億円である。つまり、100ウォン為替レートが増加すれば、1兆円ずつ借金が増えていくと覚えて欲しい。

これが韓国ウォンを看取る面白さである。レートが100違うだけで1兆円も変わってくる。でも、韓国の家計負債は2016年末で1300兆ウォンを超えたので短期外債よりも遙かに深刻なわけだ。だから、管理人は2020年に家計債務危機で韓国が破綻すると予測している。

短期外債の15兆円ぐらいならまだ、韓国の2017年の国家予算が400兆ウォンなのでそれの3分の1程度に過ぎない。でも、家計負債は3倍以上である。

韓国経済危機は大きく分けて市場で決済に必要なドル不足となる危機。家計や企業、地方などの債務が支払えなくなる危機の二つがあるわけだが、大事なのはウォン安が進めばどちらも増加して金融危機が発生するということ。

ただ、これを見ればわかるとおり、短期外債の支払いだけなら3分1程度なのでまだ払える余力があるということ。だから2017年でドル不足となって破綻というシナリオは考えられない。でも、2020年の予測する危機は「家計債務危機が引き起こす金融危機」の方なのだ。つまり、2008年頃に騒がされていた韓国経済危機とはまた別ということ。

しかし、先ほど解説したとおり、ウォンレートが安くなれば借金は増大する。これも2020年の家計債務危機をより深刻化させることにつながる。

結論を述べるとウォンレートは韓国経済危機を数値化させる「指標」ということだ。通貨安になればなるほど韓国経済は酷い状態となる。それをこれから市場が開いている月曜日~金曜日までウォッチしていくわけだ。

以上。今回はウォンの説明をした。次回はKOSPIを解説する。

韓国経済の初心者に必見!ウォンとは何か?チャートと看取る面白さ」への2件のフィードバック

  1. 「ローカルカレンシー」⇐ ? ん~~~??、
    「韓国の輸出の理想的な為替レートは1100~1150」⇐ 知りたかったんだ、
    「韓国の短期外債は1000億ドルあるといわれている」⇐ いや凄いな、9月だ、

    日本は国債(俺も少し持ってる、本読んで利率の楽しみ方で)、国内でしょ?
    かの国の国債、国民の保有?かな、
    この次でいいです、かの国の外債以外の事、お願い致します。m(/._.\)m
    シロートですいません。。。

    1. コメントありがとうございます。

      申し訳ない。また、いつもの癖でぱぱっと説明してましたね。

      ローカルカレンシーというのは流動性、つまり、ほとんど流通していない国の通貨のことをいいます。そして、ローカルカレンシーの反対に世界的に流通している通貨をハードカレンシーといいます。

      現在、ハードカレンシーはアメリカドル、ユーロ、日本の円、英国のポンド、スイスのフランの5つぐらいですが、ここに中国の「元」が加わる可能性があるぐらいです。中国の市場が大きいので元もハードカレンシーになるような動きはあるのですが、実際、偽札が多いのでそう簡単には追加されないでしょうね。

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