円安の恐怖 円と人民元の戦略的通貨安、韓国経済を脅かす(動画)

円安の恐怖 今回の記事は中央日報の長文コラムだが、つまり、まとめれば「円安の恐怖」ということになる。もっとも、円安だけでは人民元安もテーマになっているが。ええ?どういうことだって?韓国輸出にとって円安も人民元安も最悪な状況ということだ。

例えば、日本の円安は韓国の競合が多い分野では確実に韓国輸出のシェアを奪う。高品質の日本製が円安によって価格競争力を強化するからだ。これはもう、最近の傾向でもよくわかるだろう。韓国の輸出は辛うじて貿易赤字から抜けだして、なんとか黒字で11億ドルとなったが、その内容は輸出も輸入も減った不況型黒字。もっといえば、韓国の2023年1~3月期の経済成長率は0.3%であるが、日本の経済成長率は0.7%と。韓国の二倍以上だった。

この時点で、日本が円安や韓国輸出にとっては悪材料であるということだ。問題は日本の円安が続く限り、韓国は日本企業との競うことになるてことだ。しかも、それだけではない。当然、中国も人民元安なので、韓国技術を追い越した中国企業も競争相手になるてことだ。そして、品質では既に韓国以上ものを生産するレベルにまでなっている。

日本と中国の板挟みに挟まれた韓国輸出は既に危機的な状況となっているわけだ。韓国はこれから輸出を伸ばすようなことを韓国政府は述べているが、そう簡単なものではない。其れは今回の長文コラムを読み解けばわかる。

では、記事の冒頭を読んでいこう。

韓日中の為替戦線に微妙な緊張感が流れている。3通貨いずれも対ドルで通貨安の局面だ。しかし日本円と中国人民元の劣勢はウォンをはるかにしのぐ。中国と日本は世界2位と3位の経済だ。両国とも韓国の主要輸出入相手国であり世界市場での競争相手だ。円と人民元の同時安は韓国経済としてはありがたくない状況だ。米中覇権競争と供給網再編の渦中に為替戦争の暗雲が忍び寄っている。

https://japanese.joins.com/JArticle/306217?servcode=100&sectcode=140

はあ?劣勢?劣勢だと?中央日報ってバカなのか?これは金利差だ。日本は金利を上げてない。中国は金利を下げた。韓国みたいに金利を上げて通貨安に防ごうとしたわけではない。韓国経済にとってありがたくない状況なのはその通りだ。もっとも、韓国は毎日、為替介入してウォン安を防ごうとしているので、一層、もっとウォンを安くして輸出競争力を高める方がいいんじゃないか。それなら無駄なドルを使わずに輸出を伸ばせるはずだ。

では、今回の記事を要点を整理していく。

今回の記事は長文なので前後編にわけていく。

■記事の要点(前半)

1.先月末の円相場は1ドル=144.30円。上半期に10.2%下がった。今年の流れは昨年9~10月に日本の外為当局の大規模介入がなされた時期と同じように進んでいる。当時円相場は151.94円まで落ち32年ぶりの円安を記録した。日本は円急落を防ぐため3回にわたり約680億ドルを放出し円を買い入れた。1ドル=150円が当局のマジノ線だった。円相場はその後方向を定めて着実に上昇したが、年初から再び下落に転じた。円安の核心背景は主要国との金利格差だ。日本はコロナ禍後のインフレ状況でも大規模金融緩和を持続し、マイナス金利(-0.1%)を守った。これに対し米国と欧州などは高強度緊縮で金利を引き上げた(米国5.0~5.25%、ユーロ圏4.0%)。金利だけ考慮すれば円をドルやユーロに替えて投資するのが自然だ。

2.「円安の疾走」は4月に日本銀行の植田和男総裁就任当時の市場見通しと全く異なる様相だ。アベノミクスの執行官だった黒田東彦前総裁が退任したことで植田新総裁がアベノミクスの主軸であるマイナス金利に終止符を打ち通貨政策正常化に着手するだろうという期待が高かったためだ。しかし植田総裁はむしろ無制限金融緩和を持続するという意思を明確にした。「緊縮が遅れ2%を超えるインフレが続くリスクより、拙速な緊縮で2%を実現できなくなるリスクが大きい」という植田総裁の4月の発言もそのうちのひとつだ。

3.円下落のパターンは昨年下半期と似ているが、経済状況は大きく異なる。昨年は証券市場が現在のように熱くなかった。日経平均は先月中旬に33年ぶりに3万3000円を突破した。昨年10月の2万7000円台より20%以上上昇した。円を安値で買い日本株を買おうとする外国人資金の流入が証券市場に火を付けている。景気回復の兆しも明確だ。1-3月期の成長率は0.7%、年率では2.7%を記録した。過去ほどではないとしても、円安が輸出増大と観光客誘致に大きく寄与しているのは明らかだ。一言で日本経済のあちこちで「円安」を満喫している。

4.しかし過度な円安は輸入物価急騰など副作用が伴う。今回も円相場が1ドル=150円台に迫れば外為当局が市場介入に出るだろうという観測が多い。すでに日本の鈴木俊一財務相が「過度な動きがあれば適切に対応する」と数回口先介入をした。だが緊迫感は昨年と同じではない。日本当局には熱くなった証券市場と景気に冷や水を浴びせないようにする雰囲気が感知される。

フィナンシャル・タイムズは当局が介入に先立ち市場参加者に相場を尋ねる「レートチェック」がまだないと伝えた。何より岸田政権も、植田総裁も円安をもたらしたファンダメンタルズに変化を与える意向はないように見える。米連邦準備制度理事会(FRB)が年内の追加利上げを既定事実化しているが、日本銀行は金融緩和のブレーキを踏む考えはない。ブルームバーグサーベイによると、日本銀行のマイナス金利解除時期は2024年下半期以降だろうという回答が65%に上る。日本政府の市場介入が円の追加下落を阻止することはできる。しかし日米の金利差がさらに広がる状況ならば円安の流れが完全に方向を変えるのは容易でない。

以上の4つだ。順番に見ていこう。

まず1だが、円安の経緯と各国との金利差である。これによって円安が進行した。ただ、日本も30年ぶりのデフレ脱却を目前にして、ここで円高にしてしまったら元も子もない。せっかく日銀短観でも日本の一人勝ちが見えてきた。ここは円安を維持しながら、輸出競争力を高めるほうがいい。ただ、日銀は145円付近から、いつでも日銀砲を飛ばす可能性がある。150円まで待つことはほぼないだろうな。

それで2だが、植田新総裁も同じ規制緩和路線をとった。其れが日経平均爆上げして33000円まで到達させた。日銀がインフレ2%を達成したい思いは30年のデフレを考えればよくわかる。ここ30年、日本がどれだけデフレに苦しんでいたか。もちろん、インフレが良い事ばかりではない。ただ、インフレにならない限り、賃金アップは望めないてことだ。これだけわはっきりしている。

3は何度か述べてきたことだ。円安で日本株を購入する投資家が増えた。これは韓国人の投資家もそうだ。日本の円より、相対的に高いウォンを交換して、円に替えて日本株に突っ込む。コスピは2600を割れているが、日経平均は33000円を維持している。外国人観光客も円が安いために、日本へ訪れる。韓国人もたくさん訪れて旅行収支が過去最大の赤字となっている。もちろん、この傾向は韓国には良くない。経常収支がマイナスになるためだ。

最後の4はその通りだ。日本は日銀砲で過度な円安の流れを食い止めることができる。既に二回ほど日銀砲を撃っている。ある意味、伝説の日銀砲が数年で2回も見られたことは貴重な経験かもしれないな。ブルームバーグサーベイによると、日本銀行のマイナス金利解除時期は2024年下半期以降だろうという回答が65%に上る。これは難しいな。日本銀行がどこまでインフレを許容するか。少なくとも今年ではないよな。米国が利上げする予定だからな。

では、記事の後編を見ていこう。

■記事の後編

6.昨年10月に人民元相場は1ドル=7.3元を超え15年ぶりの安値を記録した。その後上昇に転じた人民元相場は年初から再び下落を始めた。先月末の相場は1ドル=7.25元。8カ月ぶりの安値水準で、今年に入り5.1%値を下げた。人民元安の背景も基本的には主要国との金利差だ。中国はコロナ禍後に米国や欧州と反対に金利を下げ続けた。先月20日にも最優遇貸出金利3.65%から3.55%へ引き下げるなど10カ月ぶりに金利を下げた。しかし人民元安には円とは違う要素が作用する。景気不振だ。サウス・チャイナ・モーニング・ポストは、「米中の金利格差とともに中国の景気回復の遅れが人民元安の核心要因」と分析した。日本は円安が景気好調を刺激している段階ならば、中国は景気不振が人民元安を生んでいる。

7.景気不振は雇用市場に克明に現れている。5月の16~24歳の青年失業率は20.8%で過去最高を記録した。消費心理が冷え込んでいるのが特に問題だ。米外交専門紙フォーリン・アフェアーズは人民元預金が1-3月期に41%増えたことを指摘する。当局の内需浮揚策にもかかわらず中国人が財布を開いていないということだ。消費者物価上昇率は3月から3カ月連続0%台にとどまった。不動産沈滞も相変わらずだ。金融データ業者ウインドによると5月の中国主要30都市の新規住宅販売はコロナ禍前の2019年より77%減少した。

8.この程度の円安は韓国経済に竜巻を起こす。日本を訪れる韓国人観光客が急増しており、日本株への投資が大きく膨らんだ。特に輸出に影響を与える。世界市場で韓国と最も競争関係にある国が日本であるためだ。いくら輸出で為替効果が減ったとしても依然として無視できないのが事実だ。対ドルで円相場が1%下落すれば韓国の輸出金額が0.61ポイント減少するという分析(韓国経済研究院、2022年11月)もある。人民元安も韓国経済を疲弊させる。韓中経済は補完関係から競争関係へ性格が変わった。電気自動車、バッテリー、造船など最終財だけでなく中間財で韓中間の競合品目が増えている。人民元安は中国の価格競争力を高め韓国製品を脅かす。

9.円安と人民元安は日本と中国の戦略的選択だ。日本はデフレの泥沼から脱出するために円安を楽しんでおり、中国は景気低迷から抜け出すために人民元安を容認している。これに対し韓国の為替政策はジレンマ状況だ。物価上昇を望む日本や物価が低迷する中国とは境遇が違う。ウォン安は物価を刺激する危険性が大きく、ウォン高は輸出に不利だ。社会の雰囲気も大きく変わった。物価を犠牲にしてでも輸出を増やすことに対する反論は少なくない。輸出競争力のため市場介入も辞さなかった「為替主権論者」の声も特に聞こえない。

以上の4つだ。順番に見ていく。

6はただの中国の人民元安への経緯だ。しかし人民元安には円とは違う要素が作用する。景気不振だ。日本は円安で経済成長果たし、中国は景気不振で人民元安となる。両者、同じ通貨安でも事情が全く異なる。だから、結局、日本の一人勝ち状態にしかならない。それで7は中国の動向。前回、中国輸出は二ヶ月連続で100億ドル超えて喜んでいたが、中国の景気回復が期待通りにいくはずないという。

次に8と9は円安と人民元安が韓国経済に与える影響だ。書いてあることはこちらが述べてきたのまとめいたいなものだ。読んでおけばいいだろう。結局、韓国にとって、円安と人民元安は最悪であるということ。なら、韓国もウォン安にすればいいという話にもどるが、ウォン安は物価を刺激する危険性が大きく、ウォン高は輸出に不利だ。社会の雰囲気も大きく変わった。物価を犠牲にしてでも輸出を増やすことに対する反論は少なくない。輸出競争力のため市場介入も辞さなかった「為替主権論者」の声も特に聞こえない。

韓国ではウォン安は嫌らしい。アホだな。とことん。1800ウォンとか、2000ウォンになれば、韓国の輸出は一気に息を吹き返す可能性だってゼロじゃない。まあ、限りなく低い確率だが。

韓日中の為替戦線に微妙な緊張感が流れている。3通貨いずれも対ドルで通貨安の局面だ。しかし日本円と中国人民元の劣勢はウォンをはるかにしのぐ。中国と日本は世界2位と3位の経済だ。両国とも韓国の主要輸出入相手国であり世界市場での競争相手だ。円と人民元の同時安は韓国経済としてはありがたくない状況だ。米中覇権競争と供給網再編の渦中に為替戦争の暗雲が忍び寄っている。

先月末の円相場は1ドル=144.30円。上半期に10.2%下がった。今年の流れは昨年9~10月に日本の外為当局の大規模介入がなされた時期と同じように進んでいる。当時円相場は151.94円まで落ち32年ぶりの円安を記録した。日本は円急落を防ぐため3回にわたり約680億ドルを放出し円を買い入れた。1ドル=150円が当局のマジノ線だった。円相場はその後方向を定めて着実に上昇したが、年初から再び下落に転じた。円安の核心背景は主要国との金利格差だ。日本はコロナ禍後のインフレ状況でも大規模金融緩和を持続し、マイナス金利(-0.1%)を守った。これに対し米国と欧州などは高強度緊縮で金利を引き上げた(米国5.0~5.25%、ユーロ圏4.0%)。金利だけ考慮すれば円をドルやユーロに替えて投資するのが自然だ。

「円安の疾走」は4月に日本銀行の植田和男総裁就任当時の市場見通しと全く異なる様相だ。アベノミクスの執行官だった黒田東彦前総裁が退任したことで植田新総裁がアベノミクスの主軸であるマイナス金利に終止符を打ち通貨政策正常化に着手するだろうという期待が高かったためだ。しかし植田総裁はむしろ無制限金融緩和を持続するという意思を明確にした。「緊縮が遅れ2%を超えるインフレが続くリスクより、拙速な緊縮で2%を実現できなくなるリスクが大きい」という植田総裁の4月の発言もそのうちのひとつだ。

◇当局介入が円安戻すか不確実

円下落のパターンは昨年下半期と似ているが、経済状況は大きく異なる。昨年は証券市場が現在のように熱くなかった。日経平均は先月中旬に33年ぶりに3万3000円を突破した。昨年10月の2万7000円台より20%以上上昇した。円を安値で買い日本株を買おうとする外国人資金の流入が証券市場に火を付けている。景気回復の兆しも明確だ。1-3月期の成長率は0.7%、年率では2.7%を記録した。過去ほどではないとしても、円安が輸出増大と観光客誘致に大きく寄与しているのは明らかだ。一言で日本経済のあちこちで「円安」を満喫している。

しかし過度な円安は輸入物価急騰など副作用が伴う。今回も円相場が1ドル=150円台に迫れば外為当局が市場介入に出るだろうという観測が多い。すでに日本の鈴木俊一財務相が「過度な動きがあれば適切に対応する」と数回口先介入をした。だが緊迫感は昨年と同じではない。日本当局には熱くなった証券市場と景気に冷や水を浴びせないようにする雰囲気が感知される。

フィナンシャル・タイムズは当局が介入に先立ち市場参加者に相場を尋ねる「レートチェック」がまだないと伝えた。何より岸田政権も、植田総裁も円安をもたらしたファンダメンタルズに変化を与える意向はないように見える。米連邦準備制度理事会(FRB)が年内の追加利上げを既定事実化しているが、日本銀行は金融緩和のブレーキを踏む考えはない。ブルームバーグサーベイによると、日本銀行のマイナス金利解除時期は2024年下半期以降だろうという回答が65%に上る。日本政府の市場介入が円の追加下落を阻止することはできる。しかし日米の金利差がさらに広がる状況ならば円安の流れが完全に方向を変えるのは容易でない。

◇経済活動再開にも中国経済の不振持続

昨年10月に人民元相場は1ドル=7.3元を超え15年ぶりの安値を記録した。その後上昇に転じた人民元相場は年初から再び下落を始めた。先月末の相場は1ドル=7.25元。8カ月ぶりの安値水準で、今年に入り5.1%値を下げた。人民元安の背景も基本的には主要国との金利差だ。中国はコロナ禍後に米国や欧州と反対に金利を下げ続けた。先月20日にも最優遇貸出金利3.65%から3.55%へ引き下げるなど10カ月ぶりに金利を下げた。しかし人民元安には円とは違う要素が作用する。景気不振だ。サウス・チャイナ・モーニング・ポストは、「米中の金利格差とともに中国の景気回復の遅れが人民元安の核心要因」と分析した。日本は円安が景気好調を刺激している段階ならば、中国は景気不振が人民元安を生んでいる。

今年初めの経済活動再開後も中国の景気はなかなか回復せずにいる。中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)は6月も49にとどまった。4月から3カ月連続で50未満にとどまっている。PMIは50より高ければ景気拡大、50より低ければ景気収縮を意味する。1~5月の固定資産投資は4%の増加にとどまった。5月の産業生産も3.5%の増加にすぎなかった。同月の輸出は昨年より7.5%減り、輸入は4.5%減少した。

景気不振は雇用市場に克明に現れている。5月の16~24歳の青年失業率は20.8%で過去最高を記録した。消費心理が冷え込んでいるのが特に問題だ。米外交専門紙フォーリン・アフェアーズは人民元預金が1-3月期に41%増えたことを指摘する。当局の内需浮揚策にもかかわらず中国人が財布を開いていないということだ。消費者物価上昇率は3月から3カ月連続0%台にとどまった。不動産沈滞も相変わらずだ。金融データ業者ウインドによると5月の中国主要30都市の新規住宅販売はコロナ禍前の2019年より77%減少した。

中国は長く人民元を基軸通貨にするため人民元相場の安定化に力を注いできた。しかし景気が回復しなければ人民元の国際化は先送りされ人民元安カードを積極的に活用する可能性がある。内需振興に向け利上げは考えにくく、輸出促進に向けては人民元安が必要なためだ。

◇韓国、円安・人民元安に包囲

ウォン相場も今年に入り下落傾向だ。先月末のウォン相場は1ドル=1316.30ウォン。 上半期に4.3%下落した。やはり主な理由は韓米間の金利差だ。韓国が1月以降に利上げを止め両国間の金利格差は過去最大の1.75%まで開いている。

ウォン相場が下がったとはいえ円と人民元ほどではない。円と人民元と比較するとウォンが相対的に強いという意味だ。特に対円のウォン裁定為替相場は先月中旬100円=897.49ウォンを記録した。対円ウォン相場が800ウォン台を記録するのは2015年6月から8年ぶりだ。その後900ウォン台序盤で推移している。

この程度の円安は韓国経済に竜巻を起こす。日本を訪れる韓国人観光客が急増しており、日本株への投資が大きく膨らんだ。特に輸出に影響を与える。世界市場で韓国と最も競争関係にある国が日本であるためだ。いくら輸出で為替効果が減ったとしても依然として無視できないのが事実だ。対ドルで円相場が1%下落すれば韓国の輸出金額が0.61ポイント減少するという分析(韓国経済研究院、2022年11月)もある。人民元安も韓国経済を疲弊させる。韓中経済は補完関係から競争関係へ性格が変わった。電気自動車、バッテリー、造船など最終財だけでなく中間財で韓中間の競合品目が増えている。人民元安は中国の価格競争力を高め韓国製品を脅かす。

円安と人民元安は日本と中国の戦略的選択だ。日本はデフレの泥沼から脱出するために円安を楽しんでおり、中国は景気低迷から抜け出すために人民元安を容認している。これに対し韓国の為替政策はジレンマ状況だ。物価上昇を望む日本や物価が低迷する中国とは境遇が違う。ウォン安は物価を刺激する危険性が大きく、ウォン高は輸出に不利だ。社会の雰囲気も大きく変わった。物価を犠牲にしてでも輸出を増やすことに対する反論は少なくない。輸出競争力のため市場介入も辞さなかった「為替主権論者」の声も特に聞こえない。

延世(ヨンセ)大学経済学部のキム・ジョンシク名誉教授は「米国の利上げ行進で世界経済沈滞の可能性が大きくなり日本と中国が円安と人民元安で対応している状況。今後韓国経済に厳しい状況が生じる恐れがあるだけに警戒心が必要だ」と話した。経済大国中国と日本の攻勢的な自国通貨安が韓国経済を新たな試験台に載せている。

イ・サンリョル/論説委員

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です