こちらは米国とイランの戦争が起きてなければ、メインとして英国のノンバンク破綻について特集していたのだが、やはり、日本の銀行株にも影響が出てきてるのである程度の経緯を抑えておきたい。
こちらもイギリスのノンバンクが破綻して、なんで日本までと思ったのだがどうやら繋がりがあったようだ。最初からいこう。
なんで、マーケット・フィナンシャル・ソリューションズとはどういうノンバンクなのか。ノンバンクというのは銀行系以外の融資。つまり、サラ金や消費者ローンである。それでもう少し詳しく述べると、住宅ローン専門のノンバンク金融機関らしい。
それで、「ブリッジローン」や「バイ・トゥ・レット(賃貸用不動産購入)などを主な業務だったようだ。ええ?もう、難しくてわからない。
ブリッジローンというのは「橋」を思い浮かべてほしい。橋というのはある地点からある地点に進むために作られるものだ。つまりブリッジローンとは橋渡しをする短期融資である。短期というのは基本1年以内に返済を迫られるものだ。早ければ数週間というのもあるのだが、基本的に審査が数日で終わるので甘いということ。でも、審査甘いから金利も高い。
ブリッジローンの主な使用方法は「不動産取引」である。これは新しい家が欲しい場合、今、住んでる家を売却して、その資金に充てるわけだが、不動産というのは基本的に早いもの勝ち。優良物件はすぐに抑えられてしまう。だから、住んでいる家が売れるまでの間に融資を受ける。
ただ、金利が高いので住んでいる家が全然売れない場合、ずっとローン返済が厳しくなる。数ヶ月で売れると思っていたら半年以上も売れないとかになれば、利息がどんどん増えるのできつい。
他にもブリッジローンは「企業の資金繰り」などにも使われる。運転資金や買収資金などで一時的に大金が必要な場合だ。
そして、最後はブリッジローンの「証券化」である。これがマーケット・フィナンシャル・ソリューションズ(MFS)の資金の透明性を見えなくした原因である。それで証券化で勘が鋭い人はどこかできいたことあるな。まさか、これはサブプライムローン!?そういうことである。ええ?なんでここでサブプライムローンが出てくるの?
出てくるんです。そもそも証券化というのは金融資産をまとめて投資家に売れる証券にかえることだ。例えば、最近ならトランプさんの相互関税が無効になったが、企業のその関税が無効になった場合、「受け取れる権利」を証券化して安くで売りさばいていた。どうせ返ってくる可能性が低いなら、その権利を売ったわけだ。
つまり、関税100万払って将来において無効になったら、普通はそのまま100万返ってくるけど、かなり可能性は低い。だから、この権利を30万とかで売っていた。そして、30万で買った人は、返ってくるなら70万ほど儲けになるわけだ。これが証券化のシステムである。
それで、MFSはまず個人や企業にブリッジローンで融資をする。するとその融資で返済してもらう権利を同時に受け取るわけだ。この権利をいくつかまとめて証券化した。そして複数のブリッジローンをまとめて「ローンプール」を作った。
プールというのはつまり、ローンの抱き合わせ。だから、このローンはまとめてあるからどんなローンで構成されているかが投資家にはわからない。これを特別目的会社(SPV)に移す。
これは別会社にして貸借対照表を切り離しておかないと会計に計上するはめになるためだ。そして、このSPVがローンを裏付けに「資産担保証券」(ABS)」を発行して投資家に販売する。投資家はこれを買ったら、資金が手に入るので、MFSは新たなブリッジローンを作ってビジネスを拡大させていった。
当然、このブリッジローンはリスクが見えにくいので信用格付けも高くなる。ローンをまとめて何か見えない方が信用されるのだ。つまり、その中に爆弾が入っても見えないから気づかない。だから、担保の重複なんていう金融不正疑惑が出てくる。
まさにサブプライムローンを同じ構図ということだ。
英住宅金融会社マーケット・フィナンシャル・ソリューションズ(MFS)の破綻の原因
それで、英住宅金融会社マーケット・フィナンシャル・ソリューションズ(MFS)には金融不正疑惑というものもある。上に書いた担保の重複のことだが、MFSは、同じ不動産資産を複数の融資の担保として重複して設定していた疑いがもたれている。
担保を「重複」することで資産価値が何倍も増えるという理屈はわかるだろうか。例えば、1億円の資産価値を持つ不動産がある。だから、このままだと1億円の価値だが、不正して、同じ不動産をもう一つあるように見せかけたら、さらに1億円の価値が増える。これを10個にすればもう10億円だ。
こんなの普通ばれるだろう。でも、それがブリッジローンでまとめられてしまえば見えなくなるんだ。だから、MFSは実際よりも資産価値を大きくした後、担保にして資金調達額を増やしていた。しかも、貸していたのは大手の金融機関である。バークレイズ、アポロ・グローバル・マネジメント(アトラス・パートナーズ)、ジェフリーズ、TPG、ウェルズ・ファーゴなどだ。
ここからが問題の本質だ。
それで、MFSは約12億ポンドの債務に対して、実際の担保価値は2.3億ポンド程度しかなかった。約9.3億ポンド(約1800億円)の担保不足だったようだ。
つまり、5倍、6倍は水増ししていたと。じゃあ、これがなんでばれたのか。それは訴訟を起こされたからだ。英国の貸し手であるジルコン・ブリッジング社とアンバー・ブリッジング社が、MFSに対して「重大な不正がある」として訴訟を起こした。その訴訟で重大な不正が明らかになり、破産手続きに追い込まれたと。
MFSが所持している担保の価値は2.3億ポンドしかないのに、水増しして資金調達をしていた。当然、破産すれば残りの数十億ポンドは貸した側の損失となる。
上に書いてある機関に多額の損失が発生して、これらに関わっていた銀行株が軒並み下落。日本の銀行株にも飛び火したわけだ。
ここまで解説しておけば、ブルームバーグの記事はよくわかるだろう。
では、記事を引用しよう。
(ブルームバーグ): 2日の日本株市場で銀行株が軒並み大幅下落した。中東情勢の悪化を受けた景気先行きに対する懸念から景気敏感株が売られた上、前週の海外市場で金融不安が広がった流れを引き継いだ。
みずほフィナンシャルグループ株が一時前営業日比6.9%安の6657円、三井住友フィナンシャルグループ株が6.7%安の5595円、三菱UFJフィナンシャル・グループ株は一時6.1%安の2787円まで売られた。地方銀行やネット銀行も軒並み下落し、東証株価指数(TOPIX)33業種で銀行業指数は指数の押し下げ寄与度で首位となった。
2月27日の米国株市場では、人工知能(AI)の既存事業への影響やプライベートクレジットを巡る不安から金融株が売られた。 金融不正疑惑の中で破綻した英住宅金融会社マーケット・フィナンシャル・ソリューションズ(MFS)の融資に、アポロ・グローバル・マネジメントの傘下部門やバークレイズなどが関わっていたことが明らかになり、各社の株価はそろって下落した。
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは、英MFSの経営破綻などを受け「国内の銀行株でも警戒感が広がっている」と話した。
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャーは、欧米の金融不安に加え、中東情勢の悪化で日本銀行の早期利上げ観測がやや後退したことも銀行株の売りにつながったと指摘する。ただ、同地域の緊迫が短期間で収束すれば「4月の利上げはまだ十分考えられる」とし、株価の下落局面では買いが入る可能性があるとの見方を示した。
ニュースは以上。
このようにイギリスの中堅規模のノンバンクが破綻しただけで、欧米は金融不安となり、世界の銀行株はパニック売りとなった。これらが引き出したのは銀行同士の横の繋がり、つまり、グローバルな信用市場のためだ。
ただ、これがリーマンショックみたいな金融危機にはならないとはおもう。さすがに中堅規模のノンバンクが破綻で、リーマン級の破壊力はないだろう。警戒はされるが損失は数十億ポンドならそこまで吸収できない額じゃない。
ただ、金融を扱うサイトとしては避けては通れない重大な信用不安であることは言うまでもない。現に日本の銀行株も軒並み売られた。