「もう置き場がない」イラン原油があふれ限界露出、封鎖で崩壊寸前の供給構造の正体

米国のイランの港湾施設を逆封鎖して、イランの原油施設のパイプラインがそろそろ原油でいっぱいとなり、備蓄するにもタンクがまんたん。廃棄した船のタンクまで使ってなんとか凌いでるようだが、そろそろ時間の問題となってきた。しかも、必死に中国にへ鉄道輸送をしているようだ。

なるほど。そのルートは考えなかった。そもそも原油って鉄道輸送して大丈夫なのか。まずはネットで聞いてみようか。

結論から言うと、原油(特に“石油=原油”)を鉄道で輸送すること自体は技術的にまったく問題ありません。むしろ、イランのようにパイプラインや港湾が逼迫した国では、鉄道輸送は昔から使われてきた“普通の代替手段”です。

ただし、いくつか重要な前提条件とリスクがあります。
あなたが気にしている「危なくないのか?」という点も含めて、専門家視点で整理します。

◆ 1. 原油を鉄道で運ぶのは世界的に一般的
実は、以下の国々では大量の原油を鉄道で輸送しています。

アメリカ:シェール革命期、1日100万バレル以上を鉄道輸送

カナダ:アルバータ州のオイルサンド → 米国へ鉄道輸送

ロシア:シベリアの油田から港湾へ鉄道輸送

中国:新疆の油田 → 内陸製油所へ鉄道輸送

つまり、鉄道タンク車(タンクワゴン)で原油を運ぶのは国際的に普通の物流方式です。

◆ 2. 鉄道輸送が可能な理由:専用タンク車がある
原油輸送に使われるタンク車は、以下のような仕様になっています。

厚い鋼板で作られた密閉タンク

揮発ガスを逃がさない安全弁

衝撃吸収構造(北米ではDOT-117規格など)

脱線時の破損を防ぐ補強構造

つまり、「ただの貨物列車にドラム缶を積む」ような危険な運び方ではないということです。

◆ 3. イランが鉄道輸送を増やしている理由
あなたが見たニュースの通り、イランは現在:

港湾ターミナルが満杯

備蓄タンクも満杯

制裁で輸出が滞り、原油が行き場を失っている

そのため、
「とにかくどこかに移動させてスペースを空ける」
という目的で鉄道輸送を増やしています。

イランは国内に以下のような鉄道網を持っています:

油田地帯(アフワーズ、アバダン)

国内製油所(テヘラン、イスファハン、タブリーズ)

カスピ海側の港湾(ヌーシャフルなど)

つまり、鉄道で“国内の別のタンク”へ移すことで、油田の生産停止を避けているわけです。

◆ 4. とはいえ、鉄道輸送にはリスクがある
安全に運べるとはいえ、パイプラインより危険度は高いのも事実です。

● リスク1:脱線・衝突事故
北米では過去に「ラキメガンティック事故(2013年)」で大規模火災が発生。

● リスク2:テロ・破壊工作
イラン国内では反政府勢力による鉄道爆破が過去に複数回発生。

● リスク3:輸送能力が限られる
鉄道はパイプラインに比べて輸送量が小さいため、
“溢れた原油を一時的に逃がす”ための応急措置に近い。

◆ 5. 結論:鉄道輸送は「安全に運べるが、緊急回避策」
まとめると:

鉄道で原油を運ぶのは世界的に一般的で、安全性も確保されている

イランは備蓄が溢れたため、鉄道を“移動式タンク”として使っている

ただし、輸送量は限られ、事故・治安リスクもあるため長期的には不向き

つまり、
「危険ではないが、イランが追い詰められている証拠」
というのが専門家としての見立てです。

なるほど。鉄道輸送そのものは昔から普通に使われているわけか。

それで鉄道ルートどうなるのか。これもきいておいた。物流好きとしてはおさえておきたいものな。

            【ロシア】
                │
 【カスピ海】──┼───────────────【カザフスタン】───【中国】
      ▲         │                                   │
      │         │                                   │
      │         │                                   ▼

【イラン北部】───【イラン・カスピ海港】──【トルクメニスタン】──【新疆ウルムチ】
(油田) (ヌーシャフル等) │
│ │
▼ ▼
【イラン南部油田】 【中国内陸製油所】

ルートをもっと詳しく説明すると…
① イラン南部の油田(アフワーズ・アバダン)
原油が溢れているのは主に南部のフーゼスターン州。
ここから鉄道で北へ運びます。

② イラン北部のカスピ海沿岸(ヌーシャフル・アミルアバード)
イランはカスピ海沿岸に鉄道ターミナル+石油タンクを持っています。

ここがポイント:

カスピ海はロシア・カザフスタン・トルクメニスタンとつながっている

タンカー(カスピ海用の小型船)で原油を対岸へ送れる

つまり、“鉄道+カスピ海タンカー”の組み合わせで中央アジアへ抜けるわけです。

③ カスピ海を横断(タンカー)
イラン → カザフスタン or トルクメニスタンへ。

カザフスタン:アクタウ港

トルクメニスタン:トルクメンバシ港

どちらも中国へ向かう鉄道網につながっています。

④ 中央アジアを鉄道で横断
ここからは中央アジア鉄道網(旧ソ連規格)を使います。

ルートA:カザフスタン経由(最も現実的)

イラン → カスピ海 → カザフスタン(アクタウ)
→ カザフスタン国内鉄道
→ アルマトイ
→ 中国(新疆ウルムチ)

Bルート


イラン → カスピ海 → トルクメニスタン(トルクメンバシ)
→ トルクメニスタン鉄道
→ ウズベキスタン or カザフスタン
→ 中国(新疆)


⑤ 中国・新疆ウルムチへ到達
新疆ウルムチからは:

中国国内の製油所へ送る

パイプラインで内陸へ送る

鉄道で中国全土へ分配

という流れになります。

◆ まとめ:イラン → 中国の鉄道ルートはこうなる
イラン南部油田 → イラン北部(カスピ海)へ鉄道

カスピ海をタンカーで横断

カザフスタン or トルクメニスタンへ上陸

中央アジア鉄道で新疆ウルムチへ

中国国内へ分配

つまり、
「鉄道+カスピ海+鉄道」の三段構えルートです。

つまり、イラン南部からイラン北部に移動してカスピ海を通過してトルクメニスタンんに上陸。後は鉄道で中国に運ぶと。

さっきのルートを地図で描くとこうなる。

実際、イラン南部から上のルートは鉄道があるなら普通に使えそうなので、トルクメニスタンやウズベキスタンが許すなら中国に送ることは可能と。

さすがに米国も北の輸送ルートをどうにかできないよな。

でも、鉄道で運べる量はそこまで多くないので、中国にどれだけ送ってるかは知らないが、コストを考えれば割高そうだよな。そこをきいておこうか。

コスト:1バレルあたり約1.5〜2.0ドル(距離・積載効率から推定)

鉄道1編成=約10,000〜15,000バレル

カスピ海横断+中央アジア鉄道網の積み替え費用を含む

距離:約6,000〜7,000km(アフワーズ→ヌーシャフル→アクタウ→ウルムチ)

輸送能力:1日最大10〜15万バレル(パイプラインの1/100以下)

リスク要因:国境通過・軌間差・政治的遅延・テロリスク

総合評価
コスト面:鉄道は海上の約3〜5倍高い。

安全面:鉄道は攻撃リスクが低いが、国境通過の遅延が多い。

実務面:鉄道は「備蓄逃がし」や「短期的な国内移送」には有効だが、商業輸出には非効率。

海上輸送は依然として主力だが、保険料と航路延長で1航海あたり100万ドル超の追加負担が発生している。

やはり、コストは高いと。海上輸送の5倍まであると。そもそも輸送の能力が最大で15万バレルなのか。これは割に合わないんじゃないか。コスト5倍ましで最大15万バレル。これは中国の一日消費量からすれば微々たるものだ。

では、記事を引用しよう。

米国による海上封鎖の影響で原油輸出が制限されているイランが、生産量を維持するために貯蔵手段を総動員していることが分かった。イラン国内の貯蔵施設が急速に限界に近づく中、廃棄されたタンクや鉄道輸送まで活用する状況となっている。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は27日(現地時間)、イランの現職・元当局者の話として、米軍がイランの港に向かう空のタンカーの入港を阻止し、輸出用船舶の出港も制限しているため、イラン国内の原油貯蔵タンクが飽和状態に近づいていると報じた。

イランはこれまでも原油減産を避けるため、タンカーを海上貯蔵施設として活用する手法を取ってきた。しかし、「浮体式貯蔵」だけでは増加する在庫を吸収しきれなくなり、従来の慣行を超えた対応に踏み切ったとみられる。

関係者によると、イランは南部の原油生産・物流拠点であるアフワーズやアサルーイェなどでコンテナを原油の貯蔵施設として活用しているという。状態が悪く放置されていた廃タンクも原油保管に投入されたとされる。

輸送面でも、通常は採算性や効率の観点からあまり用いられない鉄道輸送が利用されている。イランの石油輸出関連団体の報道官は、イランが鉄道を通じて中国へ原油を輸送する試みが進められていることを明らかにした。

ニュースは以上。

イランは必死にタンクを満タンにしない手段を考慮しているようだが、どう見ても無理だな。延命にはなっても問題解決にならない。

それで、原油価格に重要な情報が出てきた。これは原油価格が急落する恐れがある。IAEがOPECから脱退するようだ。

記事を引用しよう。

中東の主要産油国であるアラブ首長国連邦(UAE)が28日、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非会員国で構成されたOPECプラスから来月1日に脱退すると発表した。OPECの産油量制限から抜け出し原油生産を増やすためだ。

UAE政府はこの日国営WAM通信を通じ「今回の決定は国益と市場の緊急な需要に効果的に対応するためのもの。原油市場の需要と条件に合わせ段階的で慎重な方式で追加産油量を市場に供給する」と明らかにした。OPECとOPECプラスは国際原油価格調節のため加盟国に産油量の割当を定めて原油生産を制限してきた。UAEはこの数年間、こうした方式により石油生産量を増やすことができないことに不満を示し、OPECを主導するサウジアラビアと対立してきた。

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UAEのマズルーイ・エネルギー相はブルームバーグに「イラン戦争による混乱が脱退を決めるのに適切な時期だと判断した」と明らかにした。UAE国営石油会社ADNOCのジャベル最高経営責任者(CEO)はロイター通信に「OPECとOPECプラスを脱退することによりこれらグループが課す(生産量)義務から抜け出し柔軟性を持つことになった」と話した。

UAEは1967年にアブダビ首長国としてOPECに加入し、1971年のUAE建国後も加盟国の地位を維持してきた。サウジアラビア、クウェートとともに世界の原油生産の約30%を占める中東産油体制の核心軸だった。OPECによるとイラン戦争前のUAEの1日平均原油生産量は約340万バレルで、加盟12カ国のうち3番目に多かった。

今回の脱退は2019年のカタールのOPEC脱退後、ペルシャ湾地域の主要産油国の2番目の離脱だ。カタールに続きUAEまで脱退しサウジが主導するOPECの国際原油価格への影響力は相当な打撃を受けることになった。元OPEC職員のホルヘ・レオン氏は英フィナンシャル・タイムズに「UAEを除けばサウジが唯一生産能力に余裕がある加盟国。今後OPECが構造的に弱まるにつれ石油市場の変動性が大きくなるだろう」と話した。

一方、トランプ米大統領は28日、トゥルース・ソーシャルへの投稿で、「イランがたったいまわれわれに国家崩壊状態にあると知らせてきた。彼らは自分たちが指導部の状況を整理しようと努力する間、できるだけ早くわれわれがホルムズ海峡を開放することを望んでいる」と主張した。

ニュースは以上。

つまり、イラン戦争がUAEの脱退を後押しした。そりゃ、勝手に原油価格を引き上げられたら、たまったものじゃないものな。原油価格引き上げられたら儲かると思うかもしれないが、そもそもスポット契約なんて韓国ぐらいなのでそこまで短期的に利益がでるものじゃない。

そして、もう一つ嬉しいニュースがある。日本の出光タンカーがホルムズ海峡を通過したことがわかった。

では、記事を引用しよう。

[東京 28日 ロイター] – パナマ船籍の原油タンカー「‌出光丸」が、ペルシャ湾か⁠らホルムズ海峡を通過したことが船舶の追跡デー​タで分かった。LSEGの追跡データによると、出光興産‌子会社の出光タンカーが運航し、サウジアラビア‌産の原油200万バレ‌ルを積んでいる。​イラン紛争が始まって以来、日‌本関連の原油タンカーがホルムズ海峡を‌通過した​のはこれが初めてとなる。

ホル‌ムズ海峡封鎖により供給が混乱⁠する以前は、日本は石油輸入の95%を中東地域に依存しており、その⁠多くはホルムズ海​峡を経由‌していた。

出光興産は、個別の船舶についてコメントしないと⁠した。

2月下旬に米国とイスラ⁠エルがイランを攻撃して以降、日本⁠関連の船舶はこれまで商船三井が共‌同所⁠有するLNGタンカーなど3隻がペルシ​ャ湾からホルムズ海峡を通過した。

ニュースは以上。

これで重要なのはこの専門家のコメントである。

木村和尊
軍事ライター

1.日本時間29日朝における各紙の続報では、政府高官の談として「イラン側と交渉」「『通航料』は支払わず」との海峡通航であったとの背景が示された。

イラン側としては「通航料」を支払わせ、G7や「ホルムズ海峡に関する首脳共同声明」の枠組みを揺さぶるのが一番都合がよい。しかし、今回はそうしなかった。

まずは、イラン体制が「交渉可能なパートナー」と印象付けるにとどめたという整理ができるだろう。駐日イラン大使館は、過去の出光「日章丸」のエピソードに触れた上で、X上にて本事案を発信している。

アラグチ外相もそれをリポストし、対日情報発信に熱心だ。 喜ばしい事案ではあるが、日本がG7や首脳共同声明参加国の「一番弱い鎖」とならぬよう、引き続き慎重な歩みが必要とされる段階と言える。

上の情報を補足してあるので、先に引用しておこう。重要なのは通航料払ってない。日本政府が関わっている。さらに例の出光エピソードまで利用したと。これは日本人喜びそうだが、完全に薪餌だよな。ヤフコメのお花畑連中はきっと感涙しているんじゃないか。

でも、上に指摘してあるが、ただの薪餌である。実際、まだまだ日本のタンカーは通過できてない。

それで、ヤフコメのお花畑に突っ込みたいんだが、ちょっと今回は物流を熱心にやったので文字数がオーバーしている。だから1個だけ見ておこう。

2.恥ずかしい話、自分が毎日仕事で使っている車のガソリンや梱包用のラップ、シンナーなどがどのように作られてるか大元の原油がどの様に運ばれてくるかを考えたことがありませんでした。
ホルムズ海峡を封鎖されてから考えました。
当たり前に使っていたものを運んでくれる人がいるって思うと感謝しかないです。
到着がどこか分かりませんが、
出光がホルムズ海峡通過中というニュースをみたとき、無事に通過して欲しいと心から思いました。
通過できて良かったです。
お疲れ様です。無事通過できて本当に良かったです

これを見て、日本人は本当に物流というものをあまり関心がないことに気づかされる。物流というのは全ての「基本」である。物を運ぶというのは人類が誕生してきてから始まってるんだよ。

例えば原始時代に、洞窟かどっかに住んでいる原始人がお腹が空いたので近くの木になってる木の実を取って食べる。最初は木の実のとこで食べていたが、あるとき、これ持って帰って洞窟で食べたらいいんじゃないか。いや、たくさん運んで保存しておけばいい。これも物流である。

だから、今の日本人はこの商品がどこからきたかの想像できてないんだよ。まずは原料調達から工場で生産、近くの倉庫に保管して長距離トラックに運んだあと、地域の倉庫に運んで、ようやく積み荷が店に到着する。

我々は店でお金を出して買えば、欲しい物は手に入るが、そこに至るまでどれだけの道のりがあるかを想像するのが物流の面白さなんだよ。そして、物流は人間同士の足で運んでいたものが、いつしか荷車を使うようになり、船を使うようになり、馬や牛を使うようになり、さらに蒸気で走る自動車を使うよりになり、もっと行けば飛行機を使うようになり、近未来は宇宙用貨物船から物が運ばれるようになる。

話は脱線してきたが、たまには商品が完成するまでの長いがないルートを思い浮かべてほしい。