ここからは韓国経済の話題だ。
今回の記事は、以前に取り上げた若者や自営業の借金増に関連するものだ。
韓国の李在明が違法な高金利貸付について「法定上限を超える契約は無効であり、返済しなくてもよい」と明言している。
では、記事を引用しよう。
李在明(イ・ジェミョン)大統領は3日、「法定の上限を超える違法な貸付は無効だ。すなわち返済しなくても差し支えない」と述べた。
李大統領は同日、X(旧ツイッター)に、閣議で違法私金融の被害申告のハードルを下げ、不法電話番号の遮断を迅速化する貸付業法施行令改正案が可決されたとする先月28日の李億遠(イ・オクウォン)金融委員長の投稿を共有し、こう書き込んだ。李委員長はこの投稿で「年60%を超える貸付契約は元本も利子もすべて無効」とし、「法はすでに被害者の側に立っている」と話した。李大統領は6大構造改革の一つとして強力な金融改革への意欲を強調している。
金容範(キム・ヨンボム)大統領政策室長も3日、フェイスブックで「現在の韓国の金融は巨大な城郭のようだ」とし、「城内には低金利の恩恵を受ける高信用者が安住し、都城の外の周縁部には金融から排除された人々が広く存在している」と指摘した。さらに市中銀行を念頭に「高信用者という温室に閉じこもらないよう、融資の構成を変えなければならない」と話した。また「いつまで過去の延滞履歴やカード履歴だけを見続けるのか」とし、「特にインターネット銀行にこの課題を厳しく担わせるべきだ。『チェリーピッキング』はインターネット銀行の使命ではない」と強調した。
金室長は1日には「(信用等級は)金融が設計した見えない身分標識だ」とし、2日には「金融は完全な自由市場ではない。国家の許可の下で公的資金の支援の下で機能する制度的産物だ」と指摘した。
ニュースは以上。
この記事を読んで驚いたのは「年60%を超える貸付契約は元本も利子もすべて無効」という一文だ。つまり、借りた金の元本も返さなくていいと李在明が述べたのだ。
韓国の貸付上限金利は年20%だが、実際には年60%を超える違法貸付が横行している。
大統領はこれを「法律がすでに被害者の側に立っている」と強調し、違法貸付の元本・利子ともに無効であると明確にした。つまり、国のトップが被害者救済を強く後押しするポピュリズムの塊のような強いメッセージである。
背景にあるのは銀行の信用スコアにおける規制の強化。つまり、貸し渋りによって低金利融資を受けられなくなった若者や自営業が高金利でも借りられる第三金融、ヤミ金などに手を出した。
これは何度も述べているが、若者の負債が急増して延滞率が増えている。これは若者が仕事がない。住宅価格の高騰。物価上昇など。しかし、信用スコアが低いので銀行から借りられない。
ええ?若者は金融機関にとって金の卵とか述べてなかった?それは毎月、返済し続けられる若者の話だ。信用スコアで若者が高いのは「最初」だけであって、そこから返済するか、滞納するかで大きく変わってくる。
そもそもカードを作った人はわかるとおもうが、カードは信用スコアによって借り入れできる金額が制限されている。何の信用もない若者が借りられるのは最低ランクである。ちゃんと返済していけば借りられる限度額は増えたりするんだが、それができたらヤミ金に手を出すわけない。
当然、これは自営業者にもいえる。むしろ、若者よりは自営業者の方がまとまった金が欲しいので、銀行から運営資金を借りても、コロナや物価高などで店が上手くいかずに借金だらけ。利息の返済もできない。だから、金を返すためにヤミ金に借りて自転車操業である。
つまり、銀行は優良客しか相手しなくなったので、違法貸付が“社会のセーフティネットの代替”として機能しているわけだ。これはどの銀行も同じだ。だから、李在明や(キム・ヨンボム)政策室長がこれを厳しく批判した。
本来、銀行とは誰でも低金利で融資が受けられるものだと。理想を語るのはまさにポピュリズムというやつだ。
これはかなりヤバいぞ。李在明は借金で苦しんでいる若者や自営業の救済。すなわち徳政令カードみたいなものだが、金を返さなくていいなら、誰も貸さなくなるんだよな。
それで、ここから借り手、貸金業者、銀行の3つの視点で影響を整理していこう。3つの視点を同時に考えることで金融リテラシーが身につくからだ。
まずは借り手からいこうか。
今回の李在明の発言はまさに借金苦で苦しんでいた若者や自営業からすれば、徳政令と同じもの。つまり、借金の帳消しである。やったじゃん。李在明最高!そりゃそうだ。数百万の借金が一瞬で消えるんだ。まさに救いの主。李在明様である。
しかし、徳政令とか述べてる時点でこの先、何が起こるかわかりますよね。既に上で少し触れたがもう、高金利でも誰も貸しません。若者も自営業も資金調達が一切できなくなり詰みです。つまり、もう借金できないんだよ。お断りなんだよ。
じゃあ、資金繰りに困ったらどうするんだよ?おしまいですね。もうちょっと何かないの?それこそ返済できない場合、マンガとか出てくる〇〇売買レベルでの担保を持ちかけられる非合法組織でしか貸してくれなくなる。
つまり、韓国の自営業者は“金融排除の最大被害者”であり、改革の副作用が最も直撃する層といえる。
次は貸付業者はどうだ。
違法貸付業者のビジネスは崩壊する。だって返さなくていいなら、誰も貸さない。つまり、完全廃業である。まあ、違法なんだから壊れて当然だと思うのは金に困ってない。韓国製政府の一方的な見方なんだよな。需要あるから商売は成り立つんだよ。でも、その需要が消えた。それだけ李在明の述べたことは大きいんだよ。
そして、違法貸付は闇に消えていく。つまり地下金融である。表には出てこないアンダーグラウンドの違法取引が活発化する。実際、今の時代は海外のサーバーアプリとか。暗号資産担保ローンなど抜け道が色々ある。
最後は銀行だ。
李在明が銀行に低所得者にも融資枠を増やせと圧力をかけたので、少しは枠を増やすだろう。しかし、信用スコア低いものに貸しても、返ってくる保証がないので、数年後には貸倒引当金を大幅に計上することになる。金融リスクが増大する。
最後に結論を述べれば、今回の発言は金融改革に大きな方向性を打ち出した。だが、先ほど述べたとおり、若年層・自営業者の負債問題、家計負債の世界最高水準、金融アクセス格差などが複雑に絡み合っている。
これらをなんとかしようとするために金融システム全体の見直しが必要である。それは専門家としては理解できる。しかし、同時に政府が強行策に出れば出るほど、最悪となるリスクが孕んでいる。
違法な金利でカネを貸す貸付業者は確かに世間体からすれば悪そのものだ。だが、それを取り締まったことで、首が回らなくなる若者や自営業はどうするのか。借金帳消しにされても問題解決しないなら、数年後には同じ結果になるだけ。
銀行は融資枠増やせといっても、利益にならないことする慈善事業ではない。株主が存在するのだから、低所得者に金を貸して返ってこなくなれば当然、貸さなくなる。
こちらの見立てだと、韓国政府は無能なので自営業者の倒産や若者の破産者が増えるだけだと思う。
じゃあ、李在明のやり方の何が問題なのか。それは「順番」である。本来、この手のことするなら、低信用層向けの公的融資制度を拡充から始めないといけない。
そもそも発端は低金利で借りられるところがないから、違法貸付に若者や自営業は走ったわけだ。だから、まずは安全に借りられるところを造る。次に銀行には融資基準を緩めるようにする。これによって金融アクセス格差を是正できる。
そして、最後に違法貸付を取り締まるんだよ。こうすることで、若者や自営業は追い詰められることは少なくなる。でも、現実は違法貸付の取り締まりから始めたわけだ。だから、無能なんだよ。