ここからは韓国経済の話題だ。
韓国の話題といえば、サムスン電子のストが残り10日ということで、韓国経済の専門家として特集してもいいレベルだと思っている。まずはその理由についてだが、やはり、それ世界最大の半導体生産におけるサプライチェーンリスクが付きまとうからだ。
つまり、今回のサムスンストは韓国内だけの問題ではない。グローバル化したものであるために注目度が高い。サムスン電子のストライキを個別企業の問題として考えるのは難しいてこと。
また、サムスン電子のストの影響はさらに広範囲であることも見逃せない。しかし、問題はサムスン電子のストだけじゃないてこと。以前に取り上げたサムスンバイオストだってそうだ。このようなストが起きれば起きるほど、韓国は危険な国だと認識されてしまう。それがコリアディスカウントに繋がる。
では、記事を引用しよう。
ストライキ危機に直面している三星(サムスン)電子の労使が、11日と12日の二日間、政府仲裁による事後調整手続きに入る。21日に予告されたゼネストまで10日余りとなり、破局回避に向けた最後の機会だが、労使双方の立場の隔たりがあまりに大きく、合意に至るのは容易ではない状況だ。
労使政対話で接点を見いだせなかった三星バイオロジクスでも労使対立が長期化し、2度目の全面ストの可能性まで取り沙汰されている。韓国経済の中核エンジンである半導体とバイオが同時に止まりかねない、危うい局面だ。
三星電子の対立の核心は、成果給算定方式だ。会社側は特別報奨を通じてメモリ事業部社員に業界最高水準の待遇を約束したが、労組側は営業利益の15%を成果給として支給し、年俸の50%とされる成果給上限も撤廃するよう求める主張を曲げていない。交渉が半導体部門中心に進む中、社内では「労労対立」も拡大している。
さらに深刻なのは、会社利益の一定割合を構成員に固定的に分配するよう求める動きが、産業全般へ広がっている点だ。SKハイニックスが営業利益の10%を成果給として支給すると、三星電子労組は15%を掲げ、他の大企業労組も20%、30%を要求し始めた。
企業の未来投資財源を確保する前に、過度な成果給支給を求めるのは、企業の長期的成長エンジンを損なう無理な主張と言わざるを得ない。
今は「パイの分配」で争っている場合では決してない。世界のビッグテックは来年、人工知能(AI)インフラ投資を1兆ドル(約1460兆ウォン)規模まで拡大する計画だ。世界サプライチェーンの核心に浮上した韓国半導体企業が、この機会を先取りするには、圧倒的水準の投資と安定的な生産能力確保が不可欠だ。
過度な分配で投資余力が減少し、ストで生産ラインまで止まれば、機会は失われるほかない。申齊潤(シン・ジェユン)三星電子取締役会議長も、「事業競争力低下はもちろん、顧客信頼喪失、株主・投資家損失など、国家経済に深刻な悪影響を及ぼしかねない」と懸念を示した。
韓国経済は久々に訪れた半導体市況回復という絶好機を迎えている。1年前まで2000台だった韓国総合株価指数(KOSPI)も、半導体株に支えられて節目を5度も更新し、慢性的な「コリアディスカウント」から脱しつつあった。
しかし、労組リスクが絶えず浮上し、企業ファンダメンタルズが揺らげば、一瞬の夢に終わる可能性もある。目先の利益だけを追うのではなく、常識的かつ合理的な解決策を見いだすべきだ。
ニュースは以上。
この記事の主張はとても正論である。まさにぐうの音の出ない正論だ。しかし、正論だからこそ、それが正しいとは限らない。韓国では稀に良くあるんだよ。
特にSKハイニックスによる成果給10%が認められたという事実が今回の発端として指摘されている。これが全てのストをややこしくする最大の原因である。SKハイニックス歯それでいいかもしれないが、そうなってくると、自分らも同じように成果給を増やせという声が多数でる。
これも行動経済学でいえば「参照点依存性」という。これについては面白いのでもう少し深掘りしていこう。人は 「自分の絶対的な待遇」ではなく「他人との比較」 で満足度が決まる。
これは日常の経済行動で例えれば、セールである。こちらは休日も家で記事更新して、仕事しているので、空いた時間にゲームをするわけだ。ちょうどGWだとゲーム会社はお得なセールを出す。以前よりほしかったゲームソフトが、定価より何割引も安くなる。これはお得だと感じるのは、定価よりも安いことを「比較」してるからだ。
これを参照点依存性という。価格の参照点がセールの割引価格に移動するからだ。
今回の場合、SKハイニックスは成果給が10%に決まったことで、自分らの待遇はどうなのか。成果給10%ももらってない。不公平だ。このようになってストでより高い成果給を要求するようになった。それが15%だ。
しかし、成果給15%はサムスン電子の営業利益が300兆ウォンなので、45兆ウォンという桁外れな金額である。これを毎回、同じように出せというのはとんでもない要求である。
他にも色々あるんだが、サムスン社員からすれば成果給10%がスタートラインとなる。これをアンカリング効果という。成果給10%以下は損だから受け入れられない。
でも、成果給にこだわるなら、トヨタ、アップル、インテルも同じように10%もらってるわけではない。ここで重要なのはSKハイニックスが韓国企業であり、同種や同業であるということだ。結局、同じ韓国人の待遇が良くなったことに嫉妬しているんだよ。
だから、他の大企業の労働組合も無茶な成果給を要求しだした。まさにバンドワゴン効果である。
しかし、それほどの成果給を毎回、出せば設備投資や研究ができないから、国際競争では勝てないというのが上に書いてあることだ。さらにストで生産ラインが止まれば、顧客からすれば常に安定に供給できない製品を言い値で買うなんてことはなくなる。
だが、こんなのは経営側の一方的な視点なんだよ!
例えば、「過度な成果給支給を求めるのは、企業の長期的成長エンジンを損なう無理な主張」「今はパイの分配で争っている場合ではない」などどう見ても企業側の論理である。東亜日報がスポンサーの大企業に媚び売っているとしか思えん。
そもそもだ。労働者側の視点がまったくもってないどころか、悪意に満ちている。
「営業利益の15%を成果給として支給せよ」「成果給上限50%の撤廃」
これについての労働者側の言い分が一切ない。そもそも、サムスン電子のストでもう一つ問題になってるのが「評価の透明性」だったことを覚えているだろうか。
サムスン電子は、評価基準の公開、昇進・配置の透明化、成果給の算定方式の明確化など。これは昇進するために上司への接待が絶対だった。
以前に取り上げたメディアの記事を参照すると、昇進は「上司の評価」がほぼ全て。上司との飲み会・接待・ゴルフが昇進に影響。直属上司の一言で昇進が決まる、つまり、これは昇進するには能力ではなくて、いかに上司に気に入られるかだったわけだ。
だから、労働者側が求めてる上の内容は接待文化の廃止も要求していることになる。
しかし、これを企業側が経営権の侵害だと述べたわけだ。ここが今回の記事では全く語られない重要なポイントになる。仮に評価基準を公開すれば、既存の権力構造が崩れる。それは財閥構造の弱体化を意味するわけだ。特にサムスン電子は長年、それを守ってきた。サムスンは財閥の支配構造を崩したくない論理がここにある。
韓国メディアの記事を読めば、多くはスポンサーの言い分をそのまま強化して述べている。実際はその企業にとって有利なことを主張していることが多い。そこには韓国人の生活や不満を改善させようとかそういう視点が欠けている。
結局、ストを激化させている理由は韓国人だからだけではなくて、理不尽な社会システム、財閥搾取が根底に存在するんだよ。だが、韓国メディアはここを取り上げることをタブーとされている。
まとめると、この記事は、成果給問題を“労働者の欲”として描いているが、行動経済学的にはSKハイニックスの10%が参照点を変えただけであり、労働者の要求は自然な反応である。記事は企業側の論理に偏り、労働側の正当性をほぼ無視している。