ここからは韓国経済の話題だ。
今回の記事は韓国開発研究院(KDI)が5月11日に発表した資料である。
記事の内容に出てくる数値は想定内の範囲だと思われる。しかし、こちらが気にしてるのは運送コストの凄まじい上昇だ。
記事を引用しよう。
ホルムズ海峡封鎖で石油類運送不確実性が大きくなり、今年の消費者物価上昇幅が1.0~1.6%ポイントさらに大きくなりうるという韓国開発研究院(KDI)分析が出てきた。 石油類最高価格制など政策対応がなかったら、今年の物価上昇率が最大3.7%を記録しただろうという観測だ。
KDIはこのような内容の「国際原油価格上昇が消費者物価に及ぼす影響」懸案分析資料を11日発表した。
KDIは、国際通貨基金(IMF)の今年の国際原油価格(ドバイ油基準)展望値の1バレル当たり91ドルを基準に、各シナリオ別物価の影響について分析した。 その結果、国際原油価格の上昇が来年まで消費者物価と根源物価全般に影響を及ぼすものとみられる。
原油価格が第4四半期87ドル水準に緩やかに下落する基準シナリオでは、今年の物価上昇率に対する影響が1.2%ポイント、来年0.9%ポイントであると予想した。 第2四半期の原油価格が105ドルを維持する高油価長期化シナリオでは、今年1.6%ポイント、来年1.8%ポイントで衝撃が大きくなるものと推定される。
KDIはこれに先立って今年の消費者物価上昇率を2.1%と展望したが、中東戦争の余波で3%台中後半まで高まる可能性があるという予測だ。 ただ、石油最高価格制、油類税引き下げなどの政策対応効果は反映していない結果だとKDIは説明した。
KDIマクロ·金融政策研究部のマ·チャンソク研究委員は「石油最高価格制と油類税引き下げ効果が排除された状態で測定した」として「政策対応がなかったとすれば消費者物価上昇率が3%台を越えただろう」と話した。 これに先立ってKDIは3月基準で最高価格制が消費者物価上昇率を最大0.8%ポイント下落させ、4月の油類税引き下げ幅拡大は0.2%ポイント下落させたと推定した。
また、原油価格を除いた根源物価にも影響を及ぼすなど、来年までに経済全般に波及する可能性があると見た。 マ研究委員は「原油価格の不確実性が持続すれば企業も徐々に消費者価格に物価上昇圧迫を転嫁しなければならない可能性が高くなるだろう」と説明した。
また、最近、国際原油価格の急騰を触発した運送の不確実性が、その他の要因に比べて物価に及ぼす波及力が大きいと推定した。 国際原油価格が10%上昇する場合、国内消費者物価の上昇幅はエネルギー運送の不確実性が原因の場合、0.2%上昇することが分かった。 その他の要因に起因した場合、物価上昇幅は0.11%ポイント上がるが、これより2倍ほど大きいのだ。
運送の不確実性は主要供給網の撹乱時期ごとに急騰し、3月には既存平均の8.5倍まで急騰し、1970年代オイルショック水準に近づいた。
ニュースは以上。
まず、今回の記事で最初の論点となる国際原油価格である。国際通貨基金(IMF)が出した今年の国際原油価格(ドバイ油基準)展望値は1バレル当たり91ドルを基準にしている。
ここで重要なのは韓国のエネルギー輸入がどのように増えているかだ。韓国貿易協会・KDI・IMFのデータを統合した推計を見ておく。
まず、2023年から見ていくと輸入は約1800億ドル。2024年は1900億ドルと増えており、2025年は約2000億ドルである。そして、今年はホルムズ海峡封鎖されて原油価格が高騰しているのだが、予測値は2200億ドルが最大となっている。
確認したがホルムズ海峡封鎖されて原油価格が上がっているのだから、2026年が過去最高になるのは誰の目でも明らかだ。問題はエネルギー輸入が増えたら、当然、貿易黒字を大きく減少させる。
これは韓国のエネルギー依存からでも説明できる。
韓国の輸入の約 25〜30%はエネルギー(原油・LNG・石炭) である。原油価格が高止まりしている。韓国はエネルギー自給率が3%しかない。
さらに記事にはホルムズ海峡リスクで“運送コスト”が急騰しているとある。これが物流好きとして重要だ。
記事によると運送リスク指数が平均の8.5倍に急騰とある。それが1970年代オイルショック級らしい。
以前に韓国のガソリンや軽油、LNGなど価格高騰で、韓国人は1円でも安い遠くのガソリンスタンドまで出かけて満タンまで給油が爆増という行動を取り上げた。これをオイルショックのような混乱だと述べたが、運送コストでもオイルショックであることが強化されたことになる。
では、KDIはどのような指数を使ったのか。
それは、Global Supply Chain Pressure Index(GSCPI)や、Baltic Dry Index(BDI)(海上輸送コストの国際指標)、Geopolitical Risk Index(GPR)(中東情勢の緊張度を反映)の3つの指数である。
これらを組み合わせて運送リスク指数として分析した。3つとも確認してもいいのだが、そこが本題ではないので一つだけ確認しておこうか。
GSCPI(グローバルサプライチェーン圧力指数)

GSCPI(グローバルサプライチェーン圧力指数)とは、ニューヨーク連銀が作成する、世界のサプライチェーン混乱指数。港湾混雑、海運遅延、輸送コスト、理性学リスクを統合している。
イラン戦争後に徐々に増えているのがわかるだろう。イラン戦争前は0.55だったが4月29日で1.82まで上昇。つまり3倍以上になったと。Baltic Dry Index(BDI)(海上輸送コストの国際指標)は100%上昇、GPRは過去10年平均の 3倍となっている。
それで、イラン戦争後に8,5倍に跳ね上がった理由はホルムズ海峡封鎖である。
これも既出だが、戦争リスク保険(WRI)が“6倍”に急騰した。海運会社が迂回(喜望峰や紅海ルート)で輸送コストが数倍に膨れ上がる。GPR指数:過去20年で最高値となった。
では、なぜ輸送コストが上昇が韓国にとって致命的なのか。
最初に述べた通り、韓国のエネルギー自給率は3%。食糧自給率も20%以下。半導体などに使う主要素材は全て輸入。海運依存は世界トップクラス。
韓国は“運送リスクに世界で最も弱い国”。同時に韓国は原油価格高騰にも世界で最も弱い国だったりするので、ダブルパンチのようにインフレを加速させたわけだ。
それで現在は7倍程度になっている。つまり、危険水準である。だから、輸送コストの上昇が原油価格高騰よりも、韓国の物価に大きく影響している。最悪なインフレ要因となっている。