サムスン電子スト、仲裁案を拒否──黄色い封筒法で労組が“強硬化”、緊急調整権の可能性も

ここからは韓国経済の話題だ。

韓国のサムスン電子のストは韓国経済の破滅だけではなくて、世界の半導体供給に大きな影響があるために、こちらは何度も特集してきた。そして、ストの予定は5月21日からであり、残り8日と迫っていた。

それで、12日と13日にスト前の最後の労使交渉が行われた。何と時間に直せば28時間だ。28時間もよくやるなと思うんだが、結果だけを先に伝えると、成果給(PS)制度の透明化・上限撤廃をめぐる対立で最終決裂した。

つまり、カウントダウンしてもいいよね?もはや、ストの可能性はかなり高いと思われる。

では、記事を引用しよう。

サムスン電子の労使が夜明けまで続いたマラソン交渉にも成果給支給を巡る異見を狭めることができず、交渉が最終決裂した。

サムスン電子最大労組である超企業労働組合サムスン電子支部(超企業労組)チェ·スンホ委員長は13日明け方、政府世宗庁舎中央労働委員会で2026年賃金協約締結のための2次事後調整会議を終えた後「成果給上限廃止·透明化·制度化を要求したが貫徹されず最終決裂を宣言した」と明らかにした。

チェ委員長は「労使の異見が狭まらず調停案を要請し、12時間以上待ったが調停案はむしろ要求より退歩した」と説明した。

労使は2日間の日程で事後調整の手続きを踏んだ。 1次会議は11日午前10時から11時間30分程度進行され、2次会議は前日午前10時に始まり深夜12時を過ぎてこの日午前2時53分まで17時間にわたり徹夜交渉を継続したが結局合意に至らなかった。

これ以上の調整はない予定だ。 交渉決裂で21日に予定されたゼネストが秒読みに入った。 チェ委員長は「違法争議行為をするつもりはなく、適法で正当に進行するだろう」とし、ストライキ参加規模を5万人以上と見通した。

一部では政府が最後のカードとして「緊急調整権」を発動できるという観測も出ている。 事案が急迫する場合、雇用労働部長官が発動でき、この場合、争議行為が中断されるが、政治的負担が大きく実際に発動するかどうかは未知数だ。

ニュースは以上。

なるほど。ストライキが起こる。つまり、このサイトの格好ネタが21日から、現実味を帯びてきた。それで今回の論点は二つである。

前者は政府の最後カード「緊急調整権」について。後者は李在明が可決した黄色い封筒法がどのような影響を及ぼしたか。この二つを中心に見ていく。もちろん、後でこの記事を読んだ韓国人の反応などをまとめよう。

緊急調整権とは何か

では、緊急調整権とは何か。簡単に述べると韓国政府が出せる最後の切り札といえる。なんせ、これによってストを無条件で30日も一時停止できるのだ。これは、韓国の 労働関係調整法第12条 に基づく制度で、 政府(雇用労働部長官)が発動できる。

その効果は凄まじい。例えば、ストライキ・ロックアウトなどすべての争議行為が即時停止。さっきも出したが、一定期間(通常30日)強制的に交渉を継続。その間、労働者はストを続けると違法行為扱い。企業側もロックアウトなどの対抗措置は禁止。

確かに抜群の効果があるわ。

では、発動条件はなんだ。国家経済に重大な被害が出る恐れ。国民生活に深刻な支障が生じる恐れ。争議が長期化し、公共の利益を著しく害する場合などだ。

3つ見てきたが既にサムスン電子のスト時点で全ての条件は満たされている。

で、実際に過去にあったのか。こちらも二つ取り上げた記憶があるんだが、まず2011年の貨物連帯ストである。物流大混乱してましたものね。次に2013年の鉄道公社のストでもある。これも物流に大きく影響した。鉄道は人を運ぶだけではなくて、物を運ぶことも重要だからだ。

どれも、国家インフラが麻痺するレベルのストライキだった。

じゃあ、今回のサムスン電子のストはどうだ。まず、国家インフラは崩壊しない。サムスン電子の売上や、今後の利益は確実に落ちるだろうが、それで韓国が破滅するほどのダメージを食らうとは韓国経済の専門家としてノーだ。SKハイニックスが埋めてくれるんじゃないか。

それで、発動されるとストライキが違法になるので、すぐさま労働側が業務復帰をしないといけなくなる。まあ、当たり前だよな。

では、専門家として今回のサムスン電子のストライキは発動される可能性について検討しておくと、50%ってところだ。ただし、これはストが長期化した場合である。

確かに発動条件は満たしているとおもう。サムスン電子は韓国最大の輸出企業であり、半導体でしか韓国は稼げない。ストが長期化すれば韓国経済に甚大な影響も出る。労組は五万人規模だと述べている。

しかし、あくまでも国家インフラを破壊するとまではいえない。なぜなら、困るのはサムスン電子のスト関連者であって、他は無関係だからだ。物流ストみたいに物資が届かずに生命の危機に陥ることもない。しかも、李在明は労働者の票を得て選挙で勝ったので、緊急調整権は“労組弾圧”と批判されやすいことはできないだろう。発動すれば確実に労働側からの票を失うからだ。

選挙前に李在明がそんなことするとは思えない。

次に黄色い封筒法の影響を見ておこうか。

黄色い封筒法の影響

まずは黄色い封筒法とはなにかをおさらいしておこう。簡単に言えば、「労組が違法ストをしても、企業が巨額の損害賠償を請求できないようにする法律」である。

正式名称は労働組合法改正案。内容は企業が労組に損害賠償を請求できる範囲を大幅に制限。ストによる損害を「不法行為」と認定しにくくする。下請け・非正規労働者の争議も保護対象となる、つまり、労組が“法的リスクなしでストを打てる”ようになった。

さらに補足すると、企業側がストを止めるために、損害賠償請求、仮差押え、不法争議の認定などの法的手段があるのだが、黄色い封筒法でほぼ使えなくなった。

こちらも可決したときにこれでスト頻発すると警告したのだが、李在明は多くの反対意見をスルーして可決したものな。

つまり、サムスン電子のストで強硬姿勢に出た理由の間接的な原因となっている。

特にサムスン電子のような巨大企業では、 ストによる損害額は数千億ウォン規模になるため、 従来なら労組は絶対に踏み切れなかった。黄色い封筒法はその“心理的ハードル”を完全に取り払ったわけだ。

だからこそ、こちらは黄色い封筒法によって韓国のストライキが何が変わるかを見てきた。そして、サムスン電子のストはまさに試金石となった。

今回の記事で追加に取り上げた二つの内容は真逆なのも面白い。ストを止めるために持っている韓国政府の最終手段「緊急調整権」はそれ。しかし、逆に黄色い封筒法はストに歯止めを効かなくした。

実際、政府からサムスン電子のストの懸念はでている。でも、それを作り上げた根本の原因は韓国政府にあるのだから、実に皮肉な結果といえよう。もちろん、専門家としては想定内のことだ。自分らで火を付けたものがどのような最悪な結果を生み出すのか。目の当たりにするべきだ。

韓国人の反応

最後に韓国人の反応をまとめておこう。

  1. 「サムスンは儲かってるのに成果給が低すぎる」派(労組支持)
    特に20〜30代のサムスン社員・IT労働者に多い。

主な意見:

「今年の業績でPSがこれ?そりゃストになる」

「成果給の計算式がブラックボックスすぎる」

「サムスンは無労組経営のツケが回ってきただけ」

「透明化は当然。会社が隠してるのが問題」

背景:
サムスンの成果給(PS)は部署ごとに差が大きく、
「経営陣の裁量で決まる不透明制度」として社員の不満が強い。

2. 「今ストしたら韓国経済が死ぬ」派(スト反対)
40〜60代の一般国民・保守層に多い。

主な意見:

「半導体が回復してるのにストとか正気か」

「サムスンが止まれば韓国が止まる」

「労組は国益を考えろ」

「成果給より国の未来が先だろ」

背景:
サムスン電子は韓国GDPの約20%を占めるため、
スト=国家経済への打撃と考える層が多い。

3. 「黄色い封筒法のせいで労組が暴走している」派(法改正批判)
これは今回特に増えている意見。
絆さんが指摘した通り、黄色い封筒法が“労組を強気にさせた”という認識が広がっている。

主な意見:

「黄色い封筒法のせいで労組がやりたい放題」

「損害賠償できないからストが乱発される」

「企業は守られず、労組だけが強くなる社会」

「サムスンのストは黄色い封筒法の副作用だ」

背景:
韓国では黄色い封筒法が「企業を弱体化させる法律」として議論が激しい。

4. 「成果給よりも、労組同士の内紛が問題」派(冷笑系)
サムスン内部の労組は複数あり、
今回のストは 労組間の主導権争い という見方もある。

主な意見:

「労組同士のケンカで会社を巻き込むな」

「成果給より組織争いが目的だろ」

「誰が一番大きな労組か競ってるだけ」

背景:
サムスン電子には複数の労組があり、
今回のストは“最大労組の存在感アピール”という分析もある。

韓国ネットで特に多い“3つのキーワード”
① 「黄色い封筒法」
→ 労組が強硬化した原因として頻出。

② 「国家経済」
→ サムスンのストは国全体に影響するという危機感。

③ 「成果給のブラックボックス」
→ 社員側の最大の不満点。

韓国人の反応を総合すると…
労組支持:30%
スト反対:40%
黄色い封筒法批判:20%
労組内紛批判:10%
という構図。

つまり、

韓国社会は“成果給の透明化は必要だが、ストはやりすぎ”という空気が強い。
そして黄色い封筒法が労組を強気にしたという認識が広がっている。

韓国人の反応は普通だと思う。こちらは財閥搾取の構造を知ってるので、ストには賛成である。サムスン電子のやり方には専門家の視点でも辟易するからな。