カルビー白黒ポテチは“戦略的ニュースジャック”だった?湖池屋の回答で見えた業界の本音と波及リスク

今回の記事は前回のカルビーのポテトチップスの白黒パッケージに突っ込んだ続編みたいな感じになるとおもうのだが、YOUTUBEで配信した記事の視聴者さんのコメントを見ると中々、核心を付いてるものが多い。

チャンネルの視聴者さんは実に優秀だと思われる。それでとりあえず30件以上、コメントが来ているのだが、こちらのコメントをピックアップして、それについて突っ込みながら補足して、実際、カルビーやオールドメディアの狙いがどこにあるかを分析していこう。

それで、こちらは知らなかったんだが、まず、カルビーの業務用のパッケージは元々白黒という突っ込み。これについてはネットで検索したら実際に業務用ポテトチップスが販売されているサイトにたどり着いた。確かに元々、白黒パッケージである。

ただ、白黒パッケージという色に注目されやすいが、そもそもデザインすらないじゃないか。透明で中身が見えてるように思えるんだが。

それで業務用デザインをまとめておいた。

白地の無地パッケージ(背景は真っ白)

黒文字で商品名・説明を印刷

写真・イラスト・カラー印刷なし

業務用らしいシンプルな情報配置

JANコードや商品説明が淡々と記載されているだけ。

では現在、売られているポテトチップスのデザインの特徴はどうか。画像の上部は普通のポテトチップス。画面の下部は白黒パッケージのデザインである。

全面フルカラー印刷

大きな商品写真(ポテチの写真)

味を示す色(青=うすしお、赤=コンソメなど)

ブランドロゴ(Calbee)が大きく表示

店頭で目立つように設計。

このような特徴となっているのだが、業務用とは明らかにデザインが違うのはわかった。じゃあ、もう一つ疑問が出てこないだろうか。ナフサ不足ならそもそも、ポテトチップスのデザインを業務用にすればいいんじゃないか?わざわざ、ポテトチップスの写真?を表示しておく理由はあるのか。

我々にとって重要な情報は企業名、商品名、内容量、味の名前の4つだよな。つまり、業務用ポテトチップスのデザインはシンプルだが、それが印刷されている。じゃあ、それでいいじゃないか。ナフサ不足でインクをケチるなら、とことんケチるべきだろう。

まず、これが視聴者さんからのコメントから業務用ポテトチップスと普通のポテトチップスのデザインを比べて思った最初の疑問だ。

カルビーの狙いは「ブランド維持」

これについてだが、カルビー側の言い分を考えていこう。

カルビーのポテトチップスのフルカラーが一般大衆に認知されているのはわかるだろう。つまり、このパッケージデザインはカルビーというブランドそのものである。内容量減らして、中身がほとんど空気でもパッケージデザインを絶対に変えないのはそういうことだ。

つまり、白黒パッケージはカルビー側からすれば、インク節約とブランドデザインを維持する最低ラインと考えることができる。

問題はこれで売れるかどうかなのだが、ここで次の視聴者さんのコメントである。それは、カルビーの狙いは白黒パッケージにすることで、日本全体の衝撃度を考えた上での極めて有効な戦略であるということ。

つまり、何の宣伝もしなくても一夜にして数百のメディアがこの話題を取り上げて報道してくれた。その宣伝効果は広告費に直せば凄まじい広告効果を得られていると推測できる。なんせネットで検索すればいくらでも記事が出てくる。

そして、こういうのを推測するのは専門家じゃないと無理なのだが、今の時代はネットが答えてくれる。それで短くまとめてもらったら面白いことがわかった。

カルビーの白黒パッケージは、 インク不足への対応であると同時に、 “巨大な無料広告効果”を生む戦略的判断だった。

  • 白黒化は日本中に衝撃を与え、 数百のメディアが自発的に報道
  • 広告費換算すると 20〜50億円規模
  • SNS拡散を含めた総合効果は 60〜150億円級
  • 企業は一切広告費を払っていない
  • 生産縮小は棚落ち・シェア喪失のため絶対に避けたい
  • だから “白黒化で話題化しつつ、生産は維持” が最適解だった

つまり、 白黒パッケージはコスト削減策であり、同時に史上最大級のPR成功例でもある。

まさにカルビーの打った戦術は神の一手といわんばかりに広告効果を生み出した。その効果は150億円だ。しかも、カルビーは単に発表しただけで1円も払ってない。

結果論かもしれないが、カルビーからすれば抜群の宣伝効果でかつ、消費者からは同情されて売上効果アップまで期待できる。そしてカルビーはニュースジャック効果を最大減に狙った可能性がある。

ニュースジャック効果とは

社会的に注目が集まっているニュースやトレンドを取り入れることで、短期間で大きな露出を得るマーケティング手法です。具体的には、スポーツイベントや人気ドラマの放送に合わせて関連キャンペーンを展開することが挙げられます。この手法は、特に若年層をターゲットとするブランドにとって、親しみやすいイメージ作りに寄与します。ただし、炎上リスクや倫理的な問題に注意が必要であり、適切なタイミングでの反応が成功の鍵となります。

良くある芸能人の炎上ネタもこれを狙ったものだと考えれば、別の視点が見えてくるんじゃないか。

そして、パッケージを変更するのはすぐにできるものじゃない。事前に打ち合わせがいるので数ヶ月前にはカルビーは検討していたことになるんだが、でも、イラン戦争は70日前なので、ナフサ不足を警戒していたんだろうか。

さすがに70日前にナフサ不足が騒がれる可能性を考慮していたとは考えにくい。だとすれば単なるインク対策だった可能性は高いのだが、出すタイミングをかなり調整した感じはある。

結局、今回の話題性を最大限利用するタイミングは、国民にナフサが足りないというの共通認識をどこまですり込ませてるかが鍵となる。

だから、このタイミングだったのだろう。日本でも品薄感がシンナーが高騰したりして、石油製品関連で騒がされている時期にそれを出す。まさに効果的なタイミングといえる。

しかし、ニュースジャック効果の最大限の強みを狙ったタイミングと考えるなら、本当にカルビーが困って白黒パッケージにしたかどうかは疑問が出てくる。

以上が視聴者さんの気になったコメントであるのだが、上の二つの解説はわりと核心付いていると思うんだよな。

そして、次はライバル会社である湖池屋はどうするのか。見ておこうか。

記事を引用しよう。

イラン情勢を受けてナフサ不足問題が浮き彫りとなりつつある。そうしたなか5月12日、スナック菓子大手・カルビーが、5月下旬からポテトチップスやかっぱえびせんなど主力14商品の包装を順次、白と黒にすることを発表した。

さまざまな食料品において、差別化のためには重要ともいえるパッケージだが、業界内で、同様の連鎖が発生する可能性はあるのか──。ポテトチップスにおいては、カルビーの競合ともなる湖池屋の広報部に聞いてみた。

 まず、同社において、ナフサを含めたパッケージの材料調達の目途は立っているのか。そして、どのような対策を講じているのか。

「ホルムズ海峡封鎖の問題がいつまで続くか、という部分はございますが、直近ですぐに調達が困難になるということはないかと存じます。なお、調達に関する対応策は色々と常に検討しておりますが、現時点で具体的に決定しているものはございません」(湖池屋・広報部担当者)

 商品の顔であるパッケージにおいて、色による視認性の影響は大きい。たとえばポテトチップスの場合、カルビーのうすしおは「オレンジ+青」、のりしおは「黄色+緑」、コンソメパンチは「ベージュ+茶色」と、一目でどのフレーバーかが分かるデザインだ。こうしたパッケージの色がモノクロに変わることで、消費者の選択に影響が出るのではないか、との懸念もある。湖池屋の場合はどう考えるか。

「スナックを含む菓子は、売場でじっくり選んで買うというよりも、2~3秒という売場滞在時間の中で、瞬間的にお客様に手に取っていただかなければならないカテゴリーです。そのような中で、パッケージのデザインや色というのは、ブランドや味をお客様に識別していただくための重要な要素だと考えていますし、カテゴリーの持つ楽しさやワクワク感にも繋がる要素だと捉えています。たとえば、当社の場合は『黄色→のり塩』、『赤・黒→カラムーチョ』のように、全体の色をパッと見るだけで、商品を認識する手助けになっているかと存じます。

 ただ、今は平時とは異なる部分もございますので、お客様のパッケージの色に対する認識・心理の変化についても、今後考えていかなければならないと思います」

いっそ「透明」なパッケージではダメなのか


 パッケージは、消費行動において一瞬の「ひらめき」にも似た重要なものだということがよく分かる。ところで、湖池屋の初代ポテトチップス(のり塩)は透明のパッケージだったが、モノクロではなく「透明」のパッケージでは、何か不具合があるのだろうか?

「パッケージフィルムは光・酸素・湿度等による劣化を避けるため、現代ではアルミ蒸着フィルムの使用が一般的となっております。それにより半年~1年のような長期間の品質維持が出来ておりますので、透明パッケージにするとその担保が難しい部分がございます」

 パッケージの作りや色は見た目だけでなく、品質管理上でも非常に重要な役割を担っているのだ。中東情勢が、思わぬところへの波紋を広げている。

ニュースは以上。

この記事では我々が知りたいことがほとんど書かれてない。一つ判明しているのは湖池屋は別にパッケージデザインを白黒に変える予定はないてことだ。しかも、直近ですぐに調達が困難になるということはない。両社の違いをまとめるとこうなる。

カルビー:白黒化で話題化+危機管理

湖池屋:調達問題なし、色の重要性を強調

両社の戦略は明確に異なるわけだ。では、ネットの反応を短くまとめておく。

(ネットの反応)


カルビーの白黒化は正しい判断
→ 危機管理として評価する声が多い。

色がないと味が分からない
→ 消費者心理として「色は識別に必須」という意見が多数。

透明パッケージは無理なの?
→ 光劣化・強度の問題で難しいという説明に納得する声。

湖池屋は追随しないのか?
→ 「湖池屋は慎重」「業界全体は様子見」という反応。

白黒化は便乗PRでは?
→ SNSでは「話題作りとして上手すぎる」という疑念が強い。

このようにネットでは色がないと味がわからないという意見が多い。ただ、ポテトチップスの味なんて、日本人なら一度は食べたことあると思うので、そこまで重要視するものかどうかは微妙だ。実際には“味の記憶”が強い日本市場では、 色より“話題性”の方が購買行動に影響している可能性が高い。

カルビーは“危機対応+話題化”を選び、 湖池屋は“ブランド維持+慎重姿勢”を選んだ。 この違いが今回の白黒パッケージ騒動の本質である。

ただ、こちらが最大減に強調したいのは、カルビーの白黒化は、危機対応とPR効果を同時に達成した“戦略的成功例”と言える。マーケティングの教科書に掲載されるレベルの神の一手だと思われる。