韓国の1~3月期の成長率が凄い。なんと主要国22カ国でトップとなったことがわかった。前期比 1.7%増。 これはインドネシアの1.4%、中国の1.3%を上回る数字だ。
まさに韓国が好調であることを示すデータだと、韓国メディアは絶賛している。確かに韓国の潜在成長率が2%以下であると考慮すれば、この成長率は奇蹟に近い数字だと言っても過言ではない。
しかし、この好調の裏側にあるのが半導体一本足打法であり、韓国は文字通り半導体しかない。半導体が転けたら韓国崩壊する危うさ。次の4~5月期の反動減リスク、また終わらが見えないイラン戦争の影響が本格化といった韓国経済の専門家として見逃せないデータが色々含まれていたりする。
今回はこのニュースを紹介しながら、韓国経済の専門家として解説していく。
韓国が主要国トップになった理由
聯合ニュースの記事によれば、半導体を中心とした輸出の急回復。IT品目の輸出が5.1%増。純輸出が成長率を1.1ポイント押し上げたと書いてある。
だから、誰が読んでも半導体特需に輸出ブーストである。これは最近の韓国経済を見る上で昨年辺りから続く輸出好調の理由である。
さらにコスピが8000到達したことでもわかるが、その立役者はサムスン電子とSKハイニックスの業績にある。サムスン電子は57兆2000億ウォン。SKハイニックスは37兆6000億ウォンの営業利益である。
この二社だけで韓国のGDPを押し上げた。記事には書かれてないんだが、実はかなり正確に計算できる。ポイントは「純輸出」の1.1ポイントである。
サムスン電子とSKハイニックスの二社だけで1.3ポイント
記事には純輸出の1.1ポイント押し上げたとあり、純輸出の中身はほぼ半導体である。そして、IT品目輸出が5.1%増なので、GDP成長率は1.7%のうち、1.1%が半導体輸出で稼いだことになる。
サムスン電子とSKハイニックスが韓国の半導体の約9割を占めてるので、1.1×90%=0.99となるので、つまり、約1%は二社で押し上げたと推測できる。
他にも韓国銀行の統計で半導体設備投資が急増とあり、それらもサムスン電子とSKハイニックスがほとんどなので、それが0.3ポイント程度はGDPに貢献した。
その結果はだいたい1.3ポイントを押し上げた。
なぜここまで伸びたのか。
次にサムスン電子とSKハイニックスだけ、なぜ伸びたのか。これも簡単だ。世界はAI・データセンター向けの半導体需要が超バブル状態である。
特にAIで使うHBM需要が世界的に急増した。そして、SKハイニックスはHBMで世界シェアダントツトップである。
そのシェアは驚きのSKハイニックスが75%~85%と圧倒。次にサムスン電子が15%から20%。最後にマイクロンが5%未満てところだ。
このようにSKハイニックスのHBMにおけるシェアは不動のもの。サムスン電子が周回遅れとなっている。差がついた理由は色々とわけがあるんだが、一番の理由はSKハイニックスはHBM技術を捨てずに研究・開発してきた。対するサムスン電子はHBM技術を一度は捨てたことによる技術進歩の格差である。
そもそもHBM技術はAIが登場するまではほとんど見向きもされなかった技術である。SKハイニックスはある意味、幸運だったと言える。世界がもっとも必要としたAIという次世代技術になくてはならないものだったからだ。
その証拠がNVIDIAのH100・H200・B200のHBMは、 ほぼSKハイニックス製である。エヌビディアがAI需要で世界一の企業となったことは記憶に新しいが、そのエヌビディアに製品を送り続けるのがSKハイニックスである。SKハイニックスは最強のお得意様「エヌビディア」とタッグを組んで、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで成長していった。
じゃあ、サムスン電子はどうなのか。サムスン電子もHBMの研究・開発を後からするようになったが、発熱問題に苦しめられている。しかも、歩留まりが低い。エヌビディアの認証がかなり遅れた。
ここで疑問に思うだろう。SKハイニックスが伸びた理由はわかったが、サムスン電子が伸びている理由が解説されてないわからない。これは簡単だ。SKハイニックスやサムスン電子がHBMが高腕で売れるからと集中して生産した結果、世界では深刻なメモリー不足に陥った。なぜなら、世界のメモリーシェアの4割はサムスン電子だったから。
すると、HBMだけではなくてメモリー価格も天井知らずに上昇していき、メモリーを生産しているキオクシアやサンディスクなどをはじめとする企業も莫大な利益を上げることになった。
一方で、任天堂がニンテンドースイッチ2の値上げなど発表したが、実は、これもメモリー価格の高騰が原因である。ニンテンドースイッチ2にサムスン電子の半導体が使われているためだ。
このようにAI特需でHBM需要が急増したら、メモリー不足が深刻化して、安いメモリー価格まで高騰して様々なIT製品の値上げとともに莫大な利益をサムスン電子は得た。これが株価を押し上げてる。大事なのはHBMが売れてるからサムスン電子が好調なわけではない。あくまでも売れてるのはメモリー半導体である。
だが、この半導体一本構造はいつまでも喜んではいられない。ここからさらに専門家の視点で解説していこう。
しかし“危険な兆候”がすでに見えている
それで、聯合ニュースの記事の後半を見ればこんな不吉な一文がある。
ただ、韓国が4~6月期も上位を維持できるかは不透明だ。前期比で数値を算出するため、前期の成長率が高かった場合は反動で次の四半期に大きく下落する。
韓国政府は先月23日、「4~6月期は1~3月期の大幅成長による反動に加えて中東紛争の影響が本格化し、前期比での調整が避けられないとみられる」と説明した。
これを見る限りでは韓国政府も奇蹟的な成長を維持できる可能性は低いとみている。さらに、1〜3月期が高すぎたため、次の四半期は落ち込みやすいのはデータ通り。
そして、ここで思い出してほしいのは韓国の成長率が1.7%であったこと。しかし、こちらはサムスン電子とSKハイニックスの貢献度を1.3%と計算した。これを引けば半導体以外の韓国経済の成長率が見えてくる。つまり、たった0.4%なのだ。
これは半導体の好調がなければ、韓国ニュースはお通夜モードだったということ。
そして、イラン戦争が70日経過したことでの中東リスクが本格化して数値になって表れてくるのが、次の四半期。だから、韓国政府も次の成長は期待できないと述べている。
特に中東リスクについてはウォン安や原油価格高騰、輸入物価上昇、消費者物価上昇、消費低迷、原油備蓄枯渇目前など、実に多様なリスクが存在する。
韓国経済の“構造的弱点”を整理
韓国経済の弱点は産業のモノカルチャーである。モノカルチャーというのは途上国での単一作物でよく出てくる言葉なんだが、韓国の場合は半導体だけ。半導体以外は全滅。つまり、半導体止まれば成長も止まる。
次に中東リスクは物価高騰や金利上昇、家賃上昇に繋がるので、2300兆ウォンを超えている世界最悪レベルの家計債務が危機的状況が加速化する。金利上昇すれば耐えられない家庭が多い。さらに原油高騰や内需低迷も考えれば、飲食業は直撃を受ける。自転車操業で借金だらけの飲食業はますます窮地に陥る。
韓国は中東依存が7割なので、このような地政学的リスクに極端に弱い。つまり、半導体がたまたま好調だから数字が奇蹟的によかっただけである。
サムスン電子のストライキ
そんな砂上の楼閣なのに、まさに今、その経済を1人で支えているサムスン電子で過去最大規模のストライキが始まる。単発のエンジンすら自分たちでぶっ壊そうとしている。産業相も『最大100兆ウォンの被害が出る』と青ざめて警告。さて、4〜6月期の成長率はどうなってしまうのか。既にウォンは1500突破して外国人は6日連続で29兆ウォン売り。危険な兆候を投資家も感じ取ってますけどね。
韓国ネットの反応
韓国ネットの反応は、以下の3つに集約される。
① 「半導体だけの成長は危険」
(サムスン・SK依存への強い不安)
② 「4〜6月期は確実に落ちる」
(反動減・中東リスクを理由に悲観)
③ 「国民生活は良くなっていない」
(GDPと生活実感の乖離)
つまり、
“数字は良いが、実態は良くない”
というのが韓国ネットの圧倒的な空気です。
韓国ネットも数値だけを見て喜んでるわけではないと。
特に気になったのここだ。
韓国政府は成長率を強調する傾向があるため、ネットは冷笑的。
典型コメント:「選挙前になるとGDPが急に良くなる不思議」
「政府の広報記事だろ」「数字だけ良くても生活は地獄」
→ 政府発表への不信感が強い。
この反応は正解である。特に重要なのは選挙前になるとGDPが急に良くなる不思議というのは、わりと核心を突いている。
結論
今回の韓国のGDP成長率は、確かに“主要国トップ”という華々しい結果である。しかしその実態は、半導体特需による一時的なブーストなのは明らか。サムスンとSKの2社依存が酷すぎる。4〜6月期は反動減が確実。中東リスクが本格化はこれから。内需の弱さは全く改善していない。それどころか中東リスクでますます落ちる。それはすでに消費者心理からも読み取れる。
このように、非常に不安定な構造の上に成り立っていることがわかる。
短期は絶好調で、日本に勝った。世界一と称賛しようが、中期は不透明というより絶望的な数値が出る。これが今回のニュースを専門家の視点して見てきた解説となる。