韓国コスピの時価総額の50%はサムスン電子とSKハイニックスという異常な相場が続いており、サムスン電子の株価はあの米国のメタを越えたと大きく報道されている。
しかし、そのサムスン電子の内部では「ボーナスほぼゼロ」という残酷な選別が行われている。半導体が好調で成果給6400万円をもらっている社員がいる中で、スマホ部門などはボーナスもほとんどもらえない社員がいる。どちらも同じ会社で長年、働いている社員である。違うのは部門だけだ。
その残酷な格差を韓国経済の専門家の視点で解説しよう。
サムスン電子のボーナス制度は2本立て
まず、最初にサムスン電子のボーナス制度についてだ。
既存は超過利益成果給である。これは全社共通の従来制度。利益に応じて支給。DSが赤字でも支給されたこともある。
そして、次が話題になっている新設である。特別経営成果給(DS限定)である。ここで重要なのはこれはDS限定である。大事なことなので二度強調しておく。
それが最大の6400万円の成果給である。財源は「事業成果の10.5%」。上限なし。10年会維持。全額“自社株”で支給(1/3即売却可、残りは1年後・2年後)となっている。
次に非半導体部門も見ておこう。
非半導体(DX)部門は特別経営成果給はもらえないので、従来のボーナス、600万ウォン(約60万円)だけとなる。しかも、600万ウォン相当の自社株のみ。DSの「6億ウォン」と比べると 100倍の格差がついている。
なぜ、ここまで差が付いたのか。
理由は簡単だ。サムスン電子の稼ぎの9割超が半導体だから。2024〜2025年の営業利益の大半がDS。しかも、DXはスマホ市場が成熟期であり、さらに中国勢の台頭で利益が伸びない。
メモリー価格の急騰でDSが爆益。HBM・DDR5の価格上昇。AI需要でメモリーが再び黄金期へ。さらにSKハイニックスが成果給10%出したことで、行動経済学でいうアンカリング効果が発生した。もう、成果給10%が標準となったのだ。サムスン電子はSKハイニックスに人材流出を防ぐためにはこれぐらいの成果給を与えないと駄目だったと。
だが、当然、こんな極めて稼げない部門は切り捨てるようやり方は大きな反発を招いた。それは成果給を承認する投票でも明らかだ。
記事によると、有権者6万5,593名のうち6万2,600名が投票し、投票率は95.5%に達した。表面上の数字は可決要件を満たしたものの、内訳を見ると明白な分断がある。主に半導体を担当するデバイス・ソリューション(DS)部門の構成員が多いSGUUでは80.6%が賛成した一方、主にスマートフォンや家電を扱うデバイス・エクスペリエンス(DX)部門の労働者を中心とするNSEUでは、賛成はわずか21.1%にとどまり、約80%が反対票を投じた。
つまり、DX部門は8割反対という圧倒的な票である。DX側の不満をいくつかあげておくと、「同じサムスンなのに100倍格差はおかしい」「DSだけ10年保証は不公平」労組は“全社一律の成果給”を要求中である。
そして、DS側は「DSの利益でDXを養っている」「DXの低利益を補填する必要はない」とか述べている。
しかし、これはどう見てもおかしいんだよ。なぜなら、半導体が好調なのは彼らの力じゃない。たまたまAIバブルで半導体需要が劇的に増えただけ。まさに時代の生んだ、棚からぼた餅である。
その棚からぼた餅だけで全てを決めてしまっている会社側は、今後、10年で半導体稼げなくなったときにどうするのか。実際、サムスン電子の半導体好調は数年だといわれている。
ここで、「稼げない部門は捨てられる」という。完全な成果主義がなにをもたらすのか。サムスン電子は韓国を代表する企業である。サムスン電子の社員ですら圧倒的な格差。そのサムスン電子のやり方は当然、他の韓国企業や韓国全体にも飛び火する。
これが単なる「一企業の揉め事」で済まないわけだ。
中間層は所得の低い層(半地下)はどうなるのか。
韓国で上位20%の社員が勝ち組で、後の8割は負け組である。月収でいえば400万ウォン以上、稼いでるなら勝ち組。300万ウォンならその中間。それ以下は下位等級となる。そして、国民の8割は200万ウォン以下である。
問題はその格差がこのような成果給ボーナスでさらに拡大しているてこと。
韓国国家データ処が28日に発表した「2026年第1四半期家計動向調査」によると、所得不平等を指す「均等化可処分所得の5分位倍率」は6.59倍となり、直前四半期(5.59倍)から1.0ポイント上昇した。
もうSKハイニックスは支給されているので、成果給での格差が出始めている。さらにデータ処によると、韓国経済の要である中産階級の所得停滞も鮮明だった。物価上昇を勘案すれば実質所得はむしろ後退したと分析される。
さらに消費でも大きく二極化に分かれている。
韓国全世帯の月平均消費支出は310.5万ウォン(約33万円)で5.3%増加し、2023年第1四半期以来3年ぶりの高い増加率を記録した。しかし分位別に見ると、5分位と1分位の消費支出のみがそれぞれ6.9%、7.3%増加し、3分位と4分位の支出増加率は2.9〜3.8%にとどまった。これは今年4月に韓国の百貨店売上が21.7%急増した一方、大型スーパーの売上が6.6%減少したことと合致し、消費市場の極端な分化を示している。
つまり、所得が高い層に人気の百貨店は儲かり、庶民が食料を買う大型スーパーの売上げが落ちている。これは明らかに絶望的な数値である。これは韓国の物価上昇や家計債務の1993兆ウォンと重ねてみると、庶民は生活費を削ってるので困窮しているのだ。
さらに半地下などに住んでいる所得の低い層は下位20パーセント以下であるので苦しい状況に追われている。それは記事でもよくわかる。
特に下位20%である1分位世帯は月平均117万ウォン(約12万円)を稼ぎ、145.7万ウォン(約15万円)を支出しており、平均消費性向は155.3%に達した。その一方で、5分位世帯のみが唯一、黒字額が408万ウォン(約43万円)と2.6%増加し、富を蓄積する流れを維持した。
12万円稼いでも、支出は15万円。つまり、3万円足りないのだ。足りない分は借金である。韓国の庶民はまともに暮らすこともできないので生活費を借金で補っている。しかし、銀行は信用スコア低い者に貸さない。だから、利息が高い第2金融圏に流れている。
日本への教訓と予測(出光というとんでもない日本企業)
韓国に訪れた新格差社会を踏まえて日本企業が必要とする「教訓」は何だろうか。それで思い出したのが「出光興産」である。ええ?出光といえば、イランの制裁時に原油を運んでイランに感謝されている出光?ホルムズ海峡封鎖されたときも通過した出光丸?そう、その出光である。
実は出光興産が「社員を1人も切らなかった」という有名なエピソードがある。
簡単に解説しておこうか。
敗戦直後の“全資産喪失”という絶望的状況で、創業者・出光佐三が「解雇ゼロ」を宣言し、本当に1人も辞めさせずに会社を再建した出来事である。
1945年、出光興産は敗戦によって海外資産をすべて失い、800名の従業員が帰国して無職状態になった。しかし出光佐三は「解雇ゼロ」を宣言し、誰一人クビにしなかったのだ。
出光佐三氏の状況が当時の絶望を教えてくれる。
「事業は失われ、借金は残っている。しかし出光には800名の人材がいる。 これが唯一の資本である。 人間尊重の出光興産は、終戦の混乱に慌てて馘首してはならない。」
普通なら800名なんて養えるわけがない。大量解雇されたって社員は文句は言わなかっただろう。だが、彼は全員を食わせるために何でもやったんだよ。資料によると、旧海軍タンクの底に残った油の清掃、ラジオ修理、漁業、ありとあらゆる雑用とある。
つまり、石油会社なのに石油がない状態で、社員全員が生き延びるための仕事を総出で行ったのだ。社員も1人も切らない社長に感謝して死に物狂いでできることをやった。
だから、こんなエピソードがある。
「私たちが生活できるのは、お父さんを働かせてくれている出光のおかげ。出光の恩を忘れてはいけませんよ。」
出光は社員を1人も見捨てなかった。社長はこうも述べている。
「資本は人なり」「会社は大家族である」「いかなる場合も会社都合の人員整理は行わない」
その後、出光は奇跡の復活をなしとげる。1947年に石油配給公団の発足で販売店指定を受け、本業に復帰する。1949年に元売業者に昇格。さらに1953年の日章丸事件で世界の石油メジャーに一矢報いることになるのだ。
サムスン電子は利益を出せない社員を切った。一方、出光は1人も切らなかった。日本人は是非とも、出光佐三氏の言葉「資本は人なり」を覚えておいてほしい。
サムスン電子は今は半導体だけで世界トップ企業に並んでいるが、それも数年で終わる、その時、半導体稼げなくなったときに、果たして社員はサムスン電子についてくるのか。答えは明白だ。サムスン電子が頂点から転げ落ちていく未来がはっきりと見える。
韓国ネットの反応
- 「サムスン・SKだけが勝者」系(最も多い)
記事が示すように、
上位20%の所得は 1,237万ウォン(約130万円)に急増(sec12〜sec13)
原因はサムスン・SKハイニックスの成果給(sec3, sec15)
このため、韓国ネットでは次のような反応が多発します。
●「韓国はサムスン共和国だ」
●「半導体企業に入れなかったら一生貧困」
●「成果給が国の統計を歪めている」
特に、
「大企業の成果給が統計に反映されて格差が拡大した」(sec15)
という記事内容が、ネットの怒りを強く刺激します。
🟦 2. 「中小企業・内需企業は地獄」系(強い不満)
記事では:
300人未満の企業は所得上昇が鈍い(sec20)
中産階級(3〜4分位)は実質所得が後退(sec19)
これを受け、韓国ネットでは次のような声が多いです。
●「中小企業は物価に負けて実質賃金が下がっている」
●「輸出企業だけが好況、内需は完全に死んでいる」
●「K字型格差はもう取り返しがつかない」
特に「K字型二極化」という表現(sec28〜sec30)は、
韓国ネットで頻繁に引用されるキーワードです。
🟩 3. 「家計が破綻している」系(生活苦の叫び)
記事では:
下位20%の家計は 117万ウォンの収入で 145.7万ウォン支出(sec26)
消費性向は 155.3%(sec26)
この数字は韓国ネットで強烈に反応されます。
●「どうやって生活しろというのか」
●「借金しないと生きられない国」
●「物価が上がりすぎて給料が意味をなさない」
特に「消費性向155%」は、
“赤字で生きている国民”
として頻繁に引用されます。
🟨 4. 「政府批判」系(中規模)
記事では政府が緊急対策を予告(sec31)していますが、
韓国ネットでは次のような反応が典型です。
●「対策が遅すぎる」
●「補助金では根本解決にならない」
●「所得格差を放置した結果がこれ」
特に、
「大企業偏重の政策が格差を拡大させた」
という批判が多いです。
🟫 5. 「統計はサムスン社員のための数字」系(皮肉)
記事では:
全体の所得増加は 2.4%(sec9)
しかし実質所得は 0.4%(sec9)
実質勤労所得は マイナス1.7%(sec10)
この矛盾から、韓国ネットでは次のような皮肉が出ます。
●「統計はサムスン社員のために存在する」
●「国民の大半は貧しくなっているのに平均値だけ上がる」
●「サムスンの成果給が国の統計を押し上げる異常国家」
🟪 6. 「移民したい」系(若者に多い)
韓国の若者層は格差問題に敏感で、
この記事のような内容を見ると次の反応が出ます。
●「この国で中産階級になるのは不可能」
●「移民したほうが人生が楽」
●「努力しても報われない国」
特に、
中産階級(3〜4分位)の実質所得が後退(sec19)
という事実は、若者の絶望感を強めます。
まとめ
韓国で進む格差拡大の核心は、サムスン電子の“部門間100倍ボーナス格差”に象徴されるように、企業内部の分断がそのまま社会全体の分断へ広がっている点にある。
サムスンやSKの成果給が統計を押し上げる一方で、中産階級は実質所得が後退し、下位層は毎月赤字で生活している。韓国ネットの反応が怒りと諦めに満ちているのは、この“構造的な不公平”を国民が日常で感じているから。
対照的に、出光興産は戦後の絶望的状況でも「解雇ゼロ」を貫き、社員の信頼を基盤に復活した。短期利益を追う韓国企業との違いは、「人を守る企業」と「人を選別する企業」という構造の差である。
韓国が直面しているのは景気の問題ではなく、社会の持続性そのものが揺らぐ“格差の固定化”だろう。数字の表面ではなく、生活の実態を見ることが求められている。