最近、こちらは廃刊寸前の中央日報というキーワードをよく使ってるのだが、視聴者さんからすれば、なんで中央日報が廃刊寸前なのかはあまりわかってないと思われる。
実はこれは以前の動画で解説した韓国の大手テレビ局JTBC破産申請を特集した動画の続編だったりするわけだ。
この動画を取り上げたのは6月16日なのだが、その翌日に面白いことがわかったのでその辺りの経緯から見ていこう。では、韓国経済の専門家の視点で解説しよう。
中央日報の無保証社債格付けにおける「CCC」への下方修正
朝鮮日報によると、韓国の主要格付け機関である韓国信用評価は、中央日報が発行した無保証社債の信用格付けを従来の「B-」から「CCC(トリプルC)」へと2段階引き下げた。
この格付けは、債務不履行(デフォルト)の可能性が極めて高く、投機的要素が強い段階であることを意味する。さらに同機関は、同社を格下げの方向で再検討する「下向検討」の観察対象に指定しており、さらなる格付け低下のリスクを明示している。
格下げの直接的な背景には、同社が発行した企業手形の不渡り処分と、それに伴う主債権銀行へのワークアウト申請がある。
これに先立ち、主要系列会社であるテレビ局のJTBCが流動化借入金の債務不履行を宣言した。このデフォルトが引き金となり、持株会社である中央ホールディングスを含むグループ主要5社が相次いで企業回生手続き(法的管理)を裁判所に申請する事態に発展している。
グループ全体の資金調達環境が急速に悪化する中で、中央日報単体での流動性維持も困難になったと判断された形である。
であれば、メディア企業としての信頼性低下だけでなく、国内の金融システムに対する二次被害の拡大が懸念される。
韓国信用評価の分析によると、中央日報は本業である新聞発行事業において一定の営業黒字を維持していた。
しかし、グループ内の未上場系列会社への過剰な資金支援や、共同保証による財務負担の転移が同社の資金繰りを致命的に圧迫した。
金融監督院のデータに基づく試算では、グループ主要社に対する金融機関の総危険露出額は約1兆3000億ウォンに達しており、その大部分を占める銀行圏の貸倒引当金負担が増加している。
ざっとまとめるとこんな感じなのだが、JTBCの破産申請によって親会社である中央日報まで格下げを食らったということになる。

資本上の関係(兄弟会社):
中央日報とJTBCは、持株会社である中央ホールディングスを頂点とした傘下に並ぶ「兄弟会社」の関係にある。経営上は別個の独立法人ですが、グループの看板を背負う二大中核メディア。
危機の導火線(JTBC):
今回の連鎖破綻の引き金を引いたのは、放送セクターのJTBC。同社が206億ウォンの債務不履行(デフォルト)を宣言したことで、グループ全体の信用収縮が一気に始まった。
リスクの転移(中央日報の巻き込み):
中央日報単体は13年連続で営業黒字を維持していましたが、グループ内の系列会社に対する「過剰な資金支援」や「連帯保証(共同保証)」を引き受けていた。
結果として、JTBC側の財務焦げ付きが中央日報の資金繰りを直撃し、220億ウォンの企業手形を償還できず最終不渡り(CCC格下げ)へと追い込まれる形となった。
ここでポイントなのは放送セクターのJTBC。同社が206億ウォンの債務不履行(デフォルト)を宣言した。ここがテストに出ます。なぜなら、この200億円がワールドカップ放映料だからである。ええ?どういうこと?
簡単に述べればJTBCが破産した原因の一つはワールドカップの巨額放映料200億円を払ったからである。
ワールドカップの巨額放映料200億円
中央グループの連鎖破綻およびJTBCの財務危機の根本には、過大なスポーツ放映権料の支払いによる流動性の枯渇がある。
JTBCは複数年にわたるオリンピックやワールドカップの単独放映権を確保するため、総額約1億2500万ドル(約200億円)規模の巨額の契約を締結していた。この投資は同社の手元の資金力を大幅に超えるものであり、米金利高やドル高の長期化も重なってグループの現金を急速に消耗させた。
巨額の投資に見合う実利の回収が不可欠であったが、その目算は外れた。
資金難に直面した同社は、公共放送のKBSへ一部の放映権を再販売して共同中継する形で費用負担の軽減を図った。しかし、いざ大会が開幕すると視聴者が知名度の高いKBSの放送に集中し、JTBC側の視聴率は低迷した。
結果として、莫大な放映権料を広告収入などで相殺する計画は破綻し、投資の未回収が確定した。
この投資回収の失敗が、206億ウォン(約22億円)規模の流動化借入金の債務不履行(デフォルト)という直接的な引き金を引いた。JTBC単体の債務不履行は、グループ内のクロス・デフォルト(連鎖不履行)を引き起こした。
中央グループは系列会社間で複雑な資金支援や連帯保証を結んでおり、放送セクターの焦げ付きが親会社の中央ホールディングスや、本業が黒字であった中央日報へ一気に波及した。
これが、中央日報の企業手形不渡りと信用格付けの「CCC」への急降下をもたらした構造である。
したがって、今回の危機は突発的な不運によるものではない。単独放映によるメディアの王座という名分を最優先し、マクロ経済のリスクや自社の流動性という実利を軽視した結果の、典型的な過剰投資の破綻モデルと言える。
経緯を解説するとこんな感じだが、その放映料200億円出しても、視聴者はKBSに奪われて採算が取れないで自爆という。なんともエンタメ性が高い結末である。だが、まだ終わってないと思った人は鋭い。ここで重要な話がある。
なぜなら、まだ中央日報の「不渡り」の解説が出きてないからだ。
中央日報の最終不渡り処分
さて、どうして中央日報は不渡りとなったのか。ここからが本番である。
そもそも中央日報は黒字なのにいきなり不渡りになるってどういうことだよ!ここで重要なのが中央日報の格下げである。
実は中央日報の負債は数年後に返済すればいいという長期債券だったのだが、ある条件が発生すると債券者はすぐに債権回収できるルールがあった。そのルールが格下げという中央日報のブランド価値を著しく損なう行為があれば、債券者は期限まで待たずに債権回収できるという。
これを期限の利益喪失条項(クロス・デフォルト条項を含む)という。
だから、債券者は中央日報に今すぐ220億ウォン規模の企業手形を早期償還を要請した。しかし、いきなり22億円出せと言われても、中央日報は手元に現金がなかった。その結果、最終的に不渡りとなったわけだ。
ここで詳しくやると、一度、不渡りになってもすぐに中央日報が倒産するわけではない。手形交換の規則がある、最初の不渡りが発生した日から数えて30日以内に22億円を返済できれば大丈夫だ。これは法的に認められていることである。
しかし、30日を超えると二度目の不渡りとなり、銀行が事実上使えなくなり、経営破綻に追い込まれる。
視聴者さんがいつ中央日報が倒産するのかと質問していたが、答えは1ヶ月後である。もちろん、中央日報は22億円をどこかで借りようとするだろう。
中央日報も、主債権銀行であるハナ銀行にワークアウト(企業構造改善作業)を正式に申請した。同社側は今回の資金緊縮について、本業の収益性は13年連続黒字であり、今回の資金緊縮は系列会社の財務リスクが転移した一時的な現象に過ぎないと。
つまり、俺たちは経営は13年連続で黒字だから、いきなり22億円を用意できなかっただけ。ちょっとハナ銀行が貸してくれたらいいんだよ。
中央日報は「メーンバンクであるハナ銀行に正式にワークアウトを申請した。今後も債権団との協議を続け、実効性がある債務調整と経営正常化策を誠実に取りまとめていく」とする声明を出した。
中央日報は漢陽証券が総額220億ウォン(約23億2000万円)のコマーシャルペーパー(CP)の早期償還を求めたことについて、「(個別の早期償還は)公平性に反する」とあらためて指摘した。
その上で「ワークアウト手続きが本格化する中で、全ての債権者を対象に公正で一貫した債務調整が行われるべきだ。特定の債権者による満期前の早期償還要求だけを受け入れることは難しい」とした。
ええ?中央日報さん。あたま、おかしいんですか?
だって、この声明を読む限りでは俺たちは被害者なんだ。俺たちの経営は上手く言ってる。ちょっと現金が手元にないだけ。正直に述べて1回、倒産してこいである。
なぜ、そこまで中央日報がアホなのかを解説しよう。
中央日報の主張は論理的破綻している!
中央日報が主債権銀行であるハナ銀行にワークアウト(企業構造改善作業)を正式に申請した際に出した声明は、債務者としての基本的な法理を無視した論理的破綻を内包している。
同社は「本業の収益性は13年連続黒字であり、今回の資金緊縮は系列会社の財務リスクが転移した一時的な現象に過ぎない」と表明した。
この主張は、「経営は健全であるため、一時的な手元流動性の不足をハナ銀行が融資によって穴埋めすれば解決する」という自己弁護に基づいている。
そもそも黒字なのに22億円すらもってないんですよ!
さらにいえば、同社の主張する「本業は健全」というロジックは、系列会社間で結んだ共同保証や資金支援という財務的な実利の毀損を説明できていない。

最初に中央日報とJTBCの関係図を出したがもう一度載せておこうか。これを見れば共同保証なんだ。つまり、中央日報がどれだけ黒字だろうが、JTBCや他が破産申請している時点でその理屈は通じないんだよ。
系列社の債務不履行に連動して発生した220億ウォン規模の企業手形の早期償還要求に対し、決済資金を即座に手当てできなければ市場のルールに従って不渡りとなる。
さらに同社は、特定の債権者による満期前の早期償還要求だけを受け入れることは「公平性に反する」と指摘し、「すべての債権者を対象に公正で一貫した債務調整が行われるべきだ」と主張した。一見、平等のように思えるがこれも違う。
そもそも漢陽証券が早期償還を請求できたのは、中央日報自身が契約書に署名した「信用格付け低下時の期限の利益喪失条項」という特約が発動したから。先ほどの格下げが原因で解説したとおりだ。
つまり、漢陽証券が早期償還するのは真っ当なルールに則っているんだよ。批判する場所なんて一ミリも存在しない。それをなぜ中央日報が批判できるのか。韓国を代表する新聞社として「論理的破綻」するてどうかしていませんか?
そもそも22億円じゃないんだよ。中央日報が気にする金額は全部、共同保証なんだから、その規模はいくらになりますか。ええ?1兆3000億ウォン!?おいおい、22億円払えない中央日報が1400億円も出せるんですかね。
金融機関の総エクスポージャー(危険露出額)は約1兆3000億ウォン
金融監督院の電子公示および市場の試算によって明らかになった、未上場系列会社を含む中央グループ主要8社に対する、金融機関の総エクスポージャー(危険露出額)は約1兆3000億ウォンという。
つまり、目先の22億円の、実に60倍以上という桁違いの爆弾がグループ全体に転がっているわけだ。また、銀行圏の抱えるリスク(約8300億ウォン)ある。この総額のうち、約8300億ウォン(約900億円)を国内の銀行圏が抱え込んでいる。
全体の負債をまとめると、JTBCの206億ウォンのデフォルトをきっかけに、持株会社の中央ホールディングス、コンテンツリー中央、メガボックス中央といった主要系列5社が雪崩を打って法的管理(企業回生手続き)に突入した。これらすべての会社が抱える未回収リスクの総和が、この1兆3000億ウォンということになる。
つまり、中央日報からすれば、ここで22億円を払ったら、他の1400億円も払えということになるわけだ。だから、中央日報は拒否したわけだが、ハナ銀行が1400億円貸してくれますか?結論を先に述べるが貸しません!だって回収するのに数十年かかるからだ。
1.算数が崩壊している(年間利益175億ウォン vs 負債1兆3000億ウォン)
これはもう簡単に計算機で計算すればわかる。中央日報の年間力衛が175億ウォンだ。でも、負債は1兆3000億ウォン。これを返すのに電卓叩けば、なんと74年である。こちらも生きてないわ。
もしハナ銀行が1400億円を無利子で貸してくれたとしても、中央日報が本業の黒字をすべて返済に回して、完済するまでに約74年もかかる計算になる!もちろん、ただで貸すわけないので、利息を含めたら、何百年経っても返せない。
こんなの貸す理由ないですよね!
2.実はハナ銀行が900億円の含み損を抱えている。
2つ目の理由は、ハナ銀行をはじめとする銀行圏は、すでにこの中央グループの不良債券を大量に抱え込んでいる。上で述べたとおりだ。グループ全体の危険露出額(1兆3000億ウォン)のうち、約8300億ウォン(約900億円)はすでに国内の銀行圏が融資してしまっている。
ハナ銀行からすれば、『すでに900億円も焦げ付きそうなのに、これ以上追い貸し(追加融資)をして傷口を1400億円に広げろと言うのか!』という状態となる。
これ以上の資金注入は、貸し倒れ引当金の激増を招き、ハナ銀行自身の自己資本比率(BIS規制)を悪化させて銀行そのものが傾くシステミックリスクに繋がりかねない。
3.そもそも「ワークアウト」は金を貸す場所ではない
そして最大の勘違いは、中央日報が申請した『ワークアウト』という制度の本質だ。中央日報は『ハナ銀行がちょっと助けてくれたらいい』と思っているようだが、ワークアウトはおかわり融資の窓口ではないんだよ。
なぜならワークアウト(公平な話し合い)というのは、ハナ銀行主導で債権者全員(漢陽証券なども含む)を集めて、「全員で一斉に痛みを分け合おう(債権放棄や返済猶予の交渉)」をする場だ。つまり、債権放棄してくれを頼む場所なんだよ。それなのに中央日報はその債券者に逆ギレしたわけだ。
でも、中央日報からすれば公平性を謳って、ワークアウトに持ち合わないと数秒で倒産する崖っぷちだった。
結論は簡単だ。
「中央日報は1ヶ月後に経営破綻する可能性はかなり高い」
だから、こちらは最初から廃刊寸前の中央日報だと述べていたわけだよ!