先週、ワールドカップの予選が始まって、忙しかったわけだが、今週も忙しくなりそうだ。こちらとしては3つの注目材料がある。
1つはこれから見ていく1500ウォンの標準化。2つめ目は先週の金曜日にサーキットブレーカー発動したコスピを受けて、AI半導体株から資金離脱の可能性。3つ目は中央日報の破綻が3週間後に迫ってるので。これの最新情報である。
これらの記事を中心となるのだが、市場の動きが慌ただしい場合はコスピについてもリアルタイムで追うことになるかもしれない。
まずは1500ウォンの標準化である。
それでは韓国経済の専門家の視点で解説しよう。
韓国ウォン安は“危機の平常化”へ
今回は中央日報とMK記事でウォン安の話題を取り上げてるので、この2つを中心に見ていく。
株価急騰の裏で進む外国人資金流出と国民負担の拡大
韓国市場では、株価は急騰しているのにウォン安が加速するという異常な構図が鮮明になっている。中央日報は「株価急騰の逆説」、毎日経済は「危機時の為替がニューノーマル化」と表現し、ウォン安が一時的ではなく構造的に定着しつつあると警告している。
四半期平均1500ウォン突破──危機時の為替が“日常化”
毎日経済の記事によれば、4月〜6月26日までのウォン・ドル平均は1500.1ウォン。
これは1998年通貨危機の第1四半期以来の高さ
2009年金融危機時よりも高いという異常値であり、韓国は「危機時の為替レートを平時に見る国」になりつつある。
中央日報の記事でも、ウォンは1540〜1550ウォン台に迫り、17年ぶりのウォン安水準が連日続いていると報じている。
すでに1500ウォンが韓国の新しい標準になりつつあると。問題はイラン戦争が終わっても、ウォン安は進行しているところにある。
株価急騰 → 外国人リバランス売り → ウォン安
両記事が共通して指摘する“逆説のメカニズム”は以下の通り。
● 株価が上がる
半導体株の暴騰でKOSPIは5%超の急騰。
● 外国人のポートフォリオ比率が上昇
韓国株の比率が目標を超える。
● 比率調整のために外国人が売る
中央日報:6月1〜25日の外国人純売り越し32.7兆ウォン
毎日経済:今年累計136兆ウォン、6月だけで37兆ウォン
● 売却後、ウォンをドルに換える
→ ドル買い・ウォン売り需要が急増
● 結果:株価上昇がウォン安を引き起こす
これが両記事が強調する「強気相場の逆説」である。
つまり、二つの記事は半導体株が買われると外国人がリバランスが起きて、その比率を調整するために韓国株が売られた後、ウォンをドルに換えるからウォン安が進むという説明だ。まあ、この理由は頻繁に登場している。
それを強気相場の逆説というなら、実はおかしなことがある。どういうことだって?だってそれなら米国が強気相場なのに、どうしてドル高なのかを説明できない。つまり、これは韓国に特有の事情があるからだ。それを一般化するのは韓国が世界の標準とでも思っているんだろうか。
簡単に述べれば、米国は資金流入国、韓国は資金流出国である。つまり、米国は株高になれば、ドル高になるが、韓国の場合は株高になればウォン安になるてこと。それはなぜなのか。
韓国だけが逆になる理由は、記事でも書いてあるが外国人依存度が高い。資金流出型市場。基軸通貨を持たない。半導体偏重で市場が脆弱。経常収支が構造的に弱いという“韓国特有の脆弱性”が原因である。
実際、韓国株で外国人が買ってるのはサムスン電子とSKハイニックスの二社だけである。
うん。待てよ。でも、それだと株安になればウォン高になるってこと?この発想に気づいた人は鋭い。でも、結論を先に述べると株安になれば、さらにウォン安が加速する。
株安でもウォン安は進行する
韓国株が下がるってことは外国人が韓国株を売っている。つまり、株高の場合におけるリバランス調整と同じ現象が起こるてこと。韓国株の外国人比率は 30〜35%である。
しかも、株安は外国人からすれば、韓国のリスクが高まったと思われるので、当然、資金が引き揚げられる。
そもそもリーマンショックで韓国は1500ウォンと超えたとき、コスピも1000以下まで落ちたじゃないか。つまり、韓国はあれから18年経過しても、その構造から抜け出せてないんだよ。むしろ、脆弱性がパワーアップしているといってもいい。
韓国の脆弱性はむしろ“悪化”している
2024〜2026年の状況で見ていくとこうなる。
● 外国人依存度はむしろ上昇
半導体偏重がさらに強まり、外国人保有比率は増加。
● 経常収支は構造的に悪化
原油依存
中東リスク
中国依存
輸送・物流の混乱
サービス収支の赤字
家計負債は世界最悪
利上げできない → 金利差拡大 → ウォン安。
● 半導体偏重はさらに深刻化
外国人が買うのはサムスン電子とSKハイニックスだけ。市場全体の脆弱性はむしろ増加。
韓国は基軸通貨を持たない。ウォンは安全資産ではなく、リスク資産。
では、二つの記事の続きを見ていこうか。
原油価格下落でもウォン安が止まらない理由
通常ならウォン高要因となる原油価格の下落(70ドル前後)も、今回はウォン安を止められなかった。
理由は二つ:
外国人売り越しの規模が大きすぎる
米国利上げ観測 → ドル高 → アジア通貨安
中央日報は、ドル指数が101.6まで上昇し、円が161円台まで下落したことで、アジア通貨全体が弱含んだと指摘する。
これは正しいとおもう。結局、ウォン安の原因の1つはドルが強いんだよ。ドルインデックスが100越えてる時点でそれはデータ的にも証明される。
これでわかることはウォン安を食い止めるには、ドル安にならないといけないわけだ。しかし、現時点では利上げ観測が高まったことで、むしろ、ドル高の動きである。
先週のPCE価格指数でウォンは1550突破すると予測したが、ギリギリの1549ウォンで耐えた。必死に大規模介入して、1550ウォンを超えさせないように壁を作っていたんだろう。一度でも越えてしまうと、ナイアガラになるからな。つまり、韓銀大勝利である。だが、別に一日抑えたところでウォン安の流れは変わらないんです。
米国のインフレが安定するわけもない。だから、韓国の1500ウォン標準化はこの先もずっと続くことがほぼ決まっている。
国民が負担する「ウォン安・物価高」
毎日経済の記事は、ウォン安の痛みが国民に広く降りかかる点を強調する。
輸入物価上昇。生活必需品の値上げ。中小企業・自営業者・給与生活者への負担集中
半導体株で利益を得る一部の投資家とは対照的に、国民は“ウォン安・物価高”という形でコストを支払っている。
この指摘も正しい。ウォン安になればなるほど国民の負担も増す。これは日本でもそうなんだが、円安で輸入に頼っている魚の価格がもの凄く高い。今、チリ産のシャケを近くのスーパーで購入しようとしたら、なんと1匹260円だった。
数年前は100円で買えていたものが、160円もあがっている。もちろん、他の輸入している魚はどれも値段が上がっている。
つまり、通貨安が家計の財布に直結するのは何処の国でも同じである。
外国人の追加売り越し余力は「100〜150兆ウォン」
毎日経済は、証券街の見通しとして以下を提示する。
外国人の追加売り越し余力:100〜150兆ウォン
今後3カ月:毎月30〜40兆ウォン規模の売り越し予測
さらに、SKハイニックスのADR上場はドル流入を期待されるが、
むしろ国内株売却 → ADR乗り換え → ドル流出増加の可能性もあると警告している。
このSKハイニックスのADR上場についてはそのうち特集する。実際、7月末になる感じなのだが、それは米国の許可した場合だ。上場もしていない企業の株動向や影響を考えるのは時期尚早なんだよ。
そういうことするから、米国のOpenAIがIPOを今年いっぱい見送るとか述べたら、ソフトバンク株価が下がるんだよ。
だから、せっかちな投資家はそれを踏まえて判断するので、実際は起きてもいないことに期待して、それがなしになれば失望売りが増える。つまり、SKハイニックスのADR上場はあくまでも噂程度にとどめておく。
問題は彼らはSKハイニックスが上場する理由については深く考えない。彼らはそれよりも、「上場するらしい」「外国人が買うらしい」「ドルが入るらしい」とか、そんな程度の認識である。だが、韓国経済の専門家からすれば、SKハイニックスが上場する理由は非常に大事である。
簡単に述べればSKハイニックスは危機的な状況なんだよ!
ええ?なんでだよ?と思うだろう。資金を集めたい理由は古今東西、カネが欲しいからに決まっているんだよ。
例えば、6月に上場してこちらも何度も取り上げているスペースXだが、上場後に数兆ドルだったか。あれだけの資金を増やしたのに、スペースXは債券を発行している。それが嫌われてスペースXの株価は売られている。
この辺を深く見ていくのもいいんだが、いずれ特集すると思われるのでその時にまとめていこう。
政府の認識は甘い──「成功の費用」発言への批判
毎日経済は政府の姿勢を厳しく批判する。
「為替レート負担を『成功の費用』と呼んだことは不適切だ」
政府がすべきことは、為替変動性を抑える市場安定措置。半導体偏重を超えた経常収支の体質改善であり、株価上昇を政権の功績として誇る前に、国民の負担を直視すべきだと指摘する。
中央日報も、「韓国銀行が利上げしてもウォン安は止まらない可能性」「1500ウォン台が長期化するリスク」を示し、政府の対応の限界を示唆している。
この二つの記事の主張は正しい。でも・・・。ええ?でも、それは正しくても韓国政府には何もできないんだよ。
まず、為替変動性を抑える市場安定措置だが、そもそも、上で述べたとおり、ドル高なんだよ。ドル高の局面で韓国が何しようが、ウォン安にしかならない。
半導体偏重を超えた経常収支の体質改善についても、述べていることは正しいが、韓国は半導体以外は全滅しているので、少なくとも数年では改善の余地はない。
中央日報は利上げしてもウォン安は止まらないと述べてるが、これはその通りだ。たかが0.25%程度の利上げだと焼け石に水だと前回に突っ込んで、上げるなら金利を一度に1%以上だと述べた。でも、それをやれば韓国の庶民が家計債務急増で死ぬので韓国銀行はおそらくしないろう。
つまり、韓国は看取る段階なので何をしても延命措置に過ぎない。サムスン電子やSKハイニックスがいくら儲けても庶民に恩恵はない。
韓国は“危機時の為替”を日常として受け入れ始めた
二つの記事を統合すると、韓国経済の現状は次のように整理できる。
● ウォン安は一時的ではなく構造的
外国人資金流出、半導体偏重、ドル高が複合的に作用。
● 株価急騰はむしろウォン安を加速
リバランス売りという構造的メカニズム。
● 国民負担は増大
輸入物価・生活費・企業コストが上昇。
● 政府の認識は甘い
「成功の費用」という発言は国民の痛みを軽視。
● 今後も1500ウォン台が続く可能性
外国人売り越し余力は100〜150兆ウォン規模
このようにまとめたが、結局、韓国はウォン安を防げない。国民はこのままだと物価高や借金増で死ぬ。政府は何もできない。自営業は最低賃金の引き上げでますます破産していく。ウォン安をどうにかしない限り、韓国のファンダメンタルズはますます悪化していく。でも、それができないから看取るしかないんだよ。
つまり、韓国は危機時の為替(1500〜1600ウォン)を“平時の為替”として受け入れるしかない国となる。1550ウォンはなんとか阻止しようが、それもいつまでも耐えられる保証はどこにもない。なぜなら、介入に使えるドルは有限だからだ。弾が尽きかけているんだよ。
韓国ネットの反応まとめ
① 「もう終わった。1500ウォンは日常になった」系(悲観・諦め)
記事が示した
四半期平均1500.1ウォン
1998年通貨危機以来の水準を受けて、ネットでは次のような諦めの声が多い。
「1500ウォンが普通になるって、もう国として終わりだろ」
「危機時の為替が平時になる国なんて聞いたことない」
「韓国はもう先進国じゃなくて“危機常習国”だ」
特に「ニューノーマル」という表現が強い絶望感を誘発している。
② 「外国人が売り続ける限りウォン安は止まらない」系(構造的悲観)
記事が指摘した
外国人売り越し136兆ウォン(今年)
追加売り越し余力100〜150兆ウォン
に対して、ネットでは次のような反応。
「外国人が韓国株を売るのは当然。韓国はリスク国だから」
「半導体だけ上がっても意味ない。外国人は利益出たら売るだけ」
「株高でも株安でもウォン安になる国は韓国だけ」
“売っても外国人比率が上がる”という逆説(半導体偏重)も嘲笑の対象。
③ 「国民だけが苦しむ。政府は何もわかってない」系(怒り)
記事が述べた
輸入物価上昇・生活必需品値上げ
国民がウォン安の負担を分担する
に対して、ネットでは怒りが噴出。
「半導体企業と外国人だけ儲かって、国民は物価高で死ぬ」
「最低賃金だけ上げて自営業を殺してる」
「政府は“成功の費用”とか言ってるけど、誰が成功したんだよ?」
特に政府の「成功の費用」発言(記事の批判対象)
はネットで強烈に叩かれている。
④ 「政府は何もできない。利上げもできない」系(無力感)
記事が指摘した
利上げしてもウォン安は止まらない可能性(中央日報)
変動性緩和措置が必要だが効果は限定的
これに対してネットでは次のような反応。
「利上げしたら家計負債で国民が死ぬ。だから何もできない」
「韓銀は介入しても弾切れ。ドルは有限」
「ドル高の流れで韓国が勝てるわけがない」
総括:韓国ネットの空気は“絶望・怒り・諦め”の三重奏
この記事に対する韓国ネットの反応は、
以下の3つの感情が同時に渦巻いている。
● 絶望
「1500ウォンが平時になる国は終わり」
● 怒り
「国民だけが物価高で苦しむのに政府は“成功の費用”と言うな」
● 諦め
「政府は何もできない。ドル高の流れには逆らえない」
まあ、予想通りの反応といったところだ。
全体まとめ
韓国は“危機時の為替(1500〜1600)”を平時として受け入れる国になった ウォン安を止める手段が存在しないため、韓国経済は今後も悪化し、国民負担は増え続ける。