こちらは韓国政府が始めたレバレッジETFが、韓国のコスピ市場をギャンブル相場に仕立て上げた根本的な原因だと指摘したが、それは個人投資家では絶対に勝てない相場であることを同時に述べた。
今回の記事ではそれを補完する内容。もう一つは韓国銀行が今の状況をどう見ているのか。
それでは韓国経済の専門家の視点で解説しよう。
ETF肥大化で“アルファ消失”。個人投資家だけが損失を抱える危険な構造
韓国資本市場研究院の李孝燮(イ・ヒョソプ)金融産業室長は、韓国証券市場の構造的弱点として「ETFの肥大化」「レバレッジ投資の過熱」「長期投資文化の欠如」を強く警告した。韓国市場は今、ETF依存が極端に高まり、アクティブ投資が死んだ状態になっている。
その結果、半導体偏重・外国人売り・レバレッジETFのヘッジ取引が重なり、変動性が異常に増幅している。
ETF肥大化で“アルファが消えた市場”に
李室長は、韓国市場の最大の問題としてETFの肥大化を挙げる。
ETFを買えば市場全体が上がり、売れば一斉に下がる。個別企業の価値を発掘する“アルファ”が消え、アクティブ投資が機能しなくなった。
韓国市場は今、「ETFの売買 → 市場全体の上下 → 個別株の価値が消える」という構造に陥っている。
これは、半導体偏重の韓国市場にとって致命的だ。特定セクターに資金が集中し、ETFの売買が指数を大きく揺らすため、変動性がさらに増幅する。
レバレッジETFが“変動性爆弾”になっている
韓国市場の変動性を増幅させる最大要因は、単一銘柄レバレッジETFである。
レバレッジETFは、ヘッジのために取引終了時点に大量の売買が集中する。
これがショートガンマ現象を引き起こし、株価が乱高下する。
つまり、
レバレッジETFが増える
ヘッジ取引が増える
取引終了時に売買が集中
変動性が爆発
個人投資家が損失を抱える
という負の連鎖が起きている。
韓国市場は、レバレッジETFの過熱によって変動性が制度的に増幅される市場になってしまった。これをギャンブル相場と呼んでるわけだ。
個人投資家だけが“費用を全て負担する市場”
韓国市場の構造的欠陥は、個人投資家がすべての費用を負担する仕組みになっている点だ。
韓国では信用取引の規制が緩く、レバレッジETFは形式的な教育だけで誰でも買えてしまう。
その結果、
レバレッジETFのヘッジ費用
運用報酬
信用取引の金利
変動性のリスク
これらを個人投資家がすべて抱え込む構造になっている。
韓国市場は、個人投資家が市場変動の“最後の受け皿”になっている。
コスダックは“ゾンビ企業の温床”
記事はコスダック市場の問題を非常に厳しく指摘している。
ゾンビ企業の延命
個人投資家比率が高すぎる
情報非対称が深刻
さらに衝撃的なのはこれだ。
多くの企業が売上と収益性のピークアウト時点に、大株主のエクシット目的で上場する。
つまり、コスダックIPOは“上場ゴール”が制度化されている。
SKハイニックスの上場ゴール懸念とも構造的にリンクする。
こちらがSKハイニックスが上場ゴールの可能性を示唆したが、すでにコスダック市場では制度化していたそうだ。しかも、多くの企業が売上と収益性のピークアウト時点に、大株主のエクシット目的で上場する。SKハイニックスもその可能性が高い。
こちらはSKハイニックスが、なぜ、今、ナスダック上場したかは国内投資の資金集めだと述べたが、すでに売上と収益性がピークアウトであったことをSKハイニックスが理解してやってるなら。AI半導体メモリーは今後、伸びないということになる。
韓国銀行「半導体好況は長期化する」しかし株価変動はさらに拡大へ
それで、新しく見つけたハンギョレ新聞のニュースによると韓国銀行は半導体好況は長期化するらしい。
韓国銀行は7月9日の臨時国会業務報告で、「半導体景気はかなりの期間拡大する」との強気の見通しを示した。一方で、AI収益性への懸念や米金融政策の不確実性から、株式市場の変動性は今後さらに高まると警告している。
半導体好況が続くという前向きな評価と、株式市場の不安定さを認める後ろ向きな評価が同時に出た形だ。
韓国銀行「半導体好況は来年まで続く」
韓国銀行は、AIの普及とビッグテックの投資拡大を背景に、半導体景気は長期的に拡大すると述べた。
「半導体景気は、AI活用領域の拡大と関連インフラ投資により、拡大基調を示す見通し」
「世界の半導体景気は少なくとも来年まで好調が続く」現在のページ現在のページ. 韓国銀行は同日、臨時国会での業務報告で、「今後も半導体景気は、人工知能(AI)の活用領域(エージェント型AI・フィジカルAIなど)および関連インフラへの投資拡大により、拡大基調を示す見通し」としたうえで、主要な予測機関の分析を引用
理由は以下の通り。
AI普及で演算需要が急増
ビッグテックが主導権確保のため投資を継続
半導体製造プロセスが難しく供給拡大が容易でない
つまり、需要は強いが供給は増えにくいという構造が続くため、半導体価格と企業収益は高水準を維持しやすいという判断だ。
しかし「AI収益性の懸念」が下振れリスク
韓国銀行は、半導体好況が続く一方で、AI産業の収益性に対する市場の疑念が高まっている点をリスクとして挙げた。
「AIの収益性への懸念に伴う金融市場の調整」
「ビッグテックによる実物投資の縮小」
ただし、AIの収益性への懸念に伴う金融市場の調整や、ビッグテックによる実物投資の縮小、エネルギーのボトルネックは、下振れリスクとして潜在していると分析した。
AI投資がピークアウトすれば、半導体需要も一時的に鈍化する可能性がある。
また、エネルギー供給のボトルネックも下振れ要因として指摘された。
半導体好況の恩恵は“一部だけ”に集中
韓国銀行は、半導体好況が韓国経済全体に波及する速度が遅い点も問題視している。
「恩恵が一部の産業・階層に集中し、経済全般への波及が遅くなる可能性」
韓国経済は半導体依存度が極端に高く、半導体が好調でも庶民の生活は改善しないという構造的問題が続いている。
韓国銀行「利上げが必要」7月に2.75%へ
韓国銀行は、物価上昇と景気回復を理由に、政策金利の引き上げが必要だと強調した。
「適切な時期に政策金利を引き上げる必要がある」
市場では、7月16日の金融通貨委員会で、政策金利を2.5% → 2.75%へ引き上げるとの見方が強い。
韓国銀行は、利上げのタイミングは物価・景気・金融安定を見ながら判断するとした。
ウォン安は「外国人の株式売り越し」が原因
韓国銀行は、ウォン安が進んだ理由として以下を挙げた。
中東情勢不安でリスク回避が高まった
主要国通貨とともにウォンが下落
外国人の株式売り越しがウォン安を加速
韓国銀行は、オフショアウォン決済システムの構築など、外国為替市場の安定化策を進めるとした。
株式市場は「暴落と暴騰の繰り返し」
韓国銀行は、韓国株式市場の変動性が極端に高まっていると分析した。
「半導体好況への期待から関連業種に投資が偏り、米金融政策の不確実性やAI収益性論争で変動性が大幅に拡大」
今後も変動性は高い状態が続くと見られる。
ただし、韓国銀行は株価の下落が続く可能性は低いとした。
「半導体企業の営業利益見通しの上方修正、政府の資本市場制度改善努力を考えると、株価が下落に転じる可能性は低い」
韓国銀行の見通しをざっとまとめるとこんな感じだが、これはもう、ホットケーキのメイプルシロップ並みに甘い予想では笑うしかない。だから、こちらが辛口に指摘しておこう。
甘さの裏にある“現実のリスク”
1.AI投資の収益性懸念
韓国銀行自身が認めているように、AI投資は「収益性への疑念」が高まっている。
AIが本当に利益を生むのか、世界中で議論が続いている。
●2.半導体依存の構造的脆弱性
韓国経済は半導体依存度が極端に高い。半導体が好調でも、内需や庶民の生活は改善しない。
3.外国人資金の流出
ウォン安の主因は外国人の売り越し。これは構造的な資金流出であり、一時的とは言えない。
4.米金融政策の不確実性
米国の利下げは遅れ、むしろ高金利長期化の可能性が高い。韓国市場には最も厳しい外部環境。
5.半導体サイクルのピーク感
SKハイニックスのNASDAQ上場直後にAI半導体株が急落したように、市場はすでに“ピーク感”を感じ始めている。
確かに韓国銀行の「半導体好況は来年まで続く」という見通しはマイクロン決算でも明らかになった。問題は市場はそういうのを全て織り込み済みだということ。つまり、そんなことはわかってるんだよ。だったら何?それ以上、何もないならピークだから売った方がいいになるわけだ。
つまり、半導体好況は続く前提があっても、株価は上がらない局面に入っていることに韓国銀行は気づいていない。
だから、株主が求めてるのは2027年以降にどうなっているかなんだよ。
それを知るにはどうすればいいのか。実は既に市場は次の重要な企業の決算イベント待っている。それは台湾のTSMCとオランダのASMLである。
今週、この二つが韓国の半導体株の行方を大きく左右する。どちらも韓国経済ではお馴染みの企業であるのだが、新時代にはいってもその絶大な影響力を無視できない。
TSMC:AIサーバーの本当の需要を知っている企業
TSMCは世界最大のファウンドリであり、AIサーバー向けGPUの製造をほぼ独占している。
つまり、
NVIDIAの本当の注文量
AIサーバーの増産ペース
2025〜2027年の設備投資計画
先端プロセスの歩留まり
供給ボトルネックの有無
これらを最も正確に把握している企業がTSMCだ。
TSMCの決算は、AI投資が本当に続くのか、ピークアウトするのかその“答え”を市場に示す。
ASML:半導体の未来を決める企業
ASMLはEUV露光装置を独占している。つまり、世界の先端半導体の“生産能力”を決める企業だ。
ASMLの決算でわかるのは、
先端EUVの受注状況
HBM向け設備投資の強さ
2026〜2028年の供給能力
中国向け輸出規制の影響
世界の半導体企業の投資意欲
ASMLの決算は、半導体サイクルが本当に長期化するのか。その“未来の答え”を持っている。
まとめておくと、15日のASMLの決算発表、16日のTSMCの決算発表。サムスン電子の材料出尽くした決算内容に投資家は半導体メモリーの未来を疑ってるので、この二つの企業に課せられるハードルは相当高い。
しかし、それだけではない。ここで米国の利上げシナリオも絡んでくる。ついでに見ておこうか。
米金融政策の「次の一手」が読めない週。CPI・PPI・ウォーシュ議長証言が市場を揺らす
米金融政策の方向性が、利上げなのか、利下げなのかで市場の見方が二分され始めている。そんな中、来週は重要イベントが立て続けに控えており、米株・為替・半導体のすべてに影響を与える“分岐点の週”になる。
来週はインフレ指標ラッシュ──CPI・PPIが方向性を決める
来週発表されるのは以下の2つ。
6月 消費者物価指数(CPI)
6月 生産者物価指数(PPI)
この2つは、FRBが次の一手を決めるうえで最重要の指標だ。
特に市場が注目しているのは、
サービスインフレが高止まりするか
コアインフレが再加速するか
賃金インフレが沈静化するか
もしCPI・PPIが予想を上回れば、利上げ懸念が一気に再燃する。
逆に弱ければ、利下げ議論が再び強まる。
つまり、来週のインフレ指標は、米金融政策の方向性を決める“分水嶺”になる。
ウォーシュFRB議長の議会証言。市場が最も恐れるイベント
来週はウォーシュFRB議長が、下院金融委員会
上院銀行委員会でそれぞれ証言を行う。
ここで市場が最も恐れているのは、
「利上げを排除しない」「インフレは依然として高い」「金融環境は緩みすぎている」といった“タカ派発言”だ。
逆に、「インフレは鈍化している」「利下げの条件が整いつつある」といった“ハト派発言”が出れば、株式市場は一気にリスクオンに傾く。
つまり、ウォーシュ議長の一言が市場を動かす週になる。
このように来週は韓国のサムスン電子やSKハイニックスにとって、超重要な決算や米指標が一斉に流れ込んでくる。つまり、それだけコスピは乱高下しやすい環境といえる。韓国銀行の見通しがどれだけ甘いかがテストされることになる。
全体まとめ
来週は“米金融政策 × インフレ × 半導体”の三重イベント
来週は以下の3つが同時に動く。
CPI・PPI(インフレ指標)
ウォーシュ議長の議会証言(金融政策)
ASML・TSMC決算(半導体の未来)
この3つが重なる週は滅多にない。
そして、韓国株・ウォン・コスピ・半導体株の方向性は、この週で決まる。
中東情勢が再緊迫化すれば、利上げ懸念がさらに強まり、市場は一気にリスクオフへ傾く可能性もある。
来週は、2024年後半の市場を決める“最重要週”になる。
いやあ。SKハイニックスさん。ナスダックに殴り込んで、13日から空売り洗礼を浴びるのに、その週でここまで大きなイベントが大量に出そろっている。最初の週を乗り越えることができますかね。楽しみですね。





