今回、韓国の最新物価動向について扱っている中央日報や東亜日報の二つの記事を読んで見えてきた矛盾について解説する。
どちらも同じ物価動向を追う記事なのになぜか、石油最高価格制の致命的な欠陥が出てくるという。同時に李在明は総額1兆ウォンのバラマキをするようだが、インフレの時に金をばらまいても、火に油を注ぐようなものである。
それでは韓国経済の専門家の視点で解説しよう。
中央日報と東亜日報のデータを統合して見える“構造的矛盾”
韓国政府は、石油最高価格制によって「物価上昇率を0.4ポイント抑制した」と説明している。しかし、同時期の物価統計を見ると、韓国の消費者物価は 3.2%上昇 し、2年6カ月ぶりの高い伸びを記録している。
この2つの報道を合わせて読むと、韓国の物価対策が 実際には機能していない ことが明確になる。
中央日報:政府は「石油最高価格制で物価を抑制した」と主張
中央日報の記事では、韓国政府が次のように説明している。
石油最高価格制により、ガソリン・軽油などの卸値を150ウォン引き下げた
その結果、物価上昇率を 0.4ポイント抑制した
もし制度がなければ、物価上昇率は 3.6%に達したはずだ
しかし、この「抑制効果」は 現実の価格ではなく、政府の内部モデルによる仮想計算である。
政府の計算は以下のような構造だ。
卸値が150ウォン下がった “はず”
物価上昇圧力が減った “はず”
制度がなければもっと物価が上がった “はず”
つまり、「〜のはず」を積み上げた机上計算で物価抑制効果を主張しているだけである。
原文を少し追加すると、「石油最高価格制がない場合、物価上昇率は3.6%に達したと推定される」とある。でも、その計算の根拠は一切不明だ。
東亜日報:実際の物価は3.2%上昇し、燃料価格は急騰
東亜日報の記事では、韓国の6月物価は以下のように報じられている。
● 消費者物価:3.2%上昇(2年6カ月ぶりの高い伸び)
● 石油類価格:24.7%上昇
ガソリン:23.1%上昇
軽油:33.7%上昇
灯油:23.1%上昇
石油類の上昇幅は、
ウクライナ戦争初期の2022年7月以来の高さ。
さらに、食料品も広範囲で値上がりしている。
コメ:11.7%上昇
鶏卵:10.3%上昇
牛肉:7.5%上昇
つまり、燃料と食料の“二重高騰”が物価を押し上げている。
興味深いのは東亜日報には推定されるという話が出てこないこと。つまり、中央日報だと物価を抑制した。東亜日報は物価が急騰したになる。
両記事を統合すると見える「構造的矛盾」
中央日報は「物価を抑制した」と言い、 東亜日報は「物価が急騰した」と報じている。
この矛盾は、制度の構造を理解すると説明できる。
石油最高価格制は「卸値」しか下げない
制度が下げるのは 製油会社→ガソリンスタンドの卸値 だけ。 消費者が支払う 店頭価格は対象外。そのため、店頭価格はほぼ下がらない。
店頭価格は高止まりしたまま韓国のガソリン価格は最新で 2007ウォン/L とほぼ横ばい。
理由は以下の通り。
高値在庫(10〜14日分)
慢性的な価格カルテル
ウォン安(1550ウォン台)による輸入価格上昇
卸値が下がっても、店頭価格は下がらない構造になっている。
卸値が下がると「ガソリンスタンドの利幅が増える」だけ
卸値150ウォン下げ→ 店頭価格据え置き→ ガソリンスタンドの利幅が150ウォン増える
これは 消費者の利益ではなく、スタンドの利益増加 である。
製油会社は逆ザヤで赤字
政府発表では、製油会社は 8週間で3.5兆ウォンの損失。
卸値を強制的に下げられるため、 製油会社は赤字が拡大する。
ここで大事なのは最高価格制で下がるのは卸値だけであって、消費者にはガソリン価格は高騰したままだってこと。つまり、2000ウォン台が当分、続く。それなのに韓国政府は謎の成果をどや顔でアピール。推定される!いや、推定もなにも変わってないじゃん!むしろ、三ヶ月前より高いじゃん!←いまここである。
しかも、ここで韓国政府は大判振る舞いの経済対策を発表したぞ。
ばらまきは「体感物価」を下げるための政治的手段
韓国政府がやっていることは以下の通りだ。
● 農畜水産物の割引支援(1兆ウォン)
● 公共料金の据え置き
● 電気・ガスの値上げ延期
● クーポン配布
● 中小企業支援金
● 自営業者への補助金
これらはすべて 「体感物価を下げるための政治的施策」。
体感物価を下げるためとは読めるが、そもそも、本当に下がるかは大いに疑問だ。
この理由について解説しておこうか。韓国政府、李在明のパフォーマンスがどれだけ無意味なのか。
「体感物価」と「実際の物価」は別物
韓国政府が下げようとしているのは、消費者が日常生活で感じる「体感物価」である。
しかし、体感物価は以下の要素で決まる。
一番は毎日、使っているであろう車のガソリン価格。これに尽きる。さらに毎日食べるであろう食料品価格。さらに光熱費、これらが三種の神器といっていい。
後、交通費。住居費などあるが、そもそも韓国の住居費は契約は1年単位が基本だ。すぐにかわらない。為替(ウォン安)による輸入品価格もウォンが1550になったから、明日から価格が上げるわけじゃない。値上げにはタイムラグがある。生活必需品の値上げもそうだ。
つまり、一部の品目を割引したところで、体感物価全体が下がるわけではない。
では、どこから深掘りしようか。ここは三種の神器から見ていこうか。
ガソリン価格は2000ウォン台維持
上の記事で見てきたとおり、ガソリン価格は2000ウォン台を維持しているので、体感物価が下がるわけがない。しかも、ガソリン価格は少しずつ下げてくる。
それで食料品価格だが、東亜日報の記事では大きく上がっていた。
コメ:11.7%上昇
鶏卵:10.3%上昇
牛肉:7.5%上昇
これに対して、政府は1兆ウォンの割引支援を行う。
おお、これなら体感物価下がるんじゃないか。めずらしく李在明が役立つとは・・・。そう思った人は不正解だ。ええ?なんでだよ?1兆ウォン。つまり、1000億円分割引だろう。安くで買えるじゃないか。そう確かに金額ではそうだ。しかし、これが実質、3500億ウォンだとしたら・・・。いやいや、6500億ウォンはどこいくんだよ?
それはポッケナイナイである。おそらく唖然としたおもうが、6500億ウォンはばらまくための費用に使われる。何言ってるんだと思うかもしれないがこれは過去の事例からもわかる。
韓国政府は「農畜水産物の割引支援に1兆ウォン投入」と説明しているが、 現時点でその内訳は公表されていない。 ただし、韓国の補助金制度では、過去の事例から予算の半分以上が“配布経費”として消える構造的問題が繰り返されている。
そのため、1兆ウォンのうち実際の割引に使われるのは数千億ウォンにとどまり、 残りは事務費・委託費・中間団体の取り分として消える可能性が高い。
もっとも、それが3500億ウォンだろうが、1兆ウォンだろうが、ばらまいたところで体感物価は下がりません。むしろ、物価上昇させます。
これはインフレを理解していたらすぐわかる。インフレとは物価上昇のことだが、それは物の値段が上がるというより、通貨の価値が下がるから、同じ物を買うのにより多くの通貨が必要になる。つまり、そこに1兆ウォンの通貨をばらまいても、ものは安くならない。むしろ、上がるんだよ。
じゃあ、どうして韓国政府は逆効果のことしようとしているのか。それは政治的アピールなんだよ。補助金出します。クーポン券で安く買えるようにします。電気代もガス代もあげません。ガソリン価格はなんと150ウォンさげました。
しかし、それらは一時的なものであり、値段は高いままなんだよ。
韓国が本当にやらないといけないのは「利上げ」である。
韓国が本当にやらないといけないのは「利上げ」
ここが最重要ポイント。
韓国の物価が下がらない理由は、通貨(ウォン)の価値が下がり続けているからである。
ウォン安が続けばどうなるのか。
原油価格が上昇
食料品価格が上昇
飼料価格が上昇
生活必需品価格が上昇
ガソリン価格が高止まり
交通費が上昇
住居費が上昇(更新時にジャンプ)
つまり、ウォン安が物価高騰の“根本原因”になっている。
ウォン安を止める唯一の手段は、
利上げである。
利上げをすれば─
通貨価値が上昇
輸入品価格が下落
原油価格が下落
食料品価格が下落
ガソリン価格が下落
物価全体が落ち着く
つまり、利上げこそが本当の物価対策である。
だから、日本も日銀が利上げをしたわけだ。まあ、円安を食い止めてないけど。
では、なぜ韓国政府は利上げをしないのか?
利上げしないと言うより、できないという方が正しい。
家計負債が世界最悪レベル
韓国の家計負債は GDP比105%。
利上げをすると、住宅ローン・カードローン・事業者ローンが破綻する。
✔中小企業が借金経営
利
上げをすると利払いが増え、倒産が連鎖する。
不動産バブルが崩壊する
利
上げは不動産価格を直撃し、チョンセ制度が崩壊する。
つまり、韓国は利上げをすると経済が崩壊する。しかし、利上げをしないと物価が崩壊する。完全に詰んでいる。
韓国ネットの反応まとめ
■ 1. 「何が物価抑制だよ、むしろ上がってるじゃないか」
「3.2%上昇してるのに、どうして“抑制した”と言えるんだ」
「0.4%下げた?どこが?ガソリンも食料品も全部上がってる」
「推定される?推定も何も、現実は値上がりしてるだろ」
「政府の計算はいつも“〜したはず”で終わる」
記事の「石油最高価格制がなければ3.6%だったと推定される」
という表現に強い不信感が集中。
■ 2. 「ガソリン価格は全然下がってないぞ」
「ガソリン23%上昇って書いてあるじゃん」
「軽油33%上昇、灯油23%上昇…どこが抑制?」
「最高価格制は卸値だけ下げる制度。店頭価格は下がらない」
「2000ウォン台がずっと続いてるのに、成功アピールは無理がある」
(引用:ガソリン23.1%、軽油33.7%、灯油23.1%上昇 )
■ 3. 「生活物価指数3.4%上昇って、体感はもっとひどい」
「生活物価指数が3.4%上昇って書いてある。体感はもっと高い」
「買い物かご物価は毎週上がってる」
「卵も米も肉も全部値上がり。割引イベントしても意味ない」
(引用:生活物価指数は3.4%上昇 )
■ 4. 「政府は数字遊びしてるだけ」
「石油最高価格制が“なかった場合”を勝手に仮定して計算してるだけ」
「現実の価格を見ずに机上計算で成果アピールするのは詐欺」
「毎回“〜したはず”で国民を騙す」
「物価が上がったのに成功と言い張るのは異常」
■ 5. 「1兆ウォンの割引支援?どうせ中抜きされる」
記事には「1兆ウォン投入」とあるが、ネットでは以下の反応が多い。
「割引イベントに1兆ウォン?どうせ実際の割引は一部だけ」
「中間団体がほとんど持っていく構造は変わらない」
「割引イベントは一瞬だけ。価格は高いまま」
「ばらまきで物価は下がらない。むしろインフレ悪化する」
(引用:財政経済部は1兆ウォンを投じて夏季物価に対応すると発表 )
■ 6. 「利上げしない限り物価は絶対に下がらない」
「ウォン安が止まらないから輸入物価が上がり続ける」
「利上げしない限りインフレは止まらない」
「でも利上げしたら家計負債が爆発する。詰んでる」
「政府は根本対策ができないから、割引イベントで誤魔化してるだけ」
■ 7. 「結局、政府は“やってる感”を演出したいだけ」
「最高価格制も割引イベントも全部パフォーマンス」
「実際の物価は上がり続けてる」
「国民に“対策してます”と見せたいだけ」
「数字をいじって成果アピールするのはもう飽きた」
■ 総評:韓国ネットの反応は「政府の自己満足」「国民の体感は悪化」の一点
記事の内容は、
物価3.2%上昇(2年6カ月ぶりの高い伸び)
石油類24.7%急騰
生活物価指数3.4%上昇
ガソリン・軽油・灯油が20〜30%台の上昇
それでも政府は「0.4%抑制した」と主張
という構造であり、
ネットの反応は ほぼ全方向で政府批判 に集中している。
特に、「推定されると言われても、現実は値上がりしてる」という不満が圧倒的。
全体まとめ
結論:韓国政府の物価対策は「政治的アピール」でしかない
まとめると、こうなる。
石油最高価格制は卸値しか下げない
ガソリン価格は高止まり
食料品価格は全面的に上昇
割引支援は一時的な錯覚
住居費・交通費・光熱費は下がらない
ばらまきはインフレを悪化させる
本当に必要なのは利上げ
しかし利上げをすると経済が崩壊する
だから政府は“やってる感”だけを演出する
つまり、韓国政府の物価対策は、経済政策ではなく政治的アピール。
体感物価は下がらず、むしろ物価上昇を加速させる。
これが、韓国の物価対策の全体像である。