企業活動において「0」か「1」の賭けなんてものは絶対に選択肢として入らない。必ずそれが達成できない場合、代替プランを用意している。今回のエヌビディアの次世代GPU「Rubin Ultra」でHBM仕様縮小を検討というのも、代替プランの一つである。
ええ?どういうことだって?つまり、DRAMというか。HBMの生産が追いつかないので、旧仕様のHBMを使う。性能はもちろん、落ちるが延期となればそれだけで莫大な損失となるのでエヌビディアは避けないといけない。
でも、エヌビディアは本当にSKハイニックスが予定通りに工場を建設して、HBM量産できると考えているなら甘い。
それでは韓国経済の専門家の視点で解説しよう。
NVIDIAは次世代GPU「Rubin Ultra」でHBM仕様縮小を検討
AppleのiPhone 18 ProもDRAM供給遅延で生産に影響、世界のメモリ需給が限界に*
メモリー半導体の供給不足が世界的に深刻化する中、NVIDIAが次世代GPU「Rubin Ultra」に搭載するHBM(高帯域幅メモリ)の仕様縮小を検討していることが分かった。
Appleの次期iPhone 18 ProでもDRAM供給遅延が発生し、TSMCのA20 Proチップがパッケージング工程に進めない状況が報じられるなど、DRAM不足はAI・スマホ双方の巨大市場に影響を及ぼし始めた。
NVIDIA:HBM4Eの供給が間に合わず、1TB計画を縮小へ
記事によると、NVIDIAはRubin Ultra向けHBM4Eの供給が予定より遅れているため、当初計画していた GPU1基あたり1TBのHBM4E搭載 を維持できない可能性が高い。
テスト中のHBM4Eサンプルは 192GB / 256GB(大幅縮小)
今年量産されるHBM4は 288GBで、当初計画より 75〜81%減少
SKハイニックス・サムスン電子が 発売スケジュールに合わせた十分なHBM4E生産に苦労する可能性が指摘されている
性能は低下するが、HBM容量が減ることでGPU価格は下がり、顧客企業にはメリットがあるとの見方もある。
HBM不足は“需要減”ではなく“供給制約”が原因
シティグループは「HBM仕様引き下げが事実でも、それは需要の問題ではなく、供給は2028年まで逼迫が続く」とコメントしている。
つまり、AI需要は依然として強烈だが、メモリ企業の増産が追いつかないという構造的な供給不足が続いている。
Apple:iPhone 18 ProもDRAM不足で生産に影響
DRAM不足はスマートフォン市場にも波及している。
iPhone 18 Pro向け A20 ProチップはTSMCで生産済み
しかしDRAM供給遅延で パッケージング工程に進めない
TSMCが保有するA20チップ在庫は 約10億ドル規模に達する見通し
初期出荷分は問題ないが、需要が急増した場合は生産に支障が出る可能性がある。
Appleは過去にCXMT(中国)からのDRAM調達を模索したが、低価格供給は実現しなかった。
DRAM不足の解消は“2027年以降”が現実的か
記事では、SKハイニックスの龍仁ファブ(Y1)が稼働する 来年2月 にようやく品薄が緩和するとの見方がある。
しかし、HBM4Eの量産難易度、歩留まり問題、電力・水インフラの制約を考えると、完全な供給正常化は2027〜2028年が現実的とみられる。
このようにエヌビディアよりも、SKハイニックス側の供給に問題がある。そして、韓国経済の専門家からすれば、、SKハイニックスの龍仁(Y2)・清州(M17)の設備投資は“高確率で遅延する”と判断できる。それは以前にも解説してきたが、地元住民の摩擦が絶えないからだ。半導体は水や電気を大量に使う。送電線の問題もある。
.設備投資が遅延する可能性が高い理由
① HBM4Eの供給遅延がすでに発生している
記事は明確にこう述べている:
「HBM4Eをリリーススケジュールに間に合わせるのが難しい」
これは、SKハイニックス自身のHBM4E量産が予定より遅れていることを示唆している。
HBM4Eが遅れれば、当然それを生産するための設備投資(Y2・M17)も遅れる。
② Y2の建設スケジュールがすでに“非現実的”
記事ではこう書かれている:
「Y2は2029年6月に初クリーンルーム稼働」
しかし、同時にこうも書かれています:
「設備輸入を含めるとY2だけで150兆ウォン以上」
150兆ウォン規模の設備投資は、韓国国内の電力網・水供給・建設人材の制約を考えるとほぼ確実に遅延する規模。
電力網が完成しない
水供給が不足している
韓国電力公社は巨額赤字でインフラ投資ができない
これらは構造的なボトルネックであり、Y2の稼働時期は2033年どころか、2040年代にずれ込む可能性すらある。
③ 清州M17も同様に“楽観的すぎる”
記事では:
「M17は2028年12月に初クリーンルーム稼働」とあるが、清州はすでに水不足が深刻で、半導体工場の増設は地元自治体が反対している地域もある。
水の確保ができなければ、クリーンルームは稼働できない。
④ 韓国政府の半導体プロジェクトは“発表だけで進まない”
記事はこう述べている:
「政府が6月に発表した大規模プロジェクトが実際に実行され、生産基盤の確保競争が激化」
しかしこれは“建設開始の発表”であり、実際にインフラが整備されるかは別問題。
韓国の過去の半導体クラスター計画は、電力・水・環境規制で何度も遅延してきた。
つまり、韓国内でこれ以上の大規模な半導体工場を造るのは難しいのだ。それなのに韓国政府は大規模な建設を打ち出す。SKハイニックスもエヌビディアの要求に応えるために国内投資を急速に動かした。その結果がウォン高である。
明らかに異常なウォン高はSKハイニックスが稼いだ数百億ドルを国内で使うウォンに変えたとしか思えない。実際、今、1550から1400ウォンぐらい戻してる時点で、おかしいという。
でも、SKハイニックスからすれば、一気にウォンに変えた方がお得ではある。
それで、エヌビディアも予定通りに行くとは思ってないというか。既に遅延している時点で計画は別プランにしないといけなくなった。それが今回の記事の核心である。
問題はその別プランでも間に合うかどうかはわからない。仮に延期となればエヌビディアの株価にも大きな影響を与えるので、最悪でも製品は出すことになる。
しかし、こうなってくると、今後、エヌビディアはSKハイニックスの独占以外にサムスン電子やマイクロンのHBMを候補にする可能性が高い。どうしても一社に依存するというのは致命的なリスクを抱えるからだ。だとすれば、マイクロンにプラスだし、サムスン電子にも歩留まり率を引き上げることができればプラスとなる。
するとSKハイニックスはエヌビディアのシェアを減らすので、結果的に売上が減る。これも将来的に株価に影響してくる。
しかし、それだけではない。最近、よく耳にするチップの自社設計に動き出す。
長期:HBMを“自前化”する方向に動く可能性が高い
NVIDIAはすでに以下を進めている:
自社でパッケージング技術を開発
TSMCと共同でCoWoSの改良
メモリインターフェースを自社設計に最適化
Rubin UltraのHBM削減は、NVIDIAにとって以下の教訓:
「HBMを外部に依存すると、製品ロードマップが崩れる」
そのため長期的には:
HBMの一部を自社設計に移行する
物理製造はSK・Samsung・Micron
設計はNVIDIA
AppleがTSMCに製造を委託しつつ設計を自前化したのと同じ構造
HBMを使わない新アーキテクチャ(NVLink拡張)を開発
GPU間通信を強化し、HBM依存度を下げる
メモリを外部モジュール化する可能性もある
こうなってくるとSKハイニックスの将来性は難しくなる。なぜなら、このままだとエヌビディアだけではなくて、アップルという顧客まで失う。つまり、ビッグテックの二社を失う。この時点でSKハイニックスの未来は閉ざされたものだ。
今のサムスン電子やSKハイニックス、マイクロンなどの半導体の株価は既にこのような中期的な材料すら織り込んでいる。だからこそ、中期的に転けるような材料に投資家は敏感に反応してしまう。
SKハイニックスはサンディスクショックだけではなくて、HBMでも中期的に悪材料となっている。しかも、国内の設備投資の相手は韓国人である。遅延するのは当たり前だからな。
ここが肝なので国内投資での課題を整理しておこうか。
設備投資の相手が“韓国人”である
韓国の半導体設備投資は:
電力インフラ不足
水インフラ不足
建設人材不足
韓国電力公社の赤字で送電網が整備できない
地元自治体の反対
環境規制の遅延
これらが重なり、遅延するのが当たり前。
だからこそ、設備投資のニュースはポジティブではなく、むしろ「遅延リスク」として受け止められる。
中期の悪材料は“期待崩壊”を意味する
今回のようなニュース:
HBM4E供給遅延
NVIDIAがHBM仕様縮小
DRAM不足でスマホも遅延
設備投資の遅延リスク
Micron・Samsungの追撃
これらはすべて「中期の期待が崩れる」という意味を持つ。
だから投資家は敏感に反応する。
半導体の未来というか。2026年はほぼ決定している。問題はその先である。すでに2027年も完売というニュースも出てきたが、そこでNANDは供給過剰という見方もあった。DRAMだけは2028年まで供給不足の見通しだ。
しかし、HBMの未来は上のような予測よりも、明らかに不透明である。SKハイニックスがアップルとエヌビディアから見捨てられる日がきても、韓国経済の専門家からすればおかしくないんだよ。
ここで洞察をさらに深めると、SKハイニックスが見捨てられる“具体的なタイミング”はいつだろうか。そこを少し考えてみようか。
SKハイニックスが見捨てられる“具体的なタイミング
2028年:HBM4Eの量産が遅れた場合
SKハイニックスのHBM4Eはすでに遅延している。
NVIDIAがHBM仕様縮小を検討
HBM4Eサンプルが192〜256GBしかない
本来の1TB計画が崩れた
Samsung・Micronの採用比率が上昇
2028年はHBM4Eが本格量産されるはずの年だが、ここで遅れれば、NVIDIAはSK依存を切り始める。
この時点で起きること
NVIDIA → Micron採用拡大
NVIDIA → Samsungとの協力強化
NVIDIA → HBM設計の自前化加速
Apple → DRAM供給をSKから分散
TSMC → SK依存のパッケージングを減らす
つまり、2028年は最初の見捨てポイント。
2029年:龍仁Y2(150兆ウォン)が遅延した場合
SKハイニックスの龍仁Y2は:
建設35兆ウォン
設備含め150兆ウォン
稼働予定:2029年6月
韓国の設備投資は遅延するのが当たり前。
韓国のインフラは半導体に向いていない。
電力不足
水不足
韓国電力公社の赤字
建設人材不足
地元自治体の反対
環境規制の遅延
Y2が遅れれば、SKハイニックスはHBM供給能力を増やせない。
この時点で起きること
NVIDIA → SKの供給能力に不信感
Apple → DRAM供給をMicron・CXMTに分散
Samsung → HBMシェアを奪う
Micron → “安定供給”で評価が上がる
つまり、2029年は“決定的な見捨てポイント”。
2030年:NVIDIAがHBM依存を減らす
NVIDIAはすでに以下を進めている。
HBM設計の自前化
NVLink強化(HBM依存度を下げる)
Micron採用拡大
Samsungとの協力強化
SK依存の縮小
2030年には、NVIDIAがHBMをSKハイニックスに依存しない構造を完成させる可能性が高い。
この時点で起きること
NVIDIA → SKを主要サプライヤーから外す
Apple → DRAM供給を完全分散
TSMC → SK依存のパッケージングを減らす
韓国 → 半導体輸出の柱が崩れる
つまり、2030年は完全に見捨てられる可能性がある年。
今の時点で三つの段階がある。エヌビディアがいきなりskを切ることなくても生産縮小に動き出すので、こちらの予測だとサムスン電子とマイクロンが生産比率を高めていくんじゃないか。どれだけHBMシェア独占していても、大量に量産できなければ使えないてことだ。
もちろん、これはこちらが現時点で予測した未来なので、数年後にはどうなっているかわからない。今後のニュースに注目といったところだ。だが、最悪の場合はエヌビディアとアップルに見捨てられることだってあるのは理解できただろう。