昨日、韓国が日本が主導しているCPTPPに加盟するための5つの奇蹟を取り上げたが、その中で、明らかに不当に安い電気料金の是正というものがあった。彼らはCPTPPの議論を加速させるといいながら、実はその裏では慶尚道・全羅道の産業用電気料金、最大10%引き下げを行うそうだ。
この時点で、韓国政府が本気でCPTPPに加盟しようと考えてるようにはみえないという。しかも、これを読んでいくと韓電に数兆円の負担を押しつけるだけという。
それでは韓国経済の専門家の視点で解説しよう。
慶尚道・全羅道の産業用電気料金、最大10%引き下げへ
政府が「地域別料金制度」を年内導入、地方産業の競争力強化を狙う
韓国政府は、南部圏(慶尚道・全羅道)の産業用電気料金を最大10%引き下げる新制度「地域別料金制度」を年内に導入する方針を明らかにした。首都圏から遠く、電力自給率が高い地域の料金を下げることで、国土の均衡発展と産業競争力の強化を図る狙いがある。
気候エネルギー環境部と韓国電力は26日、南ソウル本部で公聴会を開き、制度案を正式に公表した。
新制度の概要:全国を4圏域に区分し、地域別調整料金を導入
政府案では、全国を以下の4つの広域圏に区分する。
首都圏南部
首都圏北部
中部圏(忠清道・江原道)
南部圏(慶尚道・全羅道)
現行料金に「地域別調整料金」を加え、圏域ごとに割引幅を変える仕組みだ。
最大の恩恵は南部圏:半導体集積地を含む地域が7〜10%引き下げ
最も大きな割引を受けるのは、半導体産業が集積する全羅道を含む南部圏で、
1kWhあたり13〜18ウォンの値下げ(7〜10%)が適用される。
例えば、年間10億kWh以上を消費する製鉄所や石油化学工場の場合、
年間180億ウォンの電気料金削減効果が見込まれる。
他地域の割引幅
中部圏(忠清道・江原道):10〜15ウォン(約5〜8%)
首都圏北部(江北・仁川など):6〜10ウォン(約3〜5%)
首都圏南部(江南・京畿道南部):0〜1ウォン(事実上現行維持)
首都圏南部は電力需要が集中しており、割引はほぼ適用されない。
割引幅の算定基準:3つの指標で決定
割引幅は以下の3基準で算定される。
電力自給率
原発などが多く自給率が高い地域は最大8ウォン割引
均衡ある成長(人口減少・地域消滅リスク)
政策的配慮が必要な地域は最大6ウォン割引
送電費用
発電所に近く送電網利用が少ない地域は最大5ウォン割引
さらに、同じ圏域内でも、ソウルからの距離、人口・経済・社会状況、産業危機地域かどうかなどを反映して細分化される。最終的には11地域に細分化される見通しだ。
実施時期と制度設計
政府は公聴会での意見を踏まえ、詳細な地域区分と割引幅を確定し、年内に制度を施行する計画だ。また、どの地域も値上げは行わず、地域間の料金格差は4年間維持する。
韓国電力の収入は年間3兆ウォン減少へ
今回の料金引き下げにより、韓国電力の収入は年間約3兆ウォン減少すると推計されている。
政府は、首都圏以外で発電した電気を首都圏に送る構造を見直し、送電網建設の負担軽減と地方への企業誘致・雇用創出につなげる方針だ。
政府の狙い:地方発電・地方産業の「不均衡是正」
金星煥(キム・ソンファン)気候部長官は、「遠く離れた慶尚道や全羅道で発電した電気を首都圏に供給しながら、同じ料金を適用してきた」と指摘。首都圏の料金は据え置きつつ、首都圏から遠いほど安くなる仕組みを作り、国土の均衡発展につなげたいと述べた。
このように新料金制度を発表したが、全員が得して韓電だけが赤字を背負う。でも、韓電の赤字は庶民の税金となるので、これは誰が得するんだ?になる。さすが、その場、しのぎの思いつきななんちゃって計画である。整理しておこうか。
韓国政府、CPTPP加盟を語りながら「産業用電気料金の引き下げ」を実施
CPTPP加盟のために必要な“電気料金の正常化”とは真逆の政策
韓国政府は、CPTPP加盟を加速させると発言している一方で、
慶尚道・全羅道の産業用電気料金を最大10%引き下げる新制度を年内に導入する。
しかし、CPTPP加盟審査では、
不当に安い産業用電気料金
国有企業(韓電)への政府補助
市場歪曲の是正
が厳しくチェックされる。
つまり、今回の政策はCPTPP加盟条件と完全に逆行している。
「どの地域も値上げしない」+「南部圏は最大10%引き下げ」
=韓電の収入が年間3兆ウォン減少
政府は今回の制度について、
どの地域も値上げしない
地域間の料金格差は4年間維持
南部圏は最大10%引き下げ
韓電の収入は年間約3兆ウォン減少
と説明している。
ここで重要なのは、
値上げしないのに、引き下げだけ行うという点だ。
これは、韓電にとっては確定損失であり、4年間で累計12兆ウォン(約1.4兆円)の収入減となる。
韓電はすでに累積40兆ウォンの赤字
そこにさらに12兆ウォンの収入減を乗せる構造は、企業として耐えられるレベルではない。
韓電の財務状況は以下の通り:
2021〜2023年の累積赤字:40兆ウォン超
社債残高:200兆ウォン規模
金利負担:年間5兆ウォン以上
設備投資の遅延が深刻化
ここにさらに「毎年3兆ウォンの収入減 × 4年」を加えると、
韓電は財務再建不能に陥る。
これは単なる危険ではなく、制度設計として破綻が確定している。
しかも、韓電が赤字を埋めるためにAクラスの社債を短期間で大量発行するので、債券市場でブラックホール現象を引き起こしていたよな。さらに数年で数兆円の赤字を韓電に負担させたら、ますます赤字社債を韓電が発行するんじゃないのか。
ちょっと難しいが詳しく解説しておこうか。
1. 韓電の赤字 で A格付け社債の大量発行
韓電は国有企業であり、赤字を埋める手段はほぼ一つしかない。
社債を発行すること。
しかも韓電は A格付け(事実上政府保証) なので、投資家は韓電債を「安全に儲かる債券」として最優先で買う。
その結果:
韓電債に資金が集中
他企業の社債が売れなくなる
他企業は金利を上げざるを得ない
市場全体の金利が上昇
債券市場が機能停止
これが ブラックホール現象。
以前にソウル経済新聞の記事で取り上げた内容である。
今回は「4年間で12兆ウォンの赤字」が確定している
2022年の韓電赤字は約30兆ウォンだったが、今回は制度により 毎年3兆ウォンの収入減 × 4年=12兆ウォン が確定している。
つまり:韓電は4年間、毎年確実に社債を大量発行し続ける。
これは2022年のような一時的な赤字ではなく、制度によって強制される“構造的赤字” である。
韓国債券市場は2022年よりも脆弱
2022年のブラックホール現象では、
サムスン電子でさえ社債金利5%台
不動産PFが崩壊
建設会社が連鎖倒産
地方銀行の不良債権が爆増
という地獄が起きた。
しかし2026年現在、韓国債券市場はさらに弱っている。
不動産PFの不良債権は増加中
地方銀行の体力は低下
建設会社の倒産件数は増加
金利は世界的に高止まり
韓電の財務は2022年より悪化
2022年よりも弱い市場に、韓電が再びブラックホールを起こす。
これは市場が耐えられる構造ではない。
このように韓電だけに赤字を負担する行為は、韓電だけじゃなくて、社債が売れなくなる中小企業を巻き込んで、韓国企業の体力を根こそぎ奪っていく。半導体に有利にしたいからと他の企業を潰すだけのアホな政策としかおもえない。
韓国政府からすれば、もう半導体しかないから、他の企業が潰れようがどうでもいいてことなのか。それにしては露骨過ぎるんじゃないか。しかも、やることは短絡的すぎる。さらにいえば、この新料金の区分すらよくわからない。11カ所に細かくわける?不公平さをなくす?なくしてないじゃないか。
韓国政府は“半導体以外はどうでもいい”という姿勢を隠していない
韓国政府はここ数年、政策の優先順位を完全に以下のように固定している。
半導体(SK・サムスンDS)
二次電池
その他の産業は「勝手に死んでくれ」
これは誇張ではなく、政策の数字が示している。
電気料金の引き下げも 半導体が集中する南部圏だけ最大10%
法人税の優遇 も半導体投資に偏重
研究開発補助金は半導体・二次電池に集中
インフラ投資を 半導体工場周辺に偏重
半導体を守るためなら、他産業が死んでも構わない。
という政策思想が完全に露骨化している。
しかし、やっていることは“短絡的すぎる”
半導体を守りたいなら、本来必要なのは以下のような政策だ。
電力インフラの強化
韓電の財務安定化
送電網の増強
電力価格の市場化
産業全体の競争力維持
しかし韓国政府がやっているのは、
韓電に赤字を押しつけて、半導体地域の電気料金だけ下げる。
これは短絡的どころか、半導体を守るために電力インフラを破壊するという矛盾した行為。
半導体は電力を大量に使う産業なのに、その電力供給源である韓電を弱体化させるのは完全に自殺行為。
新料金制度の「11地域区分」は公平性を装っただけの“政治的区分”
政府は「不公平さをなくすために11地域に細分化する」と言っているが、これは完全に嘘で、実際には以下の目的しかない。
目的①:南部圏(慶尚道・全羅道)を最大限優遇するため
半導体工場が集中している地域を“細分化”することで、最大10%の割引を正当化するための政治的区分。
目的②:首都圏の値上げを避けるため
首都圏は票田なので値上げできない。だから「首都圏南部は0〜1ウォンの引き下げ」として実質据え置き。
目的③:不公平を“制度的に隠す”ため
「11地域に細分化したから公平です」という建前を作るため。しかし実際には、南部圏だけが圧倒的に得をする不公平制度。公平性はまったく確保されていない。
東亜日報の記事の書き方がややこしいのか知らないが、これを読んで、誰が理解できるというんだろうか。
同じ圏域内でも、ソウルからの距離、人口・経済・社会状況、産業危機地域かどうかなどを反映して細分化される。最終的には11地域に細分化される見通しだ。
どうとでもなるような理由で細分化する。まさに仕事をしているふりしかみえない。こんなの時間の無駄だよ。分けるなら、明確な規定でわけろよ。それが出来ない理由があるんだよね?ポッケナイナイですか。
明確な規定で分けられない理由
明確な規定で分けられない理由は以下の通り:
● ① 明確な基準を作ると「南部圏だけ優遇」が不可能になる
南部圏を最大10%引き下げるためには、曖昧な基準が必要。
● ② 政治的裁量を残したい
選挙区ごとに割引幅を調整できるようにしたい。
● ③ 企業誘致のために“裏の調整”が必要
半導体企業が来る地域だけ割引を増やすため。
● ④ 利権構造を維持したい
電力政策は巨大な利権。明確な基準を作ると利権が消える。
つまり、明確な基準を作れないのではなく、作ると困る人がいる。
だから曖昧な基準にしている。
このように見ていけば、電力料金という巨大な利権を握った政治家と地方の癒着が見えてくる。半導体しかないからとここまで露骨に半導体だけを優遇するなんて、政策としてあり得ない。
しかも、半導体を守るためといいながら、韓電に赤字を押しつけるという構図。さらにいえば4年の暫定措置。そもそも4年で半導体のなにができるというのかね。どういうことか?韓国政府は南部に半導体インフラを作るために企業を誘致したい。だから、電気料金優遇しますだ。
4年の暫定措置=政治的な人気取りでしかない
韓国政府は今回の制度を「4年間の暫定措置」としている。
しかし、半導体産業の投資サイクルは以下の通り:
EUVライン建設:3から5年
HBM量産ライン:2から3年
サプライチェーン構築:5から10年
インフラ整備:5年以上
人材育成:10年以上
つまり、4年では半導体の何もできない。
半導体企業は「4年だけ電気料金が安いから投資しよう」とは絶対に思わない。
これは完全に 政治的な人気取りのための暫定措置であり、産業政策ではない。
まさに李在明政権の時だけ、優遇するとしかおもえない。韓電の赤字は「国民負担」になるんだよ。だから、邪推すれば半導体優遇は“建前”であり、 実際には 政治的利益供与 が目的かもしれない。これは誰が一番得するかを考えたら自然とそうなる。
では誰が得するのか?
李在明政権とその地盤だけ。
地方自治体(慶尚道・全羅道)
地方議員
地方の産業団地
地元企業
地元の選挙基盤
つまり、政権の支持基盤に利益を集中させるための制度なんだよ。優遇する基準が曖昧で、いくらでも拡大解釈ができる時点で利権が絡んでいる。
結局、彼らのやることはポッケナイナイである。