さすがに韓国がここまで馬鹿だとは思わなかった。ハンギョレの独自記事らしいが、あまりにも計算が夢見すぎて最高に笑えるという。なんと韓国の対米投資、収益率が16%を超えなければ元利金の回収は不可能とか言い出した。
ええ?これの何が笑えるかって?収益率16%なんてあり得ないからだよ。決定的にあり得ないのは20年間で610億ドル稼がないといけないだ。おいおい、20年で200億ドルが3倍に増えるわけないだろう。頭、おかしいんじゃないか。
そんな投資があったら教えてくれよ。今すぐ定期預金解約して全額投資するわ。そもそも収益率16%の投資なんてそう簡単に起こりえない。そりゃ、エヌビディアのAIブームなんてことになれば回収できるかもしれないが、それこそ夢のような話だ。
それでは韓国経済の専門家の視点で解説しよう。
韓国政府の「対米投資は収益率16%必要」試算は成立しない
20年で610億ドル稼げ?金融モデルとして完全に破綻している
韓国ハンギョレ新聞が報じた「対米投資の収益率は16%以上必要」という試算が、韓国国内で波紋を呼んでいる。しかし記事内容を精査すると、これは単なる“高い収益率の要求”ではなく、計算モデルそのものが成立していないことが明らかになる。
韓国政府の試算:200億ドル投資で20年で610億ドル必要
まず、読んでて爆笑したポイントあげていこう。
記事によれば、韓国政府は次のように試算した。
投資額:200億ドル
償還期間:20年
想定利率:5%
毎年10億ドルずつ均等返済
必要IRR:16.68%
必要収益:610億ドル
つまり、200億ドルを投資して、20年で610億ドル稼がないと元利金が回収できないという計算だ。
この時点で、金融の専門家なら誰でも「あり得ない」と即答する。
このIRRというのが収益率のことだ。それがまさかの16%だ。この16%がどれだけあり得ないかを解説しよう。
世界の発電事業のIRRは「5〜8%」が常識
韓国政府の対米投資は発電事業(ガス複合発電)だが、世界のIPP(独立系発電事業)のIRRは以下が標準。
ガス複合:5〜7%
太陽光:6〜9%
風力:6〜8%
原子力:4〜6%
つまり、16%は常識の2倍以上の異常値。
発電事業は規制・燃料価格・送電網制約などで収益が跳ね上がらないため、韓国政府の試算は最初から成立しない。
まあ、この時点で論理が破綻するわけだが、1年で16%の収益なんて、普通に聞いても詐欺を疑うべきレベルである。例えば、こちらが以前に薦めた世界株式(オルカン)でも、だいたい良くて6~8%程度である。まとめておくとこうなる。
① 世界の投資の長期平均は「6〜8%」
歴史的データで見ると、主要資産の長期平均リターンは以下。
世界株式:6〜8%
米国株式:7〜8%
不動産:4〜6%
インフラ投資:5〜8%
国債:3〜4%
つまり、16%は常識の2倍以上の異常値。
あくまでも平均なので個別ならそれ以上もあり得るんだが、まず10%なんて収益率は難しい。インフラ投資しても2倍の16%なんてどれだけ荒唐無稽なのか。そもそも16%も稼げるなら、米国が単独でやってるわ。
話は少し脱線したが記事の続きを見ていこう。
1. 「必要収益610億ドル」と「IRR 16.68%」の整合性
200億ドルが20年で610億ドルになる投資など存在しない。
これはを計算すると以下の通りとなる。
記事にある「200億ドルの投資に対し、20年間で610億ドルの回収、必要IRR 16.68%」という数字は、プロジェクトファイナンスのキャッシュフロー計算として辻褄が合っている。
- 20年間で累計610億ドルを回収する場合、年平均のフリーキャッシュフロー(FCF)は約30.5億ドルとなる。
- 初期投資200億ドル(事業費増額で223億ドル規模)に対し、毎年約30億ドルの純現金流入が20年間続くモデルで割引率を逆算すると、内部収益率はまさに14〜16%台へ着地する。
- 判定: ハンギョレが報じた数値そのものは、政府内部で回された「過酷な回収試算」の生データであり、極めてリアルな数字である。
2. 複利計算の補正(200億ドル × 1.16²⁰)
- 本文の記述:「200億ドル×(1.16)²⁰ ≒ 2,000億ドル」
- 厳密な計算:$1.16^{20} \approx 19.46$ 倍となるため、$200\text{億ドル} \times 19.46 \approx$ 3,892億ドル(約3,900億ドル)。
- 補正点: 提示された「2,000億ドル」という概算は控えめすぎるほどであり、実際は投下資本の約19.5倍(約3,900億ドル)に膨張する計算となる。年16%で20年回すという前提がいかに荒唐無稽かが、より鮮明に浮き彫りとなる。
3. 「資産が3倍になる年数」の数理的整理
元本(200億ドル)が一括投資の複利運用で3倍(600億ドル)になる理論年数は以下の通りである。
- 年利5%: 約22.5年($\ln(3)/\ln(1.05)$)
- 年利6%: 約18.8年
- 年利7%: 約16.2年
- 年利8%: 約14.3年
- ※本文の「年5%で35年」という数値は、毎年の利息から税金や元本均等償還を差し引いて手元に残る純キャッシュの累積ペース(年金型回収)としては妥当な感覚値だが、純粋な複利計算($1.05^t = 3$)で比較する場合は「5%なら約23年、8%でも14年以上かかる」
でも、これはあくまでも複利計算だ。インフラ投資は複利ではなく「キャッシュフロー型」で計算する。これも複雑であるのだが計算するとこうなる。
キャッシュフロー型による数理試算
初期投資 $C_0 = 200\text{億ドル}$、回収期間 $T = 20\text{年}$ として計算します。
- 試算①:20年で名目610億ドルを「均等回収」する場合
- 毎年の必要キャッシュフロー:$610\text{億ドル} \div 20\text{年} = \mathbf{30.5\text{億ドル/年}}$
- 内部収益率(IRR)の計算式:$$-200 + \sum_{t=1}^{20} \frac{30.5}{(1 + \text{IRR})^t} = 0$$
- 年金現価係数は $200 \div 30.5 \approx 6.557$ となり、これを解くと IRRは約14.18% になります。
- 試算②:記事の前提である「IRR 16.68%」を達成する場合
- IRRが16.68%のときの20年年金現価係数は 約5.719 です。
- 毎年の必要キャッシュフロー:$200\text{億ドル} \div 5.719 \approx \mathbf{34.97\text{億ドル/年}}$
- 20年間の累計回収額:$34.97\text{億ドル} \times 20\text{年} \approx \mathbf{699.4\text{億ドル(約700億ドル)}}$
いずれの試算をとっても、投資を回収するためには「毎年30.5億〜35億ドルの純現金流入(フリーキャッシュフロー)」を20年間1年たりとも欠かさず生み出し続ける必要があります。
このように計算されるそうなのだが、難しい計算式よりも重要なのは一点だ。「毎年30〜35億ドルの純キャッシュを20年間出し続ける発電事業」など、現実にはほぼ存在しない。そんな高収益が本当に可能なら、米国が韓国を待つ理由はどこにもない。
なぜこんな「夢見計算」になったのか
記事内容から読み取れる理由は以下の通り。
① 米国が「リスクプーリング」を拒否
当初はAプロジェクトが赤字
Bプロジェクトが黒字で 合算してリスクを相殺する方式
だったが、米国はこれを拒否し、プロジェクトごとに収益・損失を精算する方式へ変更。つまり、韓国が失敗したら韓国だけが損する。米国は損しないことになった。
② 韓国政府が「均等返済モデル」という最悪の計算式を採用
国家間インフラ投資では通常あり得ない
銀行ローンのような均等返済モデルを使ったため、必要収益が跳ね上がった。
● ③ 事業費が米国側要求で12%増額
事業費が198億ドルで223億ドルに増額。当然、必要収益も増える。
このように書いてあるが大事な点を上げるなら、韓国は完全にはめられたんだよ。
元利金回収ができない不平等条約である
このハンギョレの報道が暴いた最大の真実は、「韓国政府が自ら進んで高収益を目指している」のではなく、「米国の過酷な要求条件をすべて呑まされた結果、IRR 16%超という奇跡が起きない限り元利金回収ができない不平等条約に嵌め込まれた」と解釈できる。だって収益率16%なんてあり得ない。
さらに、米国側は、リスクプーリングを拒絶して自国の損害を完全遮断し、事業費を12%上乗せして自国の建設・資材需要を潤し、商業リスクのすべてを韓国側の劣後出資に背負わせた。
この搾取構造を糊塗するために、韓国政府が持ち出してきたのが「AIブームでテキサスの電力が逼迫しているから利益率が跳ね上がる」という願望込みの楽観論である。
「インフラ投資はローリスク・ロングタームで時間をかけて回収するもの」という基本原則を完全に踏みにじり、博打のような前提を置かなければ説明がつかない時点で、この対米投資は経済的合理性を欠いた「朝貢外交のツケ」である。ハンギョレ新聞が言いたいことはこれである。
それで記事後半にだましを入れた。
記事は後半で、米国テキサス州の電力需要急増(AIデータセンター需要)を根拠に、
発電企業の営業利益率が急上昇
テキサス州のガス複合発電は収益性が高い
韓国企業が参入すれば利益を確保できる可能性もある
と述べている。
しかしこれはあくまで「市場環境が良ければ」という条件付きの話であり、韓国政府の“均等返済モデルによる16%必要”という試算の誤りを覆すものではない。
いやいや、インフラの意味を理解しているのか?インフラは時間はかかるが、確実に投資を回収できるという意味=高収益ではないぞ。むしろ、低収益で時間をかけて回収だ。だから、正しくは200億ドルを600億ドルするには40年かかる計算が普通となる。これで年利7%だ。これがさっきの通常インフラの収益率で計算すれば出てくる数字だ。
だが、この40年回収にも問題がある。なぜなら、インフラ施設は老朽化するからだ。この理由も解説しよう。
実務・物理的に「40年均等回収」が不可能な4つの理由
ガス複合火力の物理的寿命(25〜30年の壁)
ガス複合火力発電所(CCGT)の主要機器(ガスタービン、耐熱ブレード等)の経済的耐用年数は通常25年〜30年。30年を超えて運転を継続する場合、大規模なリパワリング(設備の再換装・追加投資)が必須となる。追加投資を行わずに「40年間、初年度と同じキャッシュを均等に稼ぎ続ける」ことは工学的に不可能。
座礁資産(Stranded Asset)化リスク
40年間の回収を前提とすると、運用終了は2060年代半ばになる。米国電力網における再生可能エネルギー、次世代原発(SMR)、定置型蓄電池の急速な普及を考慮すると、2040〜2050年代以降に化石燃料(ガス火力)の稼働率がピーク電源並みに低下することは確実視されている。稼働率低下に伴い売電収入が激減するため、後半のキャッシュフローを均等に維持することはできません。
プロジェクトファイナンスの返済プロファイル(均等キャッシュの不成立)
インフラ投資の融資(シニアローン)期間は通常15年〜20年であり、40年ローンは存在しません。
1〜20年目: 巨額の元利金返済(デットサービス)が引かれるため、出資者(韓国側)への分配可能キャッシュは薄くなる。
21〜40年目: 借入完済後にキャッシュが増加する。
したがって、現実のインフラファイナンスでキャッシュフローが40年間「均等」になることはあり得ず、初期の回収ペースはさらに遅くなる。
「米国側が突きつけた20年返済条件」との矛盾
最大の決定打は、ハンギョレが報じた通り「米国側が20年での償還・精算を前提にスキームを組んでいる」点。インフラとして本来40年かけるべき回収を、米国の要請で「20年」に圧縮され、リスクプーリングまで拒否されたからこそ、「毎年30億ドル超・IRR 16%超」という架空の数字を作らざるを得なくなったのが実態。
結論
「40年・名目610億ドル均等回収」は、机上の金融利回り(IRR 7.16%)としては極めて健全かつ妥当であるが、プラント寿命(30年)と米国の契約条件(20年償還)によって現実には選択できない空論である。
本来なら40年スパンで設計すべき低利回りインフラ事業を、20年の短期・高圧的な返済条件に押し込められた結果、金融モデルが自壊したという構図を完璧に証明している。
こちらの40年なら可能という考察も机上の空論であり、現実で40年でのインフラを動かすことでの老朽化・追加コストなどを含めれば40年ですら回収できない。
それを20年で償還というのだから、この時点で論理が破綻している。最初に述べたとおり、あまりにも計算が夢見すぎて最高に笑えるとはこのことである。
じゃあ、投資する価値ないじゃん。ええ、ありませんとも!
いやいや、ここまでやってそれはないだろう。そもそも投資する価値がないのに米国はなんで押しつけたんだよ。これが韓国が米国の輸出で稼いだ「代価」の代わりなんだよ。
米国からすれば韓国に高い代価を払っている。そして、米国がいなければ韓国は半導体で稼げていない。その代価を請求されているんだよ。もっとも20年で償還できないから、投資したところで韓国が丸損するだけだけどな。
これで日本よりましらしい合意なので頑張ってくれよ。
