「韓国の金融システム最大のリスク要因…不動産市場沈滞と家計負債」ー米銀行の半分が破たんする可能性(動画)

韓国金融 FOMCで米利上げが0.25%と決定して米韓金利差が1.75%まで拡大したわけだが、今後、問題となってくるのは米国の景気と米銀行の金融不安である。それについてはダウが二日間で-670ドルも落ちたこともあり、米国の大手銀行以外は苦しい経営をさらに迫られる事態となっている。しかも、このまま行けば米銀行の半分が破綻するという恐ろしい可能性すら出てきた。

では、韓国の金融システムは大丈夫なのか。実際、韓国の銀行は米国より利上げは低い。そういう意味ではまだ危険な信号はそこまで大きく出ていない。ただ、韓国では不動産バブル崩壊と家計債務の問題がある。特に不動産バブル崩壊は韓国銀行にとっては痛い。今まで住宅を担保に融資してきたのに、その住宅の価格が下がれば。自然と審査基準は厳しくなる。つまり、貸し渋りが発生する。

二束三文の不動産を借主から手に入れても、それを売ろうにも買い手が見つからない事態まである。だからこそ、政府は必死で不動産価格を釣りあげようとしているわけだが、その効果はあまり出ていない。家計債務については以前に出てきたが、リボ払いと延滞率がどんどん上昇している。家計債務の残高が増えてないのは元本と利息凍結の政府処置が9月末まで有効だからだ。

そういった事情もあり、韓国の金融システムは盤石ではない。米国のように預金引き出しのような事態は起きてないも、警戒しているのが今回の記事だ。冒頭を軽く読んでおくと

内外の金融・経済専門家は現在の韓国の金融システムの最大リスク要因として高い家計負債水準と不動産市場沈滞を挙げた。韓国銀行は3日、こうした内容を盛り込んだ「2023年上半期システムリスクサーベイ」の結果を発表した。これを見ていく。

では、記事の要点を整理していく。前半は韓国の金融システム最大のリスク要因が不動産市場沈滞と家計負債。後半は金融危機で米銀行の半分が破たんする可能性だ。後半の内容は俄には信じられないが、実際、金利はまた上がった。

■記事の要点

1.先月5~17日に進められた上半期のアンケート調査には、国内金融機関の経営戦略・リスク担当者、株式・債券・外国為替・派生商品運用とリサーチ担当者、金融・経済関連協会と研究所スタッフ、大学教授、海外金融機関の韓国投資担当者ら76人が答えた。回答者が金融システムのリスク要因として最も多く挙げたのは「不動産市場沈滞」で18.4%に上った。「企業業況と資金調達環境悪化にともなう不良化リスクの増加」が13.2%、「国内金融・外国為替市場の変動性拡大」が10.5%、「金融機関の貸付不良化と偶発債務の現実化、大規模資金引き出しの可能性」が10.5%)、「経常収支赤字持続」が7.9%などとなった。

2.重要度と関係なく回答者が選択した5つの主要リスク要因を頻度基準で集計した結果、対内要因としては「家計の高い負債水準と償還負担増加」が53.9%、「不動産市場沈滞」が48.7%、「金融機関の貸付不健全化と偶発債務の現実化、大規模資金引き出しの可能性」が43.4%などとなった。対外リスク要因としては「米国の通貨政策緊縮長期化」が28.9%で最も多かった。

回答者は企業不良化リスク、金融機関の貸付不健全化、経常収支赤字、不動産市場沈滞など家計負債を除いた主要リスクは主に1年以内の短期的に、家計負債関連リスクは1~3年の中期的にリスクが顕在化する可能性が高いとみた。

3.単純回答数基準で昨年11月に続き今回の調査でも「家計負債リスク」が最も高い回答率を示し、「不動産市場沈滞」の回答率は36.1%から48.7%に上昇し主要リスク要因に浮上した。

4.シリコンバレー銀行(SVB)に続き、最近、ファーストリパブリックまで、2ヵ月間で米国銀行4往が相次いで経営破たんし、銀行危機の恐怖がなかなか収まらない。今回も、米最大手銀行であるJPモルガンがファーストリパブリックを買収し、急場しのぎの火を消したが、地域・中小銀行のドミノ倒産が続きかねないという懸念が頭をもたげている。

5.JPモルガンのジェームズ・ダイモン会長は、ファーストリパブリックの買収後、「銀行危機は事実上終わった」と言ったが、金融専門家たちは、「今始まったばかりだ」という警告を吐露している。スタンフォード大学のアミット・セル教授は、最近の報告書で、「米国の4800行のうち半分近くが資本食い込みに陥り、潜在的に破たんリスクを抱えている」と試算した。最悪の場合、1600余りの銀行で、取り付け騒ぎが起きる可能性があると見ている。

6.特に、金利引き上げなどの影響で、米国の商業用不動産市場が低迷に陥り、地域銀行の不良を加速化させるだろうという懸念が高まっている。5兆6000億ドルに達する米商業用不動産融資の3分の1が、中小銀行に集中しているためだ。第1四半期の米オフィスの空室率は19%で、31年ぶりに最高に高騰し、大手機関投資家でさえ、最近オフィス担保融資の利息を返済できず危機の兆候を高めている。

7.ノンバンクの115兆ウォン台の不動産プロジェクトファイナンス(PF)と、天文学的な家計負債が危機の引き金として潜んでいる韓国も、他人事ではない。証券会社のPF延滞率はすでに8%を越え、銀行・カード・貯蓄銀行・貸付業など、金融圏全体で借金を延滞する限界家計と企業が増えている。

以上の7つだ。それでは順番に見ていこう。

それで1だが、実際、韓国の不動産バブルはどうなっているのか。それについては興味深い記事がある。そもそも不動産を買うには売る側と買う側の間に立つ、「仲介者」がいるわけだ。つまり、その仲介業者の新規事業を見れば、韓国の不動産がどうなっているかが透けて見えてくるわけだ。もちろん、昨年からバブル崩壊中なので悪い予測ができるわけだ。では、引用しておこう。

韓国で今年1月に全国で新規開業した仲介業者は1273社にとどまったことが韓国公認仲介士協会の調べでわかった。協会が月別開閉業現況を集計し始めた2015年以来、歴代最小値だ。前年同期(1993カ所)と比べると36%急減した水準だった。

通常、毎年1月は1年のうちで公認仲介業者の新規開業が最も多い時期だ。毎年11月末に合格者が発表され、12月に教育を終えた公認仲介士が本格的に開業する時期であるためだ。

だが、今年1月に開業した公認仲介士の数は、今月廃業(1111人)や休業(130人)を選んだ仲介士を合わせた1241人と、たった32人の差しかなかった。 このように公認仲介業者が不況を免れずにいるのは、昨年から続いた取引激減のためだ。国土交通省によると、今年1月の全国住宅売買取引は2万5761件で、集計が始まった06年1月(1万6150件)以来17年ぶりの最低値を記録した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/88d8ffcf69d89606136fffc18c611ddbdfa52fa4

新規に開業した公認仲介しのかずが、今月廃業した仲介士とわずか32人の差。明らかに不動産の取引激減が続いてることがわかる。なので、5月に入ってもそこまで好転しているとは思えない。それで、金融システムのリスク要因として最も多く挙げたのは「不動産市場沈滞」で18.4%と。まあ、これは当然の結果といえる。韓国では不動産価格は上がるものだという神話が未だに根強い。だが、貸出金利の上昇でそれも終わりを迎えた。中国のように数年は立ち直れない状態となるかは知らないが。

次に2と3が、韓国の金融不安で最もわかりやすい回答だろう。その中で、家計の高い負債水準と償還負担増という。先ほど少し触れたが家計債務の増加は鈍化したが、それは単純に金利が上がってお金を借りにくくなった。だから、韓国人の「消費」が落ちているわけだ。例えば、日本旅行に行ったときにどうして韓国人が日本のコンビニ弁当や安い食事を探すのが話題になるかは簡単だ。金がないからだ。金がないのに日本へ旅行するなと突っ込みたいが、もう一つ重要なのは韓国の輸入が減っているてことだ。

これは個人が消費を減らしたことで、それだけ物が売れない。輸入減という推測が成り立つ。確かに輸入が減れば貿易赤字は解消されるが、それでGDPが増えるはずもないので民間消費が回復しないなら、成長率も期待できない。

では、家計債務の問題は解決するのか?これにはいくつかのシナリオが考えられるが、韓銀の利下げタイミングが重要だと思われる。そして、今回のFOMCで利上げ0.25%と凍結示唆があったので、韓銀が利下げするなら今年の8月か、9月ぐらいになる。米国の金利が凍結と考えたら、もっと早く利下げするかもしれない。利下げすれば変動金利なら利息は下がる。もっとも上がるのは早くても、下がるのは遅いだろうな。

それで4月は米銀行が連鎖倒産する可能性だ。それで5が驚きだが、もう一度、読んでおこうか。

金融専門家たちは、「今始まったばかりだ」という警告を吐露している。スタンフォード大学のアミット・セル教授は、最近の報告書で、「米国の4800行のうち半分近くが資本食い込みに陥り、潜在的に破たんリスクを抱えている」と試算した。最悪の場合、1600余りの銀行で、取り付け騒ぎが起きる可能性があると見ている。

おいおい、こんなことになれば世界経済はメチャクチャだぞ。4つの銀行が破綻だけでもお騒ぎというのに。さすがにないと言いがたいが、銀行の信用がいかにもろいかなんて、今回の銀行破綻で思い知らされたばかりだ。金融危機は米利上げでさらに深刻化したとみたほうがいいだろうな。

そして、6は商業用不動産融資、5兆6000億ドルの3分の一が地方銀行。これはヤバいだろう。なんせドルだぞ。円でもヤバいのにドルだぞ。円換算だと約754兆円だ。それの3分の一でも287兆円だぞ。こんなの焦げ付いたら米国はどうなるんだよ。

最後の7は韓国も他人事ではないぞ。プロジェクトファイナンス、PFは韓国でも住宅価格が落ちていたり、消費が低迷でテナント使用率が減れば、当然、銀行にとって不良リスクとなってくる。米国が先なのか。韓国が先なのか。それはまだ予測出来ないな。リードは米国てところだ。

さて、記事は終わりだが、日本経済の話題として岸田総理の訪韓を取りあげておかないと行けない。聯合ニュースで訪韓した岸田総理がユン氏がどんな会談するか書いてあるので引用しておく。

【ソウル聯合ニュース】韓国大統領室の李度運(イ・ドウン)報道官は4日の記者会見で、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が7日に岸田文雄首相と会談し、安全保障や先端産業、若者の交流などについて協議すると明らかにした。

尹大統領と岸田首相は少人数会合と全体会合を行った後、共同記者会見を開く。会談後は両首脳夫妻が参加する夕食会が行われる。

 李氏は岸田首相の訪韓について、「(首脳が相互に往来する)『シャトル外交』が本格的に稼働するという意味がある」と述べた。尹大統領が3月に訪日した際、両首脳はシャトル外交の再開に合意していた。

 ただ、今回の会談で共同宣言などが発表される可能性は高くないようだ。大統領室関係者は記者団に、「共同記者会見で何らかの宣言が発表されることは難しいと思う」とし、「協議を経て、首脳会談で決める問題」と述べた。

 首脳会談で若者の交流に向けた基金の設立を発表するとの報道に関しては、「韓日を含むすべての国で首脳間の協議が行われる際、未来世代のために何をするかは非常に重要な関心事のため、それに応じて協議が行われるのではないかと思う」と説明した。

 首脳会談の議題に東京電力福島第1原子力発電所の処理済み汚染水の海洋放出問題が含まれるかどうかについては、「まだ議題に関する協議が終わっていないため、どのような結論が出るかは分からないが、懸案からあえて除外する必要はないと思う」と明らかにした。

https://jp.yna.co.kr/view/AJP20230504003100882

まあ、会談内容は妥当だよな。もう、グループAの復帰が出てきた以上、これ以上、日本の傷口を広げないためには日韓通貨スワップや、韓国のTPPへの参加などは絶対に阻止しないといけない案件だ。ただ、TPP参加するには福島産の輸入を解禁するという最大ハードルがあるので、ユン氏が海洋放出でどういう結論を出すかは重要だろう。まあ、ユン氏がこれ以上、支持率を下げないためには妥協はしないと思われるが。

内外の金融・経済専門家は現在の韓国の金融システムの最大リスク要因として高い家計負債水準と不動産市場沈滞を挙げた。韓国銀行は3日、こうした内容を盛り込んだ「2023年上半期システムリスクサーベイ」の結果を発表した。

韓国銀行は2012年から年2回、内外の金融・経済専門家を対象に韓国の金融システムの主要リスク要因を調査している。

先月5~17日に進められた上半期のアンケート調査には、国内金融機関の経営戦略・リスク担当者、株式・債券・外国為替・派生商品運用とリサーチ担当者、金融・経済関連協会と研究所スタッフ、大学教授、海外金融機関の韓国投資担当者ら76人が答えた。

回答者が金融システムのリスク要因として最も多く挙げたのは「不動産市場沈滞」で18.4%に上った。

「企業業況と資金調達環境悪化にともなう不良化リスクの増加」が13.2%、「国内金融・外国為替市場の変動性拡大」が10.5%、「金融機関の貸付不良化と偶発債務の現実化、大規模資金引き出しの可能性」が10.5%)、「経常収支赤字持続」が7.9%などとなった。

重要度と関係なく回答者が選択した5つの主要リスク要因を頻度基準で集計した結果、対内要因としては「家計の高い負債水準と償還負担増加」が53.9%、「不動産市場沈滞」が48.7%、「金融機関の貸付不健全化と偶発債務の現実化、大規模資金引き出しの可能性」が43.4%などとなった。対外リスク要因としては「米国の通貨政策緊縮長期化」が28.9%で最も多かった。

回答者は企業不良化リスク、金融機関の貸付不健全化、経常収支赤字、不動産市場沈滞など家計負債を除いた主要リスクは主に1年以内の短期的に、家計負債関連リスクは1~3年の中期的にリスクが顕在化する可能性が高いとみた。

「不動産市場沈滞」は相対的に発生の可能性と金融システムに及ぼす影響力がいずれも大きい要因と評価された。

単純回答数基準で昨年11月に続き今回の調査でも「家計負債リスク」が最も高い回答率を示し、「不動産市場沈滞」の回答率は36.1%から48.7%に上昇し主要リスク要因に浮上した。

金融システム危機を招く衝撃が1年以内の短期に発生する可能性が「非常に高い」または「高い」と答えた割合は昨年11月の58.3%で今年4月には36.8%まで下落したのに対し、「低い」または「非常に低い」は5.6%から27.7%に上昇した。

1~3年の中期的に衝撃が現れる可能性に対しても「非常に高い」または「高い」は40.3%から34.2%に下落したが、「低い」または「非常に低い」は15.3%から27.6%に上昇した。

シリコンバレー銀行(SVB)に続き、最近、ファーストリパブリックまで、2ヵ月間で米国銀行4往が相次いで経営破たんし、銀行危機の恐怖がなかなか収まらない。今回も、米最大手銀行であるJPモルガンがファーストリパブリックを買収し、急場しのぎの火を消したが、地域・中小銀行のドミノ倒産が続きかねないという懸念が頭をもたげている。

サンフランシスコに基盤を置いて1985年に設立されたファーストリパブリックは、資産規模14位の銀行に成長したが、SVBの閉鎖後、取りつけ騒ぎに苦しみ崩壊の手順を踏んだ。この影響で、一昨日、ニューヨーク証券市場ではロサンゼルス基盤のウエストパック銀行が28%暴落するなど、全米の中小銀行の株価が軒並み下落した。地域銀行を集めた指数は、約3年前の水準に戻った。

JPモルガンのジェームズ・ダイモン会長は、ファーストリパブリックの買収後、「銀行危機は事実上終わった」と言ったが、金融専門家たちは、「今始まったばかりだ」という警告を吐露している。スタンフォード大学のアミット・セル教授は、最近の報告書で、「米国の4800行のうち半分近くが資本食い込みに陥り、潜在的に破たんリスクを抱えている」と試算した。最悪の場合、1600余りの銀行で、取り付け騒ぎが起きる可能性があると見ている。

特に、金利引き上げなどの影響で、米国の商業用不動産市場が低迷に陥り、地域銀行の不良を加速化させるだろうという懸念が高まっている。5兆6000億ドルに達する米商業用不動産融資の3分の1が、中小銀行に集中しているためだ。第1四半期の米オフィスの空室率は19%で、31年ぶりに最高に高騰し、大手機関投資家でさえ、最近オフィス担保融資の利息を返済できず危機の兆候を高めている。

ノンバンクの115兆ウォン台の不動産プロジェクトファイナンス(PF)と、天文学的な家計負債が危機の引き金として潜んでいる韓国も、他人事ではない。証券会社のPF延滞率はすでに8%を越え、銀行・カード・貯蓄銀行・貸付業など、金融圏全体で借金を延滞する限界家計と企業が増えている。このような状況で、誤って火がつくと大きな危機につながりかねない。政府と金融界は、米国発銀行危機がもたらす危険に備え、さらに高くて強い防波堤を築かなければならない。特に弱い輪であるノンバンクに対するリスクを先制的に遮断し、流動性・健全性基準を一層強化しなければならない。

https://www.donga.com/jp/home/article/all/20230504/4133011/1

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