韓国 韓国経済を16年ほど看取っているこちらは韓国経済の「変化」というものを最近は色々と感じるようになった。16年もあればそれは変化もあるだろうと思うかもしれないが、問題は変化とは良い意味でも、悪い意味でも使われるてことだ。もちろん、こちらが感じる変化は韓国経済の状況がどんどん悪化しているてことだ。
こちらは2023年上半期を未曾有の韓国経済危機が来ると断言して、2022年辺りから注目していた。そして、予想通り2023年の上半期はこちらが想定するよりも酷いものだった。韓国の輸出が激減して過去最大の貿易赤字、高金利・高物価で内需は振るわない。無能なユン政権も後押しもあって韓国経済はそのまま崩壊する直前まで追い詰められた。
2023年の貿易赤字は100億ドルであり、2022年の472億ドルの方が圧倒的に多いのだが、2023年の貿易赤字が減ったからくりは輸出が激減したからだ。貿易収支というのは輸出額と輸入額を引いたものだ。だから、輸出が振るわなくて、それ以上に輸入が減れば貿易赤字は減る。
そして、2023年の上半期に韓国企業の在庫資産が235兆ウォンほどあった。韓国企業は積み重なる在庫資産をバナナの叩き売り価格、二束三文で売っていった。そのため、韓国企業の借金が2023年に過去最大に急増するわけだが、反対に製品の減産、工場稼働率を減らして対応したことで、原油や原材料の輸入は激減した。
これが2023年に貿易赤字が100億ドルの真相である。輸入を減らせば貿易赤字は減る。2023年が2022年よりもましだったのか。少なくとも2023年の上半期が一番きつい時期であったことほぼ間違いない。
では、2023年の下半期から韓国経済は回復してきているのか。ここで重要なのが現在に続く二つの状況だ。1つ目は輸出は半導体が好調で回復している。半導体輸出が好調なのはアメリカだけではなく中国も買ってくれるからだ。
なぜ、中国が韓国の半導体を買うようになったかは、新しい対中半導体規制の前にサムスン電子のチップを買い集めてるから。これは既に確認している。これによってHBMで苦戦していたサムスン電子の半導体輸出は増加した。しかし、サムスン電子はエヌビディアのHBMテストには未だに合格していない。数週間前に合格したというニュースはあったが、サムスン電子がそれを否定したという。しかも、近いうちに供給が決まったニュースが流れるといいながら、数週間経過しても何も出てこない。
発表できない理由はいくつか思い当たるが、エヌビディアの新商品にサムスン電子のチップを使ってみたが、何らかの不具合が起きた。エヌビディアはなぜか新商品の発表を数ヶ月遅らせると述べている。中国企業向けのチップにサムスン電子のHBMを使うとことにしたが、その開発が難航しているのか。この辺はただの憶測であるが、判明している事実に合格したという正式ニュースはないてことだ。
つまり、サムスン電子が崖っぷちである事実に変化はない。このように韓国輸出は柱となる半導体輸出が好調で回復している。では、二つめの状況を見ていこう。
もちろん、輸出、外需と対となるのが内需である。問題はこの内需が2022年以降に韓国がアメリカの金利に合わせて、政策金利をあげていったことで内需がどんどん悪化しているてことだ。
内需の低迷は高物価・高金利が続く限り終わりはこない。昨年、自営業が100万件近く廃業したわけだが、これも内需が壊滅しているから。自営業は韓国の全就業者数の25%あったのだが、今はもう20%程度しかない。ここ5年で5%も減ったのだ。減った理由の一番は文在寅政権から始まる最低賃金の大幅な上昇である。
次にコロナがあって、さらに高金利・高物価となる。内需は本当にコロナ禍という酷い時期から抜け出したと思ったら、コロナの後はウクライナ・ロシア戦争が始まり、原材料・原油価格の高騰である。そこに物価や金利も上昇していき、2024年も絶不調から全く抜け出せない。これが輸出と大きく異なる点だ。
つまり、簡単にまとめれば輸出は好調だが、内需は死んでいる。回復の兆しは見られずに庶民の生活はどんどん貧窮している。1日1食カップメン生活で飢えを凌ぐ低所得者。野菜や果物は高騰して贅沢品である。子供がいる中所得者でもどんどん追いやられている。先日に銀行が金を貸してくれなくなり、どうしてもお金が必要で自動車担保ローンや預金担保ローンなどが不況型融資が急増したニュースを出した。
つまり、何らかの「担保」を預けないとお金すら貸してもらえないのだ。金を貸さない理由は延滞する可能性が高いから。ここに内需低迷による建設業の不況や、不動産PF融資の焦げ付きなども影響してくるわけだ。たまに不動産ファイナンスとか、難しい話題を取り上げてるのは横の繋がりを知っているからだ。経済や金融ニュースを読み取るときに大事なのはそれが全体にどう影響していくかである。
普通、不動産ファイナンスの話題が、実は庶民の生活に影響すると言われても実感が沸かないだろう。でも、銀行の視点から見れば当然、そうなるのだ。なぜなら、銀行は庶民の預金を集めて、それを個人や企業に貸すのだから。この場合の企業を建設業と言い換えると、わかりやすくなるだろう。建設業に融資したお金が回収できないなら、庶民に金を貸す比率も減らされるのは普通のことだ。だから、金融ニュースというのはある程度の金融知識があれば、横の繋がりが読み取りやすくなり、面白くなるわけだが、実際、そこまでいくにはかなり難しい。
でも、浴びるほど関連ニュースを読めばその段階に到達は可能だ。確かに色々と難しい用語も出てくるが、大事なのは「なぜ、そうなるのか」である。こちらは韓国経済に影響するアメリカの金利動向についてもわりと予測しているが、利下げの時期についても慎重だった。昨年から利下げは遅くなると予想していたわけだが、それも米経済指標を読み取っての独自の判断である。市場の楽観論には全く流されてない。
だから、韓国経済でも慎重に動向を把握していくので、その「変化」というものをとらえる。担保ローンの急増というのは明らかに「悪い変化」なのだ。韓国の家計債務の7割は不動産ローンであった。しかし、不動産ローンより、生活に直結する融資が増えている。つまり、次の段階に入ったてことだ。
このような変化が「融資」の現場で起きているわけだが、実はもう一つは働き方に大きな変化がある。もちろん、悪い変化である。
では、記事を引用しよう。
全羅北道(チョルラブクト)でパネルを製造する中小企業A社は今年初め、新規人材を採用するという採用公告を出した。だが、現在まで志願者が「ゼロ」だ。A社関係者は「電話の問い合わせだけが何度かあった」として「地方に位置しているうえに、若い人たちが製造業を避けているので仕方がない」と話した。A社は直ちに必要な人材は近隣に居住する50・60代の住民たちで満たして工場を稼動している。
若者の製造業離れが加速化している。昨年に続き今年も製造業を抜いて20代就業者数1位を記録した業種は宿泊・飲食店業となった。新型コロナがが落ち着き、サービス業分野の雇用が増えたうえに、高卒者の減少、地方・中小企業離れなどが影響を及ぼしたという分析だ。
製造業は関連統計が始まった2014年から2022年まで(毎年6月基準)一度(2019年)を除けば、20代就業者が最も多い業種だった。だが、一時70万人を超えた関連就業者数は現在50万人台序盤に減り、昨年からは順位も宿泊・飲食店業に押されて2位に下がった。
20代前半の高卒就業者が減ったことも影響を及ぼした。イム課長は「かつては公告を中心に高校卒業者が製造業分野に多く志願したが、最近はすぐに就職するより学業を続ける割合が増えている」と話した。昨年、高卒者(15~29歳)の就業者は前年比5万3000人減少した168万7000人となった。統計が始まった2014年以降、コロナパンデミックがあった2020年(-5万8000人)を除けば、最も大きな減少幅だ。
より根本的な問題は、若者の地方・中小企業離れが深刻化している点だ。製造業の場合、ほとんどが地域に位置し、定住条件が良くなく、厳しい業務強度でいわゆる「3K業種」に分類される。漢城(ハンソン)大学経済学科のパク・ヨンボム名誉教授は「中小製造企業の場合、労働は厳しく年収は低いので、むしろ首都圏に位置したサービス業に従事しようとする若者が増えている」と話した。最低賃金が急激に上昇した点も若者が宿泊・飲食店業のような短期雇用を好むようになった背景として指摘される。
雇用の質が低くなるのも問題だ。中央(チュンアン)大学社会学科のイ・ビョンフン名誉教授は、「製造業は熟練すれば一生働くことができる。だが、宿泊・飲食店業は技術を要求しない短期雇用が多い」と話した。20代就業者の地位を見ても臨時・日雇いの割合が30.6%で1年前(28.8%)より増加した。
「工場は地方にあるから」…首都圏の飲食店に就職した韓国の20代 | Joongang Ilbo | 中央日報 (joins.com)
韓国の若者が製造業を嫌い始めた。しかも、2014年から2022年までは20代就業者が最も多い業種だった。まさにこれは「悪い変化」だろう。そして、韓国経済が製造業によって支えられていることを考慮すれば致命的である。現在、韓国の製造業を支えるのは高齢者と外国人である。その高齢者は再雇用されて給料が半減した元社員だったりするわけだ。
製造業の工場が地方にたくさんあるのは当然だ。なぜなら、地方でなければ大きな敷地が必要な土地を買えないからだ。でも、韓国人はソウルに集まりたがる。若者だってみんなソウルが大好きだ。ソウル一極集中は地域経済を疲弊させるだけだが、これは何処の国でもよくある「逆ドーナツ化現象」というものだ。
地方に住んでいたけど、やっぱり都会が住みやすい。まあ、韓国の場合はドーナツ化現象が起きてる段階かどうかすら怪しいが。とにかくソウルに人口が集中する。人が集まれば自然と仕事が増える。ソウルは韓国の首都であり、国際空港の玄関口でもあるので、外国人の観光客もソウルに訪れる。宿泊・飲食などのサービス業の仕事も多いてことだ。専門家の指摘はまさに「変化」だよな。
「中小製造企業の場合、労働は厳しく年収は低いので、むしろ首都圏に位置したサービス業に従事しようとする若者が増えている」と述べており、最低賃金が急激に上昇した点も若者が宿泊・飲食店業のような短期雇用を好むようになったと。
最低賃金の上昇で若者は楽なサービス業を好むようになった。しかし、楽な仕事というのは代わりがいくらでも効くということだ。韓国の場合は最低賃金が全国一律というのも影響してそうだ。
さて、製造業は技術を覚えれば、そこで一生働くことができるが、宿泊や飲食などのサービス業はそうはいかない。ほとんど忙しい時期の短期雇用だ。収入が安定しない。すると結婚する前にマイホームを買うのが難しい。そんな短期雇用の信用スコアで銀行が金を貸してくれるわけがない。これが少子化にも繋がるわけだ。
若者の製造業に対するイメージがどんどん悪化している。そして、楽なサービス業に流れる。この変化は韓国人をどんどん貧しくさせる。しかも、若者は自分に合う仕事がないと働かない。
では、記事を引用しよう。
今年初めソウルの4年制大学を卒業したイさん(28)は、最近就職準備をやめ大田(テジョン)にある実家に戻って休んでいる。人文・商経系列を二重専攻した彼は昨年から就職に挑戦したが文科生の公開採用の門戸が狭まり希望の仕事が見つからなかった。イさんは「面接や適性段階まで進むこともできず書類で脱落するケースが頻繁で限界を感じた。専門職試験や考試など他の進路に変更すべきか悩んでいる」と話した。
イさんのように就職を断念しそのまま休んでいる青年層が過去最大を記録したことがわかった。韓国統計庁の経済活動人口調査によると、15~29歳の青年層のうち「休んでいる」人口は7月に前年比10.4%増えた44万3000人となった。これはコロナ禍のあった2020年の44万1000人、2021年の39万9000人より多い水準だ。「休んでいる」人口とは、非経済活動人口のうち重大な疾病や障害はないが漠然と休みたい状態にある人を意味する。先月は青年層人口815万人のうち「休んでいる」人口が占める割合は5.4%を記録した。これもまた同月基準で過去最大値だ。
青年層の「休んでいる」人口は60歳以上の高齢層を除いたすべての年齢層よりも多かった。40代の「休んでいる」人口は28万4000人を記録したし、次いで30代が28万8000人、50代が39万4000人の順で多かった。もともと「休んでいる」人口が最も多い高齢層の場合、110万1000人と集計された。
青年層で「休んでいる」人口は働く意思も不足していた。統計庁のマイクロデータを通じて分析してみた結果、青年層の「休んでいる」人口のうち「働くことを望んだか」という質問に、「望んでいない」と答えた人は全体の75.6%である33万5000人となった。4人に3人は求職意思そのものがなかったのだ。
求職の意思があるのに休んでいる残りの青年層では、「希望する賃金水準や労働条件が合う仕事がなさそう」という理由が4万5000人で最も多かった。次いで「以前探してみたが仕事がなかった」が2万人、「教育・技術・経験不足」が1万4000人、「近くに仕事がなさそう」が1万2000人、「専攻や経歴に合う仕事がなさそう」が9000人の順で続いた。
結局「良質の雇用」がないために青年層が最初から求職市場を離れているという解釈が出ている。労働集約効果を持った内需回復が遅く雇用の二極化が深まっているのだ。
過去より高学歴者が多くなり就職希望条件が高くなった影響もある。希望する仕事と残っている働き口の間のミスマッチがますます激しくなっているのだ。実際に先月の大卒(専門大含む)以上の「休んでいる」青年層人口は前年比19.8%増えたのに対し、高卒以下は4.3%の増加にとどまった。
青年層を中心とした雇用率悪化は少子化の流れとかみ合わさり産業生産性悪化につながる懸念が大きい。中長期的には産業労働者の高齢化、税収支障、晩婚にともなう少子化の悪循環など国家的損失が大きくなる。漢陽大学経済学部のハ・ジュンギョン教授は「労働市場の二重構造が解消されない状況でリタイアを先送りするベビーブーマー世代と競合までしなければならないため青年層の立場はますます狭くなっている」と明らかにした。
韓国、大卒以上の青年「ただ休んでいる」が20%増加…就職希望条件の高さも影響 | Joongang Ilbo | 中央日報 (joins.com)
ここに結論が書いてある。結局「良質の雇用」がないために青年層が最初から求職市場を離れているという解釈。これはまともな仕事がないからだ。高学歴者が増えた弊害もでている。自分は高学歴だからと普通の仕事を馬鹿にしているてやつだ。高学歴のニートよりも、普通に働いて税金を払ってる人間の方がよほど国家に貢献しているというのにな。韓国のいきすぎた教育の弊害も出ていると。
「労働市場の二重構造が解消されない状況でリタイアを先送りするベビーブーマー世代と競合までしなければならないため青年層の立場はますます狭くなっている」
これはこちらが過去に予言した通りだ。少子高齢化社会とは若者と高齢者の仕事の奪い合いが始まる社会でもある。特に韓国では日本人の平均年金よりはるかに少ない金額、月4万円程度しかもらえない。働かないと生きていけない。
今回は「変化」というワードで韓国の雇用状況を俯瞰したが、ほぼこちらの予想通りに悪化しているのは興味深いな。
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