中国の景気刺激策、手がかりは抗議活動データ-経済的苦境の実態示す

最近、中国政府の景気刺激策の期待で中国株は韓国株よりも上昇しているが、実際、景気がどうなるかなんてプロの投資家ですら判断が難しい。何しろ、中国政府が出す統計データはほぼ信用できない。

唯一、相手が必要な貿易についてはある程度、信憑性は得られるが、これだって中国企業の元安+過剰輸出で輸出増加というのがあるので、それで景気が良くなったとも言えない。このように中国の景気動向を知る上で一般的な経済指標が使えないために、投資会社やその関連は苦労しているわけだ。

顧客が知りたいのは中国経済が本当はどうなるのか。今後は良くなるのか。悪くなるのか。それについての確かな根拠はあるのか。それが判断出来ないと投資するのは難しい。それで中国の景気刺激策を動向でユニークなデータが注目されているようだ。それは抗議活動データを手がかりに見ていくというもの。

なるほど。以前に中国経済を実態を知る上で都市の夜のライトアップに注目していたが、今度は抗議活動か。これは面白いということで紹介しよう。

(ブルームバーグ): 低迷する中国経済の回復のために、習近平国家主席はどこまで踏み込むつもりなのか。それを見極めるために、過去に同国で投獄され、現在はカナダに住む中国人の反体制活動家から手がかりを得ようとする資産運用者が増えている。

  盧昱宇氏(47)はカルガリーの自宅の地下室で1日10時間、中国の検閲当局に削除される前に、社会不安に関する統計を集めようとインターネットをくまなく探す。

  同氏はその具体的な手法を明らかにはしない。集団デモの事例を記録するプロジェクト「Yesterday」の全体的な目標を危険にさらす恐れがあるからだ。

Protest in Beijing Against China Covid Measures

  盧氏の関心は政治的なものだが、無料で利用できる同氏のデータベースは、習氏がいつ景気支援策に踏み切るかを見極めるために投資家が注目している指標の一つだ。こうした中国の抗議活動を追跡する指標は増えており、一部の銀行も現在、同様の商品の開発に着手している。

  モルガン・スタンレーは9月、中国の政策転換を予測するために利用できる新たなディストレス指標を発表した。同行の中国担当チーフエコノミスト、邢自強氏は、同指標が過去10年間で2回到達した低水準に近づいていると指摘する。

  1度目は2015年に中国当局が株式相場の急落を食い止めるために抜本的な対策を講じた時期。2度目は22年に主要都市で同時多発的に発生した街頭デモを受けて、共産党が突如、厳格なゼロコロナ政策を解除した時だ。

  モルガン・スタンレーは、中国が今年2兆元(約42兆9000億円)の財政支援に踏み切り、来年にはさらに3兆元を増額すると予測している。これは、デフレ回避のために今後2年間で同行が必要だと推定している10兆元には程遠い。

  「限界点にかなり近づいている」と邢氏は指摘。それでも、現在の状況は、コロナ禍のロックダウン(都市封鎖)や15年の水準まで悪化していないため、中国当局は予想を上回る迅速な方針転換にもかかわらず、住宅や社会福祉の強化といった主要な構造改革に向け、より段階的なアプローチを取る可能性があるとの見方を示した。

Social Pressure Builds in China But Has Yet to Reach Policy Tipping Point |

Social Pressure Builds in China But Has Yet to Reach Policy Tipping Point |© CEIC, China Labor Bulletin, Morgan Stanley Research

  中国の不透明な政治体制により、政策の動きを単一の原因に帰することは難しい。しかし、中国の社会不安の事例を追跡している投資家やアナリストは、当局が景気刺激策の実施の是非や、その規模を判断する際、特にそうした社会不安に敏感になる可能性があると指摘する。中国の若年層の失業率上昇や、住宅危機の悪化に伴い、ここ数年に経済関連の抗議デモがより頻発している。

  中国の財政計画の詳細は、11月上旬に開催される全国人民代表大会(全人代)常務委員会の会議で明らかになると見込まれているが、市場では大規模な刺激策の可能性について意見が分かれている。一方、中国株は歴史的な上昇を示したが、刺激策待ちが長引くのに伴い、上げ幅が幾分縮小している。

  ブルームバーグの取材に応じた投資家は、今年に入り中国の社会的圧力の指標により注目しており、米国に本部を置く非政府組織(NGO)フリーダム・ハウスの「中国反体制派モニター」などの調査結果を追跡していることを明らかにした。同モニターは6月から盧氏のデータを取り入れている。

  モルガン・スタンレーが考案した指数は、中国人民銀行(中央銀行)や国家統計局、香港に拠点を置く労働者の権利擁護団体「中国労工通報(CLB)」のデータを分析し、パターンを抽出しようとしている。

  中国の社会不安に関する情報を収集することは、極めて困難なことで有名だ。これによって、約1年前にカナダに亡命した盧氏は既に「口論を仕掛け、トラブルを誘発」した罪で4年の実刑判決を受けている。

  抗議デモの追跡者の動向を追うだけでも、トラブルに巻き込まれかねない。海外在住の著名な抗議活動ウォッチャーで、ソーシャルメディア「X」(旧ツイッター)で170万人余りのフォロワーを持つ「李老師不是你老師」は今年に入り、警察が自身のフォロワーの一部に職務質問のため接触したことを明らかにした。

  中国で実際に何が起きているのかを把握するのは、学術研究者にとっても金融のプロにとっても難題だ。広範囲にわたる検閲、厳しい監視、反対意見の弾圧により、人口14億人の同国の経済停滞の深刻さを判断するのは困難となっている。

中国の景気刺激策、手がかりは抗議活動データ-経済的苦境の実態示す

なるほど。確かに経済的な理由での抗議デモが急増するのは社会不安の現れ。それは生活が苦しいからであり、経済の真の実態に近いてことか。しかも、中国はこの手の抗議デモの弾圧は激しい。すぐに各地に反乱の兆しがあるなら潰そうとしてくるだろう。

そもそも大規模な経済対策ができないから、少しずつしか予算を投入できないんだろう。できるなら最初からやってると思うのは間違いなのか。中国経済について分析するのはプロの投資家ですら難しい状態だ。案外、素人の分析の方が合っているのかもしれないぐらいだ。

しかし、大きな国になればなるほど実態が掴みにくいというのは厄介だよな。さらに中国政府のネット規制や監視。社会不安なんて調べていたらスパイ容疑で拘束される恐れすらある。それが経済的な理由からでもだ。政治と経済というのは深く結びついているので、経済の動向を正しく知れば、それが政治が上手くいってるのか。上手くいってないのかがわかると。もちろん、今の中国で景気が良いなんてあるはずもないが。

中国の景気刺激策、手がかりは抗議活動データ-経済的苦境の実態示す」への7件のフィードバック

  1. 奇抜な建物。スケールの大きな建築物のライトアップ。上海の夜は魔都の呼び名の如く妖艶だった。ロシア大使館となりにあるリーガルホテルは知る人ぞ知る絶景だった。星3つ。今はしらんが高級ホテルになってしまった。なるほど、ライトアップの数と高層建築物のライトで景気を測るか。おれが滞在したのは40年前後。習近平になってから治安が悪くなったようにおもう。

    1. 外灘といわれる揚子江沿いの入り江はすばらしかった。対岸には東方明珠塔や数多の高層建築物が見え、ホテルの右手には軍港らしき港がみえた。夜のライトアップは見事に尽きる。もう行かれないな、、残念!

  2. 中国のデモ。数を頼んだ大人数の波状デモ。おれの新婚旅行で遭遇した。大使館誤爆事件。朝から万里の長城に行った帰り様相は様変わり。市内にはいれないのだ。シュプレーコールを挙げながら市内を練り上げる。抗議はわかったから何無駄なことやってんのとおもった。

  3. こうして、のんびりと、仕事もないし、朝の勉強?も終わってテレビみて飯食って、寝床の中で「日本の底力」みて、正に自適の生活である。

    1. こうして、のんびりと、仕事もないし、朝の勉強?も終わってテレビみて飯食って、寝床の中で「日本の底力」みて、正に自適の生活である。
      中心人や韓国人には悪いが?

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