日別アーカイブ: 2024年7月15日

韓国 1万ウォンを超える最低賃金、いつまでどんぶり勘定で決めるのか

韓国 なんと韓国で来年の最低賃金が1万ウォンを超えることが決定した。これはムン君の果たせなかった公約がついに実現したことになる。さすが経済の大天才である文在寅大統領。少し時期は遅れたがしっかりと公約を守ったと。ここ10年で韓国の最低賃金は70%以上も上昇している。もっとも、最低賃金が上がったらからと喜んでばかりもいられない。

なぜなら、最低賃金が増えれば雇用側の人件費の負担が増加する。ただでさえ、内需壊滅で死んでいる自営業が人件費をさらに増加させる。しかも、それだけではない。韓国政府は物価が安定?してきたとか理由でガス料金を引き上げた。

これは7月1日にはガス料金見送りというニュースがあったので放置していたのだが、それからすぐ後に8月から値上げに踏み切ると路線が変更された。それだけガス公社の赤字がヤバイてことだろうが、ガス料金の値上げは物価上昇に影響する。

では、記事を見ておこうか。

来月から、住宅用都市ガスの小売料金が6.8%値上げとなる。ソウル市の4人世帯基準の月間ガス料金は、約3770ウォン増加するものと予想される。

5日、韓国ガス公社は、来月1日から住宅用都市ガスの卸売り料金を1MJ(メガジュール)当たり19.4395ウォンから20.8495ウォンへと1.41ウォン(7.3%)引き上げると発表した。これを受け、ソウル市の小売料金(卸売料金+小売供給価格)は、20.8854ウォンから22.2954ウォンへと6.8%値上げとなる。飲食店や宿泊業、銭湯などに適用される一般用卸売り料金(夏季基準で1MJ当たり17.7892ウォン)も、1MJ当たり1.3ウォン値上がりする。

民需用(住宅用・一般用)の卸売り料金は、昨年5月に1MJ当たり1.04ウォン(小売料金基準5.3%)値上がりして以来、現在まで据え置かれている。ウクライナ戦争で国際エネルギー価格が上昇したが、政府は公共料金の値上げが物価に及ぼす影響を考慮して、ガス料金の値上げを見合わせ、原価の80~90%の水準で供給してきた。

そのため、ガス公社の民需用都市ガスの未収金は13兆5000億ウォン(今年3月末基準)に膨らんでいる。2021年末に1兆8000億ウォンだった規模が、わずか2年余りで7倍以上に高騰した。未収金とは、天然ガスの輸入代金のうち、販売料金で回収されていない金額で、事実上の損失となる。昨年の純損失7474億ウォン(連結基準)まで加えれば、ガス公社の財務状況は非常に深刻な水準となっている。

ガス公社の関係者は、「現在、負債比率が600%を超えており、未収金から発生する利息費用が年間5000億ウォン以上となっている。今回の料金値上げは、安定的な天然ガスの導入のために避けられない決定だ」と明らかにした。韓国ガス公社の崔然惠(チェ・ヨンヘ)社長も、今年5月末の記者懇談会で、「安定的なガス供給のためには、早急な料金の値上げが必要だ」と強調した経緯がある。

都市ガス料金6.8%値上げ、4人世帯は月3770ウォン増 | 東亜日報 (donga.com)

ガス料金の値上げは、飲食店、宿泊業、銭湯の料金にも大きく直結する。だから、政府は今まで原価以下の料金で提供するというアホなことをしていたわけだが、それも耐えられなくなったと。

ソウル市の4人世帯基準の月間ガス料金は、約3770ウォン増加するものと予想される。

3770ウォンは日本円で433円だ。433円ぐらいの値上げならたいしたことないとおもうかもしれないが、これが年間では5196円だ。1年で5000円の値上げというのはわりと大きい。最低賃金が160ウォン上がった程度では明らかに負担が増えているという。

ガス公社の民需用都市ガスの未収金は13兆5000億ウォン(今年3月末基準)に膨らんでいる。

13兆5000億ウォンの負債。日本円で約1兆55000億円ぐらいだ。数兆円の赤字を抱えていてガス代をわずか6.8%値上げしたとことで、ガス公社の赤字はあまり改善されないんじゃないか。そもそも原価の8割程度で運営してきたとか。韓国だけ高くガスを買って、安くで提供するという。

ガス公社の関係者は、「現在、負債比率が600%を超えており、未収金から発生する利息費用が年間5000億ウォン以上となっている。今回の料金値上げは、安定的な天然ガスの導入のために避けられない決定だ」と明らかにした。韓国ガス公社の崔然惠(チェ・ヨンヘ)社長も、今年5月末の記者懇談会で、「安定的なガス供給のためには、早急な料金の値上げが必要だ」と強調した経緯がある。

おいおい、未収金から発生する費用が年間5000億ウォンとかヤバイだろう。そもそも負債比率600%越えてる時点で普通の会社ならとっくに倒産しているレベルだ。だが、問題は値上げしてもまだまだ足りないてことだ。

記事を引用しよう。

来月からは自家用(住宅用・一般用)のガス価格が6%値上げされますが、政治的なスケジュールの関係で決断が遅れていることや、巨額の借金を考えるとまだ足りないとの指摘があります。韓国ガス公社(KOGAS)は長い間、原価よりも安い価格でガスを販売する「アンダーセリングビジネス」を行っており、今年第1四半期末時点で負債総額は47兆4287億ウォンに達しました。また、負債資本比率は連結ベースで459%、単体ベースで624%に達しました。

ガス公社によると、5日、住宅用ガス価格の1.41ウォン上昇のうち、卸売供給コスト調整は0.36ウォン、基本原材料コスト調整は1.05ウォンです。原料費連動率が1メガジュール(MJ、ガスの熱量単位)あたり1ウォン上昇すると、年間約5,000億ウォンの売掛金回収が見込める。

しかし、費用補償率は60~80%にとどまり、本年3月末の民間向けガス公社の売掛金は13,5491件となっている。

ガス公社は2022~2026年の5年間で15兆4000億ウォン相当の自己救済計画を策定しているが、資産のほとんどが天然ガス供給に不可欠な施設であり、遊休不動産がなく、そのほとんどが工業団地にあるため、資産価値も低いため、限定的である。

専門家は、冬季の消費者の負担を考えると、7月が運賃値上げのベストな時期だとしているが、1回限りの値上げは最小限に抑えられているため、秋にはさらに値上げを検討する価値があるとアドバイスしている。大新証券のホ・ミンホ研究員は「6月、自家用都市ガスの原料費は産業用より1.16ウォン安くなった」とし、「売掛金の早期回収のためには引き続き値上げが不可欠だ」と述べた。

ガソリン価格は8月から6.8%上昇します…4人家族は月額3,770ウォンを支払わなければなりません (msn.com)

ガス料金を少し引き上げた程度では、根本的な問題は解決しない。秋にはさらに値上げを検討する必要があると。このように韓国の公共料金は巨額の負債を抱えて、その赤字を補填するために料金の値上げが加速している。これは別にガスだけに限ったものではない。電気代や水道代だって、この先、値上げが確定している。だから、最低賃金が170ウォンほど上がった程度では実質マイナスなのだ。

そもそも韓国では最低賃金とは日本でいう、バイト代の時給を指すものではない。普通の会社員や労働者が最低賃金で働くのだ。問題は高齢者を始め、最低賃金以下で働く労働者が沢山いるてことだが、最低賃金を決める韓国人は勝ち組なのでどうでもいい。どんぶり勘定で決めても問題ない。

では、最低賃金がどうなったかを見ていこう。

来年度の最低賃金が、今年より170ウォン上がった1時間当り1万30ウォンに決定された。1988年に最低賃金が導入されて以来、37年ぶりに1万ウォンを越えたのだ。月給に換算すれば、209万6270ウォンとなる。今年も経済的波及効果をめぐる深い悩みの代わりに、最低賃金委員会で事実上政府を代弁する公益委員が労使双方の顔色を伺いながら中途半端な線で妥協することが繰り返された。

最低賃金委員会の委員らは、昨日未明まで会議を開き、労使が出した2つの修正案をめぐって採決し、使用者側の案である1.7%の引き上げを決めた。27人の委員のうち、民主労総側の委員4人は採決に参加しなかった。来年の引上げ率は、コロナ禍だった2021年の1.5%に続き、過去2番目に低い上げ幅となる。飲食料・宿泊など一部業種の差別化は労働界の反発のために早目に議論の対象から除外された。物価上昇率に至らない引き上げ幅に対し、労働界は、「実質的な賃金削減だ」と反発する。据え置きを主張した経営界た自営業者らは、心理的マジノ線である1万ウォンが崩れたと不満だという。

来年度の上げ幅は少ないものの、韓国の最低賃金は今年すでに、日本や台湾、香港より高いアジア最高の水準だ。来年の最低賃金1万30ウォンで、週15時間以上働けば、一日分をさらに支給する週休手当てまで考慮すれば1時間当り1万2036ウォンとなる。このために従業員を減らし、無人レジを設置する「一人の自営業者」と週15時間未満働く「分割バイト」、廃業する小規模自営業者が増えるだろうという懸念が少なくない。

労使双方とも満足できない結果が出たのには、意思決定の構造上の問題がある。最低賃金が上がっても働き口を失う心配のない大企業・公企業の正規職中心の二大労総が労働界を代表することで、賃金引き上げで直接打撃を受ける脆弱階層や非正規職の声は反映されずにいる。さらに、経済全般に対する客観的かつ総合的判断なしに、労使がその都度自分に有利な一部の経済指標を前面に出し、駆け引きのようにどんぶり勘定式に交渉することも問題だ。

結局、来年度の最低賃金も、自営業者・中小企業の要求を意識するものの、労働界の宿願である1万ウォン台はかろうじて越えた政治的判断の結果物となった。このような決定を下した最低賃金委員会の中でも、現在の意思決定のシステムは限界にぶつかったという評価が出ている。政府と国会は、最低賃金の決定と関連した制度を裾野から整備する作業に着手しなければならない。

1万ウォンを超える最低賃金、いつまでどんぶり勘定で決めるのか | 東亜日報 (donga.com)

最低賃金が1万ウォン超えたのは良いが、そもそもこの決定に大企業や公企業が出てきたら、それは現実が反映されない。なぜなら、彼らは最低賃金よりずっともらっているからだ。そりゃどんぶり勘定できめるよな。自分らには殆ど関係ない話だ。

来年度の上げ幅は少ないものの、韓国の最低賃金は今年すでに、日本や台湾、香港より高いアジア最高の水準だ。来年の最低賃金1万30ウォンで、週15時間以上働けば、一日分をさらに支給する週休手当てまで考慮すれば1時間当り1万2036ウォンとなる。このために従業員を減らし、無人レジを設置する「一人の自営業者」と週15時間未満働く「分割バイト」、廃業する小規模自営業者が増えるだろうという懸念が少なくない。

懸念が少なくない?こいつらは今の一人自営業者の悲惨な現状を理解しているのか?最低賃金以下で働き、副業しないと生きていけないんだぞ。むしろ、自営業の地獄をさらに加速させただけ。しかし、これでも物価上昇を考えると最低賃金は減額という。韓国のハイパーインフレがどれだけ酷いのかがよくわかるという。つまり、韓国の物価高を考慮すれば、最低賃金はまだまだあげないといけない。でも、あげたら自営業が死ぬ。

もっとも、韓国では未払い賃金も増えてるそうだぞ。会社員の44%が賃金未払いを経験しているとか。2023年9月頃の記事だが引用しておく。

韓国の市民団体「職場カプチル(パワハラ)119」などが世論調査会社に依頼し、1~6日に会社員1000人を対象に実施した調査結果によると、回答者の43.7%が賃金未払いの被害を経験したと答えた。未払い賃金の種類は基本給が30.2%と最多で、退職金(28.1%)、残業・休日勤務手当(27.8%)などだった。

 賃金未払いの被害を経験した会社員の59.5%は会社に支払いを要請した。退社したりして対応を諦めたとの回答は41.4%に上った。雇用労働部など関係機関に通報したとの回答は24.3%にとどまった。諦めた理由は「対応しても未払い賃金を受け取れそうになかったから」が43.5%だった。

賃金未払いの改善策としては「反意思不罰罪の廃止」(26.7%)が最も多く挙げられた。当事者と合意しても事業主が処罰されるようすべきだとの意見が寄せられた。

会社員の44%が賃金未払いの被害経験 韓国世論調査-Chosun online 朝鮮日報

そして、今年の未払い賃金は1.8兆ウォンとか。つまり、最低賃金を1万ウォンにしようが、会社員はその給料を本当に払ってもらえるとは限らない。むしろ、未払い賃金が増加しているところをみれば、さらにその被害は増えるんじゃないか。でも、会社員の44%が給料なしで働かされたとかヤバイよな。相変わらず、酷い国である。

もちろん、日本でも未払い賃金というのは少なからずあるのだが、韓国の場合は日本の17倍らしいので、それだけ労働者というのは不利な立場なんだろうな。そもそも対応しても払ってもらえないから諦めたが43%だ。機関に通報しても対応されてないてことが多いんだろうな。