韓国 今週はかなり迷っている。それはバイデン氏が引退したことで、アメリカの動向が全く読めなくなったことだ。トランプ氏が大統領に再選する可能性は高まったと言えるが、こちらが問題視しているのはアメリカの証券市場である。市場というのはその時に起きているイベントを折り込んでいくので、既に「もしトラ」ではなく、「確トラ」になったという前提で動いている。
それがアメリカの証券市場だけなら放置してても問題ないのだが、それが世界中の市場に影響するわけだ。しかも、為替にも影響してくるのでこうなってくるとどういう予測すればいいのかという「軸」が見当たらないのだ。これが米利下げに限定するなら、利下げの動向を読めばある程度の利下げ時期を絞れるので、それを軸に予測ができたわけだ。
だが、今回の場合は未知なる変数がありすぎるんだよな。そもそも、バイデン氏の後任といわれるハリス氏は党大会で勝ったわけでもないのに候補に選ばれるのは民主主義のルールに則っているのか。民主党の言い分では副大統領候補だったから、大統領候補に繰り上げしても構わないとか。そんなレベルであり、それを国民に納得させるのか。時間が無いから党大会をするよりもハリス氏一本で統一したいという気持ちもわからないわけではない。だが、時間がないからとルールを省略できるなら、それはもうルールではない。
米国国民がハリス氏を大統領に選ぶ可能性はそういう意味でも低い。そもそも、それで勝ったとして、他の民主党候補は納得するのか。バイデン氏だから、候補から辞退したという候補者だっているんじゃないか。つまり、異例の事態だからとルールの簡略化は民主主義の形骸化につながる。
まあ、アメリカの問題だからとスルーすることはできるが、その混乱が米証券市場や世界市場に影響するのだから、投資家としては右往左往するしかないわけだ。こちらが気にしているのは当然、ドル円とウォン動向なわけだが、これも全然、読めないのだ。トランプ氏がドル高を容認しない発言をしているが、そもそも、ドル高だから、アメリカに投資が集まるのだ。それは個人投資家の米国株の保有が大量に増えていることでもわかるだろう。
だから、トランプ氏はドル高を容認しないから、ドルが下がるという予測もなかなか難しい。そもそもバイデン氏が撤退してからのドル円は昨日より、下がっており、157円に戻っている。
このように7月23日の朝には157円だ。確トラの世界でドルが安くなる?なら、ドルは下げてるはずだが、そうでもない動きだ。本当、ドル円は読めない。円安が続くのか。円高になるのか。
それで、先ほど述べた通り、何かの確かな軸がなければ予測するのは難しい。ということで、こちらはハリス氏は負けるという前提で、確トラを軸にしてこれからの予測を進めていこうと考えている。こうでもしないと不確定要素が多すぎてぶれることだらけだからだ。これを最初に述べているのは確トラだから、こういう予測が成り立つということだ。
例えば、トランプ氏は以前に大統領だったとき、韓国に在韓米軍の駐在費を大幅に引き上げようとしていた。しかし、韓国側は応じないまま交渉を長引かせてバイデン氏になってからほとんどそのような要求は消えた。だが、トランプ氏が戻ってくれば在韓米軍の駐在費を大きく問題視してくる。さらに従わないなら在韓米軍の撤退も考えている。正直に述べて、トランプ氏が大統領だったときと、今の北朝鮮情勢は180度違う。なぜなら、ユン氏が北朝鮮と対立して関係をぶち壊したからだ。北朝鮮がいつ攻めてきてもおかしくない。それだけ緊張感が高まっている。
確トラだから在韓米軍の駐在費、在韓米軍の撤退の話はどうなるのか。北朝鮮との関係は。韓国にとって大きな問題となる。
それで、韓国経済に大きく関わるといえば、確トラになれば、トランプ氏はアメリカでのEV補助金を止めて、関税を強化すると述べている。これを先に見ておこうか。
トランプ前米大統領は18日の演説で「電気自動車(EV)普及の義務を(大統領就任)初日に終了する」と述べ、バイデン政権の重要政策を撤回する考えを示した。石油増産などを通じ「物価高の危機を終わらせる」とも強調し、気候変動対策を否定する姿勢を鮮明にした。
トランプ氏は自動車産業の雇用が中国とメキシコに奪われていると主張し、米国内に工場を造ると強調。中国を念頭に、米国外で生産された自動車には高関税を課すとし「自動車産業の労働者はトランプに投票すべきだ」と訴えた。
共和党のスローガンの「ドリル・ベイビー・ドリル(資源を掘りまくれ)」を掲げ、石油増産の方針を表明。「エネルギーコストを下げることで、物流、製造、家庭用品のコストも下げる」とした。
減税を実施する考えも改めて示し、ホテルなどで働く人へのチップを非課税にすると訴えた。(共同)
トランプ氏、EV普及策「就任初日で終了」と 石油増産で「物価高危機終わらせる」とも – 産経ニュース (sankei.com)
確トラの世界だとEVの補助金は初日に終わる。さらに自動車工場の米国内工場。中国産には高い関税。原油を掘りまくるそうだ。この時点でその関連業界は震撼するという。特にEV補助金がなくなれば、もう、確実に米国では売れなくなる。それでなくてもEVはオワコンで、ハイブリットの売上が逆転している状況だ。中国との関係もますます対立しそうだが、中国のダンピングによる不当に安いEVが国内市場を荒らしているのは事実だろう。
トランプ氏はいつものアメリカファーストを貫くということで、これは自動車だけではない。もっと多くの業種でもアメリカに工場を作らせるはずだ。例えば、4年前にはニッチ産業と思われていた半導体である。どう考えてもトランプ氏が半導体を米国国内で生産しようとするのは自明の理だ。その証拠として台湾への言及があげられる。
これも見ておこうか。
米国のトランプ前大統領はブルームバーグ通信が16日に報じたインタビューで、台湾の防衛に関して「我々は保険会社のようなものだ。台湾は我々に防衛費を支払うべきだ」と主張した。「台湾は米国から半導体ビジネスを奪った。彼らは莫大(ばくだい)な富を得ている」と批判もしており、11月の大統領選で返り咲いた場合、台湾に何らかの「取引(ディール)」を迫る可能性もありそうだ。
インタビューは銃撃事件前の6月下旬に実施された。トランプ前政権は中国に強硬な姿勢を示し、台湾を重視してきた。ただトランプ氏は今回のインタビューで、米国と台湾の地理的な距離を理由に挙げ、防衛の難しさを強調。「私が大統領から退任した日に中国は台湾に爆撃機を飛ばした。それ以来、中国はとても攻撃的だ」と説明した。
トランプ氏「台湾は防衛費を支払うべきだ」 半導体ビジネスで批判も (msn.com)
このようにトランプ氏は台湾に防衛費を払え。半導体ビジネスを奪った。これって韓国に対する主張と大して変わらないんだよな。台湾有事に対してトランプ氏は台湾を守るかどうかは言及をさけている。まあ、守らない場合はTSMCの工場稼働中断で文学的な負債が世界中に舞い込んでくる。ビジネスマンのトランプ氏がそんな巨額な負債を抱えるとは思えないが。
つまり、トランプ氏が大統領になれば、韓国と台湾にとって脅威でしかない。だが、確トラなんだからそうなるという前提で証券市場は織り込んでくる。それが今回の本題だ。
確トラで大きく影響受けるのは半導体、自動車関連である。どちらも韓国経済にとって致命的だ。中国を念頭に自動車関税と書いてあるが、何も中国だけに限定しているわけじゃない。韓国車の当然、対象だろう。韓国は今年上半期に米国輸出を伸ばしてきたわけだが、その貿易黒字を当然、トランプ氏は見逃すはずがない。しかも、電気自動車といえば、バッテリー分野も大きく影響を受ける。
つまり、結論から述べると確トラになれば、韓国輸出が途端に赤信号が灯るてことだ。もちろん、そうなると株安・ウォン安も進むし、何より、補助金がなくなれば現代自動車がヤバイ。ただでさえ、EVシフトした現代自動車は危機的なのに追い打ちをかける。そこにバッテリー需要の減少。
では、記事を引用しよう。
コスピ(韓国総合株価指数)が22日、ジョー・バイデン米大統領選候補の辞退など、米大統領選挙の不確実性や米国技術株の下落に伴い韓国の半導体や二次電池株を中心に大幅な下落傾向を見せている。
同日午前10時5分基準、コスピは前取引日より28.06(1.0%)下がった2767.40で取引されている。時価総額上位銘柄のうち、サムスン電子(-1.18%)、SKハイニックス(-2.63%)、ハンミ半導体(-3.77%)、SKハイニックスの中間持株会社であるSKスクエア(-5.23%)など半導体株とLGエナジーソリューション(-3.18%)、サムスンSDI(-2.52%)、SKイノベーション(-1.88%)などの二次電池持株会社、そして北米市場での売上割合が高い現代自動車(-2.32%)や起亜(-1.72%)が値下がりしている。
バイデン候補の辞退でドナルド・トランプ候補の当選可能性に賭けるいわゆる「トランプトレード」が拡散し、バイデンが推進してきた半導体および二次電池に対する補助金政策が揺れることになるとの憂慮が作用していると分析されている。未来アセット証券は「バイデン大統領の大統領選候補辞退の影響を注視する中で、米国技術株の劣勢に投資心理が萎縮している」とし「半導体業種に広範囲な売り圧力が加えられ、韓国証券市場の追加上昇余力が制限されるだろう」と説明した。
一方、トランプ候補の大統領当選の可能性が依然として高いという観測などにHD現代建設機械(4.06%)、サムブ土建(12.30%)、ウリィ技術投資(5.09%)、ハンファ投資証券(3.11%)など関連銘柄が上がっている。
先週末、ニューヨーク証券市場はクラウドストライクのアップデートで交通・通信・金融インフラが同時多発的に麻痺する「マイクロソフト(MS)発IT大乱」が発生した中で差益実現売り物などが出回り下落した。ダウ平均指数が0.93%下がり、S&P500指数とナスダック指数もそれぞれ0.71%、0.81%下落した。技術株のうち、NVIDIA(-2.6%)、AMD(-2.7%)、ブロードコム(-2.0%)などが下がり、フィラデルフィア半導体指数は3.1%下落した。
同日午前10時15分現在、ソウル外国為替市場でウォン相場は前日より1.30ウォンドル安ウォン高の1388.90ウォンで取引されている。
「トランプリスク」に青ざめた半導体・二次電池株…バイデンの辞任を反映=韓国 : 経済 : ハンギョレ新聞 (hani.co.kr)
上の記事は最初に説明してきた確トラを証券市場が折り込むと初動ですら大きな混乱となっているてことだ。しかし、韓国経済に大打撃を与えていることはいうまでもない。韓国の得意産業である半導体、自動車、二次電池株が軒並み売られた。
反対に建設業界の株は買われている。これは韓国企業が米国内に投資するときに建設受注が増えるてことなんだろうか。実際、韓国企業の米国投資は増え続けている。それは以前に見たとおりだ。韓国への直接投資が1%で、海外投資が22%と韓国企業が韓国を見捨てて米国内に工場建てまくりである。これはじわじわと韓国経済の成長を蝕む問題に繋がるのだが、韓国政府はたいして気にもしてないという。
先週末、ニューヨーク証券市場はクラウドストライクのアップデートで交通・通信・金融インフラが同時多発的に麻痺する「マイクロソフト(MS)発IT大乱」が発生した中で差益実現売り物などが出回り下落した。
このクラウドストライクの世界的なシステム障害についてはどの程度の影響があるのか。かなり不透明だ。幸いにもセキュリティーソフトが企業向けだったので個人PCへの影響は皆無だ。
だだ、違いなく会社のシステムエンジニアは休み返上で死にかけているだろうが。なんせ、ブルースクリーンへの対処方法が一台一台、手作業で入力していかないといけないのだ。そもそもPCの知識がなければコマンドプロンプトやコマンドプロトコルとかいわれても、わからないだろう。会社にどれだけのPCがあるか知らないが、一人一台としても数百人規模なら数百台だ。
そもそも、今のパソコンってウィンドウズ立ち上げずにコマンドプロンプトで立ち上げるBIOSとか存在するんだろうか。あと、悪用防ぐためにロックとかされていたりしたらどうするんだろう。パソコンのセキュリティーというのは外部からのハッキングを遮断するのが主な目的だから、外部からの入力を受け付けないガード仕様というものをいくつも存在する。だが、OSに問題が生じてウィンドウズを立ち上げられなくなれば、それがそのままシステムエンジニアにとっては痛い問題となる。
回復キーやリカバリーディスクをパソコンの台数分、事前に用意しているなら、なんとか復旧作業はできると思われるが、それすら用意してなければ困難だろうな。
しかし、逆に考えるとセキュリティーソフトのエンジニアなら、こんな世界的な規模のシステム障害を起こすことが可能というとんでもないリスクを知ったことになる。わずか1%未満とか述べているが、案外、IT世界が滅びるのは簡単なことかもしれない。セキュリティーソフト会社がやらかしたら、世界中のパソコンを使い物にならなくして大混乱させる事例が生まれたわけだ。まるで映画のような話だが、それが現実に起こりえる。