日別アーカイブ: 2024年7月27日

韓国 大手ECサイト運営会社で精算遅延…数千億ウォンのドミノ被害

韓国 日本人もAmazonや楽天といった大手のECサイトを利用していると思うが、こちらは普通に考えてECサイトというのはネット上で、お店を開ける場所を提供するところなので赤字になりにくいイメージがある。なぜならECサイトは仲介料をもらって店を紹介するので、そこで商品を売っているわけでもない。だから在庫なんていうものは気にしないでいい。

現実で言えば不動産商売に近いんじゃないか。しかも、現実的な土地よりもネットの土地代金、サーバー代ぐらいなので小さなECサイトはともかく、大企業も商品を販売している大手ECが倒産レベルに追い込まれるのはわりと不思議だ。

だから、今回の記事を読んで不思議に思うのだが、問題は大手ECサイトは店が得られる商品の販売代金をいったん、ECサイトが受け取ってからそれを手数料を取ったあと、店に売上代金を渡すわけだ。ところが、この大手ECサイトがその売上を渡すの店側に待ってほしい。つまり、なぜか販売代金を渡すのを遅延するようになった。これは100%おかしいのだ。なぜなら、販売代金が客側から振り込まれないことはあり得ないからだ。この時点でこのECサイトは自転車操業や他に大きな借金をしている可能性がでてくる。

自転車操業というのは本来の意味は、借金を返すのに別の場所から金を借りてくることを繰り返すことだ。今回の場合、販売代金の遅延はまさにそれ。店の売上代金を渡すのを遅延させて、遅れている店に払うようになれば、それはもう自転車操業とかわらない0。

だが、こうなるとECサイトの信用が消えるので、ECサイトに出店していた店はどんどん販売をやめていく。すると手数料が激減するので、さらにECサイトは追い込まれていく。つまり、もう倒産するしかないのだ。こちらからすればネットで販売場所を提供しているだけで赤字になる経営というのは謎だが、これは韓国経済的に面白いので取り上げたくなった。しかも、既に損失の最大規模は数兆ウォンとか。いやあ、なかなか興味深いことになってると。

では、記事を引用しよう。今回の記事は二つの記事があるのでまずは前編から見ていこう。

世界的電子商取引(EC)プラットフォームのQoo10(キューテン)が運営するティモンとウィメプの代金精算遅延が出店企業と消費者の被害に拡散している。販売者が商品引き渡しを拒否し、プラットフォームで決済を取り消すか払い戻しを受けるよう求めているためだ。

ティモンとウィメプの月間取引額は先月基準で1兆1000億ウォン(約1224億円)規模と推定され、払い戻しをめぐる混乱で大規模な被害を呼んだマージポイント問題が再現されるのではないかとの懸念が出ている。事態収拾に向けシンガポールから帰国したQoo10のク・ヨンベ代表は24日、中央日報に「危機状況を安定化させたい」と明らかにした。

ウィメプに出店する販売者500人は精算予定日である7日に販売代金を受け取れなかったとして同社に問題を提起した。ウィメプは17日に販売者への公示を通じ年利10%の遅延利子支払い、遅延金額の10%支払いなど補償案を提示し、今月末までに精算を終えると明らかにしたが、ウィメプに続きティモンまで精算遅延が発生し、出店企業などの撤退につながっている状況だ。

旅行業界によると、ハナツアー、モードツアー、黄色い風船、教元(キョウォン)ツアーなど主要旅行会社は前日にティモンとウィメプで販売していた旅行商品の掲載を一斉に中断した。代金精算が1週間以上遅れていることから商品販売を中断したものだ。ハナツアーとモードツアーは25日までに未払いの代金を支払うよう内容証明を送った状態だ。ロッテ百貨店は19日にティモンとウィメプから撤退し、テレビ通販・オンライン通販企業なども商品販売を中断している。

ティモンとウィメプはまだ未精算金額規模を公開していない。ティモンに出店するある業者の関係者は「業種別で精算日程が違うため被害規模は正確に確認できないだろう。中大型業者の中には未収金だけで100億ウォン台に達するところもあると聞いた。(消費者と販売者の)被害額は数千億ウォン規模に達するかもしれない」と話した。

ティモンとウィメプに出店した販売者の一部はすでに販売した商品を無断でキャンセル処理したり、顧客にティモンとウィメプで決済を取り消して直接払い戻しを受けるよう案内している。だが現在これらプラットフォームではカード決済を取り消すことができない。決済を代行する電子支払決済代行会社が、キャンセル申請が激しくなり損害を防ぐためカードキャンセルを防いでいるためだ。宿泊券や商品などをクレジットカードで購入した消費者が、旅行がキャンセルされたり商品を受け取れないという懸念から決済を取り消したくてもできないという意味だ。

◇テレビ通販・百貨店・旅行会社・銀行…相次ぎ脱出

ネイバーペイ、カカオペイ、トスペイ、サムスンペイなどの決済サービス会社もティモンとの取引を遮断した。

韓国大手ECサイト運営会社で精算遅延…数千億ウォンのドミノ被害(1) | Joongang Ilbo | 中央日報 (joins.com)

それで、ティモンとウィメプの月間取引額は先月基準で1兆1000億ウォン(約1224億円)規模と推定。これは結構、大きいんじゃないか。もちろん、ECサイトが1兆1000億ウォンを儲けているわけではないが、その規模だと損失額は大きくなる。1224億円の売上代金が店に入ってこないのだから、そりゃ、怒るわな。

ウィメプに出店する販売者500人は精算予定日である7日に販売代金を受け取れなかったとして同社に問題を提起した。ウィメプは17日に販売者への公示を通じ年利10%の遅延利子支払い、遅延金額の10%支払いなど補償案を提示し、今月末までに精算を終えると明らかにしたが、ウィメプに続きティモンまで精算遅延が発生し、出店企業などの撤退につながっている状況だ。

やはり、自転車操業だよな。ウィメプの販売代金が遅延したとおもったら、今度はティモンまで清算遅延するのだから。年利10%の遅延利子支払い、遅延金額の10%支払いなど補償案を提示。この時点で、もうだめだろうな。自転車操業しているのに支払金額を増やす補償内容なんて。ああ、これはだめだと出展企業は続々と撤退した。でも、倒産まったなしの状態なので、このままいけば販売代金を支払われずに倒産するんじゃないか?どういう契約になってる知らないが、出店側に大損失が発生するだろうな。

旅行業界によると、ハナツアー、モードツアー、黄色い風船、教元(キョウォン)ツアーなど主要旅行会社は前日にティモンとウィメプで販売していた旅行商品の掲載を一斉に中断した。

ああ、これは面倒だな。ただの通販事業なら商品のキャンセルで終わるのだが、旅行会社となると商品が現実的な日付が決まっているツアーなので、消費者側からすればツアー申し込んだのに、それのツアーに参加できないケースがでてくる。でも、大手がどんどん撤退していけば、ECサイトの運営なんてできるわけもないので、まあ、終わりだろうな。

ティモンとウィメプはまだ未精算金額規模を公開していない。ティモンに出店するある業者の関係者は「業種別で精算日程が違うため被害規模は正確に確認できないだろう。中大型業者の中には未収金だけで100億ウォン台に達するところもあると聞いた。(消費者と販売者の)被害額は数千億ウォン規模に達するかもしれない」と話した。

まあ、ぶっちゃっていうとECサイトは数百、数千、下手したら数万の店が24時間営業する場所だ。その取引の詳しい内容なんて第三者がわかるわけないよな。数千億ウォンとあるが、最大は先月だけで規模は数兆ウォンだ。年間通せば12兆ウォン、つまり、1兆円は軽く超えてくることになる。

ティモンとウィメプに出店した販売者の一部はすでに販売した商品を無断でキャンセル処理したり、顧客にティモンとウィメプで決済を取り消して直接払い戻しを受けるよう案内している。だが現在これらプラットフォームではカード決済を取り消すことができない。

なるほど。確かにそうだな。これはECサイトでは顧客がカード支払いが基本なので、それを多数のキャンセルされたら損失が拡大するからカード決済を取り消せない。まあ、消費者からすれば、大手ECサイトが倒産しそうとか。販売代金を払われてないとか。知るわけないものな。これは消費者やカード決済会社が悪いわけでもない。

では、後編を見ていくか。

記事を引用しよう。

KB国民銀行やSC第一銀行など主要銀行はティモンとウィメプに対する先精算貸付商品の取り扱いを中断した。精算金遅延で貸付償還が不透明になってだ。先精算貸付はECプラットフォームに出店した販売者が銀行から先に販売代金(商品販売後にプラットフォームから精算されていない金額)の支払いを受け、精算日にECプラットフォームが銀行に精算金を償還する構造だ。プラットフォームが精算金を適時に入金しなければ出店業者が代わりにこれを返さなければならなくなることもある。連鎖倒産の懸念まで出ている理由だ。

ある銀行関係者は「ECプラットフォームが適時に精算できなければ貸付を受けた顧客の延滞率が上がる恐れがあり、被害を減らすため関連サービスを中断した」と話した。国民銀行関係者は「精算金支払い遅延による顧客の追加被害を防ぎ資産を保護するための措置」とした。

現在まで販売者と消費者の被害規模は正確に把握されていない。Qoo10グループ関係者は「未払いの精算代金がどれだけなのか、販売者の被害がどの程度なのかは推定が難しい。小額販売者に対する精算はいまも継続しており、規模が大きい販売者に対する代金精算を待ってほしいと了承を求めている」と明らかにした。先月基準で両社の利用者数はティモンが437万人、ウィメプが432万人で869万人に上る。

金融当局は代表者と株主に資金調達計画を提出するよう要求するなどモニタリングに入った。ティモンとウィメプは電子金融取引法上の電子金融業者として金融監督院に登録されている。金融当局関係者は「未精算金額など現況を独自に把握している。被害が現実化する場合にどのような措置を取れるか検討している」と話した。

公正取引委員会も被害者救済案を検討している。韓基貞(ハン・キジョン)委員長はこの日、国会政務委員会の業務報告で「消費者被害問題に対するモニタリングを始めた。韓国消費者院の被害調停と紛争調停機能を活用することを積極的に検討している」と話した。韓委員長は精算遅延問題に対する公取委の制裁が必要という指摘に対しては「民事上の債務不履行問題であり公正取引法の適用は容易でない」と明らかにした。消費者被害救済に向けた政府次元の支援は可能だが公取委所管法令で制裁するの困難だという意味だ。

一部では財務状況が良くないQoo10のウィメプ買収申告を公取委が承認したことに問題があるという指摘も出る。これに対して韓委員長は「企業結合と関連しては競争制限性を中心に審査する。当時競争制限関連の特別な問題はないと判断して承認したものと承知している」と話した。

販売者離脱と顧客のキャンセル・払い戻しが合わさり第2のマージポイント問題が発生する可能性があるという心配も大きい。2021年にモバイル決済プラットフォームのマージプラスはモバイル商品券であるマージポイント商品券を額面より20%ほど割引された価格で販売したが、突然ポイント販売を中断し使用範囲を縮小した。当時顧客と販売会社は1000億ウォンに達する先払い金の払い戻しを受けられなかった。

韓国大手ECサイト運営会社で精算遅延…数千億ウォンのドミノ被害(2) | Joongang Ilbo | 中央日報 (joins.com)

後半の内容もわりと香ばしいな。ここで銀行が登場か。ああ、そういえば、売掛金は手数料を引いて銀行が先に払ってくれるシステムがあったな。

KB国民銀行やSC第一銀行など主要銀行はティモンとウィメプに対する先精算貸付商品の取り扱いを中断した。精算金遅延で貸付償還が不透明になってだ。先精算貸付はECプラットフォームに出店した販売者が銀行から先に販売代金(商品販売後にプラットフォームから精算されていない金額)の支払いを受け、精算日にECプラットフォームが銀行に精算金を償還する構造だ。

プラットフォームが精算金を適時に入金しなければ出店業者が代わりにこれを返さなければならなくなることもある。連鎖倒産の懸念まで出ている理由だ。

これはちょっと難しい内容だがわかるだろうか。つまり、出店側から販売代金を銀行から先に支払いを受け、精算日にECプラットフォームが銀行に精算金を渡すことになっていたと。でも、ECサイトを運営するプラットフォーム側が銀行への入金をしなければ、今度は出店側が代わりに銀行に返さないといけなくなると。まじですか。そういうややこしいシステムらしい。もちろん、そんな余分な金はない販売店も多いだろうから、連鎖倒産していくと。

ある銀行関係者は「ECプラットフォームが適時に精算できなければ貸付を受けた顧客の延滞率が上がる恐れがあり、被害を減らすため関連サービスを中断した」と話した。国民銀行関係者は「精算金支払い遅延による顧客の追加被害を防ぎ資産を保護するための措置」とした。

銀行の方はややこしいシステムを中断したと。それは賢明であるのだが、では、その支払いシステムがなくなれば、ECサイトに出店していた店はいつ販売代金を受け取ることができるんだろうか。

現在まで販売者と消費者の被害規模は正確に把握されていない。Qoo10グループ関係者は「未払いの精算代金がどれだけなのか、販売者の被害がどの程度なのかは推定が難しい。小額販売者に対する精算はいまも継続しており、規模が大きい販売者に対する代金精算を待ってほしいと了承を求めている」と明らかにした。先月基準で両社の利用者数はティモンが437万人、ウィメプが432万人で869万人に上る。

どう見ても自転車操業ですね。しかし、利用者はわりと多いな。869万人ということは、韓国の人口が5000万程度だとして、約2割が利用していることになる。これはわりと被害規模が推定できないとかあるが、倒産は時間の問題なのだから、やはり、損失は数兆円はいきそうだな。

このようになかなか、面白いことになっているがまだまだ全容は出てこない。そもそもなんで自転車操業しているのか。まあ、倒産は時間の問題なので続報をお待ちいただきたい。