韓国 世界中がパリ五輪で熱狂してテレビやネット中継に釘付けされている。ただ、こちらの韓国経済を特集するのでスポーツの話題を延々と取り上げることはしない。そもそも韓国は団体戦競技がほぼ五輪出場していないので、個人戦ぐらいしか楽しむものがない。
日本がサッカーでパリ五輪に進出しても、韓国はそこに立つことすらできなかった。だから、韓国メディアは日本が羨ましいと連日報道。これから韓国スポーツは韓国の崩壊と共にどんどん弱体化していく未来を以前に解説したが、団体スポーツが弱いというのは韓国の総合力が弱いてことだ。選手層が薄いと言い換えてもいい。まあ、何でも良いのだが、日本を引き合いに出して羨ましいとか報道しないでくれないか。我々はスタートに地点すらいない韓国なんか構っているほど暇でないので。
それで、パリ五輪中に韓国ではわりとビッグな経済イベントが起きている。一体、何が起きているんですか。それは韓国大手ECサイトの清算遅延問題である。既にもう社会問題化は避けられない。精算日に清算されなかった店が500人行列で決済しろと本社に迫ったわけだが、残念ながら全員が決済されることもなく被害はどんどん膨らんでいる。今回はその続報で色々と判明したことを見ていく予定なのだが、今回の話は素人ではわかりにくいという突っ込みがきた。
実際、この話はわりと素人以前に、毎回、経済ニュースをチェックしている人でも難しいとおもう。何しろ普通は大手ECサイトの仕組みを理解しているなら、このような事態になることは想定しにくいからだ。だからできるだけわかりやすく解説しよう。
まず、韓国に登録者が二つ合わせて約860万人にいる大手ECサイト、業界では4位とか5位とかいわれてるが、それがティモンとウィメプである。そもそもECサイトというのがわかりにくいんだが、これは楽天やAmazonといった商品を売る場所をネット場で24時間提供するサービスだと思ってもらえたらいい。
現実の世界では商品を売るためには客にその商品を手を取ってもらわないといけない。しかし、もっと前のことを述べれば、そもそもその商品が陳列されてなければ客はその製品を認識しないのだ。つまり、スーパーがその製品を仕入れないと客が手に取ることができないので、その製品は売れない。ここで重要なのはスーパーの広さは無限ではないので結局、売れ筋となる定番商品、新商品といったものが並ぶようになる。
つまり、大多数の製品の中で取捨選択をしているわけだ。だが、店側からすればこの製品、並べたいけど置くところがないからと諦めた製品だってあるだろう。だが、無限とはいえないがスーパーの陳列棚より、何百倍も大きな商品スペースが存在する。それがECサイトである。
ECサイトには普通のスーパーで買えるものはもちろん、見たこともない製品が多数並んでいる。Amazonセールとかで、こんな製品初めて見たなと思う人も多いだろう。今ならワンクリックでカード決済ができて、数日後には家に届く。これがECサイトの最大の利点だ。電子コミックとか、ネット上で完結するものなら、買った瞬間に利用できるというのもある。
さて、ここで疑問がある。そもそもECサイトはどこからその無数とも思える商品ラインナップを提供しているのか。答えは世界中の企業からだ。これはECサイトによって地域性は色々あるとおもうが、仕入れ先は世界中の企業である。Amazonみたいな世界最大手になれば、本当に日本にいながらアメリカの〇〇製の商品がすぐ買えてしまう。
では、ECサイトはわざわざ、アメリカの小さな企業にこの製品を自社サイトで売ってほしいと頼んでいるとかいえば、答えはノーだ。よほどの大手ならECサイト側がお願いした可能性はあるが、普通に考えたら逆なのだ。アメリカの小さな企業が自社サイトにこの製品を置いてほしいと頼むのだ。そして、ECサイトはその商品を置くかわりに、売れたときに何割か手数料を頂くのだ。
これにはECサイトと店側には二つのメリットがありWin-Winの関係が成り立つ。ECサイトは製品が売れたら手数料をもらえる。商品を置いた店は手数料が引いた分が製品売上となる。しかも、大手であればあるほど集客力が高くなる。
インターネットの利用者は年々増えており、今は数十億人ともいわれてる。Amazonなんて数億人のプライム会員がいるそうだが、それだけ凄まじい集客力があるわけだ。しかも、ポイント割引とかサービスもあるわけだ。つまり、そのECサイトを利用すればするほどポイントがたまり、消費者はお得になる。すると集客力がさらに上がるわけだ。
それで普通なら、製品が売れたときに手数料を引いたものが店の販売代金として店側に精算日に振り込まれる。だが、その精算日というのがECサイトではわりとバラバラだったのも騒動の原因の一つになる。先に出しておこうか。
TMONとウィメプで設定されている、とりわけ長い代金精算期間が今回の事態の発端になった。クーパン(Coupang)やemart(イーマート)など大規模流通業者は関連法により40~60日以内に販売代金を精算するようにしているが、Eコマース企業には関連の規定がない。TMONは取り引きが発生した月の最後の日を基準として40日後に、ウィメプは翌々月7日に取引代金を精算する。ネイバー(NAVER)・Gマーケット(Gmarket)・オークション(Auction)などが取引確定日基準1~2日以内に販売代金を精算することと比べると違いが大きい。
THONというのはティモンのことだ。大規模流通業者は関連法により40~60日以内に販売代金を精算する法律があった。しかし、Eコマース企業には関連の規定がない。TMONは取り引きが発生した月の最後の日を基準として40日後に、ウィメプは翌々月7日に取引代金を精算する。
これは韓国政府や法律の落ち度であることは疑いようがないのだが、つまり、精算日はECサイトが自由に決めているわけだ。ここで重要なのは大金がまとまって一時的に手に入るということだ。例えば、1ヶ月の売上が1兆ウォンを超えているなら、ティモンやウィメプには数千億円がはいってくる。
しかも、その数千億を返すのはティモンなら40日後、ウィメプでは60日後でいいわけだ。これだけ長い期間となれば投資して金を増やせる。
例えば、1000億円を銀行に預けても、年金利が5%とすれば、50億÷12ということで、単純計算して数億円が利子として1ヶ月で受け取れる。まじですか!まじですよ。大手銀行に預金するぐらいなら問題はなかったとおもうが、どうもティモンやウィメプはこの金を設備投資や事業投資に使っていたようだ。そして、その投資に失敗して清算するはずだった金を使い切った。でも、ティモンが駄目でも、ウィメプから一時敵に得た金があるのだから、今まではそれをティモンに使うことでなんとか凌いできた。自転車操業というやつだ。
しかし、それでも足りなくなって清算遅延が起きた。まあ、この場合は親会社であるQoo10(キューテン)というシンガポールの会社が資金繰りに行き詰まっての行為だとされている。つまり、キューテンが資金繰りが事業に失敗して資金繰りに困り、ティモンやウィメプの清算するはずだった金を使い込んだ。
そして、出店業者たちがQoo10の支給能力に疑いを抱き相次いで離脱し、不安がさらに大きな危機を招いてる。もう、取り付け騒ぎ状態なわけだ。つまり、これはネット版のシステミックリスクといってもいい。実際、問題になるのは預金ではなく、売上金なわけだが。だから、消費者には一切、関係ないはずなんだが…。なんで、濁らせるんですか。実は消費者にも被害が拡大しているのだ。
平たく言えば、まとまった大金が手に入って返すのは長期間に設定しているから起きた取り付け騒ぎともいえる。もちろん、清算金を使い込んだ親会社のキューテンが悪いと言えばそうなるが、制度自体が穴だらけである。しかも、韓国では過去に同じようなことが起きているのは以前の動画が出てきた。
だとしたら、これはティモンやウィメプの危機では終わらず、この親会社のキューテンが倒産危機であると言い換えることができる。キューテンが倒産したらどうなるのか。店側が不安になってティモンやウィメプで得た販売代金がなくなるのではないか。そうなれば、もうパニック状態だ。皆、精算日になれば金を返せと本社に押しかける。500人行列が決済を待った。しかし、決済は一部しかされなかった。
かなりわかりやすく解説したとおもうが、それでは最新ニュースを見ていこうか。
シンガポールを基盤とする電子商取引(Eコマース)企業「Qoo10(キューテン)」傘下の系列会社ティモンとウィメプの精算遅延問題の余波が、旅行業界を越えて流通業界全般に拡散している。出店業者たちがQoo10の支給能力に疑いを抱き相次いで離脱し、不安がさらに大きな危機を招いている。
25日、業界関係者の話を総合すると、旅行会社の他にデパートやホームショッピングなどの大型流通会社は、すでに19日前後にティモンとウィメプから撤収した。現在、ロッテショッピング、新世界、現代デパート、GSリテール、現代ホームショッピング、新世界ライブホームショッピング、公営ホームショッピング、GSホームショッピングなどは、これらのプラットフォームから販売掲示物を全て引き揚げた。
旅行業界も同様に、6月の代金精算が行われず、ティモンやウィメプから全て撤退した。業界の推算で被害額は1千億ウォン(約110億円)規模に達するという。ある旅行業界の関係者は「決済代行会社(PG社)がティモン側の決済・払い戻しを阻んでおり、休暇シーズンを控えて被害が雪だるま式に増えている」として「規模のある(旅行会社の)モドゥツアーやハナツアーなどはティモンの決済金額で消費者に再決済を誘導し、取り消しを希望すれば違約金・手数料なしでの取り消しを支援している」と話した。
だが、一部の旅行会社は、割引率が高かったティモンの決済金額ではなく本社の販売する金額での再決済を要求し、取り消し手数料まで賦課して消費者の不満を買っている。また別の旅行会社の関係者は「ティモン自体の割引とクレジットカード割引などが多く、差額がかなり大きいが、小規模な旅行会社はこれにカバーする余力がない」として「商品によっては取り消し手数料が50%以上のケースもあり、これもやはり消費者に負担を負わせる状況だ。政府の対策が必要な状況」と説明した。
さらにティモンキャッシュのPAYCOポイント転換、ハッピーマネー取引、ポイント転換なども中断された。ティモンとウィメプで購入した商品券の決済も一部滞った。配達代行プラットフォームの「ヨギヨ」の場合、24日にティモンを通じて販売されたヨギヨ商品券の使用が中止された。ヨギヨは商品券発行・販売・払い戻しなどを委託していたが、委託会社がティモンから精算を受けられなかったことを受け、事前協議なしに任意にヨギヨの商品券の使用を中止させたと説明した。ヨギヨ側は「自主的にこの問題を完全に解決することは難しい状況なので、Qoo10の迅速かつ根本的な解決策を求める」とし、「顧客の被害を回復できるよう後続措置について最大限速かにお知らせする」と謝罪した。
ソウル市江南区三成洞のティモン本社の様子/聯合ニュース
中小規模の販売者の離脱も相次いでいる。この日早朝から被害者50人余りは三成洞のウィメプ本社前に集まり、問題の解決を要求し抗議に出て、警察まで出動する騒動になった。前日の24日にも、一部の販売者がティモン本社を訪ね代金精算を要求し、一部では社員と摩擦を起こしたという。被害を受けた消費者と販売者1600人余りは、グループチャットルームを設けリアルタイムで状況を共有している。
潜在的被害も懸念される。宿泊予約プラットフォーム「ヤノルジャ」の場合、Qoo10にインターパークコマースの持分全量を昨年売却したが、1700億ウォン(約187億円)に達する売却未収金を受け取れずにいる。これに商品販売精算金30億ウォン(約3億円)もある。ヤノルジャの関係者は「売却未収金に関して、Qoo10が利子などは正常に支払っており、現時点では大きな問題はない」と話した。
一方では、Qoo10をめぐって不安感と危機感を高める誇張された報道が相次ぎ、かえって混乱が広がっているという指摘もある。業界のある関係者は「ティモンとウィメプの取引額が全体の3~4%にしかならない業者でさえ、不安を感じた消費者の取り消し・払い戻し要求が殺到し、打撃が雪だるま式に膨らんでいる」として「金融当局がPG社(決済代行会社)の決済・払い戻し中断から解決するなど、早く事態を収拾し解決策を出すべきではないか」と話した。
デパートやホームショッピングもティモン・ウィメプから離脱…被害が拡大=韓国 : 経済 : ハンギョレ新聞 (hani.co.kr)
まあ、上の記事は長々と解説したので特に突っ込まなくても大丈夫だと思うが、旅行会社が酷いな。
一部の旅行会社は、割引率が高かったティモンの決済金額ではなく本社の販売する金額での再決済を要求し、取り消し手数料まで賦課して消費者の不満を買っている。
つまり、これはティモン側で割引したツアー価格ではなく、自社が販売する割引もないパッケージツアーを買え。さらに取り消し手数料もよこせとか。メチャクチャだな。おい!
普通に考えたら消費者はその値段だからそのツアーを申し込んだのに、いきなりツアー料金は値上がり、キャンセルしたわけでもないのに取り消し手数料まで負担しろとかいわれる。しかも、カード会社は決済中止にしないので、普通にキャンセルもできない。渡した金は返ってこない。踏んだり蹴ったりじゃないか。
さらにティモンキャッシュのPAYCOポイント転換、ハッピーマネー取引、ポイント転換なども中断された。ティモンとウィメプで購入した商品券の決済も一部滞った。配達代行プラットフォームの「ヨギヨ」の場合、24日にティモンを通じて販売されたヨギヨ商品券の使用が中止された。ヨギヨは商品券発行・販売・払い戻しなどを委託していたが、委託会社がティモンから精算を受けられなかったことを受け、事前協議なしに任意にヨギヨの商品券の使用を中止させたと説明した。
もはや、商品券を販売している会社にまで被害は及んでいる。しかも、ポイントの交換も中断とか。消費者からすれば最悪だな。いうなれば楽天ポイントがいきなりゴミになったようなものだ。ああ、でも、こうなればためたポイントを消費者が早く使おうと押しかけるのか。消費者に被害が出にくいとおもったら、二次被害が続出じゃないか。
このようにわりと面白い事態に発展しているのだが、これは信用を失ったキューテンが倒産までいく可能性が高いので、もはや、ティモンやウィメプといった個別サイトの問題ではなくなった。まあ、韓国コスメとか中心に売っていたようだが、現在のところ、この問題はまだまだ拡大しそうな雰囲気だ。韓国政府がどう沈静化に乗り出すのか。パリ五輪の最中だが、注目したいと思う。