韓国 韓国の半導体輸出が生成AI特需で順調に売れていて、韓国輸出の好調を維持しているわけだが、問題はそれがいつまで続くのかである。こちらはSKハイニックスの株価がピーク時から40%急落しているので、そろそろ韓国の半導体輸出をピークを迎えるんじゃないかと予想しているわけだが、もう一つ気になるニュースが入ってきた。それはエヌビディアの株も似たように落ちているようだ。
では、記事を引用しよう。
米エヌビディアの時価総額は最高値をつけた6月以降に9000億ドル(約132兆4000億円)が吹き飛んだ。額面通りに受け止めるなら、エヌビディア株の快走を支えてきた人工知能(AI)投資ブームが冷え込んでいる兆候にも見えるが、実のところそれほど悲惨な状況ではない。
合わせてエヌビディアの売上高の40%余りを占めるマイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アルファベット、メタ・プラットフォームズの4社はいずれも、AIインフラに数十億ドルの投資を継続する方針を示している。一方、AIに使用されるデータセンター・サーバーを手がけるスーパー・マイクロ・コンピューターは2025年6月通期の売上高について、市場予想を大幅に上回る最大300億ドルを見込むと明らかにした。にもかかわらず、AI投資の最大の受益者であるエヌビディアの株価は、わずか2カ月足らずで27%下落した。
ウェイブ・キャピタル・マネジメントのチーフストラテジスト、リース・ウィリアムズ氏は「誰もAI投資を減らす、あるいは一時停止するなどとは言っていない」と指摘。「ただ、非常に神経質なムードになっている」と述べた。
市場ではすでに数週間前から、割高なテクノロジー株から資金を引き揚げ、小型株やバリュー株などにシフトする動きが出ていた。そこに2日発表の7月雇用統計が下振れし、米景気が想定以上に減速しているとの懸念がさらに強まった。
こうした不透明なマクロ経済情勢は、エヌビディアや同業他社にとって、四半期決算よりも大きな不安材料となり、株価の足かせとなっている可能性があると、とウィリアムズ氏は述べている。最近のボラティリティー上昇の引き金となったとされる世界的なキャリートレードの巻き戻しもさらに株価を下押しした。
同時に、ハイテク大手は今回の決算発表で、AI投資が収益拡大につながっていると投資家を納得させられなかった。レイモンド・ジェームズのマネジングディレクター兼シニア分析アナリスト、スリニ・パジュリ氏は「AIを収益化する方法をまだ見つけていない。そのため、投資リターンは不透明だ」と指摘。「問題はこの状態がいつまで続くかだ」と話す。
パジュリ氏によれば、8月下旬のエヌビディア決算発表まで大きな材料が乏しい中で、AIチップメーカーに関するセンチメントが向こう数週間に変わる可能性は低い。
エヌビディアが輝きを失うのは時間の問題だったのかもしれない。6月中旬時点の予想株価収益率(PER)は約44倍で、同時期のナスダック100指数の約26倍と比べてかなり割高だった。足元の株価急落で予想PERは約30倍まで下がっており、長期投資家にとっては再び妙味を増すかもしれない。
マホニー・アセット・マネジメントのケン・マホニー社長兼最高経営責任者(CEO)は「これらの企業に関して、少し先走っていたという点以外、根本的には何も変わっていない」と語った。
エヌビディア時価総額9000億ドル消失、長期筋に妙味か-AI投資継続 – Bloomberg
このニュースを見て驚いた。エヌビディアの株価が9000億ドル消失である。いっておくが円じゃないぞ。ドルだ。最近、1ドル=147円まで下がってきたので、日本円で9000億ドルは132兆円だ。132兆円も消えたのだ。
記事にはまだ生成AI特需が終わったわけではないと述べているが、エヌビディアと大きく関係するSKハイニックスの株価も急落している時点で、投資家が生成AIバブルから一歩、後退しているんじゃないかと思わせる。こちらがエヌビディアの株価を気にするのは韓国経済にとって重要な試金石となるためだ。エヌビディアが落ちれば、韓国の半導体輸出も減少するのは自明の理だ。株価は6ヶ月後の未来を現す。
やはり、エヌビディアが設計ミスで次の製品を出すのを延期したことが影響しているのか。そして、気になるのはこれだ。
同時に、ハイテク大手は今回の決算発表で、AI投資が収益拡大につながっていると投資家を納得させられなかった。
これも以前に指摘したが、生成AIというイノベーションが開発されて個人でも、イラストや動画などを簡単に作成できるようになった。しかし、静止画はともかくとして、動画作成となると、一気に使用コストが跳ね上がるという話をしたのを覚えているだろうか。AI投資は最先端分野なので大手IT企業が集中投資をしている。エヌビディアのチップはとても高額だ。それを購入してAIを使ったコンテンツを創造するわけだが、それが本当に収益拡大に繋がるのか。投資家は疑問に思っている。
投資というのは将来の利益を拡大させるためにやることであり、投資家というのは企業が儲けてそのリターンを期待するために株を買う。だが、生成AIが収益拡大に繋がらないなら、いつまでも投資家は生成AI特需に乗るだろうか。しかも、株価も割高である。
日経平均株価の急落を見ればわかるが、バブルというのは弾けるのは一瞬だ。生成AIバブルが弾けるなら、それは同時に韓国半導体を輸出低迷させることに直結する、ただ現時点でITバブルが崩壊したと断言するのも時期尚早だとみている。ただ、いつまでもブームは続かないのだ。コロナ禍からの離脱で旅行やキャンプブームが到来したが、今はすっかり弾けた。そういうものだ。
だから、韓国政府の輸出は好調だから大丈夫なんていう話はただの楽観論に過ぎないのだ。生成AIバブルが弾ければ途端に輸出は急転して、韓国は貿易赤字にまで落ちるのだから。いつまでも半導体一本足打法でしかない韓国にとってそれがどれだけ致命的なのか。来年の今頃にはすっかり景色が変わってるかもしれない。
だから韓国経済を見るのは面白いのだ。韓国経済はマイナーなジャンルであるが、横の繋がりはとても多い。あと、初心者にもわかりやすく規模もそれなりに大きい。何より、世界の覇権を握るアメリカと中国に密接に繋がっている。日本とも関係あるが優先度は低い。では、AIバブル崩壊なのかは判断が難しいが、サムスン電子の近況を見ておこう。
現在、サムスン電子の半導体がSKハイニックスにまで追い越されて崖っぷちな状態となっているわけだが、それも全てはエヌビディアのテストにサムスン電子のHBM3Eが合格できてないからだ。6月に文字通り時価総額が世界一の企業となったエヌビディアに半導体を供給できるのか。これが非常に投資家の間で重要視されている。
そして、ここ数日でサムスン電子はどうやらエヌビディアに合格したというニュースが舞い込んできた。
サムスン電子も半年?1年以上、遅れてようやくテストに合格できた。つまり、SKハイニックスとマイクロンと同じ土俵に立つことができるようになった。これでサムスン電子の半導体は崖っぷちから抜け出したのか。しかし、どうやらそうではないようだ。ええ?違うの?
まずはテストに合格したというニュースが見ていこうか。
[シンガポール/ソウル 7日] – サムスン電子の第5世代「広帯域メモリー(HBM)」となる「HBM3E」は、エヌビディアの人工知能(AI)用プロセッサーに使用するためのテストに合格した。関係者が明らかにした。
生成AI作業の処理を可能にする高度なメモリーチップの開発で出遅れているサムスンは、今回の承認によりSKハイニックスに追いつくのための大きなハードルを越えた。
関係筋によると、サムスンとエヌビディアは、今回承認された8層HBM3Eの供給契約をまだ結んでいないが、数日以内に締結する予定。2024年の第4・四半期までに供給を開始する見通しという。
サムスンの12層のHBM3Eは、まだエヌビディアのテストに合格していないという。サムスンとエヌビディアはコメントの要請に応じていない。
HBMはDRAMの一形態で、2013年に初めて製造された。HBMはチップを積層化することで高性能、省電力を実現したメモリーで、大量のデータを高速で処理する必要があるAIに多く使われる。
サムスンのAI用メモリー、エヌビディアのテスト合格=関係筋 | ロイター (reuters.com)
このようにロイターの報道ではサムスン電子はエヌビディアのテストに合格したと述べている。でも、合格したなら、エヌビディアかサムスン電子が発表しても良いはずなのにそれがない。
では、記事を引用しよう。
サムスン電子の第5世代広帯域メモリー(HBM)のHBM3Eが連日関心を集めている。ロイター通信が7日、複数の消息筋の話として「サムスン電子のHBM3Eが人工知能(AI)プロセッサに使うためのエヌビディアの品質テストを通過した」と報道してだ。しかしサムスン電子は今回のロイターの報道に対して「これまでの状況と変わっておらず、報道内容に関し確認することはできない」と明らかにした。
ロイターはこの日、サムスン電子のHBM3Eが最近エヌビディアのテストを通過したと報道しながら「競合会社であるSKハイニックスに追いつくために奮闘し、世界最大のメモリーチップメーカーが大きな障害を克服する契機」と分析した。また「サムスンとエヌビディアは承認された8層HBM3Eチップに対する供給契約を近く締結するだろう。10-12月期中に供給が始まると予想する」という消息筋の話も伝えた。ただ12層HBM3Eチップはまだテストを通過できていないと付け加えた。この日サムスン電子の株式は前日より3.03%上がった7万4700ウォンで取引を終えた。
ロイターは5月にもサムスン電子が発熱と電力消費問題を解決できずエヌビディアの8層・12層HBM3Eの品質検証通過に失敗したと報道しサムスン電子の株価に衝撃を与えたことがある。サムスン電子は立場文を出し「HBM供給に向けたテストを順調に進行中」と反論したが疑惑が続き、エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)が6月に台湾で開かれた記者懇談会で「テスト通過失敗説」を直接否定したりもした。
ロイターは今回の報道で発熱などの問題に対し「サムスン電子がこうした問題を解決するためにHBM3E設計をやり直した」と伝えた。
サムスン電子のHBM3Eのエヌビディア納品時期をめぐる外信報道が相次いでいるがサムスンはいずれも否定している。1週間前の先月30日にはブルームバーグがサムスンのHBM3E承認と関連し、「2~4カ月以内になされるだろう。11月までにエヌビディアの承認を受けるだろう」と報道したりもした。
ただサムスン電子は先月31日の4-6月期業績発表カンファレンスコールで顧客との秘密維持契約に言及し言葉を控えながらも、「主要顧客に(8層HBM3Eの)サンプルを提供しており評価を正常に進行中だ。7-9月期中に量産する予定」と明らかにしテスト通過が迫っていることを示唆した。
HBMはDRAMを積層してデータ容量と処理速度を大きく引き上げたAIメモリーだ。エヌビディアなどが作るグラフィック処理装置(GPU)と組み合わせてAIアクセラレータが作られる。
SKハイニックスが2022年からエヌビディアにHBM3を事実上独占供給したのに続き3月からは世界で初めて量産したHBM3Eも納品しメモリー企業のHBM競争はさらに激しくなっている。
「エヌビディアのテスト通過」…サムスンHBM3Eにあふれる関心 | Joongang Ilbo | 中央日報 (joins.com)
ロイターの報道ではサムスン電子はテストに合格したはずなのに、サムスン電子はその報道を否定した。これがどういう理由からかわからないが、サムスン電子のHBMはエヌビディアが要求する性能よりも低いという報道がされている。
だから、エヌビディアはその性能が低いHBMは中国向けの製品に使うだろうというニュースがある。エヌビディアは米国の対中半導体規制に引っかからない基準のチップを中国に輸出したいが、普通のチップを使えば基準を超える。だから、サムスン電子の劣化HBMを使っているとか。これが本当ならサムスン電子は合格したというよりは、おまけで使い道ができたからということになる。
ロイターは今回の報道で発熱などの問題に対し「サムスン電子がこうした問題を解決するためにHBM3E設計をやり直した」
これが本当なら、サムスン電子は相当、HBMの半導体開発に苦戦していたことになる。設計からやり直したというが、それはほぼ最初からだよな。でも、SKハイニックスやマイクロンのHBMのサンプルがあるんだから、それを分解して調べてコピーすれば良いだけだろう。そのコピーする技術すらなかったのか。
もちろん、そのままコピーすれば特許か何か引っかかるかもしれないが、分解して調べてどういう仕様になってるかを確認するのは別に違法でも何でもない。何処のメーカーだって他社の技術やサービスを分析するのは基本中の基本だ。多くの投資家がサムスン電子がエヌビディアのテストにここまで合格できないのは不思議がっていたのはそういう理由からだ。
関係者がいうことが事実であると断言するのは難しい。サムスン電子やエヌビディアの正式な発表を待つしかないが、株というのは率先して良い材料があれば折り込んでいく。だから、この日、サムスン電子の株価は3%上がったと。もっとも、合格がサムスン電子に否定されたので急騰するのは難しいだろう。
関係筋によると、サムスンとエヌビディアは、今回承認された8層HBM3Eの供給契約をまだ結んでいないが、数日以内に締結する予定。2024年の第4・四半期までに供給を開始する見通し。
8月9日の朝に原稿を書いているが、昨日の時点では合格したという正式な発表はない。もっとも、合格したところで、供給できるのは2024年の第4・四半期まで。周回遅れである事実にかわりは無い。SKハイニックスは既に次のHBMが完売しているのに、
サムスン電子はまだ普通のHBMすらテストに合格したのか。してないのかが不透明な状況だ。合格できればようやくスタートラインに立てるが、あのサムスン電子が万年赤字のSKハイニックスを追いかけてるなんて誰が想像しただろうか。しかし、そうなってくると、生成AI特需がどこまで持続するかだ。だから、最初にエヌビディアの株価がピーク時から急落しているニュースを出した。SKハイニックスだってピークから40%下落しているものな。