韓国 今回の原稿を書いてるのは2024年8月14日の10時頃だ。だから、アメリカのCPI発表直前ということで、まあ、どうなるかはよくわからないんだが、先にPPIが発表されている。どうやら9月の利下げ観測が強まる内容のようだ。それによってダウも好調で、その恩恵を日経平均株価をうけており、今のところは300円ぐらい上昇している。
今回の朝の金融ニュースとして気になるのは二つだ。米生産者物価指数と原油価格高騰である。特に原油価格高騰は韓国経済にも大きく影響を与えるのでしっかり確認しておきたい。
では、最初は米PPIからみていこう。
[ワシントン 13日 ロイター] – 米労働省が13日発表した7月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比(季節調整済み)0.1%上昇した。伸びは前月の0.2%から鈍化。インフレ圧力が引き続き緩やかになっていることが示されたことで、米連邦準備理事会(FRB)が来月の会合で利下げを決定するとの観測が一段と高まった。
前年比では2.2%上昇。前月は2.7%上昇していた。モノ(財)の価格上昇がサービス価格の低下で相殺されたことで伸びが鈍化した。ロイターがまとめたエコノミスト予想は前月比が0.2%上昇、前年比が2.3%上昇だった。
食品とエネルギー、貿易サービス部門を除いたコア指数は0.3%上昇。6月は0.1%小幅上昇だった。前年同月比では3.3%上昇。6月は3.2%上昇だった。
今回のPPI統計では、FRBがインフレ指標として注視している個人消費支出(PCE)価格指数の算出に利用される多くの項目で良好な数値が示された。物価上昇が緩和する中、FRBは物価安定よりも労働市場を一段と注視して政策運営を実施できるとみられる。
FWDBONDSの主任エコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「PPIの伸びが7月に鈍化したことはFRBに朗報だった」と指摘。同時に「PPIのデフレは起きていない」とし、「経済が下降傾向にあるため、FRB判断を急ぎ、利下げを前倒しする必要はない」との見方を示した。
シティグループのエコノミスト、ベロニカ・クラーク氏は「米コア個人消費支出(PCE)価格指数の見通しを0.20%から0.18%に小幅引き下げたが、最終的な予想は14日に発表される米消費者物価指数(CPI)に大きく左右される」と指摘。
JPモルガンのエコノミスト、マイケル・ハンソン氏は「生産者から消費者への価格転嫁は不完全で長さも一定ではないが、今回のPPIはFRBが今後の政策決定において引き続き労働市場に重点を置くことを可能にする範囲内に十分収まっている」と述べた。
<財価格0.6%上昇、サービス価格0.2%下落>
財の価格は2カ月連続の下落から0.6%上昇に転じた。5カ月ぶりの大幅な上昇となった。エネルギー価格は1.9%上昇し、モノの上昇分の6割を占めた。ガソリンも2.8%上昇した。
食品価格は0.6%上昇。6月は0.1%上昇だった。変動が大きい食品とエネルギーを除いた財のコア指数は0.2%上昇。6月は横ばいだった。
サービス価格は0.2%下落し、2023年3月以来の大幅な下落となった。6月は0.4%上昇だった。
卸売業者や小売業者が受け取るマージン(利ざや)の尺度である最終需要貿易サービスが1.3%下落したほか、機械・車両の卸売マージンも4.1%下落した。食品・酒類、自動車・燃料・潤滑油などが下落した一方、運輸・倉庫のサービス価格は0.4%上昇した。
航空運賃は前月の0.4%上昇から一転0.2%下落。健康保険・医療保険は0.1%小幅上昇した。6月は0.2%上昇だった。
外来診療費が0.2%下落した一方、入院医療費は0.2%上昇した。ホテルなどの宿泊料金は0.4%下落。6月は0.5%下落だった。ポートフォリオ管理費は2.3%上昇したものの、このところの株式市場の急落を背景に反転する可能性が高い。
米7月PPI、前月比+0.1%と予想下回る 9月利下げ観測後押し (msn.com)
なるほど。まあ、CPIが出てからでもいいのだが、これは利下げが9月でほぼ確定の内容だと思われる。予想より僅か低い0.1%上昇となったので、生産者物価は鈍化している。ただ、変数としては後で取り上げる原油価格高騰というものがある。これがどこまで上がるかはわからないんだよな。さすがに1バレル=130ドルはないとおもうが、イランのイスラエルに対して報復攻撃前に80ドルは超えてしまっている。
イランがイスラエルと全面戦争する確率は低いと思うのだが、イスラエルが戦争拡大させていけば中東諸国も黙ってないだろう。
それでは原油価格高騰を見ておこう。
[ニューヨーク 12日 ロイター] – 米国時間の原油先物は3%を超えて急伸した。中東の紛争拡大で世界的な原油供給が逼迫するとの観測が出ており、上昇は5営業日連続となる。
清算値は、北海ブレント先物が2.64ドル(3.3%)高の1バレル=82.30ドル、米WTI先物が3.22ドル(4.2%)高の80.06ドル。
レバノンの武装組織ヒズボラとイランによるイスラエルに対する報復攻撃の懸念が高まる中、米国防総省は11日、オースティン国防長官が誘導ミサイルを搭載できる原子力潜水艦「ジョージア」の中東派遣を命じたと発表。イスラエルのガラント国防相は同日、オースティン長官と電話会談を行い、イランがイスラエルに対する大規模な攻撃を準備している兆候があると伝えた。
みずほ(ニューヨーク)のエネルギー先物担当ディレクター、ボブ・ヤウガー氏は、イランが実際にイスラエルを攻撃すれば、米国はイラン産原油に禁輸措置を導入する可能性があり、日量150万バレルの供給に影響が出る可能性があるとの見方を示した。
原油先物3%超上昇、中東紛争拡大なら世界的な供給逼迫 | ロイター (reuters.com)
このように原油価格が82ドルを超えてしまった。今のところはイランは報復攻撃には出ていないのだが、今週中に動く可能性は取り沙汰されている。それともう一つ重要なのがアメリカがイランが報復攻撃したら、禁輸措置を導入するという。先にハマスの指導者を殺したのはイスラエルなのに、反撃したら禁輸措置てアメリカは何を考えてるんだろうな。
むしろ、イスラエルを制止できなかったアメリカの怠慢じゃないのか。もっとも、アメリカはハマスの指導者暗殺事件に関与しているなら、それは最悪というものだ。しかも、ここでイランに禁輸措置なんてしたら中東情勢がさらに悪化するぞ。第三者からみても、イスラエルに正義なんてあるわけもないのだから。
このように中東情勢が悪化しているのだが、原油価格高騰は韓国の輸入物価を押し上げるので厳しくなる。現在、ウォンは1360台で推移しているが、これはきついとおもわれる。ただでさえ、内需が壊滅的な状況で韓国は猛暑が続いている。
この猛暑についても変数であるのだが、結構、ヤバそうなんだよな。少し見ておこうか。ソウルでは24日連続で熱帯夜が続いてるそうだ。
韓国では午後6時1分から翌日午前9時までの最低気温が25度以上の場合を熱帯夜とする。13日のソウルの最低気温は28.3度で、今年に入り最も高かった。24日連続の熱帯夜は、ソウルで近代的な気象観測が始まった1907年からの118年間で2番目に長い。
ソウルで最も長く熱帯夜が続いたのは、2018年7月21日から8月15日までの26日間。
この暑さは8月15日の光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)以降も続くと予想され、18年の記録も破られる見通しだ。今年ソウルで熱帯夜となった日数は計26日で、史上4番目に多い。1位は94年(計36日)で、2位は16年(計32日)、3位は18年(29日)。
南部の釜山でも20日連続で熱帯夜となり、ソウルと同様に1904年以降で2番目に長かった。済州島では熱帯夜が30日続き、昨年から2年連続で30日以上の熱帯夜となった。暑さは14日も続き、最高気温は29~35度、体感温度は大部分の地域で35度前後まで上がると予想される。
韓国・ソウルで24日連続熱帯夜 過去最長更新の見通し (msn.com)
こんな状況では冷房に使用する電力需要がさらに増えてそうだな。韓国さん、電気は足りるんですかね。それで、こんな猛暑が続けば海やらどこかに旅行したくなるわけだが、ここに来て新型コロナの感染が急増しているようだ。そして、海外旅行先はベトナムが人気とか。でも、海外旅行じゃ内需に貢献しないので、韓国の内需が深刻化するだけという。
では、記事を引用しよう。
会社員5年目のキムさん(32)は入社後初めて「巣ごもり」で休暇を過ごした。夏休みシーズになれば短くても国内旅行か海外旅行をしてきたが、今年は休暇を2週間後に控えて新型コロナウイルスに感染したためだ。友人らと行くことにした江陵(カンヌン)旅行を取りやめたというキムさんは「どうせ猛暑で外出するのもしんどそうなので家で休むことにして良かったと思う」と話した。
ベトナムで1週間過ごすイさん(30)は「これまでは夏休みに東南アジア旅行は考えもしなかったが、いまや韓国も40度を超える猛暑が続いており、韓国よりコストパフォーマンスが良いベトナムを選択することになった」と話した。旅行業界関係者は「昨年夏と比較すると海外旅行需要が40%ほど増えた」と話す。
景気低迷と記録的な猛暑により旅行・観光業界が夏休みシーズンの特需を期待するのが難しくなり内需不振にも悪影響を与えるかねないという懸念が出ている。韓国観光公社のビッグデータ分析によると、先月の全国の地域別の外部人訪問者数は合計2億4157万人で昨年7月の2億4847万人より約700万人減った。全訪問者のうち観光客を別に分類していない数字ではあるが事実上韓国人の国内観光が1年前より減ったのではないかという懸念が出る背景だ。
漢陽(ハニャン)大学観光学部のイ・ヨンテク名誉教授は「最近韓国の小都市を旅行するローカルツーリズムが新たに人気となっていいたが、新型コロナウイルスの再発と猛暑などが否定的影響を与えている。こうした場合、旅行に行くのをやめるか、大都市・近距離ホテル滞在型旅行などを好むことになり、繁忙期に現れる地方経済活性化に大きな助けにはならないだろう」と話した。
夏休み特需が海外にシフトする場合、内需不振に悪影響を与えかねないという警告が出ている。韓国銀行が発表した6月の旅行収支は9億ドルの赤字となった。本格的な夏休みシーズンではなく公休日も前月に比べて少なかったが5月の8億6000万ドルより赤字幅が広がった。
韓国統計庁によると、4-6月期の小売り販売額指数は前年同期より2.9%減少した。世界的金融危機があった2009年1-3月期の4.5%減以降で最も大きい減少幅だ。小売り販売は2022年4-6月期に0.2%減少してから9四半期連続の減少だ。1995年から関連統計を作成して以来最も長い減少の流れだ。
内需状況を見せる他の指標であるサービス業生産指数も消費者と密接な分野を中心に振るわない姿を見せた。4-6月期の全サービス業生産指数は前年同期より1.6%増加したが、卸小売業生産は2.1%減り、宿泊飲食店業生産も1.8%減少した。両業種とも5四半期連続の減少傾向だ。
内需不振長期化に今年の韓国経済成長見通しを引き下げる世界の投資銀行と機関が相次いでいる。消費は萎縮し負債は増え民生の苦しさが当分続くという観測からだ。投資銀行8社の韓国成長見通し平均は先月末基準で2.5%となり前月より0.2ポイント下落した。UBSはこれまでの3.0%から2.3%に下げ、ゴールドマン・サックスは2.5%から2.3%に引き下げた。
韓国開発研究院(KDI)は内需回復を難しくする最大の要因として「高金利基調」を挙げた。KDIは「高金利基調が長期化する場合、家計消費余力と企業投資余力が制約され内需下方圧力として作用する」と明らかにした。
巣ごもりでなければ海外へ…夏休みシーズン色あせる韓国の「内需不振」いつまで | Joongang Ilbo | 中央日報 (joins.com)
色々と書いてあるが重要なのは、景気低迷と記録的な猛暑により旅行・観光業界が夏休みシーズンの特需を期待するのが難しくなり内需不振に悪影響を与えかねないと。せっかく夏休みシーズンでも猛暑だけではなく、新型コロナまで蔓延しているなら、当然、コロナに感染する可能性もあり、人はほとんど動かない。そもそも暑いのだから外に出たくないだろう。
でも、外に出ないということはレジャーや宿泊、飲食、デパートなどの内需関連の売上が伸びない。夏休みシーズンなのに閑古鳥が鳴くというやつだ。実際、4-6月期の小売り販売額指数は前年同期より2.9%減少したと。
韓国政府の言っていることがデタラメであることがよくわかるな。輸出が好調で、内需も回復してきたとか。一体、何処を見て内需が回復したとか。全くしてないという。
しかも、内需が回復しないので各機関が韓国の成長率予測を下方修正に動いていると。
投資銀行8社の韓国成長見通し平均は先月末基準で2.5%となり前月より0.2ポイント下落した。UBSはこれまでの3.0%から2.3%に下げ、ゴールドマン・サックスは2.5%から2.3%に引き下げた。
UBSの下げが凄いな。いきなり0.7%も下げたのか。まあ、2%前後だよな。結局、韓国は半導体輸出が好調でも低成長時代から抜けられないと。3%は韓国にとって遙か遠い目標だ。
それで内需を回復させるにはどうすればいいか。高金利が続いてるのだから内需が酷いんだ。当たり前の回答をしていると。だから言ったじゃないか。こちらは数ヶ月前から早く利下げしろと。もう、利下げのゴールデンタイムとやらはなくなっているんじゃないか。
KDIは「高金利基調が長期化する場合、家計消費余力と企業投資余力が制約され内需下方圧力として作用する」
韓国の高金利といっても3.5%程度だが、それでも韓国には苦しいと。実際、今の内需低迷を見れば金利1%でもおかしくないからな。韓銀はアメリカの利下げを待っているようだが、それだと9月以降の利下げになる。内需がますます悪化してる頃になるわけだが、残念ながらアメリカ大統領選挙というとんでもない変数がある以上、未来を予測するのは難しい。しかも、米利下げするということは米景気後退、リセッション入りという意味ともとれる。韓国から輸入が減っていくことになるわけだ。
韓国経済ってもっと簡単なはずなのだが、ここ数年はアメリカの経済に影響を受けすぎて、どんどん難しくなっている印象だ。後、もう一つの変数といえば中国か。中国経済の輸出もついに陰りが見えてきている。上海総合指数は2857と低迷している。
なかなか今後の予測が難しい情勢であるのだが、こちらのやることは出てきた経済や金融ニュースとさらに数値とのにらめっこしながら分析するだけである。つまり、範囲が増えていつも通りである。