韓国 昨年に続き、今年も韓国は深刻な税収不足に陥っているのだが、その原因とされているのはサムスン電子やSKハイニックスが昨年の法人税を全く払っていないためだ。半導体が絶不調だった時期で赤字だったことでサムスン電子やSKハイニックスは法人税を払わなかった。これは税制法に基づいたことなので、韓国政府がとやかく言えることではない。
だが、今年の上半期はサムスン電子やSKハイニックスは好調なので、韓国政府は税収不足を補うために先払い納税に期待しているそうだ。おいおい、税金まで企業に先払いさせるのかよ。どんだけ韓国政府は金に困っているんだよ。既に上半期だけで10兆円以上の税収不足で予算も使い切ってどうしようもない。そもそも韓国政府は半導体支援しているんじゃないのか。サムスン電子やSKハイニックスは儲けた利益は今後の半導体の設備投資に使いたいだろう。それなのに前払いで納めてくれるのを期待しているとか。
だいたい、韓国政府は恥ずかしくないんですか?国家が一企業の税収を当てにするとか。これで自称、先進国らしいからな。やっていることはどう見ても途上国ですよね。
では、記事を引用しよう。
国税収入不足の主犯に選ばれる法人税収入が8月中間予納を基点に反転するのか注目される。結局はサムスン電子やSKハイニックスのような半導体大企業にかかった。韓国企画財政部によると、上半期の累計国税収入は168兆6000億ウォンを記録した。1年前より10兆ウォン減った。同じ期間に法人税は16兆1000億ウォン減少した。昨年営業赤字を出したサムスン電子とSKハイニックスが法人税を出さなかった影響が大きかった。
法人税は税収全体の20%以上を占める。6月までの法人税進捗率は39.5%にとどまった。過去5年平均の57.9%を18.4ポイント下回る。法人税とともに国税3大税目に挙げられる付加価値税が5兆6000億ウォン(15.7%)、所得税が2000億ウォン(0.3%)増えたのと対照的だ。
だが企画財政部は8月を基点に法人税収が増えると期待する。上半期の企業業績が大幅に改善されたためだ。韓国取引所が12月決算法人が公開した半期報告書を分析した結果、上半期のKOSPI上場企業の単体基準売り上げは783兆3875億ウォンと集計された。1年前より6.55%増えた。営業利益は59兆2325億ウォンで297.29%増、純利益は67兆5596億ウォンで47.73%増となった。
連結売り上げの9.9%を占めるサムスン電子を除いても単体営業利益が50兆26億ウォン(122.08%)、連結営業利益が85兆9405億ウォン(63.72%)増加するなど好調傾向だった。半導体大企業だけでなく金融・エネルギー企業の業績も改善された。
上半期の企業業績が重要なのは法人税中間予定納税税収と直結するためだ。12月末決算法人は今月末までに法人税を予定納税しなければならない。予定納税は上半期の業績に基づいて推定法人税額の半分を納付し、残りを翌年3~5月に納付する方式だ。企業は1年分の法人税を2回に分けて納付することで当面の財務負担を減らすことができ、政府は安定的に税収を確保できる長所がある。
企業は景気が良い時は前年度に出した法人税の半分を納付し、景気が悪い時は1~6月の仮決算を通じて予定納税する場合が多い。今年大企業の業績改善にもかかわらず、企業が前者を選ぶ場合、8月も法人税収は大幅に増えないだろうという話だ。ただ昨年営業赤字で今年の法人税として0ウォンを申告したサムスン電子とハイニックスは上半期業績を仮決算して法人税を予定納税しなければならない。「国の暮らし研究所」のイ・サンミン首席研究委員は「出す税金は結果的に同じだが企業は景気が良ければ他の所に投資するため税金納付を先送りしようとする」と話した。
企画財政部は法人税法を改正し来年度から企業の予定納税仮決算を義務化する計画だ。公正取引法上の大企業にだけ適用する。梨花(イファ)女子大学経済学科の石秉勲(ソク・ビョンフン)教授は「サムスン電子が韓国代表企業である点を考慮しても法人税収が1~2社の業績により揺れ動く産業・納税構造は望ましくない」と話した。
下半期に韓国の税収不足一息つくか、サムスンとハイニックスにかかる | Joongang Ilbo | 中央日報 (joins.com)
さて、今回の記事で重要なのは昨年より、今年の実績が良いのは当たり前という前提だ。なぜなら、2023年の韓国経済は未曾有の危機に見舞われていた。経済というのは循環するので良いときもあれば、悪いときもある。最悪がは2023年上半期だった。5ヶ月で過去最大レベルの貿易赤字を300億ドル目前だったか。中国の景気も振るわず、半導体輸出も激減。
韓国は輸出がメインの国なので、どうしても他国の経済で大きな影響を受ける。2023年の中国経済が絶不調だった時期だから、当然、韓国からの輸入も大幅に減った。それから1年経過して中国は成長率をなんとか5%達成しようと過剰輸出に乗り出した。その結果、製造業からの輸入が増えて韓国の対中輸出は回復した。もっとも、これはサムスン電子の対中半導体輸出が大幅に増えたことが大きい。
アメリカの対中半導体規制が強化される前にサムスン電子のチップを中国企業が買い占めているというわけだ。ただ、ここで面白いことがある。それはSKハイニックスの2倍の売上となっているサムスン電子とSKハイニックスの営業利益が「ほぼ同じ」だってことだ。ええ?どういうことだって?つまり、サムネイルのDRAMは薄利多売てことだ。
記事で補足しておこうか。
グローバル半導体の業況が反騰して今年上半期のサムスン電子のメモリー半導体平均販売価格が前年より60%以上高くなった。人工知能(AI)ブームの到来でサーバーメモリー需要が大きく延びたが、供給量は以前と同じ程度だったためだ。また、SKハイニックスはサムスン電子半導体部門に比べて上半期の売上が半分だったにもかかわらず、営業利益はほぼ同じ水準で高付加価値商品である高帯域幅メモリー(HBM)の力を確認した。
14日、サムスン電子の今年半期の報告書によると、サムスンのメモリー半導体平均販売価格は前年年間平均に比べて約60%上昇し、スマートフォンの平均販売価格は同じ期間約7%上昇した。テレビは前年と同じ水準だった。反面、スマートフォン用有機OLEDパネル価格は約32%下落した。今年上半期のサムスン電子のメモリー半導体売上は39兆2321億ウォンで、半導体不況だった昨年の年間売上(44兆1254億ウォン)に迫った。
サムスン電子は今年上半期だけで合計23兆4084億ウォン(約2兆5410億円)を設備投資に使った。このうち84%である19兆5706億ウォンを半導体部門に投じたが、これは昨年上半期(23兆2473億ウォン)に比べると減った。サムスンは昨年半導体不況で中断していた平沢(ピョンテク)キャンパス工場の増設を最近再開した。
半導体業況が回復傾向に入ったが在庫資産はかえって増えた。サムスン半導体部門の上半期の在庫資産は32兆3308億ウォンで、今年1ー3月期(32兆318億ウォン)に比べて3000億ウォン程増加した。会社側は「会計上、在庫評価引当金(在庫価格が取得原価より低くなる場合に備えて前もって下落分を反映する金額)が4兆ウォンほど増えた影響で、実際の半導体在庫自体は減った」と説明した。
SKハイニックスは今年上半期の在庫資産を減らしたことが分かった。SKハイニックスの半期報告書によると、今年上半期基準で在庫資産は13兆3549億ウォンで、1ー3月期に比べて5000億ウォンほど減った。メモリー半導体業界状況が反騰して需要が供給を超過して在庫を減らしたとみられる。
SKハイニックスは先月4-6月期の業績カンファレンスコールで「急成長するHBM需要によってメモリー半導体企業が稼動率を高めているが、DRAMは相変らず生産能力が減産された水準」としながら「タイトな供給状況が持続するだろう」と明らかにした。
設備投資額と研究開発費もともに増えた。今年上半期、SKハイニックスの設備投資額は5兆9670億ウォンで前年同期(2兆7140億ウォン)に比べて2倍以上となった。SKハイニックスは4月、忠清北道清州(チュンチョンブクド・チョンジュ)に高性能DRAMを生産する大規模新規ファブ(半導体工場)M15Xを建設すると発表したことがある。研究開発費も同じ期間2兆863億ウォンから2兆3075億ウォンに10.6%増えた。
SKハイニックスは半導体業況の回復の中でHBM市場主導権を握って今年上半期8兆3545億ウォンの営業利益を出した。売上が2倍近くリードしているサムスン電子半導体部門の同期間営業利益(8兆3649億ウォン)に近接する業績だ。サムスン電子はメモリー半導体以外にも設計・ファウンドリ(半導体委託生産)事業を展開している。
一方、グローバル格付け機関ムーディーズはこの日、SKハイニックスの信用格付け展望を「否定的(negative)」から「安定的(stable)」に上方修正すると明らかにした。ムーディーズは最近メモリー半導体価格が上昇してAI部門の競争力が高まり、SKハイニックスの収益と現金の流れが大きく改善したと判断した。SKハイニックスは今年4-6月期借入金を4兆2000億ウォンほど減らした。先立ってS&PもSKハイニックスの業績と安定したキャッシュフローを考慮して信用格付けを従来の「BBB-」から歴代最高等級となる「BBB」に引き上げた。
「売上2倍差」サムスン電子・SKハイニックス、営業利益「ほぼ同じ」 | Joongang Ilbo | 中央日報 (joins.com)
この記事はサムスン電子とSKハイニックスの利益がほぼ同じというワードに焦点を当てがちだが、重要なのはそこだけではない。ポイントはここだ。
半導体業況が回復傾向に入ったが在庫資産はかえって増えた。サムスン半導体部門の上半期の在庫資産は32兆3308億ウォンで、今年1ー3月期(32兆318億ウォン)に比べて3000億ウォン程増加した。
なんとサムスン電子は在庫資産が「増えた」のだ。ええ?なんかいいわけしているが、あれ?サムスン電子は売上が好調ですよね?それなのにどうして在庫が増えてるんですかね?反対にSKハイニックスは在庫資産を減らしている。
中国企業が大量にサムスン電子のチップを買い占めてるのは単純に二束三文で在庫を売っているからじゃないのか?それでも増えてますけどね!
しかも、SKハイニックスも「急成長するHBM需要によってメモリー半導体企業が稼動率を高めているが、DRAMは相変らず生産能力が減産された水準」とある。つまり、半導体輸出は回復しているが、DRAM生産を元に戻すまで至ってない。生成AI需要で業績は良いが、そのAIバブルも崩壊する可能性がある。
これでわかったことはサムスン電子はSKハイニックスに二倍の速度で引き離されているということ。サムスン電子がSKハイニックスの2倍売って、ようやく利益が同じではまるで勝負になってない。中国企業が在庫叩き売りセールで大量に買っても、在庫が増えるぐらいだ。
結局、同じ半導体でもHBM分野は生成AI特需で好調だが、DRAMなどは普段よりも回復傾向は鈍いってことだ。これではサムスン電子の半導体が復活したとは到底思えないな。崖っぷちから抜け出せないと。しかし、サムスン電子の半導体在庫が未だに3兆円以上とか笑えるよな。
2023年の4月頃にはサムスン電子やSKハイニックスの在庫資産が合わせて5兆円だったことを覚えてるが、今年の8月でもサムスン電子は32兆3308億ウォン、SKハイニックスは13兆3549億ウォンということは合わせて4兆6000億円ぐらいか。1割程度しか減ってないじゃないか!
そりゃ在庫さばいているだけなら売上高や営業利益は回復するよな。もっとも、残り4兆6000億円の在庫資産を誰が買ってくれるんですかね。
格付け機関はSKハイニックスの格付けを「BBB-」から歴代最高等級となる「BBB」に引き上げたとあるが、そもそも格付け低すぎませんかね。まあ、万年赤字企業のSKハイニックスからすれば凄いことなのか。
それで話がずれたが、SKハイニックスは借り入れ金を減らさないといけない。サムスン電子も設備投資に金がいる。韓国政府が期待している税収の前払いは無理なんじゃないか?
ただ昨年営業赤字で今年の法人税として0ウォンを申告したサムスン電子とハイニックスは上半期業績を仮決算して法人税を予定納税しなければならない。
そもそもサムスン電子の利益が9兆ウォン程度なら、法人税が20%として1000億円ぐらいだよな。払う金額。SKハイニックスも同じで1000億円として2000億円ぐらいしかはいってこないぞ。どうやって10兆円の税収不足を補うんだよ。
全体の営業利益が59兆ウォンでも、これが法人税20%なら10.8兆ウォン。約11兆円だ。それで韓国の法人税の仕組みをもう一度、読んでおこう。
12月末決算法人は今月末までに法人税を予定納税しなければならない。予定納税は上半期の業績に基づいて推定法人税額の半分を納付し、残りを翌年3~5月に納付する方式だ。企業は1年分の法人税を2回に分けて納付することで当面の財務負担を減らすことができ、政府は安定的に税収を確保できる長所がある。
企業は景気が良い時は前年度に出した法人税の半分を納付し、景気が悪い時は1~6月の仮決算を通じて予定納税する場合が多い。
つまり、企業の景気が良ければ前年度の半分の法人税を払うから、今年の上半期に稼いだ分の法人税は今年、はいってこない。来年以降となる。これでは税収不足を改善するのは難しいだろうな。さらに韓国政府は金がないからと、法人税法を改正し来年度から企業の予定納税仮決算を義務化するそだ。公正取引法上の大企業にだけ適用する。
確かに法人税を支払うことにかわりないんだが、予算がない韓国政府の都合で義務化すると。これでは設備投資に使える金額が減少するので企業からすれば改悪だよな。結局、企業の足を引っ張るのが韓国政府ってことだ。これも実質負担を増やすから増税といってもいいのか。
さっき法人税を20%で計算したが、20%は計算しやすいように利用したもので、韓国企業の支払う法人税は所得や国の支援による控除とか色々あるので、もっと低くなる。
結論を述べれば、今年の税収不足はたいして解消されないてことだ。サムスン電子やSKハイニックスが2兆ウォン払っても全然、足りないからな。