韓国 アメリカのパウエル議長がジャクソンホールで9月のFOMCで米利下げを示唆した。これによってアメリカの高金利時代が転換点を迎える。しかし、それが韓国経済にとっては実はあまり良くない材料だったりする。なぜならウォン安だからこそ、アメリカで韓国からの輸入が増えたのだ。
輸出競争力を確保するために韓国はドル高、ウォン安のほうが良い。だが、ウォン安は韓国の輸入物価高騰を招くので、原油や原材料などを輸入に頼る韓国にとっては痛い問題でもある。韓国の適正為替レートは1100~1150である。それが現在は1324ウォンなのでそこまで戻すのはかなり難しい。アメリカが利下げすればウォン高になって元に戻る?それはほとんどあり得ないとみている。
なぜならアメリカの金利が韓国の基準金利、3,5%まで落ちるかも怪しいのだ。しかも、アメリカが一気に利下げするなら、それは確実に景気後退の兆候が大きく出た後になるので、韓国輸出は減少するのでウォンも韓国株も売られる。さらにいえば、3.5%以下になれば、不動産バブルで家計債務急増で金利を下げられない韓国にとっては米韓金利差が拡大していくことになる。
そうなると米韓金利差が開いて再びウォンは下落する。つまり、アメリカの景気が後退すればするほど金利は下がるので、韓国ウォンは売られるてことだ。すると1400台、1500台もあり得ない話ではないのだ。例えば、アメリカが金利2.5%まで下げたら、韓国は現在の米韓金利差の2%なら0.5%まで金利をさげることができるが、それだけ金利下げたら不動産バブルが活性化するのは必至だ。
家計債務の急増は消費を萎縮するので韓国政府は必至に家計債務を管理しようとしているが、実はそれが庶民にとって最悪な結果をもたらす。なぜなら銀行からの低金利での融資が拒否されたり、限度額が減らされたら、足りない分を高い金利で借りなければいけないためだ。
しかし、信用スコアがそもそも低いなら貸してもらえない。そこで韓国では担保ローンが急増していると。取り上げたのは自動車担保ローンなどだが、庶民が財産を質に入れて金を借りるまで追い込まれているわけだ。そして韓国人のことだ。知人や友人などから借りた表に出ない隠れ借金もかなり増やしてるだろう。
そして、もう一つ重要なのが韓国少子高齢化社会の到来である。この高齢化社会で若者と高齢者の仕事の奪い合いが始まったことは何度か紹介したが、そもそもどうして高齢者は低賃金でも働かないといけないのか。年金もらって悠々自適の生活はできないのか。そこをもう一度復習しておこう。簡単なことだ。そもそももらえる年金だけで食べていけないのだ。なぜなら、ほとんどの高齢者の年金は月5万円程度だからな。酷ければ4万円とかもざらだ。
では、記事を引用しよう。
2022年、韓国の65歳以上の年金受給者が受け取った年金額は月平均65万ウォン(約7万円)であることが分かった。引退後、高齢者単身世帯が必要な月最低生活費を大きく下回る。
22日に韓国統計庁が発表した「2022年年金統計」によると、2022年に基礎年金・国民年金・職域年金などの年金を1つ以上受給した65歳以上の人口は818万2千人と集計された。各年金制度が成熟している上、高齢化が加わり、1年前に比べて受給者数が41万4千人(5.3%)増えた。
65歳以上の総人口に占める年金受給者の割合を意味する受給率は90.4%だった。受給者が増え、受給率もまた1年前に比べて0.3%上昇した。65歳以上の人口が属する世帯のうち、年金受給者がいない世帯(年金未受給世帯)は28万8千世帯だった。
65歳以上の年金受給者の月平均年金受給額は65万ウォン(約7万円)だった。1年前に比べて5万ウォン(8.3%)増えた。月平均受給額も毎年増えてはいるが、依然として国民年金研究院が推算した高齢者単身世帯の月最低生活費の半分水準だ。
国民年金研究院が2022年末に出した国民老後保障パネル調査の結果、2021年基準で高齢者単身世帯の月最低生活費は124万3千ウォン(約13.5万円)だった。夫婦基準では198万7千ウォン(約21.6万円)が月最低生活費と分析された。
年金受給額を区間別に見てみると、月平均25万以上50万ウォン未満(2.7~5.4万円)を受給する人が年金受給者全体の40.4%を占め、最も比重が大きかった。次いで50万~100万ウォン(5.4~10.8万円)が27.5%、25万ウォン未満が19.9%であった。年金受給者全体のうち60%程度は月受給額が50万ウォン(約5.4万円)未満であるわけだ。
年金の種類別に見れば、国民年金受給者435万3千人の月平均受給額は41万3千ウォン(約4.5万円)だった。基礎年金受給者616万8千人は月平均27万9千ウォン(約3万円)。公務員、軍人、私立学校教職員などが加入対象である職域年金は53万人が月平均252万3千ウォン(約27.5万円)を受領した。
この他に退職年金受給額は月平均158万3千ウォン(約17.2万円)、農地年金(高齢農民が所有する農地を担保として生活安定資金を年金形式で受け取る制度)は130万6千ウォン(約14.2万円)、住宅年金(高齢の住宅所有者が住宅を担保として生活安定資金を年金形式で受け取る制度)は121万6千ウォン(約13.2万円)だった。住宅を所有している人の月平均受給額(全ての年金対象)は82万5千ウォン(約9万円)、無住宅受給者は50万8千ウォン(約5.5万円)と集計された。
韓国、65歳以上の年金月額7万円…60%は5.4万円未満 : 経済 : ハンギョレ新聞 (hani.co.kr)
文章にも書いてあるが、2021年基準で高齢者単身世帯の月最低生活費は124万3千ウォン(約13.5万円)。でも、これは2024年の物価高を考慮してないので実際の生活費はもっと多いはずだ。年金5万円では圧倒的に足りないのだ。すると高齢者も仕事をさがないといけないので、無料地下鉄を利用して荷物を運んだり、Uber Eatsなどで弁当や料理を運んだり。空き缶集めて工場にもっていくなどして飢えを凌ぐようになった。
そして、高齢者で働く女性が増えたのもサービス業だった。男性と比べて女性の年金はさらに少ないので、韓国の労働者は高齢者の中心に爆発的に増えている。すると、どうしても若者と高齢者の仕事の奪い合いは起きるわけだ。雇用主は誰でもできる簡単な仕事なら、安くても働く高齢者を使う。若者は仕事なくても親の金でただやすんでいるだけでいい。さらに若者は製造業を毛嫌いしてるので、そこにも高齢者が雇われている。製造業は長く働けるので、ここでも若者の雇用が消えていく。
高齢化社会は始まったばかりだが、韓国の若者はまともな仕事がなく、短期バイトや短時間バイトしかできない。しかも、金持ちと庶民の経済格差はどんどん拡大していく。おそらく、韓国の若者は気づいてないだろうが、今の韓国の若者は崖っぷちに立たされている。あと、10年もすれば若者の雇用なんてなくなっていくことに気づかない。別に高齢者を雇う方が安くですむからな。
現代社会において若者を雇う利点とは何なのか。それは企業にとって育てれば、会社に長く貢献してくれるからだ。しかし、韓国の若者が好む「サービス業」は代わりがいくらでも効く仕事である。そこに育てて役立つという利点はない。だから簡単に暇になったら切られる。若者は切られてもまたアプリで探せば良いと考えてる。中国の若者の就職難よりはましかもしれないが、韓国の若者も似たようなレベルである。
韓国の若者の現状を考察していけば行くほど、それは危険な橋で立ち往生していることがわかるわけだが、しかし、若者の意識が変わらない限りは破滅の道しかない。若者が重宝される理由は年齢による健康の心配があまりないのと体力だけである。その二つをいかせる仕事なら若者有利だが、それ以外は賃金が安くてすむ人材を雇うだろう。高い学歴があっても内需不振で就職できない若者だらけだしな。
さて、話を戻すと高齢者の年金はあまりにも少ない。すると高齢者も生活するために借金を増やすわけだ。そして、家計債務が増えていく。どうやら韓国の政府債務と家計債務の合計で3000兆ウォンを超えたそうだ。
では、記事を引用しよう。
韓国政府と家計の負債残高が初めて3000兆ウォン(約325兆円)を超えた。景気不振と減税基調で税収が減り国債発行が増え、最近首都圏中心の不動産投資により家計向け貸付まで急増した影響だ。
韓国企画財政部と韓国銀行によると、6月末の国の債務(地方政府債務除外)と家計負債残高は合わせて3042兆1000億ウォンとなった。国と家計の負債残高が3000兆ウォンを超えたのは今回が初めてだ。前四半期の2997兆9000億ウォンより43兆2000億ウォン増えたが、これはコロナ禍があった2021年7-9月期の63兆4000億ウォン以降で最大の増加幅だ。昨年の名目GDP2401兆ウォンの127%水準となる。
国の債務は前四半期より30兆4000億ウォン増えた1145兆9000億ウォンを記録した。景気不振で税収不足が2年にわたり続く中で上半期に財政集中執行基調が続いたのが主原因に挙げられる。4-6月期末基準の累計総支出は371兆9000億ウォンで、前年同期比20兆3000億ウォン増えた。上半期の迅速執行率66.2%も当初計画の65%を上回った。
4-6月期基準で家計信用は前四半期比13兆8000億ウォン増の1896兆2000億ウォンを記録した。やはり過去最大値だ。最近の不動産取引拡大で住宅担保貸付を中心に負債が増えた影響だ。ここに高金利長期化まで合わさり内需回復速度は遅くなっている。統計庁によると、4-6月期の小売り販売額指数は前年同期比2.9%減ったが、これは金融危機当時の2009年1-3月期に記録した4.5%から15年ぶりの減少幅だ。内需不振が長期化し韓国銀行と韓国開発研究院(KDI)とも今年の経済成長見通しを0.1ポイントずつ下方修正した。
問題は国の負債が大きくなり内需を浮揚する政府の財政運用幅がますます狭まっている点だ。昨年の国債、外国為替平衡基金債券、住宅債など国の債務の利子費用だけで24兆7000億ウォンに達した。原油価格急騰のような対外変数に対する政府の対応力が弱くなるほかない。この渦中にも減税基調は着実に維持されるだけに財政環境がますます悪化する恐れがある。
漢陽(ハニャン)大学経済学部のハ・ジュンギョン教授は「少子高齢化が続く人口構造上、政府支出と国の債務が増えるのは仕方ないが、明確な税収拡充努力もないということが問題。財政が自らの役割をできなかった時は経済成長悪化につながる懸念が大きい」と話した。
弱り目にたたり目で実質的な立法権を握る巨大野党は金融緩和政策を続けて推進する状況だ。「共に民主党」は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領がすでに一度拒否権(再議要求権)を行使した「全国民25万ウォン支援法」(民生回復支援金支給特別措置法)に対する再議決を推進している。最大17兆ウォンの財源が必要なものと推定される。
これに対し政府与党は財政準則法制化を通じて財政支出を管理するという立場だ。与党「国民の力」の朴大出(パク・デチュル)議員が14日に代表発議した国家財政法改正案は、政府予算編成時にGDP比の管理財政収支比率を3%以内で管理するものの、国の債務比率が60%を超過する時は2%以内で調整する内容を含んでいる。
延世(ヨンセ)大学経済学部のキム・ジョンシク名誉教授は「まだ国の債務比率が60%を超えていないだけに危険な水準とはみない。長期的な財政管理は必要だが当面は内需を回復させて経済成長率を引き上げ家計向け貸付を減らすなどの役割がさらに重要だ」と話した。
FRB議長が通貨政策転換宣言したが…韓国の負債3000兆ウォン突破 | Joongang Ilbo | 中央日報 (joins.com)
韓国の国歌債務と家計債務については以前にでも出てきたので読んでもらっておくだけでいいとして、焦点はここだな。
問題は国の負債が大きくなり内需を浮揚する政府の財政運用幅がますます狭まっている点だ。昨年の国債、外国為替平衡基金債券、住宅債など国の債務の利子費用だけで24兆7000億ウォンに達した。原油価格急騰のような対外変数に対する政府の対応力が弱くなるほかない。この渦中にも減税基調は着実に維持されるだけに財政環境がますます悪化する恐れがある。
なんと韓国政府は利子費用だけで2.6兆円ほど払ってるそうだ。金を借りたら利息が付くのは当然だが、大きすぎる負債は利息だけで国の財政を逼迫させる。それでも韓国政府は庶民の生活が苦しいから減税とか。
それで専門家はまだ60%越えてないから大丈夫とか、間抜けなことを言い出す。でも、この専門家は大事なことを忘れている。なぜなら、家計債務に入れるべきの「チョンセ債務」が1000兆ウォンほど含まれてないためだ。つまり、これをいれたらもう60%なんて遙かに超えてるのだ。危険水域なんだ。
さらにここに野党のバラマキ公約がある。
「共に民主党」は尹錫悦大統領がすでに一度拒否権(再議要求権)を行使した「全国民25万ウォン支援法」(民生回復支援金支給特別措置法)に対する再議決を推進。最大17兆ウォンの財源が必要という。
野党も国民に約束したので金をばらまくのに必至。でも、財政赤字の韓国政府にそんな余裕などない。しかし、拒否権だけで拒否し続けるのは、少しでも金が欲しい庶民からすればユン氏の支持率を下げる。野党がそこまで考えてこのバラマキ公約作ったのならかなりやり手がいるとおもわれる。どちらに転んでも野党の支持が上がるからだ。
これに対し政府与党は財政準則法制化を通じて財政支出を管理するという立場だ。
そしてまたアホな法律を作ろうとする。一見、財政支出を管理するのだから良い法律だと思えるが、ムン君の電気料金引き上げ規制を思い出してほしい。電気料金を一度に上げる上限で縛ったことで、電気料金はほどんどあげられずに、300兆ウォンを超える天文学的な赤字を抱え込んだ。しかも、財政かどうかとかで規制すればするほど経済は活性化しない。するとますます財政赤字は増える。
彼らは国家財政を抑えようとするが、長い目で縛るのは逆効果になって跳ね返ってくるてことだ。それを学習しない。どうせ将来的には韓国は滅びるのだから、借金増なんて無視して使えばいいものにな。それに気づいたムン君はやはり、経済の大天才であった。