日別アーカイブ: 2024年9月8日

中国経済、中国の鉄鋼過剰、世界揺るがす-業界全体が窮地に陥る恐れ

8月辺りから中国経済を悪化を感じさせるニュースが色々と出てきているのだが、やはり、不動産バブル崩壊によっての消費の落ち込みが半端ない。それは庶民はもちろん、富裕層まで財布の紐を閉めている。例えば、上海や北京の年収2億円の外食産業の利益が9割減となっていたりするのは明らかに、高級料理でさえ安くしないと売れないからだ。

そもそも中国は不動産バブル崩壊から深刻なデフレによる未曾有の大不況に突入している。若者の就職難は続き、公務員の給料すら減額されている。地方も金がなく未払いも横行しており、今の中国に良い材料はない。そもそも中国の住宅価格が下がり続けている時点でまだまだ底すら見えない。もっとも住宅価格が上がれば良いという問題でもない。

そして、内需の動向を知るのにもう一つ重要なのは鉄鋼需要である。特に中国メーカーは低価格を武器にして世界中に鉄鋼を売っている。もう、鉄鋼メーカーの首位は中国勢独占している状況だ。そして鉄鋼の過剰生産を行っている。

だが、この過剰生産は中国内需壊滅で余った鉄鋼を世界中で利益度外視で販売するので、世界中の鉄鋼メーカーはその影響を受けて利益を激減させている。韓国のポスコが倒産するとネットで騒がされている理由の一つもである。

鉄鋼需要は内需に大きく左右される。だから、中国の不動産バブル時期には建物を建てる需要が急増して中国の鉄鋼メーカーがどんどん大きくなった。だが、大不況となれば鉄鋼が余ってくる。そもそも中国ではもう住宅が中国人全員が住んでもお釣りが出るぐらいあまっている。今後、中国で建設需要は見込めない。だから鉄鋼が国内では売れない。

では、記事を引用しよう。

上海で建設鋼材の鋼管杭を販売するユィ・ヨンチャン氏の年間売り上げは、数年のうちに4分の3余り減った。「トンネルの先に光が見えない」ほどのひどい市況だという。

チリでは労働組合のリーダー、エクトル・メディナ氏がウアチパト製鉄所で50年近く続けている仕事を失おうとしている。

鉄鋼業界における中国という圧倒的な存在が、彼らが働く業界、ひいては彼らのキャリアと生活を長年にわたって支配してきたことが、あらためて浮き彫りとなっている。

世界2位の経済大国、中国は年10億トン余り、つまり、世界の生産量の半分以上を生産している。しかし今、その中国が揺らいでいる。

中国が鉄鋼のスーパーパワーになる過程で世界の鉄鋼業界に衝撃を与えたように、そのピークからの退潮もまた、それに劣らない激動を招く可能性を秘めている。

中国国内の建設不況が意味しているのは、鉄鋼が多過ぎ、需要が少な過ぎるということだ。各国は中国で余った鉄鋼が自国市場に流れ込み、価格を押し下げ、製鉄所を廃業に追い込み、労働者を失業させるのではと懸念。そうなれば、世界が今直面している経済的課題が一段と悪化することになる。

欧州一の経済大国ドイツは今年、ほとんど成長しない見通しだ。大統領選を11月に控える米国は鉄鋼業界向けの保護措置を強化しているが、ペンシルベニア州のような激戦州における鉄鋼の重要性を考えると、脅威と見なされ得るものなら何であれ、選挙戦の争点となる可能性がある。

「厳しい冬」
 

中国共産党の習近平総書記(国家主席)は、不動産頼みの経済成長から脱却しようとしているが、これは鉄鋼業界にとって重大な意味を持つ。

習氏は今後数十年かけハイテク製造業とグリーンテクノロジーを中国経済の原動力にしたいと考えている。そうした中で、不動産危機によって、鉄鋼需要が急拡大していた長い時代は終わりを告げた。

だが、経済と雇用を支えようとする習指導部が、需要縮小をどのように管理できるかを巡っては大きな疑問が残る。ユィ氏は「価格急落に伴い利益率も小さくなっている。中国の需要は弱い」と述べた。


中国宝武鋼鉄集団の胡望明会長は最近、この課題の深刻さを明確に示した。胡氏は毎年1億3000万トンの鉄鋼を生産する高炉帝国を統括している。この生産量は米国とドイツ、フランスを合わせても及ばない。

警告を発したのは胡氏が初めてではないにせよ、中国の鉄鋼セクターが「厳しい冬」に直面していると述べた同氏の言葉には、中国国内だけでなく世界全体が重みを感じた。

一部省略

生産能力過剰

鉄鋼価格の下落は、鉄鋼を使用する企業にとってはもちろん恩恵だが、生産者への影響は深刻で、利益は圧迫され、製鉄所閉鎖につながる。

一部省略

欧米と中国の間にある現在の貿易摩擦の多くは、21世紀のテクノロジーに集中している。だが、特に米国のラストベルト(さびた工業地帯)や英国の北部イングランドなど歴史ある企業やその周辺に築かれた地域社会に関して言えば、鉄鋼は感情に訴える力を保持している。加えて、国防部門が鉄鋼を必要としていることを踏まえると、鉄鋼は国家安全保障上の問題でもある。

輸出

中国の産業規模は、国内需要の小さな波紋でさえ、それが波及すれば多大なダメージを国外にもたらすことを意味する。1-6月の輸出量は北米の全生産量に匹敵し、今年約1億トンに達する勢いだ。

これは、国内価格の低迷により、一部の鉄鋼を海外に出荷した方が採算が取れるようになったことが要因だ。ベンチマーク製品である熱延コイルは、20年以降で最も安い価格で中国から輸出されている。通常、中国より2、3カ月遅れるグローバル価格もまた、数年来の低水準にある。

スラブや薄板、鉄筋といった鉄鋼の基本的な形態であれば、市場の流動性は高く、新しい買い手を見つけるのは比較的容易だ。欧米が通商防衛が強化する中で、鉄鋼製品は新たな市場に流れ込む。

安価な輸入品の増加に悩まされているのが中南米で、他地域が極めて高い関税を中国製品に課していることが背景だ。今世紀の初めごろ、中国はこの地域に年間わずか8万500トンの鉄鋼を出荷していただけだったが、昨年は1000万トンに近づいた。

コロンビアの鉄鋼業界団体を率いるダニエル・レイ氏は「日に日に状況が危機的になっている。われわれは無防備な状態だ」と語った。同団体は政府に保護措置を講じるよう求めている。

バイデン米大統領は今年、全米鉄鋼労働組合(USW)で演説し、中国の鉄鋼とアルミニウムに高関税をかけるよう呼びかけた。同大統領の最高経済顧問の一人であるブレイナード国家経済会議(NEC)委員長は当時、中国の「政策主導による過剰生産能力は、米国の鉄鋼・アルミニウム産業の将来に深刻なリスクをもたらす」と述べた。

米国はまた、メキシコのような第三国を通じて中国から出荷される鉄鋼を抑制する対策も取っている。

ジレンマ
 

米国とその同盟国が鉄鋼セクターを巡り中国勢にどう対抗するかという問題は、緊張に満ちている。例えば日本製鉄によるUSスチール買収計画の支持者は、競争に勝てる規模の会社を誕生させることができると論じるが、トランプ、バイデン両氏を含め米国の政治家は反対している。

中国の鉄鋼問題は、鉄鋼の主要原料である鉄鉱石にも影響が及ぶ。鉄鉱石は今年最もパフォーマンスの悪い商品の一つで、16日終了週だけで価格が10%近く急落した。

中国政府は今、ジレンマに直面している。当局は鉄鋼業界の再編を望んでいるかもしれないが、実際にそう動けば経済の不確実性が高まっているタイミングで、成長にひずみが生じ、雇用が脅かされることになる。

需要低迷と過剰生産能力により、赤字企業が急増しており、6月時点で関連する赤字企業は2300社を超え、昨年末から3分の1増加した。

鉄鋼の過剰生産に対処する最新の取り組みは20年代に入り、「脱炭素」の枠組みの中で開始された。20年に生産量が過去最高の10億5000万トンに膨れ上がった後、中国政府は公害を引き起こす鉄鋼業界の炭素排出を抑制するため、前年以下という上限を課した。この取り組みは漸進的なもので、おおむね成功を収めているが、生産量の大幅な削減には至っていない。

今のような鉄鋼生産レベルを維持できているのは、主に輸出という開放弁のおかげだ。調査会社カラニッシュ・コモディティーズによると、国内需要は20年以降10%余り減少している。世界鉄鋼協会は今年4月、中国は鉄鋼需要のピークに達したもようで、中期的にはさらに減少し得るとの見通しを示した。

上海スチールホームのウー氏は「1社が損をするのは普通だが、業界全体が損をするのは異常だ。政府の政策調整が必要だ。市場に頼っているだけでは、業界全体が非常に悲惨なことになる」との見方を示した。

中国の鉄鋼過剰、世界揺るがす-業界全体が窮地に陥る恐れ – Bloomberg

この記事を読んで衝撃を受けた人はわりと多いんじゃないだろうか。例えばここだ。

胡氏は毎年1億3000万トンの鉄鋼を生産する高炉帝国を統括している。この生産量は米国とドイツ、フランスを合わせても及ばない。

この中国企業一社で米国、ドイツ、フランス全体の生産量を超えてるのだ。だが、それほどの規模の鉄鋼生産量で過剰生産や輸出をすれば鉄鋼価格が下がるのは当然だ。需要と供給のバランスが崩壊するからだ。

しかも、そのバランス崩壊が世界中の鉄鋼価格を引き下げる。もちろん、他国も黙っていない。中国の過剰輸出を受けて追加関税を引き上げてなんとか自国の鉄鋼メーカーを守ろうとしている。だが、関税を引き上げても中国の鉄鋼が裏ではいってくるのを防ぐのは難しい。そもそも鉄鋼価格の平均が下がるのだから、過剰輸出を食い止めるだけでは鉄鋼メーカーは救えない。

中国の鉄鋼メーカーがこのまま事業縮小するのは自業自得だが、それに付き合わされる世界の鉄鋼メーカーは再編を余儀なくされている。それが日本製鉄とUSスチール買収計画にも繋がるわけだ。まあ、アメリカのリーダーは反対しているので交渉は難航している。

だが、中国鉄鋼メーカーがどんどん沈んでいるのは見ての通り。業界は再編されていくだろうが、こちらが注目なのはポスコ倒産まで行くかはどうかはどうなんだ。

ポスコが倒産すればその関連で589万人が解雇されるといわれるが、実際、その可能性は大いにあるんだよな。なぜなら、韓国のポスコは円安でも苦しめられている。安い価格では中国鉄鋼に完全敗北。高価格帯は円安効果で日本の鉄鋼メーカーが独占。どう考えてもポスコが生き残る術がない。

しかも、中国内の需要低迷と過剰生産能力により、赤字企業が急増しており、6月時点で関連する中国の赤字企業は2300社を超え、昨年末から3分の1増加した。

中国政府の輸出拡大で成長率を引き上げる計画が裏目に出ている。このままだと内需がますます低迷するてことだ。

韓国 ビットコイン、1カ月ぶりに5万5000ドル割れ…「5万ドルラインも危険」

韓国 先週、アメリカのダウが大きく下げて日経平均株価も急落したことで、韓国でもブラックマンデー再びということになった。原因は大きく分けてアメリカの景気後退懸念とAIバブル崩壊の兆しである。

まずは先週のコスピをおさらいしておこう。

これが先週のコスピだ。ブラックマンデーで2700近くあったコスピが2544.29である。つまり、156ほど落ちているわけだが、問題はブラックマンデー後に反発もほとんどなくそのまま下がり続けているてことだ。

6日の最安値は2528まで落ちている。明らかに韓国株が投げ売りされている。まあ、ダウも売られているのでこんな物かもしれないが、問題は今週もそれが継続する可能性が高いてこと。

それにはアメリカの雇用統計が予想より下回ったことで、金曜日のダウが-400ドルと下げていることだ。それで日経平均先物も-1200円と下がっており、来週の月曜日はブラックマンデー三度になる恐れが出てきた。原因は先週と似ているが、たいした反発もせずにさらに下げる展開はパニック売りを誘発しかねない。

実際、9月は株が売られやすい時期ではあるのだが、米国の景気後退が加速化すればするほどダウも下がるし、ハイテク株銘柄も下げる。景気後退すれば企業は投資を控えるようになるためだ。しかも、生成AIは収益化に繋がりにくいという指摘もあり、その投資が継続するのかが投資家に問われることになるわけだ。

しかも、半導体の注目指標であるフィラデルフィア半導体指数も振るわない。これを見ておけばAIバブルと浮かれている場合ではないわけだ。なんと一週間で-12%も下がっている。あのエヌビディアの好決算からここまで指数を下げる。

この半導体指数が上がらない限り、サムスン電子やSKハイニックスの株価が反発することは考えにくい。しかも、米景気後退でハイテク投資が減少するなら、韓国株にとっては二重の意味で致命的となる。半導体しかない韓国を支えているのは間違いなくAIバブルであり、それが弾けるとなればコスピも、もっと下がるてことだ。

2500なんてまだまだ通過点にすぎない。2300でも高い。今の韓国経済で最悪な状況なら、2200、2000ぐらい落ちてもおかしくない。コスピが2000割れもあり得ると。

そんな中でもう一つ気になるのが仮想通貨の代名詞であるビットコインだ。韓国人は投資好きなので、ビットコインを一番買ってるのは韓国人だったりする。つまり、ビットコインが急落すればするほど韓国の投資家は爆死するてことだ。

ダウや日経、コスピやで爆死して、さらにビットコインで爆死。あれ?韓国の投資家はフルボッコじゃないですか。

では、記事を引用しよう。

仮想通貨の代表株であるビットコインの価格が6日(現地時間)、約1カ月ぶりに5万5000ドルを割った。

米国東部時間でこの日午前11時25分(西部午前8時25分)、ビットコイン1個あたり価格は24時間前比3.14%下落した5万4410ドルで取り引きされた。

この日、5万5000ドルラインの上で動いていたビットコインは、この日の米国雇用市場指標で一時5万7000ドルラインの奪還を目前に控えて上昇していた。

8月の米国の非農業部門雇用者数が前月に比べて14万2000人増加したが、ダウ・ジョーンズが集計した専門家の予想値(16万1000人)には届かなかった。

これに対して、市場内外では連邦準備理事会(FRB)が利下げのペースを速めるのではないかという期待が出てきた。しかし、その後価格は反落し始めて2時間後には5万4000ドル台まで下落した。

コイン専門メディア「コインテレグラフ」は「雇用増加幅が予想よりも小さかったことが報告され、米国の経済成長が鈍化していると解釈される可能性がある」と述べた。

ビットコインが8月上旬に最低値まで落ちていたことから、価格が5万ドル台も危険だという予想も出ている。

仮想通貨取引所BitMEXの元CEOアーサー・ヘイズ氏は「ビットコインが重い」とし「今週末に5万ドル以下を狙っている」と警告した。

ビットコイン、1カ月ぶりに5万5000ドル割れ…「5万ドルラインも危険」 | Joongang Ilbo | 中央日報 (joins.com)

このようにビットコインは5万ドル以下もあり得ると。それってここから10%近くも下げるてことか。韓国人投資家は阿鼻叫喚だよな。でも、5万ドル以下になれば安くで買えるかもしれないぞ。もっとも5万ドル以下が底とは限らないが。

このようにビットコインがどうなるかは知らないが、今週はCPIやPPIの発表がある。その後はFOMCである。米利下げどうなるのか。0.25%で終わるのか。それとも0.5%になるかで大きく状況が異なってくる。