日別アーカイブ: 2024年9月9日

FRB当局者、利下げの準備はできていると示唆 2週間後のFOMC控え

おそらく今年、最も重要な9月のFOMCが10日後に迫っているわけだが、問題は米利下げがあるにせよ。それがどのような影響を世界の証券市場にもたらすかである。0.25%の利下げなら織り込み済みだと思われるので、そこまで大きな混乱はない。しかし、仮に0.5%ならサプライズとして何が起きるかはわからない。

この原稿を書いてるのは9月9日の朝なのだが、既に月曜日の相場が怖いというのは日経平均先物が-1200円となっているためだ。また今週もブラックマンデーとなるのかは現時点ではわからないが、とりあえず、米利下げについてはどうなるかの専門家の意見を見ておこうか。

では、記事を引用しよう。

[6日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)の政策担当者らは6日、政策転換がなければ労働市場の冷え込みがさらに深刻な状況に陥る恐れがあると指摘し、2週間後の連邦公開市場委員会(FOMC)で一連の利下げを開始する用意があることを示唆した。

今回の発言は0.25%ポイントの利下げを支持するもので、労働市場が引き続き減速した場合には、より大きな動きを起こす可能性を残していると受け止められている。

政策当局は1年半前、インフレ加速を抑制するため積極的な利上げを実施した後、2023年7月以降は政策金利を現在の5.25―5.50%の範囲に維持している。

インフレ率は現在、22年半ばのピークである7%前後から大幅に低下した。FRBが利上げを停止した時点で3.5%だった失業率は現在4.2%に上昇し、月間雇用の伸びは鈍化している。

FRB関係者は金融政策の方針転換を行い、インフレ抑制のみに焦点を当ててきた政策を変更。雇用支援に重点を移した。

ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は外交問題評議会での講演で「フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を引き下げ、政策スタンスの引き締めの度合いを緩和することが適切になっている」と述べた。 

ノートルダム大学で講演したFRBのウォラー理事は、経済指標で裏付けられれば、連続した利下げ、あるいはより大規模な利下げを支持する可能性があると、さらに踏み込んだ発言をした。

さらにウォラー理事は「22年にインフレが加速した際に利上げを前倒しで実施していくことを強く支持した。適切なら(同様に)前倒しで利下げを実施することを主張する」と述べた。

シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は、数カ月にわたり金利を引き下げる必要があるとの考えを示しており、今後のデータに基づいて政策を調整したいとの意向を示した。

グールズビー総裁はCNBCとのインタビューで「次回の会合で何が起こるかだけが最も重要なことではないと思う」と述べ、FRBにとって今後数回の政策会合でデータの傾向を把握することが重要だと付け加えた。

これらの発言に関してアナリストらは、メッセージは明確だとみている。

ゴールドマン・サックスのエコノミストらは、FRB当局者による金融政策に関する最近の発言内容を要約。「当局者らは9月のFOMCでは25ベーシスポイント(bp)の利下げを基本シナリオとみているが、労働市場の悪化が続けば、その後の会合で50bpの利下げも検討する可能性がある」とした。

FRBのパウエル議長は8月23日、政策を調整する「時期が来た」と発言し、9月の利下げ規模に関する激しい憶測が巻き起こった。

ウォラー理事はこれに同調し、「複数回の利下げが適切となる可能性が高い」と述べた。

<「空は落ちてこない」>

米労働省が6日発表した雇用統計によると、6―8月の3カ月間の雇用者数の増加数は月平均で11万6000人に縮小。人口増加に伴う雇用増加のニーズを満たすのに必要だと多くの経済学者が推定する数を下回った。

ウォラー理事は、最新の雇用報告は他の最近のデータとともに「労働市場の緩和が続いているとの見方を強める」と述べた。

さらに、データは景気の鈍化を示すものの悪化は示しておらず、経済が景気後退に向かう様子はないとの見解を明らかにした。ただ「現在の一連のデータはもはや忍耐ではなく、行動を必要としている」と述べた。

金利先物のトレーダーは現在、25bpの利下げを75%と見積もっている。年末までに政策金利が4.25―4.50%になると見込んでおり、FRBが今年最後の2回の会合のいずれかで大幅な利下げを行うことを示唆している。

レイモンド・ジェームズのチーフエコノミスト、ユージニオ・アレマン氏は「労働市場が減速しているのは明らかで、FRBは行動を開始する必要がある」と述べた。

ただ「空が落ちてくるわけでも、地震が起きているわけでもない。50bpの利下げは、経済が崩壊しつつあるという誤ったシグナルを市場に送ることになる」と述べ、「FRBはそのような事態は望んでいない」と語った。

アングル:FRB当局者、利下げの準備はできていると示唆 2週間後のFOMC控え | ロイター (reuters.com)

ふむふむ。ゴールドマンサックスはその後に0.5%もあり得ると見ているのか。それってフリーザ様の変身があと2回ほど残されている絶望感にそっくりじゃないか。1回利下げで0.25%、次は0.5%とかになれば、さすがに市場は折り込んでないだろう。年内で0.75%も一気に下げるのか。

そのシナリオは考えたくないが急な変動は米経済の悪化を示すので避けて欲しい。何事も急激な変化は良くない。特に米金利が一度に変わるのは世界経済にも悪影響だ。でも、ウォラー理事はこう述べている。

FRBのウォラー理事は、経済指標で裏付けられれば、連続した利下げ、あるいはより大規模な利下げを支持する可能性があると、さらに踏み込んだ発言をした。

連続した利下げとか。悪夢そのものじゃないか。アメリカの動き次第では2025年も米金利変動に悩まされそうだな。

それで悩まされると言えば、アメリカ大統領選挙だ。こちらはトランプ氏が勝つ方が面白いと思うのだが、無能なハリス氏が選ばれてもアメリカが衰退するだけという。決めるのはアメリカの国民なので、第三者は傍観するしかできないが、次のアメリカのリーダーは中国とロシアや北朝鮮の横暴に徹底的に対抗するための力量が求められる。ハリス氏にそれがあるとはおもえない。

では、最新の支持率を見ておくか。

(ブルームバーグ): 米大統領選挙を2カ月後に控えた最新の世論調査で、共和党のトランプ前大統領の支持率が民主党のハリス副大統領を1ポイント上回った。

ニューヨーク・タイムズとシエナ大学が全国の登録有権者1695人を対象に9月3-6日に調査した結果、トランプ氏の支持率48%に対し、ハリス氏の支持率は47%で、その違いは誤差3%の範囲内だった。調査は英語とスペイン語の両方で電話による聞き取り方式で行われた。

経済を巡ってはトランプ氏の方がうまく対応するとの回答率が56%。経済の現状を悪いとみている回答者は51%だった。

両氏は米東部時間の10日夜(日本時間11日午前)、フィラデルフィアで討論会に臨む。11月の投票日までに予定されている討論会は、今のところこれが唯一となっている。

今回の調査では、回答者の28%がハリス氏についてもっと知る必要があると回答。ハリス氏は7月、バイデン大統領が選挙戦から撤退した後に民主党の候補になった。

投票意欲について熱意を示した民主党支持者が91%だったのに対し、共和党は85%にとどまった。

トランプ氏が1ポイントリード、米大統領選-NYT・シエナ大調査(Bloomberg) – Yahoo!ニュース

あのニューヨークタイムズの世論調査ですら、トランプ氏が一歩リードということはわりと有権者はトランプ氏に投票するつもりなのか。でも、今週のフィラデルフィア討論会でついにハリス氏の実力が露呈される。これを見てから決める有権者も多いだろう。

そもそもハリス氏の外交や経済に対する姿勢が全くわからない。バイデン氏の政策をそのまま踏襲するのか。オリジナルを出すのか。ハリス氏が勝ってるのは若さだけというのが現時点での正当な評価だ。フィラデルフィア討論会で大統領候補としての器を示せるのか。まあ、何か出てきたら米経済の動向と一緒に取り上げたいと思う。

では、ネットの突っ込みを見ておくか。

1.ニューヨークタイムズまでハリス負け予想とかトランプ圧勝決まったな

2.いままでハリス圧倒的みたいな報道しておいてこれだよ

3.そもそもFRBのイエレンにしろパウエルにしろ金融緩和については慎重でトランプの考えに従わない可能性が高い

経済はトランプの方が上手くいきそうだというのも幻想
雇用とか移民絡みの話は置いておいて

4.NHKだとハリスは空前の大人気ってことになってる
他の民放も概ね同じ
近所のおばちゃん連中も「ハリスさんって素敵ね」だとさ

オレオレ詐欺が無くならないのも道理だわ

5.高橋洋一先生の言った通りトランプ勝つかもな
ハリスが勝ち確定雰囲気があった時の予想だから凄い!

6.あと2か月あるから、その間にハリスが無能すぎる副大統領だったことを
アメリカ国民も思い出すだろう

7.もうずっと繰り返し報道されている通りで、どっちがリードしていようが僅差でしかない。 戦いはまだこれからということ。 とにもかくにも、10日に予定されている討論会が大きな意味を持つよね。 ハリス氏については本当にまだイメージ的なアピール以上のものが示されていないので。 討論会ではじめて、候補者としての真価を有権者に見せつけることが求められる。 その先の討論会が白紙であれば(まあ共和党寄りのメディアでも一度くらいはやらなくちゃだろうが)、なおのことだ。

8.トランプが何ポイントリード、ハリスが何ポイントリードとか全く意味ない。 明後日の討論会でトランプかハリスのどちらが醜態をさらすかで決まる。トランプはお得意のハッタリや貶しが逆に裏目にでるか、ハリスは準備万端で挑むもうまくいかないとか、結局今は何も分からない。 ハリスはトランプ対策を十分してるだろうから、ぶっつけ本番のトランプはどう対応するか見物だよ。

9.とにかく9.10決戦と言うことでしょう。ただしハリス氏は,以下の理由により大勝しないと相当苦しい。引き分けだとダメでしょうね。何しろ目に見える形で米国経済が長期的停滞になるかどうかの瀬戸際だから。まずは9月中旬のインテル取締役会とその直後に示される再建計画。報道さている内容が相当厳しい。ファンダリー事業からの撤退とか,クアルコムに設計部門を売却するとか。ブロードコムに見放された経緯まで表に出てきている。ファンダリー事業をどこが買うんだろう。ドイツ建設中の二つ分,買い手がつくだろうか。5~6兆円が消えるかもしれない。イスラエルの工場軍を誰が買うんだろう。製造装置メーカーもヒヤヒヤしている。このインテル再建計画という爆弾は,バイデン政権のウリであったCHIPS法を吹き飛ばす。確定事項なので,よほどハリス氏が討論会で大勝しないと厳しい。

10.今のところ接戦ですが、討論会でどう世論が変わるかでしょうね。 日本でも不法滞在している外国人が問題になっています。 不法移民を止められなかった民主党政権がまた続くとなれば、その事について何か対策をするのか気になるところでもありますし、トランプ元大統領が言い始めて、ハリス副大統領やバイデン大統領が乗っかった形のusスチールの買収問題もどのように納めるのかも気になります。 新日鉄が手を挙げている今を労働者や会社は歓迎しているらしいですが、政治家は国のプライドの為に買収案には反対とは、何か良い案でもあるのでしょうかね。 日本の首相のほうが先に決まるので、相性の良さそうな人がそれぞれ選ばれてほしいものです。

以上の10個だ。

ネットの意見ではこんな感じだが、やはり、討論会が鍵を握ると。

米国に続いて中国発「Rの恐怖」…ダンピング攻勢に韓国製造業は満身創痍

韓国 中国の過剰生産や過剰輸出が世界中に問題になっており、韓国の製造業もその影響を受けている。特に先ほど紹介した中国鉄鋼メーカーの過剰生産と過剰輸出が韓国の鉄鋼業を窮地に追いやっている。ポスコ倒産危機である。その現状を韓国ニュースから見ていこう。

では、記事を引用しよう。

韓国仁川(インチョン)の石油化学企業A社は、最近中国企業との競争のせいで頭を痛めている。中国産の製品価格が国産の80%水準まで落ちるからだ。A社は中国の競合会社がダンピング(安値で投げ売り)に近い水準で販売し、市場で通常価格では到底太刀打ちできない」とし「一応、価額を下げて対応してはいるが、いつまで耐えられるか分からない」と打ち明けた。

中国の景気低迷にともなう「低価格攻勢」によって韓国製造業には暗雲が垂れ込めている。中国の景気低迷は現在進行形だ。米国バンク・オブ・アメリカ(BoA)は4日(現地時間)、中国の今年の経済成長率見通しを従来の5%から4.8%に下方修正した。BoAに先立ちゴールドマン・サックスとJ.P.モルガン、UBSなど主要グローバル投資銀行(IB)も最近、5%未満に下方修正した。

成長率の裏面にあらわれた経済指標も尋常ではない。ブルームバーグは6月、中国の未分譲マンションが韓国の人口よりも多い6000万軒と分析した。不動産市場への依存度が高い中国経済の特性上、地方政府財政難も危険レベルに至った。7月の青年(16~24歳)失業率は17.1%だ。昨年12月に失業率集計方式を変えてから最も高い。

「世界の工場」である中国の景気低迷は中国だけでなく韓国にも火の粉が飛んできている。韓国統計庁によると、昨年中国に輸出した韓国企業数は2万8181社で前年(2万8389社)に比べて0.7%減った。輸出額は対前年比19.9%減となる1245億ドル(約17兆8570億円)を記録した。韓国貿易協会のチャン・サンシク動向分析室長は「中国の景気回復が遅れるほど、韓国の主力対中輸出品である半導体・化学・無線通信機器のような中間材から化粧品のような消費財まで輸出の復活が難しくなる」と分析した。

問題は中国が景気低迷を克服するために自国生産品を大量に投げ売りする輸出戦略を駆使している点だ。このような輸出戦略の相手をする輸入国は、長期的に自国産製品が中国産との価格競争に耐えきれず産業基盤が崩壊しかねないと懸念している。実際、韓国企業の実績にも影響を与えている。

大韓商工会議所が先月、全国の製造業者2228社を対象にアンケート調査を行った結果、27.6%が「中国産製品の低価格輸出で、実際の売上・受注に影響を受けた」と答えた。42.1%は「現在までは影響はないが、今後被害を受ける可能性がある」と答えた。

鉄鋼業が代表的だ。中国産厚板(厚さ6ミリ以上の厚い鋼板)では投げ売り攻勢が激しい。中国の厚板生産能力は年間1億2000万トン水準だ。反面、自国内で消費できる厚板物量は8641万トンにすぎない。約30%ほどが供給過剰だ。余剰厚板の核心輸出地域は韓国だ。昨年韓国の中国産厚板輸入量は121万トンを記録した。2021年(27万トン)に比べると4.4倍の規模だ。韓国鉄鋼会社関係者は「中国産厚板は1トン当たり80万ウォン水準なので、1トン当たり100万ウォン程度の国産は相手にならない」と打ち明けた。

最近、米国の景気低迷の信号が点灯している点まで考慮すると、韓国製造業が二重苦に陥る可能性もある。韓国銀行の最近の報告書によると、韓国の中間材輸出と米国民間投資の相関係数は過去(2000年~2024年)0.68から最近4年間で0.85に上昇した。米国民間消費との相関係数も同じ期間0.37から0.71に大きく上昇した。

韓国銀行は「2020年以降、米国内需と韓国の対米中間材輸出間相関関係が過去よりも深まった」とし、米国景気が予想よりも鈍化する場合、鉄鋼・化学・石油製品など中間材の対米輸出が困難にぶつかる可能性があると懸念した。

米国に続いて中国発「Rの恐怖」…ダンピング攻勢に韓国製造業は満身創痍 | Joongang Ilbo | 中央日報 (joins.com)

韓国は輸出で成り立つ国なので米中経済の動向によって大きく環境が左右される。景気が良いときは韓国輸出も増えるが、景気が悪くなれば輸出は減る。アメリカの韓国輸出は増えており、逆に中国への輸出は激減しているのはそのためだ。

問題は中国の景気が悪いだけではなく過剰輸出を続けているので、その低価格攻勢に立ち打ちできないてことだ。こちらの価格よりも2割安い製品をばらまくわけだから、同じ値段で売れば赤字になることは必至。

値段が安くなれば助かるというのは消費者心理であるのだが、国内企業がその価格に対応しようと値引き合戦すれば、いつかは共倒れしてしまう。そうすれば企業はリストラしないといけなくなるので、結局は景気悪化に繋がる。韓国の内需が低迷する原因にもなるてことだ。30%の過剰輸出先が韓国というのはなかなか面白いよな。ポスコが倒産危機にあるわけだ。