日別アーカイブ: 2024年9月14日

韓国 7日連続下落したサムスン電子株価…外国人投資家は1カ月前から売っていた

韓国 今回は韓国のサムスン電子の株価の動向を追っていくが、まずは株価を見る前にいくつか関連のニュースを出しておきたい。大きく取り上げるのはエヌビディアと対中半導体規制である。この二つに重要なニュースが出てきたので、韓国の半導体は崖っぷちに追いやられている。それは外資がサムスン電子株を1ヶ月前から売っているのは当然だよなと突っ込めるぐらいだ。

では、どっちから行こうか。まずはエヌビディアから行こうか。

米エヌビディア(NVIDIA)が、次世代GPU(画像処理半導体)「Blackwell(ブラックウェル)」で製造上の課題に直面していることが分かった。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。量産の遅延やコストの上昇につながる恐れがあるという。

サイズは現行Hopperの2倍、製造技術複雑に

エヌビディアが2024年11月~2025年1月の量産開始を目指している「Blackwell B200」は、現行のAI(人工知能)向けGPU「Hopper H100」と比べてサイズが約2倍の40mm四方になる。集積するトランジスタ数は2080億個である。

だが、既に現行のHopperでチップ製造のサイズ限界に達していた。そこで同社は、最大サイズのチップを2つ組み合わせて1つのチップにするという、これまで行われていなかった手法に挑戦している。

しかし、これにはチップを接合するための技術の複雑さといった問題を克服する必要がある。各チップは、ほぼ完璧に製造しなければならず、いずれかに欠陥があると致命的な結果を招く恐れがある。部品が多くなるほど、そのリスクも高まる。さらに、これらの部品から発生する熱は、パッケージ内の異なる材料を異なる速度で変形させ、ひずみを生じさせるリスクがある。

「極小の回路が絡む一連の難題でありながら、収益に多大な影響を及ぼす可能性がある」とWSJは指摘する。重大な欠陥があれば、1個4万ドル(585万円)のBlackwellが使えなくなり、歩留まりの低下につながる。

Blackwellの生産体制については、一部報道で遅延が伝えられていた。だが同社は先の決算説明会で、24年5~7月期にサンプル出荷を始めたと明らかにした。CFO(最高財務責任者)のコレット・クレス氏は、「量産を25会計年度第4四半期(24年11月~25年1月)に開始し、同四半期の売上高に数十億ドル(数千億円)規模の貢献が見込まれる」と説明した。

また、ジェンスン・ファンCEO(最高経営責任者)は、「Blackwellの歩留まりを向上させるために設計を変更したが、チップの機能的な変更は必要なかった」と説明し、懸念の払拭を図った。

材料在庫引当金の影響で粗利益率低下

一方、スイス金融大手UBSのアナリストは、「エヌビディアがBlackwellで直面している主な問題は、同社製品の大部分を製造する台湾積体電路製造(TSMC)の新しいチップ接合技術の複雑さにある」と指摘した。

サイズ拡大によって必要となった新しいアプローチでは、製造技術の複雑さや、信頼性と性能に影響を及ぼす変形などの新たな課題が生じたと、アナリストらは述べている。その一方で、「時間の経過とともに歩留まりが上昇することで、25年には計画通りチップを生産できるようになるはず」とも述べている。

エヌビディア、次世代半導体で製造上の課題に直面 チップサイズの拡大、技術的な困難伴う(2/2) | JBpress (ジェイビープレス) (ismedia.jp)

エヌビディアが次世代半導体の製造上に課題に直面したことで、次世代チップの発売が延期されているわけだが、どうやらそう簡単に問題を克服できるようなものではないようだ。しかも、1個4万ドルらしい。おいおい、ヤバいな!さすがに歩留まり率を意識するよな。低い場合は利益でないだろう。

歩留まり率とは原料の使用量に対する製造品の量の比率のことをいう。つまり、高ければ高いほどコストを抑えられる。安いチップなら歩留まり率が多少悪くてもそこまで大きな問題にならないが、1個4万ドルのチップなら、一つも無駄にはできないだろうな。

次世代半導体チップにSKハイニックスの半導体は使われてないんだろうか。よくわからないが。でも、歩留まりが韓国製は低いから駄目だろうな。

このようにエヌビディアの次世代半導体製造では技術的な壁に苦戦しているようだ。25年に計画通りにチップを生産できるようになるかはまだまだわからないと。ただ、遅れるとエヌビディアの利益にも関わってくる。しかも、生成AI技術を高めるにはさらなる高性能チップが求められているので、そういう意味では注目度は高い。

ただ、これがどこまで韓国半導体に影響するかはわからない。でも、対中半導体規制の強化は韓国半導体を危機に追いやることは確実だ。

では、記事を引用しよう。

米商務省高位当局者が、サムスン電子とSKハイニックスを狙い、広帯域メモリー(HBM)を中国に売ってはならないと公開発言した。先端技術の対中輸出統制に韓国メモリー半導体の参加を注文した。

米商務省のエステベス次官(産業・安全保障担当)は10日にワシントンDCで開かれた2024韓米経済安保カンファレンスで、「世界にHBMを作る企業が3社ありそのうち2社が韓国企業。HBMの能力をわれわれ自身と同盟の必要に向け開発し使えるようにすることが重要だ」と話した。

HBMは複数のDRAMを積層して作ったAI用メモリー半導体だ。エヌビディアのグラフィック処理装置(GPU)のようなシステム半導体と結合するパッケージングを経て人工知能(AI)の大規模演算を高速で処理するAIアクセラレータの必須部品だ。台湾の市場調査会社トレンドフォースによると、昨年世界のHBM市場のシェアはSKハイニックスが53%、サムスン電子が38%、マイクロンが9%水準だ。

ロイターとブルームバーグなど外信は先月、米国政府が対中HBM輸出規制カードを準備しているとしながら、先端AIメモリーチップとこれを作るための装備が含まれるだろうと報道した。これまで米商務省は「米国の国家安保と技術生態系を保護するために進化する脅威環境を持続評価し輸出統制をアップデートするだろう」と原則的な立場だけ明らかにしたが、この日の次官発言はこうした見通しを事実上公式化した。

こうした措置が現実化すれば中国に半導体輸出の相当部分を依存しているサムスン電子とSKハイニックスなどの売り上げに打撃がありえるという分析が出ている。上半期にサムスン電子は中国で約32兆ウォン、SKハイニックスは8兆6000億ウォンの売り上げを得た。前年同期比で約2倍に増加した。上半期の売り上げのうち中国が占める割合はサムスンが22%、SKハイニックスが30%水準だ。

一部では中国が輸出規制強化前に両社のHBMを買いだめした影響という分析もある。ロイター通信は先月、中国ファーウェイとバイドゥなどの企業が米国の追加制裁に備えサムスン電子のHBMを備蓄していると消息筋の話として伝えた。

韓国企業の焦眉の関心事はHBM規制対象に何世代の製品が含まれるのかだ。現在SKハイニックスとサムスン電子は最新である第5世代HBMのHBM3Eを生産している。しかし最先端HBMを買える顧客は現在まで米国企業だけだ。中国で最もリードするファーウェイのAIアクセラレータ「アセンド910B」も旧型の第3世代チップ(HBM2E)を使う。

業界関係者は「米国の政策が具体的に出てこなければ判断できない」としながらも、「HBM3以降の高性能HBMチップ顧客は現時点では米国しかない。当面は売り上げへの打撃のような影響は限定的だろう」と話した。

規制範囲がどこまでなのかも重要だ。エヌビディアが中国用に米政府の輸出許可を受けて販売しているH20にはサムスン電子のHBM3が使われるためだ。もしH20の輸出まで規制するならばサムスン電子は少なくない打撃を受けることになる。

この日エステベス次官は中国のコネクテッドカー技術規制についての言及もした。彼は「中国やロシアで設計された部品やソフトウエアを使うコネクテッドカーに対して規制を加えるだろう。ただ韓国企業の立場で必要ならばその供給網を調整できるある程度の準備時間は持つことになるだろう」と話した。コネクテッドカーは通信ネットワークに連結され自動運転など多様なITサービスを提供する車両だ。この日のエステビス次官の発言でこれまで「安保脅威国」と称していた対象が中国とロシアである点が明確になった。

米国「韓国製HBM、同盟にだけ供給」…対中輸出規制への参加求める (msn.com)

なんと韓国を名指しで米国が中国やロシアに売るなと述べた。これでHBMを中国やロシアに売るとアメリカから制裁を受けることになると。まあ、これは予想通りだろう。だから、中国企業はここ数ヶ月、サムスン電子の半導体を買い占めているものな。

このニュースを受けてサムスン電子の株価がますます下がったのが9月11日のことだ。

それでは記事をどうぞ。

サムスン電子の株価が7営業日連続で下落している。世界的な半導体ピーク論と7-9月期の業績悪化の見通しなど半導体に対する投資心理が冷え込み、外国人投資家はこの1カ月に4兆ウォン以上サムスン電子を売っている。

11日の韓国取引所によると、サムスン電子の株価は前日より1.96%下落した6万4900ウォンを記録した。3日から7営業日連続の下落で52週安値を更新した。前日に米ニューヨーク証券市場で人工知能(AI)半導体代表株のエヌビディアが1.53%上昇し、代表的な半導体指数のフィラデルフィア半導体指数も1.19%上がったが、サムスン電子は上昇気流に乗ることができなかった。韓宗熙(ハン・ジョンヒ)副会長と盧泰文(ノ・テムン)社長らサムスン電子主要経営陣が相次いで自社株を買い取り株価防衛に出たが力不足だった。

最大の理由は業績不振の懸念だ。証券会社は相次いでサムスン電子の目標株価を引き下げている。韓国投資証券はこの日サムスン電子の7-9月期売上額を市場平均見通しより5%低い79兆3000億ウォン、営業利益を23%低い10兆3000億ウォンと推定した。目標株価もこれまでの12万ウォンから20%下げ9万6000ウォンに調整した。

韓国投資証券のチェ・ミンスク研究員は「スマートフォンメーカーのメモリー保有在庫が13~14週分に増え、DRAMとNANDも前四半期より出荷量が減り平均販売価格(ASP)上昇率も1桁に制限されるだろう」と話した。

このほかメリッツ証券が10万8000ウォンから9万5000ウォン、KB証券が13万ウォンから9万5000ウォン、現代自動車証券が11万ウォンから10万4000ウォン、DB金融投資が11万ウォンから10万ウォンなど、主要証券会社が相次いでサムスン電子の目標株価を引き下げた。

需給状況も良くない。外国人投資家はこの日1日だけでサムスン電子株を9060億ウォン相当売り払った。8月10日からの1カ月間に外国人投資家が売ったサムスン電子株は4兆1452億ウォンに達する。先月23日からは9月2日を除きいずれも売り越した。

業界では第5世代広帯域メモリー(HBM)の「HBM3E」の品質承認が遅れている点を外国人投資家の投げ売り要因に挙げる。ある半導体研究者は「サムスン電子が下半期にHBM関連売り上げが2倍ずつ増えるだろうとの見通しを出したが、公式な品質認証も出ていない。品質承認が相次ぎうまくいかず外国人投資家の失望感が投げ売りに近い売り攻勢として現れている」と指摘した。

証券業界では今後半導体メーカーの業績と株価はメモリー半導体価格上昇が持続するかどうかにかかっているとみている。メリッツ証券のキム・ソンウ研究員は「米マイクロンが26日の業績説明会で需要の不確実性を根拠に供給を調節すれば半導体価格が上がるかもしれない」と説明した。

米国「韓国製HBM、同盟にだけ供給」…対中輸出規制への参加求める (msn.com)

やはり、エヌビディアのテストにサムスン電子は未だに合格できてないと。これがサムスン電子株を投げ売りされている理由だ。しかし、関係筋はサムスン電子にエヌビディアの合格したといいながら、サムスン電子やエヌビディアは何も言及しないとか。

もう、関係筋はインサイダーや風説の流布、株価操作で捕まるんじゃないか。数日後に公式発表があるとか。あれから2ヶ月ぐらいあるが、何の発表もないぞ。

外国人投資家はこの日1日だけでサムスン電子株を9060億ウォン相当売り払った。8月10日からの1カ月間に外国人投資家が売ったサムスン電子株は4兆1452億ウォンに達する。

そりゃコスピも2700あったコスピも2500以下におちるよな。因みに韓国コスピの時価総額1位がサムスン電子、2位はSKハイニックスとなっている。

それではサムスン電子の1ヶ月チャートを見ておこうか。

これがサムスン電子の1ヶ月チャート。

まずはピークが8月16日の80300ウォン。そこからみるみるうちに下がっていく。これが1ヶ月前から外国人が投げ売りしていたということだ。そして、昨日で64100ウォンまでさがった。つまり、1ヶ月で20%以上も下げていることになる。

1年チャートなら7月10日の88000ウォンがピークになるので、これだと30%以上か。

このようにサムスン電子の株価はわずか1年で30%も落ちた。半導体輸出が好調なのに株価は下がる一方である。まさに崖っぷちだよな。米中半導体規制でHBM規制で崩壊だろうか。それともAIバブルが弾けるのが先なのか。どちらにせよ。韓国の半導体がこの先も好調でいられる材料はない。

しかも、サムスン電子はここに来て人員削減である。なんと一部の部門で海外スタップを3割も減らすそうだ。

[ソウル/ニューデリー 11日 ロイター] – 複数の関係筋によると、韓国のサムスン電子(005930.KS), opens new tabは一部の部門で海外のスタッフを最大30%削減する計画だ。

各国の子会社に対し、営業・マーケティング部門のスタッフを約15%、管理部門のスタッフを最大30%削減するよう指示した。

削減は年内に実施され、米州、欧州、アジア、アフリカの人員に影響が出る。具体的な削減数や特に影響を受ける国、部門は不明。

同社は声明で、一部の海外拠点で行った人員調整は定期的なもので、効率改善を目的だと説明。具体的な削減目標はなく、生産スタッフに影響はないと述べた。

同社の昨年末時点の従業員数は26万7800人。半数以上に当たる14万7000人が海外を拠点にしている。大半の従業員は製造・開発部門に所属。営業・マーケティング部門の人員は約2万5100人、その他の部門の人員は2万7800人。

海外スタッフの削減に関する指示は3週間前に出された。関係筋によると、インドでは従業員2万5000人のうち1000人が削減される可能性がある。

今月の韓国紙の報道によると、中国でも営業部門の従業員の約30%が人員削減の影響を受ける見通し。

ある関係筋は、今回の人員削減について、世界経済の減速に伴うハイテク製品の需要鈍化に備えることが狙いだと指摘。別の関係筋はコスト削減を通じた利益の下支えが目的だと述べた。

サムスン電子、海外スタッフ削減へ 一部部門で最大3割=関係筋 | ロイター (reuters.com)

効率改善目的とか述べてるが、サムスン電子が人員を減らすまで追い詰められてるということ。そりゃ、サムスン電子はSKハイニックスに得意の半導体分野で差を付けられる一方で、中国のお情けで食べてるようなものだもんな。株価も急落。エヌビディアテストに合格できず。HBMは中国に売るな。さらに人員削減。うん。サムスン電子の崩壊が進んでるな。