中国 政府の大型景気刺激策での期待で大きく上がった中国株。だが、中国企業の業績が良いわけでもなく、1京円といわれる不良債権問題が解決したわけでもない。だから、こちらはあまりにも急騰からはめ込みではないのかと疑ったわけだが、案の定、そうだったと。
9日、連休明けに中国株は4年あまりで最大の下げとなった。理由は景気刺激策が不十分だといういつもの見方だ。そもそも中国政府に金がないので、本当にできるかどうかすら怪しい。
まあ、ここから一気に戻すかはわからないが、まるでジェットコースターみたいな上下運動は中国のダイナミック差があって実に面白い。見ているだけならな!これ参加していたら阿鼻叫喚だよな。
では、これが10月9日の中国株の動きだ。見事に真っ赤だ。でも、これでも高いんだよな。なんせ上海総合指数は2700程度だった。つまり、まだまだ下げる余地がある。
それでは記事を引用しようか。
(ブルームバーグ): 9日の中国本土株は急落。政府の景気刺激策に対するトレーダーの疑念や、大型連休中の弱い消費データで地合いが悪化し、ここ4年余りで最大の値下がりとなった。
CSI300指数は7.1%安で終了。国慶節(建国記念日)の連休明けとなった8日は5.9%高だった。
財政省が財政政策に関する記者会見を12日に開催すると発表し、下げ幅が縮小したが、その後は再び売り圧力が強まり、11日営業日ぶりの下落となった。
香港上場の本土銘柄から成るハンセン中国企業株(H株)指数は1.6%安。前日は約10%下げていた。
中国株、4年余りで最大の下げ-12日の財政相会見に注目 (msn.com)
そりゃ中国に中身がないのに中国政府が景気刺激策の期待から急騰しただけ。しかも、その急騰は明らかに異常だ。例えば上海総合指数を見て欲しい。
これは1年間のチャートである。明らかに異常なことが見て取れるだろう。
何しろ、最安値の2700から3500程度まであがったのだ。それがわずか数日で。一般の株価が何か凄い業績や製品開発して数日で30%急騰するというのはあり得ない話ではない。しかし、これは上海総合指数だ。一般企業の株価ではない。
例えるなら、日経平均が最悪の状況から数日で30%高騰したようなものだ。こんなことまず普通に起きないのだ。しかし、それが現実に起きた。こんなのが続くわけないじゃないか。そもそも景気刺激策を打ち出しただけで30%も上がるなら、毎回、これやればいいじゃないか。どう見てもヘッジファンドの玩具にされてるだけという。
だいたい不動産バブル崩壊で倒産しそうな不動産株が200%高騰とか。おかしいだろう。もう、メチャクチャである。多くの投資家はチキンレースだと知った上で、いつ売り抜けるのかを模索していた。その結果がこれだろう。なんせ低値で買った株が平均30%も上がってるのだ。大もうけである。欲を出さないうちに利確するだろう。
しかし、色々な金融規制がある中国株すらここまで玩具にされるのか。記事には12日がどうとか書いてあるが、実はもう一つ重要な動きがある。それは鉄鉱石価格だ。世の中の流れを予測する場合、先物を見よという言葉があるが、この鉄鉱石価格はなかなか面白い。
これが1年間の鉄鉱石価格である。2024年1月頃には143と高かったが、それがどんどん落ちていく。これは中国景気が悪くて鉄鉱石需要が減っているため。
そして、ここ数日の動きに注目だ。いきなり、90から113とあがって、今度は106まで落ちている。これも中国株の急落に関わっていると。鉄需要が増える見通しならあがる。鉄需要が減る見通しなら下がる。
中国の景気が回復してもいないのに鉄需要が増えるわけない。中国の景気動向は原材料の先物を見ている方が把握しやすいかもしれないな。
このように中国株の先行きは不透明。今日の証券市場がどうなるかは知らないが、中国政府の刺激策頼みは実体を伴わないのでただのチキンレースである。
それでは次は連休中の中国の景気動向を見ていこう。大型景気刺激策を打ち出して消費が急に増えるわけもなく、どうやら旅行もマイカーが中心の低予算だったらしい。
では、記事を引用しよう。
『君の名は。』の熱狂のウラで濃くなる不況の影
75回目の建国記念日にあたる10月1日から7日まで、中国は国慶節の大型連休だった。
秦の始皇帝陵のある西安市の兵馬俑博物館には観光客が押しよせ、1日の収容人数を大幅に超過してしまったという。閉館までに1万人以上が見学できなかったというほどの活況だった。
観光客は日本にもおしよせ、富士山の臨める伊豆の大室山では映画『君の名は。』に影響を受けた中国人が大勢やってきた。熊本の阿蘇山や熊本城、北海道にも中国人観光客の姿が多数見られたが、日本は海外旅行の人気でトップだったという。
大型連休の大移動は久しぶりの明るい話題だったが、不況の影も映し出していた。
「期間中の移動者は19億4000万人となり、コロナ禍前の水準を上回った」とされているが、節約志向の高まりで低予算で済む車による旅行が主流だった。
割を食ったのが航空業界だ。国内線の航空運賃が昨年に比べて2割以上下落し、9割引きの路線もあったと言われている。ホテルの宿泊価格も2割下落しており、旅行業界から聞こえてくるのはため息ばかりだ。
時すでに遅し…
習近平国家主席は9月30日、中華人民共和国の建国75周年を記念する演説で「潜在的な危険に留意し、雨の日に備えなければならない」と述べ、さらなる経済対策を実施する可能性を示唆した。
焦眉の急なのは、苦境が続く不動産市場の立て直しだ。
習近平国家主席「雨の日に備えなければならない」と述べた Photo/gettyimages© 現代ビジネス
中国民間調査企業によれば、不動産開発大手100社の9月の新規住宅販売額は、前年比37.7%減の2517億元(約5兆2900億円)だった。8月(26.8%減)から減少ペースが加速している。
中国の主要3都市(北京、上海、深圳)は9月末に住宅購入に関する規制を緩和した(住宅ローンの頭金の最低比率の引き下げなど)。十数年ぶりの大きな政策転換だが、「時すでに遅し」の感が強い。
「右肩上がりの神話」の消失により、不動産業界を巡る環境は一変してしまったからだ。市場低迷の長期化で不動産投資はまったく魅力のないものになってしまい、業界関係者は「規制を緩和した程度で投資需要が再び盛り上がるとは思えない」と悲観的だ。
中央銀行の金融緩和を受けて中国の株式市場は活況を呈しているが、デフレ経済を脱する起爆剤になることはないだろう。金融緩和でダブついた資金が株式市場に流れ込み、一時的に「不景気の株高」現象が起きているに過ぎない。
対策が難しすぎる「消費不況」
中国経済は30年前の日本のように重い課題を突きつけられている。その課題とは消費重視の構造改革を強力に推し進めるというものだ。
中国の国内総生産(GDP)に占める個人消費の比率は40%未満で、世界平均を約20ポイント下回る。一方、投資の比率は約20ポイント高い。この差は一朝一夕では埋められない。日本の場合、GDPに占める個人消費の比率を10ポイント上げるのに17年もかかった(9月30日付ロイター)。
消費主導の経済に転換するためには脆弱な社会保障制度の拡充などが不可欠だ。そのためには、大量の資金が必要になるのは言うまでもない。
米モルガンスタンレーは「7兆元(約147兆円)を農民工などへの社会福祉を拡充するとともに、不動産市場の安定化のために3兆元の資金を投ずるべきだ」と主張する。
つまりは10兆元(約210兆円)規模の資金投入が必要だというわけだ。
だが、中国政府は2008年の4兆元の景気浮揚策を大幅に上回る資金投入に踏み切ることができるのだろうか。厳しい注文だと言わざるを得ない。
習近平、もう手遅れだ…中国19億人の”ケチケチ旅行”が映し出したデフレ経済「悪夢の真相」 (msn.com)
この記事を読んで中国のデフレの深刻さが窺えたんじゃないだろうか。
国内線の航空運賃が昨年に比べて2割以上下落。9割引きの路線。ホテルの宿泊価格も2割下落とか。
これだけ値引きしても国民はマイカーで移動すると。確かにニュースで中国人の移動が19億人とか騒いでいたが、実体は貧乏旅行だったと。これだと地域経済にはあまり貢献しないよな。
中国民間調査企業によれば、不動産開発大手100社の9月の新規住宅販売額は、前年比37.7%減の2517億元(約5兆2900億円)だった。8月(26.8%減)から減少ペースが加速している。
面白いのはこれだよな。なんと不動産販売額が8月よりもさらに減少ペースが加速している。8月は底ではなかったと。
記事には既に手遅れと書いてあるが、確かに10兆元なんて凄まじい景気刺激策する予算なんてないよな。どう見ても借金だから中国政府と地方や銀行にそんな余裕がない。デフレスパイラルから抜け出すのは日本を見ればわかるとおり、メチャクチャ難しい。
貧乏旅行を見ている限りでは企業が格安で提供していても、それでも人は来ないてことだ。財布の紐は固く閉じられて、旅行といってもたいした物は買わない。ただ景色を見て帰ってくるだけ。完全にデフレマインドだよな。