日別アーカイブ: 2024年11月17日

韓国 トランプ氏当選の影響か、サムスン電子株価5万5000ウォン…52週安値更新

韓国 11月5日、トランプ氏の再選で世界は激減したわけだが、その変化は先読みが基本である投資の世界で着実に起きている。いわゆるトランプ銘柄の爆上げ。一方、トランプ氏再選で米中貿易戦争が激化することを恐れ半導体関連はそれに巻き込まれた形だ。当然、韓国のサムスン電子もSKハイニックスも例外ではない。

しかし、SKハイニックスはHBMをエヌビディアに独占供給という強みがあり、生成AI特需は持続している感じだ。ところがサムスン電子はエヌビディアのテストに合格できないまま、もう11月となった。

5月か、6月ぐらいにエヌビディアのテスト合格するとされていたのに、半年経過しても合格できない。これが致命的にサムスン電子の株価を押し下げている。

さらに気になるのはDRAM価格動向だ。11月上旬も過ぎたので最新動向を確認しておこう。トレンドフォースの2025年分析だ。

台湾の市場調査会社、集邦科技(トレンドフォース)は6日発表したリポートで、2025年の世界のDRAM生産量(ビット換算)が24年に比べて25%増えるとの予想を示した。増加幅は24年(前年比17%)を上回るとみている。

集邦科技は、韓国のSKハイニックスが広帯域メモリー(HBM)の利益拡大を受けて25年に生産能力を増強することが、生産量全体を押し上げると説明した。

中国メーカーの生産量を除くと、世界のDRAM生産量は前年比21%増となると予想した。ただ中国メーカーは製品の大部分を地場の顧客に供給しており、海外供給の比率はわずかにとどまると説明した。

集邦科技は、25年はDRAM産業全体の供給は充足するが、需要が予想を下回った場合、サプライヤーは価格圧力に直面するとの見方を示した。

【台湾】世界のDRAM生産量、25年は25%増の予想[IT] | NNAアジア経済ニュース

25年は25%増。嘘だろう。そんな需要が増えるとは思えないぞ。25年には生成AI需要も落ち着いてるだろう。SKハイニックスは生産量を増やすというが、それが過剰供給になるんじゃないのか。

ああ、そうだ。トランプ氏が再選してから台湾のTSMCが大きな決断をしている。これは見ておく必要がある。

では、記事を引用しよう。

2024年11月10日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、台湾の半導体製造大手TSMCが米国からの命令を受けて中国本土への先端半導体の提供を停止すると報じた。

記事は、英ロイターが情報筋の話として、TSMCが人工知能(AI)分野に用いられるハイエンドチップについて11日より中国本土の顧客への供給を停止すると報じたことを紹介。また、今回見つかったチップはファーウェイが22年に発売した「Asxend 910B」プロセッサーの一部として用いられていたとし、どのような経緯でファーウェイの製品に組み込まれたかについては現在も確認できていないと伝えた。

また、出荷停止の背景として、TSMCが数週間前に米国当局から「輸出規制対象企業であるファーウェイのAIプロセッサーからTSMC製のチップが見つかった」との通知を受け、これ以後、TSMCが中国の半導体設計企業の算能科技(Sophgo)への供給を一時停止していたと伝えた。

そして、このほど米商務省がTSMCに対して7ナノ以下の先端半導体を中国本土に出荷しないよう通知したとし、米国当局が今後他の半導体企業についてもファーウェイのAIプロセッサー向けにチップを提供していないかについて調査する可能性があるとした。

記事によると、TSMCの広報担当者は「当社は法令を守る会社であり、輸出規制法規を含むすべての適用されうる法令、法規の順守に努めている」とコメント、台湾経済部は「TSMCは輸出規制問題で政府と定期的に議論を行っており、国内、国際法規を順守する姿勢を明確に示している」とコメントしている。

TSMC、AI半導体の中国向け出荷停止 米が輸出制限=関係筋 | ロイター

このようにファーウェイのスマホから台湾のTSMC製のチップが発見された。以前にもSKハイニックスのチップがファーウェイの最新スマホに搭載されていた。どこかの抜け道からファーウェイが購入しているわけだ。

これを潰されたら中国は最新の生成AI開発はできなくなる。しかも、米商務省はTSMCに対して7ナノ以下の先端半導体を中国本土に出荷しないよう通知。今後他の半導体企業についてもファーウェイのAIプロセッサー向けにチップを提供していないかについて調査する可能性があるという。

提供していればそのうちばれる。ただ、台湾のTSMCが提供しなくても、中国企業はどこからかチップを手に入れようとするのは言うまでもない。米国がどこまでそれを抑えることができるか。バイデン氏はこんな感じだが、トランプ氏の場合はもっと厳しく管理すると思われる。

米中貿易戦争の激化で最新の半導体チップの中国輸出はどんどん厳しくなる。韓国のサムスン電子の半導体輸出はほとんど中国向け。だからこそ、サムスン電子の株価は軒並み売られている。そしてついに55000ウォンだ。

では、サムスン御用達の中央日報の記事で詳しく見ていこう。

米国半導体業界の順風と違い11日にサムスン電子の株価は52週安値を記録した。5万5000ウォンで取引を終えたが、これはこの1年間で最も低い。

この日も外国人投資家の売り傾向が続いた。外国人投資家は先月30日以降サムスン電子株式を売っている。9月3日から10月25日までの33営業日の間に12兆9339億ウォンを売り越している。

外部的な要因としては、米大統領選挙でのトランプ氏当選、内部的にはAI半導体競争力不振が挙げられる。サムスン電子は2026年の稼動を目標にテキサス州テイラーに170億ドルを投じて半導体ファウンドリー工場を作っている。現在のバイデン政権がCHIPS法を通じて約束した補助金に基づいた投資だ。

しかしトランプ氏は直接補助金ではなく関税賦課など自国優先主義を前面に出しており、補助金の条件が維持されるのか懸念が拡大している。一部ではトランプ氏が中国を牽制しているだけに台湾TSMCが占有する半導体生産量を韓国が持ってくることができるという期待感が出ているが現在では可能性にすぎない。

サムスン電子が競合会社のSKハイニックスに比べて人工知能(AI)の核心である広帯域メモリー(HBM)の開発水準が遅れている点も株価を引き下げる要因だ。

サムスン電子の過去最高値は終値基準で2021年1月11日の9万1000ウォンだ。この日の終値と比較すると3年10カ月ぶりに43%下落した

トランプ氏当選の影響か、サムスン電子株価5万5000ウォン…52週安値更新 | Joongang Ilbo | 中央日報

面白いのは取らぬ狸の皮算用をしているてことだ。なんで韓国はこんなありもしない期待をするのだ。一部ではトランプ氏が中国を牽制しているだけに台湾TSMCが占有する半導体生産量を韓国が持ってくる。そんなわけないだろう。むしろ、韓国半導体企業に中国に輸出するなと釘を刺すと思われる。

サムスン電子が崖っぷちなのは何度も解説したが、もう、ピークから43%も下落していると。結局、サムスン電子の歩留まり率の悪さが足を引っ張った。それはサムスン電子も認めている。長いので一部しか引用しないがこんな記事がある。

◇サムスンDRAMにこれまで何があったか

だが2019年3月の第3世代10ナノ級(1z)DRAM開発を最後にサムスンの「世界初」の記録は5年にわたり止まった状況だ。1zの次の工程である1aDRAMの開発と量産競争で2021年に米マイクロンにトップを明け渡したサムスンは、第6世代(1c)開発でも今年SKハイニックスに世界初のタイトルを渡した。サムスンメモリー事業部関係者は「最近の危機をめぐりさまざま解釈が出ているが5年間タイミングを逃したのが本質。根幹に当たるDRAM設計・開発から量産に至るシステムに事故が生じた」と話した。

サムスン電子内部では2020年に世界で初めて極端紫外線(EUV)工程を適用したDRAM量産後に設計と歩留まりの問題を正さなかったことに対し自省の声が出てきたという。また別の関係者は「1aDRAMを量産する時に歩留まりが十分に高くない状態でEUV装備を競合会社より多く使う方式でその場しのぎの処方をした。いまからでも基本に戻ってまともに開発しなければならない」と話した。

ニュースは以上。

ここに書かれてあるとおり、サムスン電子は歩留まり率の低さを数でカバーしてきた。技術向上より大量生産&低価格攻勢で市場シェア独占してきた。

しかし、1個、何百万円もする高級チップになればそれが致命的。エヌビディアが扱うチップはまさにそれ。サムスン電子の歩留まり率が悪くて合格できないと。

これも何年も前から言われてきたことだ。サムスン電子の歩留まり率はわずか10%で、台湾のTSMCは70%とか。もはや、勝負にならないんだよな。だからこそファウンドリ事業で圧倒的なシェア差が付いているんだよ。

そして、ついに韓国のサムスン電子はファウンドリ事業の工場を生産停止をさらに拡大。しかも、ネットでは事実上放棄というニュースまで出てきた。つまり、サムスン電子のファウンドリ事業からの撤退は時間の問題だ。そりゃそうだよな。わざわざ誰も買ってくれないんだから。

2024年11月1日、韓国・朝鮮ビズによると、サムスン電子の半導体部門(DS)が7~9月期に1兆ウォンの赤字を出したと推定されるファウンドリ生産設備の稼働停止を拡大している。

業界によると、サムスン電子は平沢(ピョンテク)キャンパスP2、P3工場のファウンドリ生産設備(4、5、7ナノメートル)を既に30%以上、稼働停止にしているが、年末までに約50%まで拡大する。顧客企業の受注現況を見ながら順次、稼働を停止する計画だという。

この稼働停止拡大について、業界は「原価節減のため」とみている。ファウンドリ事業部は7~9月期に推計1兆ウォンの赤字を出しており、注文を待って設備を稼働させておくより稼働停止にして電気代を減らすほうが効率的だと判断したとみられている。

また、4、5ナノメートル工程の物量の相当数を占めていた中国「ファブレス(工場なし)」企業の受注が予想に反して低調なことも影響したと思われる。米国の対中国半導体産業規制が強まるなか、米大統領選を控え、中国ファブレス企業は一部プロジェクトを順延しているという。

この稼働停止により、サムスン電子ファウンドリ事業の競争力が弱まる可能性も懸念されている。

この記事に、韓国のネットユーザーからは「稼働停止で当面の赤字は減らせるかもしれないが、未来はないだろうな」

「稼働停止で電気の供給をストップするとクリーンラインが使えなくなり、再稼働の時にものすごく金が掛かる。事実上、放棄したようなものだ」

「工場から明かりが消えたら潰れる前兆だという。これは、苦しい時期が長く続きそうだ」「李在鎔(イ・ジェヨン会長)には市場を読む目、人を見る目がないから駄目だ」

「韓国は政治も経済も崩壊していっている。国民の精神自体が崩壊してるんだよ」などのコメントが寄せられている。(翻訳・編集/麻江)

サムスンのファウンドリ生産ライン、稼働停止をさらに拡大へ=韓国ネット「事実上の放棄」

もう、ネットユーザーの意見はおそらく正しい。工場から明かりが消えたら潰れる前兆だと。しかも、サムスン電子は海外社員のリストラも加速させている。

結局、サムスン電子の技術向上より、半導体戦略は低価格帯でしか通じなかった。今から基本に戻ってまともに開発しないといけないとあるが、それで顧客の信用を勝ち取れるかは別問題だ。サムスン電子には技術がないことを露呈した。このままSKハイニックスやマイクロンが生産工場を拡大して供給を増やしていけばサムスン電子は必要ない。

それが52週も株価が下がり続ける原因である。