ここからは韓国経済の話題だ。
昨日の凄まじいウォン安爆速については今日が土曜日ということもあり、韓国メディアの記事ではウォン動向を取り上げたのは見かけない。その辺は出てきたらチェックするとして気になるニュースを見ていく。それは韓国の雇用についてだ。
韓国経済の基礎的な要素である雇用は文字通り、人を新たに雇うということだ。新たに雇うというのは企業が新事業を立ち上げたり、リストラされた人材を補うなど理由は様々だが、雇用が増やすというのは将来の利益に繋がる何らかの事業性が存在するためだ。
例えばゲーム開発を例に見てみよう。ゲーム会社が新作ゲーム開発するときにまずは重要となるのは予算と発売日の決定である。予算と発売日が決まれば、そのゲーム開発にどれだけの人材や設備が必要なのか。そういうのが決まってくる。昔は数人のプログラマーで作っていたゲームだが、今は数十人単位がざら。大作となれば数百人とかにもなる。大作のスタッフロールが数十分もかかるのはそういうことだ。
それだけゲーム開発に大規模な予算が組まれて人材が必要となるわけだ。だから、今まで作ってたゲームとは異なる、新作ゲームをつくるときに雇用が増えるわけだ。これが先ほど述べた将来の利益に繋がる何らかの事業性である。
雇用を増やすには事業性を確保しなければならない。では、事業性を確保するには何が必要か。それは投資である。新商品を作るにはこれだけの予算がかかる。会社の予算オーバーしていたら、普通は銀行から融資を受けるわけだ。銀行は審査するときにその事業性を見てお金を貸す。
だから、雇用を増やさないで現状維持や縮小というのは企業からすれば、将来の事業性の確保かできてないばかりか、会社が厳しい状況に追い込まれてることを意味する。
今回は少し前置きが長くなったが、今の解説で、韓国大企業の61%が「上半期に採用計画なしか未定」につなげれば、今の韓国大企業6割かどういう状況がよくわかるだろう。大企業の6割は危機的なのだ。
では、記事を引用しよう。
今年上半期(1~6月)の就職市場で、「採用絶壁」の現象が深刻化するだろうという予測が出てきた。韓国経済人協会は、4日から13日にかけて、売上高上位500位企業を対象に調査を行った結果、回答企業の61.1%は今年上半期の新規採用の計画がないか未定であることが分かったと、27日明らかにした。「
未定」と回答した企業は41.3%、「採用は全くない」と回答した企業は19.8%だった。昨年上半期の調査時より、それぞれ3.9%と2.7%ずつ割合が増えた。
採用計画のある企業のうち、昨年より規模を縮小すると答えた企業は28.6%、増やすと答えた企業は12.2%だった。残りの59.2%は昨年と同じ水準を維持すると答えた。
採用の絶壁が深刻化した理由については、「対内外の不確実性の拡大および収益性悪化への対応のための経営緊縮」(51.5%)という回答が最も多かった。「グローバル景気低迷の長期化とウォン安などによる景気低迷」(11.8%)、「経営環境の変化に対応するための構造調整の困難」(8.8%)などの順だった。
業種別では、建設(75.0%)や石油化学・製品(73.9%)、金属(66.7%)、食料品(63.7%)の順で採用計画がないか、未定の企業の割合が高かった。
また、企業各社は大卒新規採用の増進のために必要な政策として、規制緩和を通じた企業投資・雇用拡大誘導(39.7%)、雇用増加のインセンティブ拡大(19.8%)、多様な働き口の拡大のための雇用硬直性の解消(13.5%)などを挙げた。
韓国経済協会のイ・サンホ経済産業本部長は、「景気低迷の長期化と保護貿易拡大をめぐる懸念で、企業が緊縮経営に乗り出し、採用市場に寒波が吹き荒れている」とし、「統合投資税額控除の期限切れの延長や臨時投資税額控除対象の拡大など、企業の雇用余力を広げる税制支援が急がれる」と話した。
今回の記事はデータだらけだが、読み解いていくと中々、興味深いことが色々わかる。ざっと読めばわかるが、まずは韓国大企業ですら積極的な雇用ができない。これが中小となればもっと酷いだろう。明らかに韓国の景気が悪いてことだ。そりゃ、韓銀がウォン安爆速を無視してで盛り下げに踏み切るわけだ。
それで理由の半分が「対内外の不確実性の拡大および収益性悪化への対応のための経営緊縮」(51.5%)という。つまり、国内でも海外でも不確実性が多すぎる。国内は尹錫悦の内乱で内需が死んだ状態。海外ではトランプ氏の関税が吹き荒れている。
海外の関税についてはアメリカのトランプ氏が始めたことで、韓国が何かしたわけでもない。しかし、国内の景気悪化は尹錫悦の内乱によって酷くなったのは明白だ。自業自得という言葉が当てはまる。さらにウォン安についても危惧されているが、これも国内でのゴタゴタが招いたことだ。ユン氏の戒厳令から70ウォンほど落ちたのだから、明きからである。
韓国企業とすればさっさと新しい大統領を決めて、政府は正常化して外交しろよと思ってるかもしれないが、既に予定は確認した通り、大統領が誕生するのは早くて5月である。ユン氏の弾劾が決まって60日以内に選挙と言えば、普通に考えれば選挙活動もしないといけないので60日フルに使うと思われる。さすがに1ヶ月後に選挙しますにはならんだろう。やはり、5月になるだろう。
それで本格的に新政権が動くのは6月以降となる。今、3月に入ったので残り3ヶ月もあるわけだ。そりゃ雇用なんて増やせるわけないよな。
業種別では、建設(75.0%)や石油化学・製品(73.9%)、金属(66.7%)、食料品(63.7%)の順。
これを見れば韓国に内需に貢献している業種が絶望的な雇用見送りしていることがわかる。建設業は75%とか。石油化学・製品は73.9%とか。
それで韓国政府は内需が回復してきてるとかずっと述べているわけだが、どこに内需が回復しているのか教えてほしいわけだ。こちらは毎月、雇用や投資のデータを見ているが、どう見ても状況は悪化しているんだよな。
しかも、ウォン安が爆速して何が起きているのか。それは輸入物価高騰でのインフレである。韓国の物価は輸入品が上昇してるので上昇傾向にある。もっとも原油価格が安いので急騰することはないが、原油価格は急に上がるから怖いんだよな。