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日本の防衛 中国共産党が施行した「海警法」「中国海警局」とは何か

日本の防衛 中国共産党が施行した「海警法」「中国海警局」とは何か

日本の防衛 中国共産党が施行した「海警法」「中国海警局」とは何か

 日本の防衛を重視する当サイトは、中国が実効支配を企む我が国の「尖閣諸島」への不法侵入について注目している。その中で、中国が外国の船舶に対する武器の使用を海警局に認める「海警法」というものが取り沙汰されているが、実際、海警法とは何か。そもそも「海警局」ってなんだといった疑問を解説していく。

  • 海警法の問題点
  • 中国海警局の組織構成
  • 中国海警局とは何か

 今回、記事を書くのに参考にしているのは「防衛省・自衛隊」のサイトである。せっかく、詳しく書いてあるのだからこれを利用しない手はない。

■海警法の問題点

1.中国政府は海警局を軍隊ではないと主張するが事実上の「軍隊」であること

2.海警法の適用範囲が国際法との整合性の観点から問題がある規定

3.海上において外国の組織、個人から不法侵害を受けた場合、武器使用の権限

これらの問題点について順を追って詳しく解説していく。

■中国海警局の組織構成

サイトによると、「2018年、国務院の指揮を受ける海警を中央軍事委員会の一元的な指揮を受ける武警の隷下へ編入」とある。これについては組織図のイメージを見てもらえるとわかりやすい。

 まず、公安・インフラ系のその他の部隊が「国務院」。2018年まではこの国務院の指揮系統で「海警」が存在していた。ところが、2018年に中央軍事委員会の下に編入。これによって、武警の命令系統、内衛部隊、機動部隊と同じ場所に「海警」が配置となった。ポイントは「武警」と「人民解放軍」は分かれてるてこと。だから、武警の下に配置された「海警」は軍隊に当たらないと中国政府は主張している。

 ところが、「武警法10条」の概要に書いてあるとおり、武警が戦時に執行する任務は、中央軍事委員会或いは中央軍事委員会が委任した「戦区」が指揮する。武警が平時において軍と共に参加する非戦争軍事行動は、中央軍事委員会が委任した戦区が指揮する。

 これを見ればわかるが、尖閣諸島沖への侵入や、尖閣諸島の上陸などは非戦争軍事行動だ。そうなってくると「海警」の指揮系統は「戦区」になる。戦区の上に人民解放軍がいるのだから、明らかに人民解放軍の指揮する「軍隊」なのだ。中国の主張である「海警は軍隊ではない」という主張はこの武警法10条で崩れる。

■海警法が成立したのは2021年1月。施行は2021年の2月

 海警法が成立したのはここ最近のことだ。管理人も海警法については何度かサイトで取り上げているが、これによって大きく変わったことがある。それが、2021年2月16日に起きた中国海警局の船4隻による尖閣諸島沖への侵入である。

 その中の1隻の船が「大型の武器」を搭載していた。海警法が施行されて2週間で大型の武器を搭載する船が日本の領海へ侵入したのだ。管理人は衝撃的な事件だった。

■海警法の適用範囲

 海警法の「適用範囲」もあいまいなのだが、「中国の管轄海域(※1)とその上空が適用範囲(第3条)となっている。では、その「管轄地域」とは具体的にどこを差すのか。

 「中華人民共和国の内水、領海、接続水域、排他的経済水域、大陸棚及び中華人民共和国が管轄するその他の海域」とのことで、海警法草案にもほぼ同様の規定あり。(最終的な条文からは削除)という。

 これでわかるのは海警法の適用範囲は中国が自国の領土だと言い張る、「尖閣諸島」や「南シナ海」などその周辺も対象であるということ。領海、接続水域、排他的経済水域などから推測できる。だから、南シナ海で中国と対立するフィリピンやベトナムなどが海警法に対して「戦争を仕掛ける行為」だと猛反発したわけだ。

 フィリピンのロクシン外相は「法律制定は主権者の特権だが、南シナ海は開かれていることを踏まえると、海警法は戦争を仕掛けるという脅迫だ」「抵抗しなければ海警法に服従することになる」と批判。

 ベトナム外務省「ベトナムは国連海洋法条約に基づいて、水域の管轄権を証明する十分な法的根拠と歴史的証拠を有している」と改めて主張した。

■海上において外国の組織、個人から不法侵害を受けた場合、武器の使用の権限

 尖閣諸島沖や尖閣諸島について中国が自国の領土だと主張すると、そこは海警法の適用範囲になることは理解できただろう。なら、それを踏まえて、例えば、日本の海上保安庁が海警局の巡視船などに何かしらの「強制排除」を実行すればどうなるのか。それを考えたい。それを考える上で3つの重要な海警法の項目がある。

  • 外国軍用船舶等による違反行為に対して強制退去等の措置が可能(第21条)
  • 国家主権等が、海上において外国の組織、個人から不法侵害を受けた場合、武器の使用を含む一切の必要な措置(第22条)
  • 海上臨時警戒区を設定し、船舶・人員の通行・停留の制限・禁止が可能(第25条) 

 21条で外国軍用舶等による違反行為に対して強制退去等の措置が可能。つまり、日本の海上保安庁が警告以外で手出しをすれば、この21条が適用される。さらに、22条で外国の組織、個人から不法侵害を受けたら、武器の使用が認められると。だから、2021年2月16日に中国の海警局の船の1隻に大型武器が搭載されていたのだ。日本が何かしらの強制排除をすれば迎撃するという意思表示である。

 この海警法がいかにむちゃくちゃな論理で成立して施行しているのがはっきりとわかるだろう。侵略行為を行う法律といっても過言ではない。極論を述べれば、中国が自国の領土や領海だと主張すれば、どこにでも海警法は適用されるのだ。それがインド太平洋でもだ。あと、海警法に関連して読んで欲しい記事が一つ出来たのでリンクを張る。

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■中国海警局とは何か

日本の防衛 中国海軍出身者が海警トップをはじめとする海警部隊の主要ポストに補職。ただの警察組織のはずなのに海軍出身者が海警トップに補職という。

 中国海警局は2018年までは国務院に下に配置されたただの警察のような組織だったのだが、2018年の編入以来、その組織や軍との関係は大幅に「強化」されている。

 例えば、海軍出身者が海警トップをはじめとする海警部隊の主要ポストに補職。また、海軍の退役駆逐艦やフリゲートが海警に引き渡されるなど、組織・人事面や装備面などで軍と海警が連携強化している。ただの警察組織のはずなのに海軍出身者が海警トップに補職という。

 上の図を参考にしてもらえるとわかるだろう。中国が海警局を強化して「北海」「東海」「南海」の3つの部局に海軍出身者を当てていると。また、200隻を超える船舶や航空機(固定翼機、回転翼機)などを保有している。これを「警察」と言い張るわけだ。中国海警の勢力増強をまとめたグラフも載せておこう。

日本の防衛 2012年は海上保安庁の巡査船の方が多かったが、2014年で逆転。そこからどんどん突き放していく。日本の海上保安庁の巡査船は2012年の51隻から2019年で66隻に対して、中国海警局の巡査船は2012年は40隻だったのが、2019年には130隻と。3倍以上に増加していると。しかも、世界最大規模という。

 2012年は海上保安庁の巡査船の方が多かったが、2014年で逆転。そこからどんどん突き放していく。日本の海上保安庁の巡査船は2012年の51隻から2019年で66隻に対して、中国海警局の巡査船は2012年は40隻だったのが、2019年には130隻と。3倍以上に増加していると。しかも、世界最大規模という。

 以上、海警法と海警局について解説した。これで、おそらく今後のニュースで中国の尖閣諸島沖への不法侵入などをより詳しく理解出来ると思われる。管理人はこれからも日本の防衛や国益を重視するサイトとして、日々のニュースを提供していく。

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