日別アーカイブ: 2022年10月17日

ムンの負の遺産 「アルバイトより低賃金」の韓国自営業者が5年で100万人増加

突然だが、2022年の韓国の最低賃金はいくらかご存じだろうか。

これを数秒で答えられるなら韓国通だと思うが9160ウォンだ。そして、来年の最低賃金は5%上がり、9620ウォンに確定したのが8月ぐらいだ。これを月給に換算すればいくらになるだろうか。とりあえず、209時間で換算して電卓を叩いてみよう。

2021年と2022年の最低賃金と月額(209時間)

2021年 9160ウォン 191万4440ウォン 19万7573円

2022年 9620ウォン 201万580ウォン 20万7495円

このようになる。つまり、韓国では最低賃金でバイトして月209時間働ければ20万円ぐらいの稼ぎになるということ。しかし、世の中には最低賃金というものが存在しない職業もある。その代表的なのが自営業者である。それは個人事業主なので最低賃金があるわけではない。儲けも損失も自分が全て背負うのが自営業だ。つまり、売上げ次第では最低賃金以下の「月給」になることだって十分、あり得るてことだ。では、今回の記事を見ていこう。

雇用しているアルバイトよりもお金を稼いでいない自営業者が、2017年の16万4000人から、2020年には24万2000人まで増加したことだ。過去5年間で毎年平均20万人増え、現在は100万人余りに達したという。アルバイトの保険料などを負担した結果、そのしわ寄せが経営者側に来ている事態に陥っているわけだ。

https://news.livedoor.com/article/detail/23026519/

なんとアルバイトよりも稼げない自営業者が5年間で100万人に増加しているという。ええ?そんな儲からないなら店を畳んでアルバイトすればいいじゃないか。確かにその通りなんだが、こういうフランチャイズ経営というのは大抵、最初に「借金」を背負うんだよな。

韓国を代表する「チキン屋」みたいな狭い範囲で店を持つことが出来ても、数百万以上の資金がかかる。最近は宅配チキン屋も増えたそうで、その開業費用は5700万ウォンである。日本円で588万だ。これが安いかどうかは知らないが、自分の店を持つというのは数百万は余裕でかかると。フランチャイズ店なら、ノウハウを教えてもらえるが、その分、ロイヤリティも取られるからな。

だから、チキン屋をやりたければ約600万円を用意しないといけない。大体、韓国のサラリーマンは40代でリストラに遭うか、会社を辞めて自営業に走るので、退職金で半分。後は借金といった感じだろう。

それで、自営業者の話題と言えばここ5年間で融資規模が1000超ウォンに膨らんでいることはご存じだろうか。また、最低賃金引き上げによるムン君の負の遺産かよ。確かにその側面もあるのだが、コロナ禍という特殊な事情もあり、自営業者が銀行などから融資を受けようとしたわけだ。

ところがだ。自営業が銀行から融資を受けようとするなんと50%近い割合で融資が拒否されている。主な理由は貸出限度を超えていたり、信用等級を満たさない、担保提供不足など。だから、銀行は審査するときに半分程度の自営業者の融資を断った。

では、自営業者はどこから金を借りたのか。当然、銀行より金利が高い、消費者金融など第2金融機関ということになる。これはデータからもよくわかる。

2019年末から2022年6月の2年半で自営業者向け融資は303兆9000億ウォンとなっているが、この中で71%の164兆ウォンは第2金融機関からお金を借りている。金利が高ければ当然、負債は膨らむ一方である。

そして思い出して欲しいのが、韓国政府はコロナ禍の支援で元本の返済猶予や利息を凍結する措置を取っていたが、これが9月末で終了した。すると上のように第2金融機関でお金を借りている自営業者は苦難に立たされることになる。

しかし、それを韓国政府は「徳政令」を使って40万人ほどは救済する。借金で苦しんでいる自営業者1人当たり最大15億ウォンの範囲で利子の引き下げ、長期分割返済、元金の減額などを行う。これが10月からスタートした「自営業者バッドバンク」である。その規模は30兆ウォンほど。

つまり、債務超過で苦しんでいる40万人の自営業者が救済される。だが、徳政令というのはモラルハザードを引き起こす可能性がある。コロナ禍で確かに苦しんだのはわかるのだが、それで韓国政府が何度も助けるなら自分たちでなんとかするよりも、社会問題化すれば救われると勘違いする。

そして、救済の対象者が上の記事にあげてきたアルバイトよりも稼げない自営業者らとなるわけだ。後、保険料が高すぎるという話もあるのだが、そこまで解説していたら長くなるのでこの辺で切り上げよう。

10月13日、保健福祉部と国税庁、国民健康保険公団が公表した「自営業者の健康保険とみなす納入現況」内の2017~2021年の「ユーザー保守月額の見直し規定」で、とある実態があらわになった。

それは、雇用しているアルバイトよりもお金を稼いでいない自営業者が、2017年の16万4000人から、2020年には24万2000人まで増加したことだ。過去5年間で毎年平均20万人増え、現在は100万人余りに達したという。アルバイトの保険料などを負担した結果、そのしわ寄せが経営者側に来ている事態に陥っているわけだ。

これには韓国国内でも、「税金もそうだが、保険料が高すぎる」「企業しても人を使う以上、保険など負担するリスクが大きすぎる」など、現状に不満を抱える人の声が多く上がっている。

理想を抱いて起業したはずが、実際の稼ぎはアルバイトよりも少ない…。実に夢のない話だ。

https://news.livedoor.com/article/detail/23026519/