ウォン安 日銀の植田新総裁が参加した初の金融政策決定会合。これを朝の金融ニュースで特集したが、その中で重要なポイントは3つだった。
まず、日銀はこのまま金融緩和路線を続けること。イールドカーブコントロール、YCC修正はなし。最後は1年半ぐらい多角的レビューをするというものだ。この発表で円は売られて1ドル=136円となっているわけだが、円安は付加価値が高い日本の輸出企業の競争力を強化するものであり、過度な円安にならない限りはそこまで心配するものではないと見ている。
それで、この先、円がもっと安くなるのかという話だが、これも米利上げ動向次第であって、来週のFOMCの動向が鍵を握る。次のFOMCではほぼ0.25%利上げ観測がされているが、次回がどうなるかはまだまだ未知数だ。ここで利上げ凍結されるのか。もう一つ見極めておきたいのだが、米ファーストリパブリックバンクの動向だ。4月24日に16ドルあった株価は28日の終わりで3.51ドルまで落ちた。
この記事を書いた翌朝に何らかの動きがあるかもしれないが、もう、株価を見れば虫の息同然だ。JPモルガンチェース辺りに買収されるかもしれないがルール上は難しい。それには一度、FDICの管理下に置くことが条件となリ、さらに特例措置が必要。ロイターに近い将来に管理下に置くというニュースもあり、これらの金融不安が米景気やFRBの判断に変化を生じさせるかもしれない。
このように日本はゴールデンウィークで長期連休となっているが、わりと重要な経済イベントが控えている。また米企業の決算も色々出てきてるので注目していきたい。
話を戻すと円安になるかどうかは米経済イベント次第てことだが、それよりも、気になるのはウォン安だ。気がつくとウォンが円より安くなっており、100円=1000ウォンに戻ってきている。こちらは計算しやすくなって嬉しい限りだが、何で利上げしている韓国ウォンが円より弱くなっているんですかね。といったところで今回の記事の要点を整理していく。
前半は再び「100円=1000ウォン」時代となった為替レート。後半は「韓国、米中の間でバランスを取りTPP加入積極的に取り組まなければ」と、蝙蝠外交をしながら、日本が主導するTPP加盟積極的に取り組むとか.でも、韓国さんは申請すらしてないですよね?申請しても約束を守らない韓国を日本が拒否するのでどうせはいれない。だが、申請は自由だ。いつでも申請だけは受け付けている。
でも、申請すら出来てない理由は日本の福島産水産物の輸入許可と、韓国の行行や農業団体の強い反対運動が原因だよな?国内でのこれらの勢力を説得も出来ずに見切り発車すれば、さらにローソクの炎が拡大するぞ。
■記事の要点
1.日本からさまざまな機能性塗料や健康食品を輸入し、韓国国内で販売している「アイテックコリア」のキム・セッピョル代表(52)は最近、赤字で商品を納入している。2月までは100円=900ウォン台前半だった円・ウォン相場が最近は1000ウォン前後で推移しているためだ。最近1-2カ月間で6-7%ウォン安が進み、利益を帳消しにした。キム代表は「ウォン安に伴う損害を価格に転嫁することもできず、ひとまずウォンが上昇する日を待ちながら損害を甘受している。昨年から日本商品の注文が大幅に増えたが笑えない状況だ」と話した。
2.昨年弱含んでいた日本円が最近対ウォンでは上昇し、「100円=1000ウォン」時代が再来した。ウォン相場は今月6日、同1001.34ウォンを付け、昨年5月以来11ヵ月ぶりに1000ウォンを割るウォン安となった。一進一退していたウォン相場は27日、再び1000ウォンを割り込み、同1001.61ウォンで取引を終えた。通常円高は日本製品の輸出競争力低下につながり、ライバル国である韓国には追い風となる。しかし、最近の円高は「弱い円、さらに弱いウォン」という怪現象に起因しており、韓国経済にはむしろ悪材料として作用する可能性が高いと懸念されている。
3.そんな円よりもウォン安が進むのは、海外投資家が韓国経済のファンダメンタルズ(基礎体力)を日本よりも悲観的に見ているからだ。半導体市況悪化、対中輸出減少などが重なり、韓国の貿易収支は13カ月連続赤字で、「最後のとりで」の経常収支でさえ2月まで2カ月連続の赤字となった。
海外投資家は世界最高レベルの家計負債と急増する財政赤字も懸念している。 延世大の成太胤(ソン・テユン)教授は「米国との金利逆転が韓日両国の通貨の同時安を誘発している。輸出依存度が日本よりもはるかに高い韓国は経常収支悪化に伴う影響がさらに大きく、対円でのウォン安が起きている」と分析した。
4.このため、ウォンは円以外の通貨に比べさらに下落。27日には対ユーロ相場が一時1ユーロ=1483ウォンまで下落し、14年3月以来の1480ウォン台を付けた。対人民元でも1元=193ウォンを付け、昨年末に比べ6.3%ウォン安が進んだ。 急激なウォン安は海外送金を直撃。子どもが留学しているKさん(50)は、「送金が大きな負担なのに、ウォン安が急に進み、まともな気分ではいられない」と話した。
5.こうした中で対円でウォン安が進めば、慢性的な対日貿易収支赤字が深刻化する可能性がある。日本から主要素材・部品・設備などを輸入する企業も生産原価が上昇し、収益性が悪化する。現代経済研究院のチュ・ウォン経済研究室長は「韓国は対日貿易で恒常的に赤字だ。ウォン安で赤字幅が拡大すると、韓国企業には大きな負担になる」と話した。
6.Q:韓国は昨年米国主導のインド太平洋経済枠組み(IPEF)に加入するなど米国との関係強化に努めているが、中国とは関係が悪化しておりジレンマだ。
A:「韓国は戦略的に米国だけでなく中国とも良い関係を維持する方が望ましい。韓国が中国主導の地域的な包括的経済連携(RCEP)に参加した状況でIPEFに加入したのはそのような面で補完的な役割をするものだ。韓国は東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心にしたインド太平洋戦略を立てて持っていくことが重要だ」。
7.Q:米国が離脱した後に日本主導で変貌した環太平洋経済連携協定(TPP)は最近英国の加入を承認した。米国が再加入を推進しなければならないという指摘も提起される。
A:「米国内部の政治状況を考慮すれば米国の再加入の可能性はまだ希薄だ。米国の離脱は事実大きな失敗だった。韓国の話をするなら、韓国もTPP加入にもっと積極的に取り組まなければならない。この数年間韓国政府がTPPに加入しようと努力はしたが猶予され続けている。農水産物分野の開放で農漁民の被害が懸念されるという世論のためだが、こうした懸念は誇張された面がある。国益全般のために柔軟に見なければならない。英国も農漁民の反発が大きかったがTPP加入に向けた過程で国益全般に焦点を合わせた」。
8.Q:最近各国が中国人民元の決済を拡大するなど、脱ドルに努めて米国の基軸通貨覇権が崩れているという分析もあるが。
A:「人民元決済は過去より拡大してはいる。だが大規模ではなく中国とロシア間の取引、それ以外に中東地域での一部決済など範囲が限定されているだけに懸念する状況ではない。まだ米国のように強いながらも幅広く深く運営されている資本市場がないだけにドルに代わる通貨はない」。
Q:ウクライナ問題はあとどれだけ続くだろうか。
A:「一方が決定的戦闘で大勝したり政治的に大きな変化が起きない限り長引きそうだ。ロシアは戦争中断がそのまま失敗認定になるためそうなる可能性は低い。ウクライナも被害が大きかったため妥協して終わらせるのは容易でない」。
以上の8つだ。後半は米ピーターソン国際経済研究所(PIIE)のジェフリー・ショット上級研究員とのQ&A方式となっている。
では、順番に見ていこうか。
まず1だが、日本からさまざまな機能性塗料や健康食品を輸入して韓国国内で販売している業者が、円高ウォン安になって赤字で商品を納入しているそうだ。しかも、耐えたらなんとかなると思っているのが凄い。この先、ウォンが上昇する日はすぐにはやってこないぞ。何故、そう言いきれるかは簡単だ。
韓国経済は未曾有の危機に直面している。14ヶ月連続の貿易赤字、2ヶ月連続の経常収支赤字などが記事にも出てくるが、それ以外にも昨日、取りあげた24兆ウォンの税収不足。不動産バブル崩壊。韓電の大規模な赤字。家計債務の延滞率増加など内部でもその危機が拡大している。そこにつけ込んでチョンセ詐欺といった犯罪が横行しているのも韓国らしいが、不景気になればなるほど犯罪が増えるのも良くある話だ。
次に2は最近の円とウォンのレートについてだ。これは3ヶ月の円ウォンの為替レートを見ながら解説しよう。
このように2月1日は9.421だったが、ここ1ヶ月で下がっていき、4月26日には10.034まで下がった。その後、日銀の金融政策決定会合で円安が進んだこともあり、28日現在では9.797と上がっている。そして、4月末のウォンはなんとか1340防衛に成功したが、明らかにウォン安が加速化している現状だ。この先、ウォンレートが下がれば、釣られて日本円に対しても下がると。
そして、ウォンが円より安い理由が3だ。これはその通りだ。韓国経済は世界的な景気後退という外部要因だけではなく、家計債務や財政危機など内部要因でも危機が深刻化している。だが、それらの解決策には最終的に増税や電気料金引き上げなどの強い痛みを伴うことは必至だ。だが、支持率が30%しかないユン氏がそんな国民が大反対することを出来るはずがなく、このまま行けば、韓国経済のファンタメンタルズはますます弱体化することになる。いずれは経済破綻が待っているてことだ。
次に4だが、これは円だけではなく他の通貨に対してもウォンが安くなっていると。留学している子どものために海外送金する親としては辛いと。そして5は日本との貿易赤字がさらに拡大しかねない懸念と。ええ?でも、韓国さんは国産化に成功したんですよね?なんで、対日赤字が増えるんですかね?
では、ネットの突っ込みを読んでおこう。
1.ウォンは年初より6.2%のウォン安。トルコリラは年初より3.9%のリラ安。日本円は年初より2%の円安。
2.ウォンはそろそろキムチコインと名称を変えるべきだと思うんだ。
3.韓国はこれ以上利上げをすることは不可能と見透かされているからなぁ。安心してウォン売りできるだろうな。
4.凄いな、記者もわかってない。日本はある程度の円安が国益になるという認識で円安傾向を維持してる。韓国はなんとかウォン安を止めようとして止められてない。全く違うのに「円も安いから!」と誤魔化す記事にしちゃ駄目だろうに。
5.「SG証券発株価暴落、被害者救済してほしい」国民請願… 誰が投稿しました。やっぱり何処でもこの手の馬鹿は出て来るか。
以上の5つだ。最後の5の気持ちはわからんでもない。あからさまな株価操作で3日連続のストップ安だもんな。でも、時価総額7兆ウォンが消えたのだから、救済するには厳しいだろうな。
それで6からは米ピーターソン国際経済研究所(PIIE)のジェフリー・ショット上級研究員の話だ。彼は韓国に蝙蝠外交を進めて、TPPに入れと助言している。それが実現するかはともかくとして、韓国経済的にその指摘は正しいと思われる。このまま対中輸出が連続赤字となれば韓国は貿易赤字から抜け出すのが難しい。対中輸出を増やすには中国にすり寄るしかない。
そして、彼が指摘するようにTPP参加には国内の農水産物分野の開放で農漁民の被害が懸念されるという世論のためだ。でも、強行すれば、そのまま数百万の選挙票が反対に動く。最大野党の共に民主党がTPP反対を打ち出せば、ユン政権の立場が厳しくなる。だから、申請すらしてない現状なのだ。
ええ?TPP参加はムン君も推奨していたから民主党は反対しない?甘いな。彼等は政府がやることは何でも反対するのだ。そういう連中だ。あと、ウクライナ戦争でロシアがとんでもないことをしだした。引用しておこう。
ロシアのプーチン大統領は、今月14日、兵役義務の招集令状について、書面による手渡しから、オンラインによる通知も可能とする改正法案に署名し成立させました。
招集令状は、政府のポータルサイトに登録した個人のアカウントに通知される仕組みで、本人が通知を開いていなくても届いた時点で効力が発生するということです。
招集令状が届くと、ロシアからの出国が禁止されるほか、通知から20日以内に招集に応じなければ、自動車の運転や不動産の登録、それに銀行などからの融資を受けることができなくなるなど、生活する上でさまざまな制約を受けるということです。
ロシアの国営通信社は、今月20日、プーチン大統領の出身地サンクトペテルブルクで試験運用が始まったと伝え、携帯電話のショートメッセージで招集令状を送る方法も検討されているとしています。
プーチン政権は去年9月、予備役の動員に踏み切り、ロシア国内では、招集令状の受け取りを拒んだり、国外に脱出したりする市民も相次いでいて、今回の法改正は、政権側が招集逃れを抑え込もうとしているという見方がでています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230429/k10014053751000.html
これの恐ろしいところは本人が通知を開いていなくても届いた時点で効力が発生するところだ。つまり、通知を見たか、見ないかなど関係ない。通知した瞬間、ロシア人のウクライナ送りが確定するのだ。さらに20日間で動かない場合はもう、まともな生活すらさせてもらえない。もう、ロシアは勝つまで止めないだろうな。
日本からさまざまな機能性塗料や健康食品を輸入し、韓国国内で販売している「アイテックコリア」のキム・セッピョル代表(52)は最近、赤字で商品を納入している。2月までは100円=900ウォン台前半だった円・ウォン相場が最近は1000ウォン前後で推移しているためだ。最近1-2カ月間で6-7%ウォン安が進み、利益を帳消しにした。キム代表は「ウォン安に伴う損害を価格に転嫁することもできず、ひとまずウォンが上昇する日を待ちながら損害を甘受している。昨年から日本商品の注文が大幅に増えたが笑えない状況だ」と話した。
昨年弱含んでいた日本円が最近対ウォンでは上昇し、「100円=1000ウォン」時代が再来した。ウォン相場は今月6日、同1001.34ウォンを付け、昨年5月以来11ヵ月ぶりに1000ウォンを割るウォン安となった。一進一退していたウォン相場は27日、再び1000ウォンを割り込み、同1001.61ウォンで取引を終えた。
通常円高は日本製品の輸出競争力低下につながり、ライバル国である韓国には追い風となる。しかし、最近の円高は「弱い円、さらに弱いウォン」という怪現象に起因しており、韓国経済にはむしろ悪材料として作用する可能性が高いと懸念されている。
■弱い円よりさらに弱いウォン
外国為替市場では最近、ドル安基調でもウォンと円が同時に下落する異常現象が見られる。世界主要6通貨に対するドルの価値を示すドルインデックスは27日、101.47となり、年初に比べ3%下落した。それに伴い、ユーロ、英ポンド、中国人民元など主要国通貨が年初来、対ドルで強含んでいる。こうした状況下でも、円とウォンだけは軟調だ。21日時点で対ドルでは円が昨年末に比べ2.3%、ウォンが5%下落した。
代表的な安全資産とされる円が、米地方銀行の連鎖破綻など危機の中でも弱含む主な理由は、日銀の異次元の金融緩和基調が続いているためだ。新任の植田和男日銀総裁は25日、衆院財務金融委員会で「イールドカーブ・コントロール(YCC)による金融緩和を継続することが適当だ」とのべた。YCCは10年物国債利回りの許容範囲を決め、資金を供給する政策を指す。日本はゼロ金利政策も維持している。
そんな円よりもウォン安が進むのは、海外投資家が韓国経済のファンダメンタルズ(基礎体力)を日本よりも悲観的に見ているからだ。半導体市況悪化、対中輸出減少などが重なり、韓国の貿易収支は13カ月連続赤字で、「最後のとりで」の経常収支でさえ2月まで2カ月連続の赤字となった。海外投資家は世界最高レベルの家計負債と急増する財政赤字も懸念している。 延世大の成太胤(ソン・テユン)教授は「米国との金利逆転が韓日両国の通貨の同時安を誘発している。輸出依存度が日本よりもはるかに高い韓国は経常収支悪化に伴う影響がさらに大きく、対円でのウォン安が起きている」と分析した。
このため、ウォンは円以外の通貨に比べさらに下落。27日には対ユーロ相場が一時1ユーロ=1483ウォンまで下落し、14年3月以来の1480ウォン台を付けた。対人民元でも1元=193ウォンを付け、昨年末に比べ6.3%ウォン安が進んだ。 急激なウォン安は海外送金を直撃。子どもが留学しているKさん(50)は、「送金が大きな負担なのに、ウォン安が急に進み、まともな気分ではいられない」と話した。
■対日旅行赤字、貿易赤字の悪化懸念
通常は対ウォンで円高になれば、韓国企業の製品は輸出市場で日本製品より価格競争力が高まる。しかし、現在の輸出不振は世界的な景気低迷による需要不足が原因であり、ウォン安は輸出増大にさほど役立たないとみられている。国際決済銀行(BIS)によると、2月現在でウォン、円の実質実効為替レートはそれぞれ96.26、77.96で、円が依然としてウォンに比べて競争力を持っている。
こうした中で対円でウォン安が進めば、慢性的な対日貿易収支赤字が深刻化する可能性がある。日本から主要素材・部品・設備などを輸入する企業も生産原価が上昇し、収益性が悪化する。現代経済研究院のチュ・ウォン経済研究室長は「韓国は対日貿易で恒常的に赤字だ。ウォン安で赤字幅が拡大すると、韓国企業には大きな負担になる」と話した。
対日旅行収支の改善も難しそうだ。円が上昇してもコロナ後の「リベンジ消費」「リベンジ旅行」の心理があまりに強く、日本への旅行需要がなかなか低下しない。日本の観光庁によると、今年1-3月には約160万人の韓国人が日本を訪れ、1人当たり12万5000円、合計1999億円を使った。
韓国と日本の1人当たり国内総生産(GDP)逆転も先に延びそうだ。 日本経済研究センター(JCER)は昨年末、今年の韓国の1人当たりGDPが3万4505ドルとなり、日本(3万3334ドル)を抜くと予想した。しかし、今年は予想外の大幅なウォン安が続いており、韓日の1人当たりGDP逆転は困難だとの見方が出ている。
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/04/28/2023042880155.html?ent_rank_news
米中の貿易戦争と保護貿易主義、これに伴う世界的供給網再編加速化、終わりが見えないロシアとウクライナの戦争…。輸出の活路を見いださなければ生き残れない韓国が置かれた苛酷な環境だ。25日に会った米ピーターソン国際経済研究所(PIIE)のジェフリー・ショット上級研究員は、「韓国は米中の間でしっかりバランスを取る貿易政策で危機を機会に変えなければならない。米国のインフレ抑止法も韓国には機会」と助言した。世界経済研究院(IGE)が26日に開催した創立30周年記念カンファレンス出席に向け訪韓した彼は、国際貿易政策と経済制裁分野で世界的権威者に挙げられる。
Q:米バイデン政権の貿易政策をどのように見るか。トランプ政権時代の保護貿易主義基調から旋回していないようだが。
A:「中国との貿易戦争持続などトランプ政権と軌を一にする面が強い。ただトランプ時代に比べ貿易パートナーを喜んで増やそうとしたり、国際機関との協力も継続して推進している点では進展がある。伝統的な貿易協定から抜け出し非公式なチャンネルを通じて政策を広げているという特徴もある」。
Q:非公式チャンネルとは。
A:「自由貿易協定(FTA)のように包括性と拘束力がある協約ではなく『協議体』に近いケースを指す。バイデン政権は2国間会談でカバーできない範囲である労使・環境問題やデジタル経済などと関連しては協議体を作ろうとする努力を継続している。こうした協議体は米国議会の批准が不要で政策推進が容易になる」。
Q:それでも全般的にはトランプ時代の政策基調を継続している背景は。
A:「結局自国の産業保護を優先するためだ。半導体規制など中国に対する強硬な政策維持には米民主党と共和党の超党派的合意が作用している。ここに民主党は過去の貿易交渉が労働者の権益より企業の利益を優先視したとみて保護貿易主義側の声を出している」。
Q:中国を排斥した米国の動きが世界的供給網再編を加速化し世界経済をハードランディングに誘導しているという分析が出ている。
A:「米国が欧州や日本などと緊密に対中政策を調整中なのは事実だ。それでもこれらの国が米国の政策をそのまま踏襲しているものではない。例えば欧州は世界的アジェンダである気候分野などにおいては中国と協力しようとする努力をしている。韓国も中国が最大の貿易相手国であり北朝鮮に強い影響力を行使するため、ただ米国側に偏ることはできない状況だ」。
Q:韓国は昨年米国主導のインド太平洋経済枠組み(IPEF)に加入するなど米国との関係強化に努めているが、中国とは関係が悪化しておりジレンマだ。
A:「韓国は戦略的に米国だけでなく中国とも良い関係を維持する方が望ましい。韓国が中国主導の地域的な包括的経済連携(RCEP)に参加した状況でIPEFに加入したのはそのような面で補完的な役割をするものだ。韓国は東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心にしたインド太平洋戦略を立てて持っていくことが重要だ」。
(略)
Q:米国が離脱した後に日本主導で変貌した環太平洋経済連携協定(TPP)は最近英国の加入を承認した。米国が再加入を推進しなければならないという指摘も提起される。
A:「米国内部の政治状況を考慮すれば米国の再加入の可能性はまだ希薄だ。米国の離脱は事実大きな失敗だった。韓国の話をするなら、韓国もTPP加入にもっと積極的に取り組まなければならない。この数年間韓国政府がTPPに加入しようと努力はしたが猶予され続けている。農水産物分野の開放で農漁民の被害が懸念されるという世論のためだが、こうした懸念は誇張された面がある。国益全般のために柔軟に見なければならない。英国も農漁民の反発が大きかったがTPP加入に向けた過程で国益全般に焦点を合わせた」。
Q:最近各国が中国人民元の決済を拡大するなど、脱ドルに努めて米国の基軸通貨覇権が崩れているという分析もあるが。
A:「人民元決済は過去より拡大してはいる。だが大規模ではなく中国とロシア間の取引、それ以外に中東地域での一部決済など範囲が限定されているだけに懸念する状況ではない。まだ米国のように強いながらも幅広く深く運営されている資本市場がないだけにドルに代わる通貨はない」。
Q:ウクライナ問題はあとどれだけ続くだろうか。
A:「一方が決定的戦闘で大勝したり政治的に大きな変化が起きない限り長引きそうだ。ロシアは戦争中断がそのまま失敗認定になるためそうなる可能性は低い。ウクライナも被害が大きかったため妥協して終わらせるのは容易でない」。