第1回「韓国貯蓄銀行の取り付け騒ぎと金融界のモラルハザード」

最近、色々なところにばらけている記事のリソースをこのサイトにまとめようと考えている。その試みとして有料メルマガも第1回から宣伝もかねて投降していくことにする。メルマガを始めたのは13年前だが、これを読んでいけば、色々な発見があるとおもわれる。

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第1回 2011年7月3日

第1回「韓国貯蓄銀行の取り付け騒ぎと金融界のモラルハザード」

韓国経済が悪化しているニュースは今年に入って爆発的に増えている。

そうした傾向は、すでに2011年1月頃からあったわけだが、2月に入って、韓国経済に大きな影響を与えた事件「韓国貯蓄銀行の取り付け騒ぎ」は今後の韓国経済にも多大な悪影響を残すことになった。これがメルマガの第1回目のテーマ。基本的に、韓国新聞の引用箇所は文字数には含めていない。では、早速やっていこう。なるべく引用記事にはリンク(管理人のブログか、ニュースソース)を張っていくつもりだ。今回、一定の記事の流れはこのようになっている。

記事チャート

貯蓄銀行の営業停止処分と取り付け騒ぎ→処分前に引き出された預金→金融界のモラルハザード→貯蓄銀行の真のBIS比率→貯蓄銀行が強制売却

貯蓄銀行の営業停止処分

まずは取り付け騒ぎとは何か。言うなれば、信用を失った銀行から預金を引きだす預金者が殺到して、一種のパニック状態になることだ。預金者の預けたお金を銀行は、企業などに融資している。銀行が企業などに融資するので、預けたお金の何倍もの取引を生む。これを信用創造、または預金創造という。つまり、企業にお金を貸しているので,大体予想された金額の引き落とししか、銀行はお金を用意していない。

取り付け騒ぎが起きれば,当然、予定のお金より多くの引き出しがなされるので、銀行は預金者からの全ての引き出しに応じることはできなくなる。こうなってしまえば,銀行は一時的な営業停止に陥ることになる。さらにその銀行の信用を失えば,預金者はお金を預けなくなるので,銀行そのものが倒産する。これが取り付け騒ぎの怖いところである。

潰れるはずもなかった銀行がある一種のパニックから倒産に追い込まれるのだ。そして、そこの銀行が潰れたら,今度はあっちの銀行も危ないんじゃないかという心理が働き、別の預金者がその銀行に殺到。金融全体が危険な状態へと陥る。こうした一種の危険な状態をシステミックリスクという。

発端

>金融委員会が釜山貯蓄銀行と大田貯蓄銀行に営業停止処分を下した17日、両行には困惑した預金者が詰め掛けた。また、系列行の釜山第2貯蓄銀行、全州貯蓄銀行にも預金を引き出そうとする客が押し寄せた。(省略)

金融委員会が先月、営業停止を命じた三和貯蓄銀行を除く貯蓄銀行104行のうち、新たに営業停止処分が下された釜山、大田両貯蓄銀行を含め、釜山第2、中央釜山、全州など釜山貯蓄銀行の系列5行と国際決済銀行(BIS)基準の自己資本比率は正常水準(5%)に満たない。金融監督院は宝海、道民、ウリ、セヌリ、イエスの各貯蓄銀行を「ブラックリスト」として公表した。<(韓国経済、貯蓄銀行2行に営業停止命令、業界に明暗 )

これが発端のニュースになる。

つまり、金融監督院の公開したブラックリストに載っている貯蓄銀行、さらに、影響停止処分命令を受けた貯蓄銀行で取り付け騒ぎが起きた。この後、取り付け騒ぎは全部で8つの韓国の貯蓄銀行にまで広がる。

取り付け騒ぎ前に引き出された預金

しかし、取り付け騒ぎは、ただの発端にしか過ぎない。ここから、韓国の貯蓄銀行が隠していた驚愕な不正と金融界の腐敗が次々と明らかになり、それについての調査が進められていく。一つ目は銀行職員による預金の引き出しである。

>営業停止措置が下される直前の2月15、16の両日、午後4時以降にそれぞれ190億ウォン(約14億3600万円)、185億ウォン(約13億9800万円)の預金が引き出されており、釜山貯蓄銀の行員や関係者約200人が、処分を事前に察知し、預金を引き出したとみられるという。<

(韓国経済、営業停止直前に行員200人が引き出し=釜山貯蓄銀 )

処分(営業停止)を事前に察知して、預金を引き出した200人。明らかに、金融監督院の誰かが、営業停止措置が下ることを職員に漏らすことがなければ、200人以上の銀行職員、または関係者が預金を引き出すはずがない。

金融界のモラルハザード

>過去5年間で、銀行や貯蓄銀行など金融会社の役職員が、横領と背任、わいろ授受などで犯した金融事故は1702件、金額は1兆8684億ウォンと集計された。

本紙が27日単独入手した金融監督院の’金融事故現況’によれば、金融会社役職員が犯した金融事故は、2006年404件1699億ウォンだったが、昨年は304件9609億ウォンに急増した。金融事故件数は減ったが、1件当り事故金額は同じ期間に4億ウォンから31億ウォンへほぼ8倍に増えた。<

(韓国経済、金融業役職員、事件になったお金9600億…4年間で6倍増)

このような金融事故の多発が、今回の営業停止処分にまで発展していく。賄賂や、裏帳簿、不正をわざと見逃すなど、監督側との癒着もあり、貯蓄銀行の経営管理は相当杜撰なものといえる。これが金融界のモラルハザードとして、韓国メディアは大きく取り上げた。

韓国貯蓄銀行の真のBIS比率

昨年12月の国際決済銀行(BIS)基準での自己資本比率は、ボヘ貯蓄銀行が-91.35%、釜山 (-50.29%)、釜山2(-43.35%)、中央釜山(-28.48%)、大田(-25.29%)、全州(-11.56%),道民(-5.32%)であった。

もちろん、これほどのBIS比率は粉飾決算で隠されていたために問題はなっていなかった。すでに銀行と監督役の汚職は相当なレベルであったことが容易に推測される。

貯蓄銀行の強制売却

>イ・スンウ預保社長は去る4日に”7行の貯蓄銀行の大多数が、純資産価値が不足している事が判明したため、売却対象になるだろう”として”該当の貯蓄銀行に対して、今月中に売却の実態調査を経て、売却などを推進するだろう”と明らかにしたことがある。

売却は翌月に入札公告をして財産実態調査などを経て、6月中に公開競争入札を通じて優先交渉対象者を選定する日程で進行される。 引き受け対象は十分な資本能力と経営能力を整えた候補者と預保は説明した。<

(韓国経済、貯蓄銀の構造調整、強制売却で一段落)

このように真のBIS比率が明らかになった以上、貯蓄銀行は自主再生を断念。強制売却の道を突き進む。だが、強制売却を喜んで待ち受けていたのが外資である。こうして、主要銀行の他、韓国の貯蓄銀行もほぼ外資の手に委ねられていく。

以上が,今回のメルマガの内容であるが、実はPF(不動産・プロジェクトファイナンシング)、また、主要銀行が外資に委ねられていることも説明できてないので、次回はその辺りにテーマを絞っていく。

次回の第2回目は「韓国貯蓄銀行、PFという名の不良債権と外資に支配される韓国の銀行」のテーマでお送りする。

ご購読に感謝する。これからもこうした面白い、役に立つ記事をまとめていくので、よろしくお願いする。

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