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第8回「第3次韓国経済危機 サムスン、IT関連株価大暴落」

第8回「第3次韓国経済危機 サムスン、IT関連株価大暴落」

今回のメルマガの内容は8月22日からの経済危機の最新動向を追いながら、KOSPI、ウォン、KOSDAQの動きを見ている。

またサムスンと始めとするIT関連株価の動きが激しいので、こちらもウォッチしていた。では、いつものように記事チャートを貼ろう。

記事チャート

ここ1週間の韓国経済の市場動向Googleのモトローラ買収→サムスン、IT関連株価大暴落→アップル ジョブズ氏引退→IT、サムスン株が急上昇→Googleの株価は急降下。モトローラ買収発表後は上昇→まとめ

ここ1週間の韓国経済の市場動向

KOSPI

さて、1週間と行っても、土日は市場が休みなので、5営業日ということになる。8月22日~8月26日までの範囲となっている。

22日は、1760ぐらいから始まったKOSPIは、一日でかなり下がった後、次の日急上昇して、1800台間近まで一時的に回復した。

ただ、これについては介入があったと思われる。年金砲と新しく加わった郵政砲である。そして、次の日も下がってスタートしたら、昼間辺りから上がり出す。最近の傾向として、朝、下がって、昼間に取り返すような感じだ。

26日の最終株価は1778.95 +14.37である。

^KOSPI (+0.81%) – KOSPI Index – South Korea – Stooq

ウォン

最初、1084ウォンでスタートしているところをみれば、ほぼウォン高傾向に進んでいた。一番高いのが23日の終値1074ウォンだが、その後ウォン安になる。26日は1081.9ウォンで終わる。

USDKRW (-0.45%) – U.S. Dollar / Korean Won 1:1 – Stooq

KOSDAQ

先週はIT関連株が下落する前は500あったのだが、IT関連株が下落すると一気に落ちていく。その後、若干の変動はあるのだが、470台辺りを行ったり来たりというところだ。経済が好調ならKOSDAQにも反映されるので、こうして何か株価が急落すれば、KOSDAQは一気に下がる。

投資主体別の売買動向は全部書くとメルマガが長くなるので、外国人の状況だけをまとめておく。

外国人の投資主体別売買動向(2011年8月22~26日)

22日 外国人 -2,424億
23日 外国人 -662億
24日 外国人.. 934億
25日 外国人 -466億
26日 外国人 -643億

以上。このように24日以外は、外国人は投げ売りしているのがわかる。実際、ずっとその前の週から続いているので、24日はかなり特別だということになる。

Googleのモトローラ買収

では、IT関連株についてやっていこう。前回のメルマガで少し触れたが、Googleのモトローラ買収で、サムスンを始め、IT関連株が一気に下がっていった。買収金額は125億ドル。日本円だともう1兆円には届かない。

このようにIT関連株は下がっていたのだが、アップルのあるニュースをきっかけに急上昇していく。まずは株価をみてもらおう。

これが22日の終値。

Samsung 691,000 -11,000
サムスンジョンジャオ 490,000 +2,000
ハイニックス 15,750 +50
LG電子 54,600 -400
LGディスプレー 18,950 +450
サムスンSDI 133,000 -6,000
サムスン電機 59,500 -500

そして、26日の終値

Samsung 726,000 -1,000
サムスンジョンジャオ 518,000 +4,000
ハイニックス 17,950 +650
LG電子 57,500 +1,800
LGディスプレー 20,000 +450
サムスンSDI 131,000 +500
サムスン電機  62,800 -200

このように下がっていた韓国のIT関連株が急上昇した。アップルのジョブズ氏、引退ニュースが原因と思われる。これは残念だが、どれだけの大富豪も歳と病気には勝てない。

頂点に上り詰めたアップルだが、ジョブス氏のカリスマ性とリーダーシップがあればこそである。この先、アップルがどうなるかはわからないが、偉大な経営者であったジョブス氏の引退で、新しい世代へと移ることになる。

IT関連株の動きは掴めてない。様子見の段階というところなので、次回のメルマガでも動きを知らせたいと思う。

アップル ジョブズ氏引退

>一方、ジョブスのCEO辞任が発表された直後、ニューヨーク市場の時間外取引でアップルの株価は5.3%急落した。反面、三星(サムスン)電子や三星電子部品株は急騰した。三星電子は25日9時25分現在、前日比4・1%(2万7000ウォン)上昇の73万7000ウォンを記録している。部品株であるワイソルやテドク電子なども2%の上昇率を見せている。<

韓国経済、スティーブ・ジョブスが「引退」…三星電子株が急騰

Googleの株価は急降下

最後にGoogleの株価を見ておこう。韓国経済と少し異なるが、モトローラを買収した時のGoogleの株価は非常に下がっている。そして、その時価総額はモトローラ買収する金額に達している。

http://jp.moneycentral.msn.com/investor/charts/chartdl.aspx?symbol=us%3agoog&CP=0&PT=4

モトローラの買収を発表したのはいつか。8月19日になるわけだが、その前にGoogleの株価が下がっているのに注目だ。7月25日には607あった株価が、モトローラ買収時は490.17である。つまり、2割以上下がって、モトローラ買収から、徐々に株価が上昇していることになる。市場の反応は上々であるが、それで一気に株価は回復とまでは行かないようだ。

まとめ

以上。1週間の主な動きを追った。今週はそれほど動いてないという印象だ。IT関連株もジョブズ氏の引退報道がなければもっと下がっていたかもしれないというところだ。

ただ、第3次韓国経済危機が終わったわけでもなく、第4次経済危機の悪材料が色々増えた。家計負債が900兆に迫り、外債が4000ドル間近。このように第4次韓国経済危機で重要となる負債は積み上げられている。

次回、第9回はどうするのかだが、引き続き第3次韓国経済危機関連を追っていく。今週の動向+1ヶ月のまとめのような感じだ。

第9回のタイトルは「どうなる第3次韓国経済危機 1ヶ月過ぎた市場」 

第7回「勃発!第3次韓国経済危機」

第7回「勃発!第3次韓国経済危機」

2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)の第7回のメルマガは、突然起きた「第3次韓国経済危機」を特集して行く。まさに「週間」という名のタイトルに相応しく、なるべく最新情報を紹介していくつもりだ。では、今回もいつものように記事のチャートを最初に出しておこう。

配信日:2011年8月21日

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記事のチャート

第3次韓国経済危機の発端→なぜ、第3次韓国経済危機と考えるのか?→これまで市場動向→Googleがモトローラ買収で、IT関連株が急落

第3次韓国経済危機の発端

これについてはアメリカの財政危機から始まったデフォルト危機である。リーマン・ショック以後、アメリカは大量の米国債を刷っていた。だが、アメリカの法律では債務の上限枠が定められており、それを超える債務は法律を改正しない限り、借金ができないことになり、米国債デフォルト(債務不履行)危機が噂された。

具体的には、債務の上限枠を増やす法案が通らなければ、8月2日以降の借入は不可能と米財務省が提言した。まさにタイムリミットが迫っていた。

しかし、世界の見方はそれほど悲観的ではなく、いくらアメリカでもデフォルトはしない、回避されるだろうという情勢が強かった。管理人もデフォルト回避をすると思っていたので、たまにブログで取り上げるがそれほど危険視はしていなかったし、デフォルトも回避されたことは知っているだろう。

なら、なぜこれほど世界は同時株安になっているかである。

投資家にとって、デフォルトは回避されたが懸念材料があった。それが米国債の格付けである。8月6日、S&Pが初めて、米国債の格付けを「AAA」から「AA+」に格下げした。

特に三大格付会社、S&P、Moody’s、フィッチの格付は重要とされていて、1997年のアジア通貨危機も格下げが一つの原因だった。具体的には、格付会社Moody’sが、韓国の格付けをA1からA3まで落とし、同年の11月にはさらにBaa2にまで格を落とした事で、すでに落ち込んでいた韓国の証券取引市場を更に冷え込ませて、韓国経済を経済危機に陥らせたわけだ。こうして韓国はIMF行きとなった。

管理人が韓国経済で格付に注目していたのはこうした理由からで、格付の読み方も第2次韓国経済危機の初期に説明しているのがわかるだろう。

このように米国債の格付けが格下げされたことでダウは大暴落して世界同時株安(8月19日の朝もダウは大暴落)が今も続いているということだ。それから、大暴落したり、大反発したりと、ダウは非常に不安定で、そのダウに影響されて、日経を始め、世界中の株価が影響を受けているのが、今の状態である。

しかし、いくら強い影響を受けたからといって、日本は経済危機にはなってない。アメリカも経済危機ではない。ヨーロッパも、イタリアやスペインはヤバイが、それはアメリカのデフォルト危機からとは別の理由だ。だが、一国だけ、アメリカのデフォルト危機の影響を受けて「経済危機」になっている国がある。そう、それが「韓国」なのだ。

なぜ、第3次韓国経済危機と考えるのか?

さて、ようやく本題にはいるわけだが、なぜ、韓国だけが経済危機と見なしているのかだ。さっき述べた通りアメリカはデフォルトしていない。なので、最初は管理人も、一時的な経済ショックで、そのうち持ち直すだろうし、経済危機にまで至らないという見方をしていた。しかし、どうやら韓国政府はそうは見ていないのだ。まずは列記しておこう。

第3次韓国経済経済危機と思われる状況

1.KOSPIが10日間で25%下落
2.韓国政府の空売り禁止(3ヶ月間)
3.年金でのKOSPI買い支え(4日間で1兆ウォン。さらに4兆ウォン)
4.KOSDAQ、サーキットブレーカーの発動
5.通貨スワップ協定の再締結を急がせる記事
6.外国人投資家、9営業日で約6兆ウォンの投げ売り
7.外債がGDPの40%に迫る。短期外債は38%の1467億ドル
8.対外依存度(3011年1~3月)で輸出入の占める割合は110.1%
9.外貨流動性の危機
10.外国人、連日KOSPI投げ売りでウォン安の恐怖!

以上の10つとなっている。全部ソース付きで説明していると長くなる。特に管理人が注目しているのが、KOSPIの年金での買い支えと、空売り禁止、通貨スワップの再締結を急がせる記事だ。これは全て外貨流動性の危機、すわなちドル不足に関わって来る。こんな感じの図を思い浮かべて頂くと良い。

ヘッジファンド、韓国の株を大量に空売り、債券投げ売り→そして手に入れたウォンをドルにかえる→ウォン安。KOSPI暴落!→韓国政府は空売り禁止を発動!年金でKOSPIの買い支え→外国人、空売り禁止されたので買い戻しもできなく、そのまま投げ売り!→韓国政府、金融安定基金創設へ。

これがアメリカのドルが下がるはずなのに、ウォン安になっている理由だ。KOSPI、KOSDAQへの上場企業の株を投げ売りすることで、ウォンを手に入れて、ドルに戻している。

これまでの市場動向(1ヶ月、7月19日~8月19日)

これについてはチャートを見てもらう方が早いのでリンクをのせておく。

ウォン

1060ウォンが1087ウォンと27ウォンほどウォン安である。

USDKRW (+1.27%) – U.S. Dollar / Korean Won 1:1 – Stooq

KOSPI

^KOSPI (-6.22%) – KOSPI Index – South Korea – Stooq

KOSPIは2150台、7月19日にはあったのだが、現在は1744と大幅に下がっている。しかも、ちょうど下がるのが8月2日からだ。25%(1684.6)ほど下がったのは8月11日ぐらいで、そのあと、少しは盛り返している。

KOSDAQ

KOSDAQについては、サーキットブレーカーが久しぶりに発動している。ようは売られすぎて、一時的な相場を冷やすために取引停止になったわけだ。残念ながらチャートが見当たらない。

Googleがモトローラ買収で、IT関連株が急落

最後にもう一つ注目したいのが、韓国IT関連株が、Googleがモトローラを125億ドルで買収したことで急落している。サムスンを始めとするIT関連株が急落しているのがここ最近の動きだ。サムスンの株価なども最近、ウォッチ対象リストに入れたので、近況は来週のメルマガで知らせたい。

以上。今回も盛りだくさんの内容であったが、管理人が準備をしていくよりも早く、第3次韓国経済危機が訪れたので、メルマガの内容はそれに合わせて大幅に変更している。

次回も、この韓国経済危機の最新動向を追いながら、気になるニュースをまとめていく予定だが、この経済危機がいつまで続くのか。大体3ヶ月ぐらいで何か見通しが示せると考えている。

第6回「韓国の消費者物価」

第6回「韓国の消費者物価」

何故、この時期にリソースをまとめているのかと思うかもしれないが、韓国経済を13年前から振り返ることで、今の韓国経済の状況がなるべくしてそうなったことがわかるからだ。いずれゆっくり解説で動画化したいところだが膨大な量があるので、編集プロジェクトはゆっくりやっていくつもりだ。動画化はするときは別チャンネルになると思うので、その時はまた知らせたいと思う。

第6回の配信日は2011年8月14日

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前回、韓国の家計債務が増加する8つの原因を紹介した。その中で消費者物価だけをこの回で特集する。では、前回にも張った記事チャートから。今回はコラム付きだ。

記事チャート(第5回と第6回)

家計債務の増加原因(第5回の範囲)→消費者物価の上昇→韓国、学生の実態→数年後、家計負債は1000兆ウォン→(コラム)消費者物価を抑えるには?

消費者物価の上昇

>統計庁が1日発表した韓国の7月の消費者物価動向によると、消費者物価上昇率は集中豪雨の影響で、前年同月比4.7%に達した。7カ月連続で4%台となり、韓国銀行(中央銀行)の物価安定目標(2‐4%)を外れた。韓国政府は今月も消費者物価が4%台を記録するとみており、当面は物価上昇基調が続きそうだ。 品目別の上昇率は、農畜産物では豚肉(41.2%)、サバ(36.4%)、スイカ(31.5%)、鶏卵(25.8%)など、石油類ではガソリン(11.6%)、軽油(14.5%)などとなっている。このほか、外食用の豚バラ肉(17.3%)、パン(14.6%)、美容(8.2%)なども物価上昇要因となった。<

(韓国経済、韓国の物価、7月は4.7%上昇……7ヶ月連続で4%台上昇。 )

このように消費者物価が上昇することで、韓国人の暮らしが悪くなっている。最後にそれを具体的に見ていくために学生に焦点を絞る。

韓国、学生の実態

学校近くの飲食店は相次いで値上げ。頼みの学生食堂も便乗して値上げ。学生の心配事は、学業よりも明日の食費代。学生食堂すら利用出来ない学生は、コンビニのカップラーメン、おにぎりなどを食べている。将来、韓国を背負う学生の食生活は最悪といえよう。しかも、最新のニュースでは、学生の消費者金融利用額が増加しているという。

>金融監督院が4日に明らかにしたところによると、消費者金融40か所の大学生向け貸付実態を全数調査した結果、6月末現在、4万7945人への貸付残高が794億6000万ウォンと集計された。重複している貸し付けを除いても、大学生1人当たり160万~170万ウォンの借金を抱えていることになる。消費者金融の大学生への貸付残高は、昨年6月末の565億8000万ウォン(3万494人)に比べ40.4%増加した。<

(韓国経済、韓国大学生、消費者金融からの借金総額8百億ウォン)

また、アルバイトでの自給ではビックマックセットすら買えないことがわかる。韓国の経済成長が、輸出企業のような一部でしか恩恵を受けてないことが容易に想定される。

>現在、全国のマクドナルド(済州=チェジュ=地域を除く)で販売されているビッグマックセットの価格は5200ウォン(約389円)(ランチセット除く)で、来年一時間仕事をして手にする4580ウォンを軽く上回る。<

(韓国経済、ビッグマックセットも買えない最低賃金……ネチズンは怒り

学生の焦点を当てて説明してきたが、庶民も消費者物価上昇による材料価格の高騰、値上げに苦しんでいる。サラリーマンにもカップラーメン族が増えている。

数年後、家計負債は1000兆ウォンに

800兆ウォンを超えた家計負債だが、数年後には1000兆ウォンを超えるのは確実と見られている。増え続ける家計負債は韓国経済にとって大きな不安要素となっているわけだ。だが、家計負債だけではないのだ。

韓国政府、企業、家計の3つを合わせると、総額2500兆ウォンである。これを日本円で直すと180兆円となり、これは韓国の2010年の名目GDPの二倍となっている。参考まで日本と韓国の名目GDPを比較をのせておく。

日本のGDP…5,458.87 世界第3位
韓国のGDP…1,007.08 世界第15位

単位は10億USドル。日本は54,588億ドルに対して、韓国は10,070億ドルほどの経済規模ということになる。では、937兆ウォン(70兆円)を現在のドルに直すといくらになるか。大体8700億ドルである。

すでに示した通り、日本の借金が1000兆円と騒いでいるマスコミが多いのだが、韓国の経済規模で考えると、2500兆ウォンの借金は名目GDPを遙かに超えた2倍の数値ということで、実はよほど深刻な事態だったりするわけだ。

なのに、日本のマスメディアは韓国経済がこの数年は絶好調であると言及している。だが、その実態はただの自転車操業、火の車ということがわかってもらえたのではないだろうか。

そして、日本の借金は内国債であるが、韓国の借金は外債がほとんどであり、そのために外貨流動性の危機、いわゆるドル不足に陥りやすいことも指摘しておく。

(コラム)消費者物価を抑えるには?

サイトの方で読者様から質問があったわけだが、凄まじい勢いで上昇する消費者物価を抑える方法は何かないのかという質問だ。

実際、各国はインフレに悩まされたときは、消費者物価を抑えるために、金利を上昇させる。つまり利上げである。また魚や野菜などの輸入関税の引き下げ、公共料金の凍結などもある。

こうした物価インフレ対策はすでに韓国政府は取っている。しかし、それでも物価インフレは抑制されていない。しかも、金利を上昇させることは、国民の負債利子を増加させるので、韓国政府にとってはインフレ対策と同時に負債にも対応しなければならない。よって、大胆な物価インフレ防止策が取れないという事情がある。

国民生活は苦しくなるが、韓国政府そのものは物価インフレでは滅びない。ここがチャイナとは違うところだ。チャイナの場合は経済成長が止まれば、革命という恐怖が待っている。そのチャイナもそろそろドーピングが切れてきたようだが……

以上。メルマガの第6回は、韓国の消費者物価についてまとめてみた。

さて、第7回のテーマであるが、7月の始めに、韓国がEUとのFTA協定が発効し、スタートしたのはご存じだろうか。また、アメリカとのFTA批准が急がれている。しかし、その中身は21世紀版の不平等条約である。次回は、このFTAについてまとめていく予定だ。

とまあ、一週間前には上のような予定だったのだが、アメリカのデフォルト危機から「第3次韓国経済危機」が勃発した。突然のことで驚いたわけだが、なぜ韓国だけ経済危機が起きてしまったのか。今回の経済危機の根本的な原因は何なのか、最新の韓国経済市場の動向などを紹介する。

第7回のタイトルは「勃発!第3次韓国経済危機」と称しておく。

ご購読に感謝する。これからも応援のほどを宜しくお願いする。

第5回「韓国の家計債務」

第5回「韓国の家計債務」

配信日:2011年8月7日

今回、特集するテーマは「韓国の家計債務」になるのだが、管理人のブログを見ている人は、韓国の金融負債が937兆ウォン(70兆円)で、その中で家計債務がだいたい800兆ウォンを迫る勢いだということは知っていると思われる。これについては、すでに800兆ウォン(60兆円)を超えたようだ。また、消費者物価の上昇と家計債務の増加には、関連性があることを最初に述べておく。

家計負債の返済率も増加に伴い最悪を更新。家計負債を元本はそのまま、利子だけ返済する人々が79%の割合となっている。さらにカードでの負債も増加している。

第5回のメルマガでは家計債務が増加する要因を取り上げる。そして、第6回では、消費者物価の上昇に伴い、悪化する庶民の暮らしを、特に、学生の酷い実態を紹介していく。

(日本円に直すのは、記事によってレートがバラバラというより、書いてないので大体の目安にして欲しい)

記事チャート(第5回と第6回)

家計債務の増加原因(第5回の範囲)→消費者物価の上昇→韓国、学生の実態→数年後、家計負債は1000兆ウォン

家計債務の増加原因

家計債務の増加原因は大きく分けて以下の8つが考えられる。影響の差は異なるが、どれも、家計債務が増加する複合的な要因となっている。順に説明して行こう。

1.口蹄疫と豪雨
2.消費者物価の上昇
3.不動産価格の下落
4.上がらない給料
5.高い法定利息
6.増え続けるカード会社
7.企業の外資比率
8.世界経済の動向

1.韓国の貿易依存度は8割を超えており、内需はほとんどない。その少ない内需の中身はほとんど農業品、畜産品があげられる。特に米などは良く生産しているようだ。しかし、昨年から続く口蹄疫の影響もあって、畜産農家は大打撃を受けた。

韓国の畜産業はだいたい1500万頭ほど、牛や、豚などを飼育しているようだが、その中の300万頭以上が口蹄疫が原因で処分された。しかも、ワクチンを打っても、防疫対策が甘く、垂れ流し状態が続いている。また埋めた場所も駄目なようで、夏辺りに深刻な被害が予想されているわけだが、これについては何かニュースになるようなら、こちらでもまとめて見ようと思っている。また、最近、起きて多くの死傷者を出した豪雨の影響などもある。

2.消費者物価については次回で述べる。簡単に説明すれば、驚くべき速さで消費者物価が絶賛上昇中ということだ。

3.不動産価格の下落は、よく言われている韓国の不動産バブルの崩壊である。韓国では不動産を投資に使うことが一般的で、日本の不動産を購入する感覚とは随分異なるし、貸切保証など、特有の制度もある。ただ、不動産バブルが完全に崩壊したかまでは定かではないが、不動産価格が下落しており、買うより、借りる方の需要が高まっていることは確かなようだ。

4.上がらない給料についてはそのままだ。経済成長が起きているのは財閥企業、輸出企業が中心であり、その恩恵が韓国全体に波及しているわけではない。全体的に賃金所得が増えないのは韓国経済の成長が極めて限定的で、所得格差の拡大を意味している。その中でも、サムスンが韓国全体のGDPで22%を占めていることは特筆すべきことだ。

サムスンの成長についても、ウォン安、大企業優遇策などがあるわけだが、今回のテーマは債務と物価なので、これぐらいにして次に行く。

5.高い法定利息というのは、韓国の法定利息は40%近い状態になっている。以前は60%だったのでこれでも下がった方だが、この高い法定利息によって、日本の消費者金融が韓国に進出している。

6.さらに韓国ではカードを使った決済が増えている。いわゆるショッピングローンというやつ。

7.企業の外資比率。これについては給料が上がらない理由にも繋がる。サムスンでも外資が50%。現代自動車が40%。ポスコやSKテレコムも外資比率はほぼ半分となっており、売上の増加は高い配当金として持って行かれる。そのため実質賃金があがらない。実際、大企業ばかりがウォン安と韓国政府の援助で利益を上げて、中小企業はボロボロという酷い有様である。

8.最後の世界経済の動向であるが、これは韓国が貿易依存国であるために、アメリカ、欧州、中国といった巨大なマーケットの動向に左右される。ここ1週間でKOSPIが10%以上下落したのは、アメリカのデフォルト危機が大きく関わっている。デフォルトそのものは回避されたが、ダウが500ドル以上下がり、世界の主要株価が軒並み下落した。韓国の場合は、それ以外にも様々な原因があることはすでに述べた。

以上、8つの理由を簡単に述べた。次回は最新の消費者物価の上昇を追い、学生の酷い実態を紹介する。

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第4回「熾烈を極める特許紛争!サムスン VS アップル」〔後篇〕

第3回のメルマガでは、サムスンVSアップルの特許紛争を時系列順に取り上げて、その後、具体的な訴訟関連ニュースを紹介した。第4回はその続きであるが、いくつかの最新ニュースも届いているので追加しておく。まずは記事のチャートを見て欲しい。

第3回 2011年7月24日

記事のチャート

アップル、韓国でサムスンを提訴→弁解準備手続きで舌戦→アップル、マルチタッチに関する特許を獲得→サムスンが米国ITCにアップルの特許侵害と輸入禁止を要請→サムスンが逆提訴を取り下げ→最新情報

アップル、韓国でサムスンを提訴

>Appleはサムスンに対し、韓国で特許関連の訴訟を提起した。Bloombergが報じている。 同報道によると、Appleは現地時間6月22日、ソウル中央地方裁判所に訴状を提出したという。Appleの主張の詳細は公開されていないため、今回の訴訟が全く新しいものなのか、それとも同社がサムスンを相手取って起こした以前の訴訟に関連するものなのかは不明だ。<

(韓国経済、アップル、特許めぐり韓国でサムスンを提訴)

ここに来て、アップルとサムスン側が争っている特許の中身が明らかになる。

Apple:AllThingsDに対して、「サムスンの最新製品群がハードウェアの形状からユーザーインターフェース、さらにはパッケージングに至るまで『iPhone』と『iPad』に酷似しているのは、決して偶然ではない。

サムスン:Appleが通信技術のHSPAおよびWCDMAに関するサムスンの特許を侵害したと主張。

ここで注目なのは、どちらも特許侵害を訴えているが、アップルは主にデザイン面で、サムスンの方は通信技術だということ。つまり、双方、同じ土台で争っていないわけだ。

一般人からすれば、アップルの主張は簡単に受け入れることができる。しかし、サムスンの通信技術に対する特許侵害というのは非常にわかりにくいのではないだろうか。

*HSPA:NTTドコモなどが採用している第3世代(3G)携帯電話方式「W-CDMA」のデータ通信を高速化した規格。3G方式の改良版であることから「3.5G」とも呼ばれ、従来の5倍以上の通信速度を実現する。

説明を見ても、どんな特許なのかがわからない。そのために、サムスン側の訴えについては、肯定も否定もできないのだ。アップル側の方は、前回に主張したとおり、サムスンがパクっていることは言うまでもない。

そうして、いよいよ弁解準備手続きが始まる。

弁解準備手続きで舌戦

>サムスン弁護士「200ページ以上にわたって説明したのに、これ以上何を説明しろというのか」

アップル弁護士「量が多いだけで、中身がない」

サムスン弁護士「だからといって、わずか8ページの答弁書を送ってくるのか」<

弁解手続き準備の舌打戦の一幕だが、サムスンとアップルの違いが良くでている。アップルは簡潔な文章を送り、サムスンは冗漫な文章を提出した。8ページと200ページ。実際、200ページもあるサムスン側の答弁書は、読むに堪えないのがこのやり取りから容易に想像できる。しかし、実はこれだけではない。

>サムスン電子の代理人を務める弁護士法人「広場」の権寧模(クォン・ヨンモ)弁護士がこう質問すると、 アップル社の代理人を務める「キム&チャン法律事務所」の梁英俊(ヤン・ヨンジュン)弁護士は 「サムスン電子が送付した150ページの訴状と80ページの準備書面を精読しても、 一体何を要求しているのか説明がなかったからだ」と反論した。<

つまり、合計230ページ読んでも、要求していることの説明すらないという。何を要求するかなど1ページで十分だと思うのだが…。さらに両者の主張はこうだ。

サムスン:アップル社のスマートフォン(多機能携帯電話端末)やタブレットPC(タッチパネル式の表示・入力部を持つ携帯可能なパソコン)は全て、サムスンの標準特許4件と技能特許1件を無断で使用し、特許権を侵害したもの。直ちに特許権を侵害する行為を中止し、現在市販されている全ての製品を回収して廃棄することを求めた。

アップル:サムスンの特許が標準特許として認められたという事実は確認されておらず、 たとえ標準特許だとしても、FRANDライセンス(技術標準に含まれる特許権者が、非特許権者に対し、 合理的・非差別的にライセンスを付与する)があるため、問題にはならない。

以上。このような両者の主張が繰り返されていく。そして6月30日、サムスンが米国ITCにアップルの特許侵害の輸入禁止を要請するのだが、もう一つ、その前に重要なニュースがある。

アップル、マルチタッチに関する特許を獲得

>最初に申請を行ってから3年以上を経て、Appleがようやく「iPhone」のタッチスクリーンに関する特許承認を得た。タッチスクリーン式のスマートフォン市場で、Appleが独占的な立場をさらに強める可能性がある。

米国特許第7966578号 によると、Appleは、「タッチスクリーン・ディスプレイを備えるポータブル多機能デバイスと連動して使用するための、フレーム・コンテンツを含むページ・コンテンツの表示技術に関するコンピュータ実装方法」について使用権を認められたという。<

(アップル、マルチタッチに関する特許を獲得――申請から3年を経て)*リンクが文字化けして張れなかった。手間になるが検索から飛んでみて欲しい。 )

ここに来て、アップルが申請していたタッチスクリーンに関する特許承認を得た。もちろん、これに恐怖することになるのはサムスンだけではないのだが、こうなってくると、アップルはこの特許を「ライセンス契約」で他社に使用を認めていくのではないか。要するに特許料を払えということだ。

非常にタッチスクリーン使用に対する幅広い特許なので、今後、どうするかは注目だ。もちろん、この特許訴訟にも影響するだろう。では、先ほど少し触れたサムスンの要請を見て欲しい。

サムスンが米国ITCにアップルの特許侵害の輸入禁止を要請

>三星電子(005930)が米国国際貿易委員会(ITC)にアップルを特許侵害疑惑で提訴し、 該当製品の輸入禁止を要請したとブルームバーグ通信が29日(現地時間)報道した。通信によれば、三星電子は前日ITCに提出した訴状でアップルのアイフォン、アイポッド、アイパッドが自社の特許5件を侵害したと主張した。<

さて、この具体的な特許が次のようになる。

>三星が侵害されたと明らかにした特許は無線ネットワークを通したマルチプルサービス伝送方式、高速データ伝送に使われるデータパケットフォーマット、電話機にウェブブラウザを統合する技術、デジタルオーディオの保存と再生方式、タッチスクリーンを利用してデジタル文書を見ることなどだ。<

(韓国経済、サムスンが米国ITCにアップルの特許侵害と輸入禁止を要請! )

サムスン側が要求した通信技術に関しては何ともいえないが、タッチスクリーンを利用した技術は、すでに特許が認められているので、ITCが問題にする可能性は低いといえる。

さて、このように米国ITCを巻き込み、ますます過熱していく特許訴訟なのだが、ここに来てサムスンが逆提訴を取り下げてきた。

サムスンが逆提訴を取り下げ

7月2日(ブルームバーグ):韓国のサムスン電子は、米アップルによる特許侵害を主張する米連邦裁判所への訴えを取り下げた。サムスンのスマートフォン(多機能携帯電話)「ギャラクシー」などが特許侵害に当たるとしてアップルが起こした訴訟に対抗し、サムスンも4月に逆提訴していた。

(韓国経済、サムスン電子がアップルに対する逆提訴を取り下げ!)

サムスン電子は、この取り下げは訴訟のスリム化のためと述べているのだが、実際のところ、負けるのがわかって取り下げたという見方もある。

さて、ここまでがメルマガの本来の範囲だった。しかし、この2週間で二つの気になるニュースが出てきたので、最後に取り上げておこう。

最新情報

>米アップル製の高機能携帯電話(スマートフォン)「iPhone(アイフォーン)」による位置情報の無断収集問題で、プライバシー侵害に対する慰謝料支払いを求める集団訴訟が、大きな関心を呼んでいる。

(韓国経済、慰謝料を求めての対アップル集団訴訟に参加希望者が殺到 サイトがつながりにくくなるほど )

直接、同社の訴訟に関連性はないが、これがアップルの韓国撤退フラグになる可能性はある。さらに次の記事を見て欲しい。

>関係筋によると、世界最大の半導体受託生産会社である台湾積体電路製造(TSMC)(2330.TW)は、米アップルAPPL.Oの次世代チップA6チップの試験的生産を開始した。アップルは現在サムスン電子(005930.KS)に委託しているチップ生産を他のメーカーに変える可能性がある。

現在アップルは「iPad 2」に搭載されているA5チップの生産をサムスン電子にのみに委託している。ただ、スマートフォン市場で最大のライバルであり、特許関連訴訟で争っているサムスンとは今後距離を置く可能性がある、とみられている<

(韓国経済、台湾TSMC、米アップルの次世代チップの試験的生産を開始=関係筋)

このようにサムスンとアップルの特許紛争をめぐり、両者の対立はますます深刻化している。その状況が、今後の部品メーカーにとっては非常に気になる問題となるわけだ。iPhoneは1億台。iPadは2千万台の販売台数。これだけでも凄いのに、関連商品などを入れれば市場はさらに広がる。

サムスンとアップルを巡る特許訴訟関連は、またニュースがたまり次第、やっていこうと考えている。では、第5回の予定を紹介する。

次回は「韓国の家計債務と消費者物価」を何回かに分けて、取り上げていくつもりだ。韓国経済にとって、家計債務と消費者物価の話題はこれからは避けては通れない重要な事項。韓国の家計債務と消費者物価の現状をまとめていく。

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第3回「熾烈を極める特許紛争!サムスン VS アップル」

前回と前々回で、日本ではまったく報道されなかった韓国、貯蓄銀行の取り付け騒ぎのその後、そして、主要銀行の外資比率を紹介した。

今回は、アップル社が、iPhone,iPadなどに使用されている特許技術を、韓国のサムスンがパクって無断使用していると主張して訴えた特許紛争について紹介していく。

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第3回 2011年7月17日

記事のチャート

管理人の主張→時系列順のまとめ→特許紛争の発端→最初の提訴→サムスンの逆提訴!→未発表モデルの開示要求(棄却)→次回に続く

管理人の主張

最初に管理人の主張を述べておくが、どれだけ公平な視点から見ても、サムスンのギャラクシーはiPhone,iPadなどのパクリにしか見えない。まずは画像を見て欲しい。

モバイルニュースとレビュー » AppleはネクサスSと銀河回線を介してサムスン提訴, コピーが見て、iPhoneのルックと計算された

比べてある画像があった。記事はよくわからないので無視していいだろう。

画像を見る限りで、これがパクリでないというのはかなり無理がある。世界中の人間がそう思っているわけだ。

時系列順のまとめ

4月15日 アップルがサムスン電子を特許侵害などで提訴「そのまま摸倣」

4月22日 サムスン、米アップルを韓国、日本、ドイツで特許侵害で逆提訴
4月27日 サムスン、米アップルを今度は米国で提訴

5月30日 サムスン、Appleに「iPad 3」や「iPhone 5」の開示を求める要求

6月21日 アップル、サムスンへの訴訟を27機種に拡大「摸倣者」と断じる
6月22日 アップルに対してiPad 3やiPhone 5などの開示要求が棄却される
6月22日 アップル、特許をめぐり韓国でサムスンを提訴

7月03日 サムスン電子がアップルに対する逆提訴を取り下げ。

7月07日 アップルがサムスン電子を提訴。ギャラクシーシリーズの米国 輸入差し留め請求!

以上。ソースは全部あるのだが、全部のリンクを張るのは字数的に厳しいので、管理人のまとめリンクだけを張っておく。

ジャンル別で知る!2011年 第三次 韓国経済危機の軌跡(Samsun(三星)・特許訴訟)

ここまでが特許紛争の時系列順に起きたことだ。もちろん、現在も紛争中なので、アップルもサムスンが新たな紛争を仕掛けてくることもあり得る。では、ここからは発端から何が起きたのかを詳細に明らかにしていく。

特許紛争の発端

>ジョブズは新製品の長所をしばらく説明した後“今年はアイパッド2の年になるだろう”と釘をさした。彼は三星とヒューレットパッカード、モトローラなどのロゴを画面に出した後聴衆らに“2011年が模倣屋の一年になると見るか。”と質問して“彼らの製品はさらにアイパッド1さえもついてこれずにいる。”と自信を表わした。<

(「三星電子はコピーキャット」「2011年が模倣屋の1年になると思うか」アップル社のジョブズ氏 )

今に思えば、このジョブズ氏のサムスン電子に対する「コピーキャット」の発言から、アップルはすでにサムスン電子を提訴する準備を進めていたようだ。ジョブズ氏が発言したのは2011年3月2日のことだ。提訴に踏み切る1ヶ月半ぐらい前となる。

最初の提訴

>[サンフランシスコ 18日 ロイター] 米アップル(AAPL.O: 株価, 企業情報, レポート)は、韓国のサムスン電子(005930.KS: 株価, 企業情報, レポート)のギャラクシーシリーズがiPhone(アイフォーン)やiPad(アイパッド)を「そのまま」模倣したものであるとして同社を提訴した。カリ フォルニア州の裁判所の文書で明らかになった。<

こうして特許紛争が幕を開けたわけだが、サムスンはこの動きに「断固対応」するという強気の姿勢を見せた。

>アップルが基本ソフト(OS)とユーザー環境で強みを見せるならば、通信標準領域ではサムスンの特許のほうが多く、「むしろアップル側がサムスンの特許を侵害したケースが多いと判断される」と述べた。<

とまあ、これほどのことを述べたサムスンがアップルを逆提訴していく。

サムスンの逆提訴

>[ソウル 22日 ロイター] 韓国のサムスン電子(005930.KS: 株価, 企業情報, レポート)は、アップル(AAPL.O: 株価, 企業情報, レポート)が最大5件の特許を侵害しているとして、韓国、日本、ドイツで提訴した。発表声明では具体的な侵害内容は明らかにしていない。<

具体的に何が特許侵害したのかはわからないわけだが、サムスンが27日に、アメリカでも同じような訴えを起こしたわけだ。

未発表モデルの開示要求

>現在進行中のAppleによるSamsungへの訴訟において、スマートフォン「Galaxy S II」「Infuse 4G」「Infuse 4G(LTEモデル)」の3機種およびタブレット端末「Galaxy Tab 8.9」「Galaxy Tab 10.1」の2機種からなる、未発売のモデルを含めた計5機種をSamsungがAppleに開示するという裁判所命令が出たことを受けて、 Samsungが反撃に出る方針であるそうです。

これは今回の法廷闘争にAppleが発売済みの「Galaxy S」や「Galaxy Tab」といったモデルだけでなく、未発売のモデルを含んだことを受けたもので、Appleが水面下でさらなる訴訟の準備をしている可能性に備えて、Samsungの弁護士はAppleに対して「iPad 3」や「iPhone 5」といった未発売モデルの開示を要求する取り組みに望む意向であるとされています。

(Samsungがさらに反撃へ、Appleに「iPad 3」や「iPhone 5」の開示を求める方針 – GIGAZINE)

この要求は裁判所が棄却したことは時系列に書いてある通りだ。このように特許紛争は続いている。

第3回だけでは終わらなかったのだが、次回はこの続きから始めたいと思う。また、第4回の時点で何か動きがあったときは時系列が増える可能性もある。その時はまた知らせたいと思う。

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第2回「韓国貯蓄銀行、PFという名の不良債権と外資に支配される韓国の銀行」

第1回のメルマガで、韓国の貯蓄銀行の取り付け騒ぎの経緯と、明らかになった金融界のモラルハザードを紹介した。そして、その貯蓄銀行さえ、外資に吸収されてしまうという韓国の現実に少し触れた。今回はPFの説明をしてから、韓国の外資比率を紹介する。

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第2回 2011年7月10日

記事チャート

PFとは何か→貯蓄銀行のPF融資比率→韓国銀行の外資比率→韓国の貯蓄銀行も外資に売却へ→貯蓄銀行の売却先

PF(不動産プロジェクト ファイナンシング)とは何か?

韓国の貯蓄銀行で起きた、一連の取り付け騒ぎの原因は営業停止処分にあったことはすでに説明した通り。そして、その営業停止処分の一つの要因となっているのが、このPF(不動産プロジェクト ファイナンシング)からの負債による、自己資本比率の低下である。韓国の新聞では普通にPF融資として、扱われているわけだが、どんな用語かを説明すると次のようになる。

プロジェクト ファイナンシング

不動産事業、ビル建設などのここのプロジェクトについて融資すること。当該プロジェクトが将来にわたって生み出す収益を基準に融資額を算出する。担保は当該事業に関連する資産に限定され、プロジェクトを行う親会社の保証等は原則としていない。

(プロジェクトファイナンス(ProjectFinance) – 不動産用語 )

これをさらに平たく言えば、不動産の博打である。融資なんていう言葉で騙されているが、貯蓄銀行のPF融資比率は相当なレベルとなっている。

貯蓄銀行のPF融資比率

>19日に預金保険公社が、国会政務委員会所属の裵英植(ペ・ヨンシク)議員(ハンナラ党)に提出した貯蓄銀行8行の財務健全性評価資料によれば、釜山(プサン)貯蓄銀行のPF融資比率は昨年6月末基準で67.1%に達すると集計された。昨年6月末基準で、釜山(プサン)第2貯蓄銀行のPF融資比率は全体融資の64.7%、三和(サムファ)貯蓄銀行は55.5%、中央釜山 (プサン)貯蓄銀行44.1%、全州(チョンジュ)貯蓄銀行は33.8%などだった<

(【韓国経済】営業停止した貯蓄銀行8行、不動産PF融資比率は最高で67%に達していた)

このようにPF融資比率は酷いところでは67%に達している。この融資は、金の卵を産むガチョウとしてもてはやされてきた。儲かるとわかれば、挙ってそれを行うのが韓国の典型的な事業展開である。例を上げよう。

白菜の価格が高騰しキムチが作れない事態となってしまったとき、韓国の農家はスイカ畑を減らして、白菜畑を増やした。その結果、白菜の価格が大暴落、そしてスイカの価格が高騰するという本末転倒な事態が起きている。他に例をあげれば、KIKOなどの(ノックイン・ノックアウト)通貨オプションもそうだ。

以上のようになっている。次に、貯蓄銀行のPF融資残高をみて頂きたい。

PF融資残高

>貯蓄銀行別PF融資残高(事業場数)は、釜山(プサン)貯蓄銀行が2兆3568億ウォン=約1790億円(80ヶ所)で最も多く、釜山(プサン)第2貯蓄銀行が2兆2497億ウォン=約1709億円(62ヶ所)、大田(テジョン)貯蓄銀行は4198億ウォン=約319億円(50ヶ所)、三和(サムファ)貯蓄銀行2335億ウォン=約177億円(44ヶ所)、全州(チョンジュ)貯蓄銀行1668億ウォン=約127億円(34ヶ所)、中央釜山(プサン)貯蓄銀行1558億ウォン=約118億円(49ヶ所)、道民(ドミン)貯蓄銀行240億ウォン=約18億円(15ヶ所)だった。<

(リンクは上の記事と同じ)

このように貯蓄銀行のPF融資残高は非常に高い。これの全てが不良債権となるわけではないが、相当な金額が不良債権になることが予想されている。

PFの比重はスペインの貯蓄銀行と同様

ギリシャ、ポルトガル、スペイン、イタリアなどのEU各国に起きている経済危機は、このメルマガの範囲ではないのだが、その背景にあるのはサブプライムローンによる、不動産バブルの崩壊だった。そして、韓国でも似たような現象が起きている。このFPの比重はスペインの貯蓄銀行の貸し出し比重(273.6%)と大きい差がないという分析である。

以上。さっと説明してきたが、次に韓国銀行の外資比率を見て欲しい。

韓国、主要銀行の外資比率

2006年、SCB、信金中央金庫が出したデータによると、2006年現在、韓国主要銀行の外資比率は次の通りである。

大手7行の株主保有構造(外資比率:1997年末→2005年末,主要株主)

国民銀行  外資比率:41.2%→85.68% 主要株主:Bank of New York(15.21%)
ウリィ銀行 外資比率: 8.6%→11.10% 主要株主:ウリィフィナンシャルグループ(韓国預金保険公社)(77.97%)
ハナ銀行  外資比率:21.3%→72.27% 主要株主:ゴールドマンサックス(9.34%)
新韓銀行  外資比率:23.4%→57.05% 主要株主:新韓フィナンシャルグループ(100%)
韓国外韓銀行 外資比率: 2.7%→74.16% 主要株主:ローンスター(50.53%)
韓美銀行  外資比率:29.4%→99.90% 主要株主:シティグループ(99.91%)
第一銀行  外資比率: 0.1%→100.0% 主要株主:スタンダード・チャータード(100%)

(http://www.scbri.jp/PDFgeppou/2006/2006-10.pdf)

PDFなので開くときは注意して欲しい。このような酷い実態となっているわけだが、これに今回の一連の取り付け騒ぎで、貯蓄銀行も外資に乗っ取られることになった。

貯蓄銀行を外資に売却

>(ソウル=聯合ニュース)ホン・ジョンギュ記者=国内貯蓄銀行が海外ヘッジファンドに引き受けられる初めての事例が出てくる展望だ。 13日業界によれば香港所在ヘッジファンドのトライブリッジ インベストメント(Tribridge Investment)は最近ソウルにあるテヨン英貯蓄銀行を取得するための契約を結んで実態調査を進行中だ。 売却諮問士はJPモルガンが引き受けたし、今月中に売却関連実態調査が終えられる予定だ。 売却が完了すればトライブリッジ インベストメントは大株主として翌月400億~500億ウォン水準の増資を推進すると発表された。 業界関係者は”テヨン貯蓄銀行が財務健全性を高めるために自発的に買収合併を推進したと理解する”として”海外ヘッジファンドに貯蓄銀行が引き受けられる初めての事例になるだろう”と話した。<

(韓国経済、貯蓄銀行、海外ヘッジファンドに引き受けられる)

さて、このように外資へと貯蓄銀行が渡ったわけだが、他の貯蓄銀行がどうなったかを最後に紹介しておく。6月28日の朝鮮日報から。

貯蓄銀行の売却先

>預金保険公社は27日、営業停止処分を受けた中央釜山貯蓄銀行、釜山第2貯蓄銀行、道民貯蓄銀行の3行の売却に向けた優先交渉対象者として大信証券を選んだと発表した。予備交渉対象者には、キウム証券を選んだ。今回の入札にはKB金融、新韓金融、ハナ金融持株、大信証券、キウム証券の5社が応札していた。

今回の売却は、資産・負債承継(P&A)方式で行われる。韓国政府が不良債権分の一部穴埋めを行うため、買収側の負担が少ないのが特徴だ。営業停止となった貯蓄銀行3行の不良債権を政府と買収者が分担することになるが、最も多額の不良債権を引き受けると表明した企業が優先交渉対象者に選ばれた。(中略)

預金保険公社は、売却先が決まらなかった釜山、全州、大田、宝海の各貯蓄銀行について、預金者の被害が続くことを防ぐため、今月中に新たな売却方式を決める予定だ。

(大信証券、中央釜山など貯蓄銀行3行を買収へ(朝鮮日報) – livedoor ニュース )

以上。さて、第3回目のメルマガでは「熾烈なる特許訴訟! サムスンVSアップル」の予定となっている。すでにご存じの人も多いと思うが、非常にタイムリーなネタとなるので、整理しておくと良いだろう。

次回のメルマガの購読もよろしくお願いする。

第1回「韓国貯蓄銀行の取り付け騒ぎと金融界のモラルハザード」

最近、色々なところにばらけている記事のリソースをこのサイトにまとめようと考えている。その試みとして有料メルマガも第1回から宣伝もかねて投降していくことにする。メルマガを始めたのは13年前だが、これを読んでいけば、色々な発見があるとおもわれる。

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第1回 2011年7月3日

第1回「韓国貯蓄銀行の取り付け騒ぎと金融界のモラルハザード」

韓国経済が悪化しているニュースは今年に入って爆発的に増えている。

そうした傾向は、すでに2011年1月頃からあったわけだが、2月に入って、韓国経済に大きな影響を与えた事件「韓国貯蓄銀行の取り付け騒ぎ」は今後の韓国経済にも多大な悪影響を残すことになった。これがメルマガの第1回目のテーマ。基本的に、韓国新聞の引用箇所は文字数には含めていない。では、早速やっていこう。なるべく引用記事にはリンク(管理人のブログか、ニュースソース)を張っていくつもりだ。今回、一定の記事の流れはこのようになっている。

記事チャート

貯蓄銀行の営業停止処分と取り付け騒ぎ→処分前に引き出された預金→金融界のモラルハザード→貯蓄銀行の真のBIS比率→貯蓄銀行が強制売却

貯蓄銀行の営業停止処分

まずは取り付け騒ぎとは何か。言うなれば、信用を失った銀行から預金を引きだす預金者が殺到して、一種のパニック状態になることだ。預金者の預けたお金を銀行は、企業などに融資している。銀行が企業などに融資するので、預けたお金の何倍もの取引を生む。これを信用創造、または預金創造という。つまり、企業にお金を貸しているので,大体予想された金額の引き落とししか、銀行はお金を用意していない。

取り付け騒ぎが起きれば,当然、予定のお金より多くの引き出しがなされるので、銀行は預金者からの全ての引き出しに応じることはできなくなる。こうなってしまえば,銀行は一時的な営業停止に陥ることになる。さらにその銀行の信用を失えば,預金者はお金を預けなくなるので,銀行そのものが倒産する。これが取り付け騒ぎの怖いところである。

潰れるはずもなかった銀行がある一種のパニックから倒産に追い込まれるのだ。そして、そこの銀行が潰れたら,今度はあっちの銀行も危ないんじゃないかという心理が働き、別の預金者がその銀行に殺到。金融全体が危険な状態へと陥る。こうした一種の危険な状態をシステミックリスクという。

発端

>金融委員会が釜山貯蓄銀行と大田貯蓄銀行に営業停止処分を下した17日、両行には困惑した預金者が詰め掛けた。また、系列行の釜山第2貯蓄銀行、全州貯蓄銀行にも預金を引き出そうとする客が押し寄せた。(省略)

金融委員会が先月、営業停止を命じた三和貯蓄銀行を除く貯蓄銀行104行のうち、新たに営業停止処分が下された釜山、大田両貯蓄銀行を含め、釜山第2、中央釜山、全州など釜山貯蓄銀行の系列5行と国際決済銀行(BIS)基準の自己資本比率は正常水準(5%)に満たない。金融監督院は宝海、道民、ウリ、セヌリ、イエスの各貯蓄銀行を「ブラックリスト」として公表した。<(韓国経済、貯蓄銀行2行に営業停止命令、業界に明暗 )

これが発端のニュースになる。

つまり、金融監督院の公開したブラックリストに載っている貯蓄銀行、さらに、影響停止処分命令を受けた貯蓄銀行で取り付け騒ぎが起きた。この後、取り付け騒ぎは全部で8つの韓国の貯蓄銀行にまで広がる。

取り付け騒ぎ前に引き出された預金

しかし、取り付け騒ぎは、ただの発端にしか過ぎない。ここから、韓国の貯蓄銀行が隠していた驚愕な不正と金融界の腐敗が次々と明らかになり、それについての調査が進められていく。一つ目は銀行職員による預金の引き出しである。

>営業停止措置が下される直前の2月15、16の両日、午後4時以降にそれぞれ190億ウォン(約14億3600万円)、185億ウォン(約13億9800万円)の預金が引き出されており、釜山貯蓄銀の行員や関係者約200人が、処分を事前に察知し、預金を引き出したとみられるという。<

(韓国経済、営業停止直前に行員200人が引き出し=釜山貯蓄銀 )

処分(営業停止)を事前に察知して、預金を引き出した200人。明らかに、金融監督院の誰かが、営業停止措置が下ることを職員に漏らすことがなければ、200人以上の銀行職員、または関係者が預金を引き出すはずがない。

金融界のモラルハザード

>過去5年間で、銀行や貯蓄銀行など金融会社の役職員が、横領と背任、わいろ授受などで犯した金融事故は1702件、金額は1兆8684億ウォンと集計された。

本紙が27日単独入手した金融監督院の’金融事故現況’によれば、金融会社役職員が犯した金融事故は、2006年404件1699億ウォンだったが、昨年は304件9609億ウォンに急増した。金融事故件数は減ったが、1件当り事故金額は同じ期間に4億ウォンから31億ウォンへほぼ8倍に増えた。<

(韓国経済、金融業役職員、事件になったお金9600億…4年間で6倍増)

このような金融事故の多発が、今回の営業停止処分にまで発展していく。賄賂や、裏帳簿、不正をわざと見逃すなど、監督側との癒着もあり、貯蓄銀行の経営管理は相当杜撰なものといえる。これが金融界のモラルハザードとして、韓国メディアは大きく取り上げた。

韓国貯蓄銀行の真のBIS比率

昨年12月の国際決済銀行(BIS)基準での自己資本比率は、ボヘ貯蓄銀行が-91.35%、釜山 (-50.29%)、釜山2(-43.35%)、中央釜山(-28.48%)、大田(-25.29%)、全州(-11.56%),道民(-5.32%)であった。

もちろん、これほどのBIS比率は粉飾決算で隠されていたために問題はなっていなかった。すでに銀行と監督役の汚職は相当なレベルであったことが容易に推測される。

貯蓄銀行の強制売却

>イ・スンウ預保社長は去る4日に”7行の貯蓄銀行の大多数が、純資産価値が不足している事が判明したため、売却対象になるだろう”として”該当の貯蓄銀行に対して、今月中に売却の実態調査を経て、売却などを推進するだろう”と明らかにしたことがある。

売却は翌月に入札公告をして財産実態調査などを経て、6月中に公開競争入札を通じて優先交渉対象者を選定する日程で進行される。 引き受け対象は十分な資本能力と経営能力を整えた候補者と預保は説明した。<

(韓国経済、貯蓄銀の構造調整、強制売却で一段落)

このように真のBIS比率が明らかになった以上、貯蓄銀行は自主再生を断念。強制売却の道を突き進む。だが、強制売却を喜んで待ち受けていたのが外資である。こうして、主要銀行の他、韓国の貯蓄銀行もほぼ外資の手に委ねられていく。

以上が,今回のメルマガの内容であるが、実はPF(不動産・プロジェクトファイナンシング)、また、主要銀行が外資に委ねられていることも説明できてないので、次回はその辺りにテーマを絞っていく。

次回の第2回目は「韓国貯蓄銀行、PFという名の不良債権と外資に支配される韓国の銀行」のテーマでお送りする。

ご購読に感謝する。これからもこうした面白い、役に立つ記事をまとめていくので、よろしくお願いする。