物流スト 9日、韓国で15日間続いた物流ストは貨物連帯の組合員の総投票の結果、6割がストライキを中止に票を入れたことで、物流ストライキが終わりを迎えることになった。そして、多くの読者さん、視聴者さんはがっかりしているかもしれないが、実はストライキよりもっと面白いことになっている。
なぜなら、前回の動画で触れた通り、貨物連帯の内部分裂が決定的となったからだ。この総投票の結果がそれを物語っている。組織は物流を人質にエスカレートして、韓国政府の強攻策に大敗北をして実は崩壊寸前にまで至っている。つまり、貨物連帯ストライキなんて、もう、二度とやれないレベルに陥ってるのだ。
9日でストライキを決定を中止したのは引き際を知っていたとおもわれるが、問題は韓国政府が激怒しているてことだ。つまり、以前のように3年延長制の法案で手を打つという話すら破綻しそうな勢いだ。韓国のことわざに「泣く子はもう1つ餅をもらえる」というのがあるが、貨物連帯はごねすぎて、餅どころか、巨大な岩を投げつけられたと。でも、あまりにも自業自得で誰も同情もしない。国民からも完全に見放されていると。
では、今回の記事を整理しながら要点をまとめていこう。2つの記事が中心となる。
■記事の要点
1.韓国で先月24日から全国規模のストライキを続けてきたトラック運転手らが9日、ストの終了を決定し、各地で撤収作業を始めた。スト開始16日目で各地域本部が解散し、運転手は業務に復帰する。
2.2万6144人の組合員のうち13.7%が投票に参加し、うち61.8%がスト終了に賛成、37.6%が反対した。
3.投票率が低調だったのは、長期のストで疲弊した一部の組合員が離脱し、ストへの意欲が低下していたためとみられる。労組執行部としては、投票を実施することで組合員に責任を転嫁する思惑もあったようだ。
4.野党の「共に民主党」は同日、政府が追加した業務開始命令の後、当初政府与党が提案した「品目拡大のない安全運賃制3年延長案」を受け入れる意向を示し、仲裁を試みたが、大統領室は「何事もなかったかのようにストライキ前の状況に戻るわけにはいかない」として、「条件のない復帰」を求めた。
5.大統領室高官は同日、本紙の取材に対し、「貨物連帯の運送拒否でこれまで発生した4兆ウォン(約4100億円)の被害などは、いかに責任を負うのか」とし、「何事もなかったように戻り、(安全運賃制の)3年延長を手にするというのは言語道断」だと批判した。
6.大統領室の主要関係者「対話は業務に復帰してから」だとし、「復帰にはいかなる前提条件も認められない。復帰すれば、いくらでも対話テーブルを開けることができる」と語った。与党「国民の力」も「貨物連帯が何の条件も掲げず、早急に業務に復帰するまでは、いかなる議論も妥協もできない」と述べ、強硬基調を確認した。
7.イ委員長は「負けたとは思っていない。あまりにも政府の対応が強硬すぎて仕方なかった」と語った。
以上の7つだ。順番に見ていこう。
まず、1は経緯の確認だ。9日でストは終了して、運転手は業務に復帰する。そして、2と3が復帰した総投票の結果だ。まず、2万6144人のうち13.7%して投票に参加していない。しかも、そのうちの61.8%がスト終了に賛成して、37.6%が反対したと。この時点で、内部分裂が起きてるのがわかるだろう。前回の動画で指摘した通りだ。
告発者が出た時点で、これ以上はストを続けるのが難しくなったので、上層部は総投票で責任逃れをする。いつもの韓国人らしいやり方だ。3もスト意欲の低下とある。国民から総反対されるようなことが長く続くわけないよな。世間の目というものがあるからな。ここで国民がどう見ているかを引用しよう。
世論調査会社の韓国ギャラップが6~8日に全国の成人1000人を対象に実施した調査によると、今回のストに関し「主張が認められるまで続けるべきだ」との意見が21%にとどまったのに対し、「まず業務に復帰してから交渉すべきだ」が71%に上った。
取りあえずストライキを終わらせろと。そして、ストは9日で終了した。しかし、それだけでは終わらない。むしろ、ここからが面白い。
貨物連帯は、以前に提案された安全運賃制の3年延長の条件でいいから、ここで手打ちにしようと提案したわけだが、既に4兆ウォンという天文学的な損失を出したことで、ユン氏は超激怒。
韓国政府は何言ってるんだ?君らのやったことをスルーして、3年延長をそのまま認めるとでも?ふざけるな!もちろん、再検討だ。何?鉄鋼分野に安全運賃制を拡大する議論に参加させろ?何言ってるんだ。そんな議論はするつもりはないわ。それよりも4兆ウォン(約4000億円)の損害賠償を請求してもいいよな?
このように韓国政府は譲歩するどころか、さらに追い詰めて行く。しかし、4で黒幕の野党が仲裁案を出すという。さすが野党。黒幕はやはり、貨物連帯の味方だよな。でも、それも韓国政府は拒否。大統領室は「何事もなかったかのようにストライキ前の状況に戻るわけにはいかない」と。うん。当たり前ですね。
5が特に面白いよな。もう一度、読んでおこうか。
大統領室高官は同日、本紙(ハンギョレ新聞)の取材に対し、「貨物連帯の運送拒否でこれまで発生した4兆ウォン(約4100億円)の被害などは、いかに責任を負うのか」とし、「何事もなかったように戻り、(安全運賃制の)3年延長を手にするというのは言語道断」だと批判した。
めっちゃ当たり前だが、当然、不必要なイベントを起こして、4兆ウォンの損失を与えたのだから、貨物連帯はそれをスルーして以前の提案が通るわけないだろうと。さあ、貨物連帯は自分らが陸の物流を握っていることをいいことに要求をエスカレートさせて強気に出たが、政府の強攻策で大敗北。
組合員を告発を恐れて内部分裂。見せしめに1人告発しただけでここまで変わるものなのか。業務開始命令はトラック運転手にとっては告発で資格停止などされたら生活基盤そのものを失うことになるからな。効果抜群だったと。
そして、最後は7だ。イ委員長は「負けたとは思っていない。あまりにも政府の対応が強硬すぎて仕方なかった」と語った。ええ?どう見ても完全敗北ですよ?もちろん、責任とって4兆ウォンの損失を払うんですよね?まさか、お咎めもなくこのまま済むとでも?
この辺りの続報が出てきたら、また紹介したいとおもう。しかし、これで政府の怒りを買ったことで、物流ストをやるのは今後、難しいだろうな。業務開始命令に恐怖するトラック運転手の顔が思い浮かぶものな。痛い代償だった。
ストライキする権利は重要だが、物流を人質にとって要求するなどは言語道断と。ただ、韓国の裁判所がどう判断するかはまだ出てきていない。貨物連帯は政府の業務開始命令を撤回するように裁判所へ訴えた。韓国の裁判所がストライキをする権利、結社の自由といったものをどう扱うかもまた、今後の重要なテーマとなる。
15日間の物流ストライキは中々、楽しませてもらった。今後、韓国政府が強攻策をとったことで、労働貴族がどう動くかは楽しみだな。組織というのは一枚岩ではない。今回のことで貨物連帯から抜け出す組合員も増えそうだな。これほど自業自得の大敗北というのも、めったにお目にかかれないイベントだった。
韓国で先月24日から全国規模のストライキを続けてきたトラック運転手らが9日、ストの終了を決定し、各地で撤収作業を始めた。スト開始16日目で各地域本部が解散し、運転手は業務に復帰する。
労働組合の全国組織、全国民主労働組合総連盟(民主労総)の公共運輸労組貨物連帯本部は9日、組合員全員を対象に投票を実施した。2万6144人の組合員のうち13.7%が投票に参加し、うち61.8%がスト終了に賛成、37.6%が反対した。
投票率が低調だったのは、長期のストで疲弊した一部の組合員が離脱し、ストへの意欲が低下していたためとみられる。労組執行部としては、投票を実施することで組合員に責任を転嫁する思惑もあったようだ。
原油高や利上げなど国内外の経済状況が厳しさを増す中、物流まひを引き起こし経済に大きな打撃を与えるストは国民から広く共感を得ることができなかった。世論調査会社の韓国ギャラップが6~8日に全国の成人1000人を対象に実施した調査によると、今回のストに関し「主張が認められるまで続けるべきだ」との意見が21%にとどまったのに対し、「まず業務に復帰してから交渉すべきだ」が71%に上った。
貨物連帯の関係者は業務復帰が決まったとしながらも、「『安全運賃制』の期限延長案が国会の関連法案審査小委員会を通過したが、この先の過程が手ごわそうだ」と話した。
「安全運賃制」は運転手に最低限の運送料を保障する制度で、2020年にセメントとコンテナ貨物に時限的に導入された。22年末で期限を迎えるのを前に、貨物連帯は制度の適用範囲の拡大と制度の恒久化を求めてストに突入した。
このストでセメントや鉄鋼、石油化学産業などで被害が膨らんだ。政府によると、鋼材と石油化学製品の出荷量低下に伴う被害額は8日時点でそれぞれ1兆3000億ウォン(約1360億円)に上っている。
韓国政府が8日、民主労総全国公共運輸社会サービス労働組合・貨物連帯本部(貨物連帯)所属の鉄鋼・石油化学分野の貨物運送労働者にも業務開始命令を下した。野党が同日受け入れる方針を示した政府案(品目拡大のない安全運賃制3年延長)も撤回した。政府が「対話の扉」を閉めて「全面降伏」を求める中、貨物連帯はストライキの撤回の可否をめぐり夜遅くまで会議した末、9日午前、これを組合員総投票に付すことにした。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は同日、鉄鋼・石油化学分野の業務開始命令を裁可した。 これに先立ち、ハン・ドクス首相は政府ソウル庁舎で臨時国務会議を開き、追加の業務開始命令の案件を審議・議決した。対象者は鉄鋼約6000人、石油化学約4500人など約1万人の規模だ。ハン首相は会議で「鉄鋼・石油化学製品の出荷に支障をきたせば、それは直ちに自動車や造船、半導体など主要産業にも拡大し、韓国経済全般の危機に広がる恐れがある」とし、「貨物連帯の自発的復帰を待ち続けるには私たちの前に置かれた状況が非常に緊迫で厳しい」と述べた。
野党の「共に民主党」は同日、政府が追加した業務開始命令の後、当初政府与党が提案した「品目拡大のない安全運賃制3年延長案」を受け入れる意向を示し、仲裁を試みたが、大統領室は「何事もなかったかのようにストライキ前の状況に戻るわけにはいかない」として、「条件のない復帰」を求めた。
政府与党は先月22日、緊急協議会で「安全運賃制3年延長案」に同意したが、貨物連帯がすでにストライキに突入した以上、「条件のない復帰」が行われない限り、政労交渉はできないという立場を示している。大統領室高官は同日、本紙の取材に対し、「貨物連帯の運送拒否でこれまで発生した4兆ウォン(約4100億円)の被害などは、いかに責任を負うのか」とし、「何事もなかったように戻り、(安全運賃制の)3年延長を手にするというのは言語道断」だと批判した。
大統領室の主要関係者も同日、ソウル龍山(ヨンサン)大統領室で記者団に対し、「対話は業務に復帰してから」だとし、「復帰にはいかなる前提条件も認められない。復帰すれば、いくらでも対話テーブルを開けることができる」と語った。与党「国民の力」も「貨物連帯が何の条件も掲げず、早急に業務に復帰するまでは、いかなる議論も妥協もできない」(ヤン・クムヒ首席報道担当)と述べ、強硬基調を確認した。
貨物連帯は同日午後6時頃から民主労総大田(テジョン)地域本部で緊急中央執行委員会会議を開き、9日午前、ストライキの持続と撤回の可否を全体組合員に問う総投票を実施すると発表した。貨物連帯のイ・ボンジュ委員長は会議後のブリーフィングで「組合員の被害を最小化し、強硬弾圧を貫く政府の態度変化を促すため、難しい決定を下した」と述べた。投票の結果は昼食頃に発表する計画だ。イ委員長は「負けたとは思っていない。あまりにも政府の対応が強硬すぎて仕方なかった」と語った。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a5972b9ce471b6c1cbe70594e6a7aed928e469ee