韓国半導体危機 昨日、アメリカのFOMCで今年最後の利上げが0.5%に決定し、アメリカのFF金利は4.25%になった。確かに4回連続0.75%利上げから、12月は0.5%と利上げ速度は緩和されたのだが、パウエル議長は来年もインフレ抑制のために利上げすることを示唆。つまり、アメリカの金利は5%台を超えてくることもあり得る状況となった。
現在の米韓金利差は韓国3.25%、アメリカが4.5%になったことで1.25%まで拡大したことになる。さらに、来年も韓国は再び政策金利を引きあげざるを得ない可能性が浮上。その辺りはこれからの経済ニュースで動向を追うことになる。
韓国の政策金利の限界を3.5%と程度と見ているが、実際、どうするかはかなり不透明な状態だ。なぜなら金利を上げることで景気は後退し、貸出金利が上昇。不動産価格がますます下落する。借金の利息も上がるので庶民の生活は困窮するので消費が萎縮する。消費が低迷すれば企業の売上が減少と悪循環の連鎖である。しかも、原油価格は80ドル台とあまり変わってない。エネルギー価格は以前として高いままだ。来年の韓国経済が生存するかどうかは極めて厳しい状態といえる。
来年、韓国経済危機は21世紀の最大の危機を迎えるわけだが、新たに「悪い知らせ」が飛び込んできた。それはかつての半導体王国だった日本が台湾や米国と組んで急速に動き出したのである。日本の大企業8社が集まり、半導体会社「ラピダス」を設立したり、台湾のTSMCと組んで熊本県に半導体工場を建設。
日本政府も半導体不足をコロナ禍で経験したこともあり、その支援に積極的に乗り出した。もう、半導体は国家の鉄を並ぶ、絶対に安定した供給を維持しなければならないものとなっている。さらにアメリカは米国に半導体製造工場を回帰させる動きもある。
つまり、韓国は2023年の韓国経済危機を九死に一生を得て乗り越えても、韓国の輸出を2割超を占める究極の稼ぎ頭である半導体が各国の思惑によって窮地に追いやられていくてことだ。日本・台湾・米国が協力して半導体の新たなサプライチェーンを構築する。韓国は中国に半導体を輸出したいので、そのサプライチェーンに加わることが難しい。さらにいえば、中国だって半導体技術を向上させており、米中、どちらかもいらない子にされる運命が迫ってる。
そして、これからはその動きにも注目していく必要があるてことだ。なぜなら、韓国の半導体シェアがそれらが完成していけば行くほど落ちていくのは目に見えているからだ。つまり、これらが完成するのは次世代半導体技術の量産技術の確立、工場建設や協議などで3年以上はかかるが、その3年の間で韓国は半導体以外に売れる新分野を見つけなければ輸出世界6位どころか、10位以下に落ちてしまうてことだ。
といったところで、今回は半導体の最新事情について見ていく。2つの記事を整理していく。1つ目はラピダスとIBMが「先端2ナノ半導体」共同開発で戦略提携。もう一つがソニーが熊本県に新半導体工場を建設するというもの。
■記事の要点
1.Rapidus(ラピダス)と米IBMは、線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)の先端半導体の共同開発と量産に向けた戦略的パートナーシップを締結。日本国内での量産拠点構築に向け動き出した。
2.ラピダスは米国にあるIBMの研究拠点に技術者を送り、IBMが持つ2ナノメートル半導体の製造技術を学ぶ。学んだ技術を日本に持ち帰ってパイロットラインを構築し、2020年代後半の量産開始を目指す。
3.ラピダスの小池社長は「基本技術はIBMでできており(IBMの)アルバニーで研究すれば十分キャッチアップできる」とし、先端技術の習得に自信を見せた。今後、日本政府の支援を受けながら量産技術を確立する。
4.半導体ビジネスはケタ違いの投資が必要なため、IBMは半導体の設計は手がけるが、製造はサムスン電子などのファウンドリーに委託している。このスタンスは変わらないが2ナノメートルプロセスの商用化には量産技術を確立せねばならず、半導体製造と材料技術に強い日本勢の代表としてラピダスと組んだ。
5.米国では国家主導で半導体産業を育成する中国に対抗し、半導体の国産化を促進する法律が成立。半導体の生産や開発に7兆円以上を投じる。IBMは半導体や量子コンピューターなどの研究開発や製造に10年で200億ドル(約2兆7000億円)を投資する。
6.中国はバイデン政権が発動した半導体の対中輸出規制を不当とし世界貿易機関(WTO)に提訴した。
7.ソニーグループが、熊本県内に半導体の新工場を建設する検討をしていることが15日分かった。熊本県合志市が計画する新たな工業団地内が建設の候補地で投資額は数千億円に上る見込み。2025年度以降の稼働を想定する。
以上の7つだ。順番に見ていこう。
まず1だが、ラピダスの最初の目標はまだ誰も開発出来ていない線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)の先端半導体の開発と量産である。しかし、それは日本の企業だけでは難しい。だから、ラピダスはIBMと手を組んだ。
IBMは世界大手の半導体や量子コンピューターなどの先端技術を開発を行う超一流企業だ。まずはIMBから日本企業が技術を学びながら2ナノプロセスの半導体を共同開発すると。それが2の内容となる。その学んだ技術を日本に持ち帰ってパイロットラインを構築し、2020年代後半の量産開始を目指すと。
ああ、これを読んで宇宙分野を開拓しようとした話を思い出した。今はJAXA(宇宙開発航空機構)と呼ばれているが、これは3つの団体が統合して出来たものであって、50年前には存在しなかった。ロケットの父を呼ばれるようになった糸川博士の時代。日本はロケットの技術をアメリカに学びにいった。
そして、学んだ技術でロケットを開発していき、今ではアメリカに匹敵するほどのロケット技術を持つようになった。それは小惑星探査機「はやぶさ2」がリュウグウから持ち帰ったコーヒー豆のようなサンプルからでもわかるだろう。日本が最初に世界に先駆けて成し遂げたのだ。宇宙好きが宇宙の話をすると止まらないので、半導体に戻るがまさにラピダスがIBMにやろうとしていることはこれだ。そして、今の日本の半導体技術ならそれが可能であるてこと。
ここで引用しておこう。IMBのCEOが述べたことだ。この言葉からアメリカと日本が本気であることが窺える。
13日に東京都内で開いた共同会見。ダリオ・ギルIBMシニアバイスプレジデントは「半導体の高度な生産能力が米国、欧州、日本にはない。生産能力のバランスを取り、分散された仕組みを作る方がサプライチェーン(供給網)の復元力として優れる」と述べ、中国などの地政学リスクを念頭に先端半導体の生産拠点を分散する必要性を説き、日本について「製造装置や素材も強い。技術力に優れ、世界にとり重要なプロジェクトが成功するための素材が備わっている」と評価した。
確かに日本は半導体王国という地位を韓国に譲り渡した過去はある。だが、半導体の製造装置や素材の分野では世界トップクラスの技術を持っている。後、必要なのは半導体の高度な生産能力というやつだ。そして、中国などの地政学リスクを念頭に先端半導体の生産拠点を分散する必要性を説いた。高度な半導体が大国のパワーバランスさえ脅かすてことだ。
それはウクライナ戦争を見ればわかるだろう。半導体がなければミサイルすら飛ばせない。これからの戦争で半導体確保が重要な要素になることはロシアが証明した。高性能の半導体で動く飛行ドローンなども戦争の仕方を大きく変えた。ウクライナがロシア有利に進めているのはそういった最新兵器が続々とウクライナに運び込まれているためだ。
そして次は3だ。ラピダスは日本政府の支援を受けながら2ナノメートルの量産技術の確立を目指すと。この量産技術が確立したときこそ、韓国の半導体が淘汰される瞬間である。それが2020年代後半に起こる。おそらく3年以上はかかるとおもう。実際、最先端技術なので3年で修得できるかもわからない。ただ、日本の技術者は超優秀だ。日本人の期待に応えてくれると思う。そして、2030年台は2020年とは違った景色が見えるのだ。そんな動向を追っていくのも楽しそうだよな。しかも、韓国経済にも最大級に直結する。さらに米中のパワーバランスにも関わるので時事ニュースとしての価値もある。
もう、半導体ニュースは関連企業や投資家だけが注目するものではない。世界各国のリーダーがその半導体の技術向上に注目することになる。
次の4はどうして量産技術を確立する必要があるかの理由だ。2ナノメートルプロセスの商用化には量産技術を確立しないといけないと。ラピダスも2ナノプロセスの開発と量産が目的なので利害が一致すると。そして、5が米中対立によってもたされた半導体生産への投資である。今までサムスン電子やSKハイニックスなど韓国企業に任せていた生産を7兆円以上かけて半導体の国産化に乗り出すと。
次の6が米国の半導体戦略に中国がWTOに提訴したと。でも、既に戦略的物資となっている半導体を輸出規制するのはワッセナーアレンジメントでも認められることだ。中国は加入してないが、WTOに提訴したところで覆る可能性はほぼない。そもそも知的財産やパクリ、他国の技術をパクり、さらにすぐに輸出規制する中国がWTOに提訴するなど、まずは自分の顔を鏡で見てから言えと。
次に最後の7が半導体の最新の動きだ。
ソニーが新たに熊本県に半導体工場を建設すると。数千億円を投じてスマートフォン向けの画像センサー工場を建設することを検討中。2025年に稼働予定と。世界大手の台湾のTSMCを熊本に招致したことで、熊本県がまさに半導体の新天地のような動きを見せている。これからの熊本が半導体の巨額投資をきっかけに活性化するのは目に見えている。
そして、最後だが半導体の2ナノプロセスの開発と量産は決して容易でないと中国メディアが報じている。最先端技術なので当たり前だが、ラピダスのライバルは、韓国のサムスン電子、台湾のTSMC、アメリカのインテルなどの世界大手が並ぶ。しかも、2025年に量産を目指して資金と人員を大量投資している。でも、ライバルが強いからと諦める理由にはならない。
なぜなら、この半導体技術の確立がサプライチェーンの分散に繋がるためである。これはIMBのCEOが述べたこと。おそらく台湾のTSMCが1番に開発すると思われるが、遅れても開発や量産できる技術を得たことで、新たな世界の扉が開く。
つまり、例え10年かけても日本に今後、必要な技術なのだ。だからこそ、日本の大手8社が集まってラピダスを設立させた。日本の国益にとっても大変な重要な意味を持つ。そのため、なんとしてでも成功させてほしい。
米中ハイテク競争が激しさを増す中、先端半導体の量産を目指すRapidus(ラピダス、東京都千代田区、小池淳義社長)と米IBMは、線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)の先端半導体の共同開発と量産に向けた戦略的パートナーシップを締結。日本国内での量産拠点構築に向け動き出した。経済安全保障でも重要なマイルストーンとなる。
ラピダスは米国にあるIBMの研究拠点に技術者を送り、IBMが持つ2ナノメートル半導体の製造技術を学ぶ。学んだ技術を日本に持ち帰ってパイロットラインを構築し、2020年代後半の量産開始を目指す。
13日に東京都内で開いた共同会見。ダリオ・ギルIBMシニアバイスプレジデントは「半導体の高度な生産能力が米国、欧州、日本にはない。生産能力のバランスを取り、分散された仕組みを作る方がサプライチェーン(供給網)の復元力として優れる」と述べ、中国などの地政学リスクを念頭に先端半導体の生産拠点を分散する必要性を説き、日本について「製造装置や素材も強い。技術力に優れ、世界にとり重要なプロジェクトが成功するための素材が備わっている」と評価した。
ラピダスの小池社長は「基本技術はIBMでできており(IBMの)アルバニーで研究すれば十分キャッチアップできる」とし、先端技術の習得に自信を見せた。今後、日本政府の支援を受けながら量産技術を確立する。
IBMは米ニューヨーク州アルバニーの研究開発拠点で2ナノメートルの先端プロセスを採用した先端半導体を2021年に開発済み。「GAA(ゲート・オール・アラウンド)」と呼ぶ、立体構造のトランジスタで、「ナノシート構造」を採用しているのが特徴。魚のひれに似た電界効果トランジスタ(FinFET)のひれの部分を3本のワイヤに置き換えた構造。これをナノシートに展開して、高速処理を低消費電力で実現する。7ナノメートルチップ比で45%の性能向上または75%の消費電力低減ができるとする。
IBMはコンピューターの計算パワーを提供する手段として半導体や量子コンピュターなどの先端技術を世界に先駆けて開発している。半導体ビジネスはケタ違いの投資が必要なため、IBMは半導体の設計は手がけるが、製造はサムスン電子などのファウンドリーに委託している。このスタンスは変わらないが2ナノメートルプロセスの商用化には量産技術を確立せねばならず、半導体製造と材料技術に強い日本勢の代表としてラピダスと組んだ。
米国では国家主導で半導体産業を育成する中国に対抗し、半導体の国産化を促進する法律が成立。半導体の生産や開発に7兆円以上を投じる。IBMは半導体や量子コンピューターなどの研究開発や製造に10年で200億ドル(約2兆7000億円)を投資する。
中国はバイデン政権が発動した半導体の対中輸出規制を不当とし世界貿易機関(WTO)に提訴した。米中競争の主戦場となった半導体。2ナノメートル先端プロセスの確立は日米の経済安全保障の観点でも重要な意味を持つ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e0285b3dd3e629f5f192d2d5bf240efadb8267a2
ソニーグループは熊本県内に半導体の新工場を建設する検討を始めた。数千億円を投じてスマートフォン向けの画像センサー工場を建設し2025年度以降に稼働させる。世界的に画像センサーの需要が高まっているため、半導体の自国生産を強化する。ソニーは熊本に進出する台湾積体電路製造(TSMC)からセンサーに使う半導体を供給してもらう計画。近隣に工場を新設することで、センサー生産の一貫体制を構築する。(後は有料記事)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC280XF0Y2A121C2000000/