日別アーカイブ: 2022年12月28日

セルコリア 半導体と金利に足を引っ張られた韓国証券市場…外国人投資家4兆ウォン売り越し-外資撤退加速!【動画】

セルコリア 今年、韓国ウォンは米利上げが始まった4月から大きく変動していき、1200,1300、1450まで最終的に下がったわけだが、米利上げと緩和観測と同時に急激にウォンは上がった。今では1300を超えて、1271ウォンまで上げている。だから、ウォンを見れば韓国経済危機は過ぎ去ったのかと思うかもしれない。否。そもそもウォン安は副次的な産物であって重要なのはそれがもたらす経済の動きだからだ。

何度も言うが、一般的に通貨安は輸出に有利であって、1450ウォンまで下がったのだから韓国輸出にとって凄まじい追い風をもたらすものだった。しかし、ウォンが1450まで下がった時期の輸出と輸入はどうだったか。2022年10月を見ればいい。

輸出額は昨年同月より5.7%減った524億8千万ドル。10月の輸入額は591億8千万ドルで、昨年同月より9.9%増加。貿易赤字は67億ドルの赤字を記録した。むしろ、ウォン安なのに輸出はさらに下がっている。では、ウォンレートが1300ウォン台になった11月の輸出と輸入はどうか。

11月の輸出額は519億1000万ドル。前年比14.0%減。輸入は2.7%増の589億3000万ドル。貿易赤字は70億1000万ドルの赤字。ウォンレートが100ウォン上昇したら、輸出はさらに落ち込んだ。なら、輸入はウォン高の恩恵があるといえば大して変わってない。つまり、100ウォン上がろうが、下がろうが、韓国の貿易で有利になった事象が見受けられない。

なら、韓銀はどうしてひたすら為替介入してウォンを防衛しているのか。これがジンボルトによくわからない。結果論に過ぎないが、米国債まで数百億ドルまで売却して、韓国はひたすら通貨防衛をしてきたわけだが、その数百億ドルをそのままもっていれば、貿易赤字そのものを介入資金で埋められたのではないのか。

年間貿易赤字が500億ドル超えるなら、韓国は500億ドル以上を介入資金に使ってるのは明白だ。つまり、韓国銀行が目先のウォンレートばかり気にしてるから、全く先の戦略性がなくて、無駄に外貨準備高と米国債を消費したに過ぎない。しかも、100ウォン上げても輸出は好転しないどころか下がっている。1200ウォン台になって韓国輸出が復活すると思うなら、それはもうプリンのように甘い考えだ。

この時点で、韓国がウォンレートを守るより、売った米国債の資金で経済対策をしたほうが遙かに有益だったことになる。日銀のようにここまで下がったら撃ちますよ程度にしておけばその消費は10分の1まで減らせただろう。韓国が貯めた米国債をどう扱おうが、韓銀の自由だが通貨防衛より重要なのは経済対策して輸出を回復させることであることは言うまでもないだろう。

だから、ジンボルトはユン政権や韓銀総裁は無能だと述べてるのだ。そして。いつも目の前の出来事に対処することしか頭にないから長期的な利益を考えられない。今年の5月に政権交代して誕生した素人政権だからこの程度かもしれないが、ヘッジファンドに500億ドル以上のドルを提供して、相手がウハウハのクリスマス休暇を楽しんでる最中でも、必死に無駄な介入をしてウォンを上げようとしているのはただの間抜けとしか映らないことを理解したほうがいい。

ジンボルトが韓国の通貨政策に点数を付けるなら100点満点で20点程度だ。無駄にドルを使っただけ。エンタメとしての評価なら90点ぐらい付けられるんだが。まあ、ウォンウォッチチャーとしては最高に楽しめたからな。これはみなさんも納得してくれる評価だろう。

話を戻すが、韓国経済が酷い状況なのだからそのうちウォン安になるのは目に見えてるのだ。ああ、前置きが長くなってしまったが、韓国にはウォンともう一つ守らなければいけないものがある。そう。韓国株の代表であるKOSPIだ。しかし、ウォン防衛をしていても、外国人は韓国経済が危機的な状況を知っている。すると売り浴びせているわけだ。

今のコスピは2330程度しかない。今年1月は3000あったのにロシアに次ぐ、世界で2番目に売られたのが韓国株である。これは150円まで落ちた日本の日経平均が9%程度の下落より、遙かに大きい。今回はそのセルコリアの状況を見ていく。では、記事の要点を整理しよう。

■記事の要点

1.26日の韓国取引所によると、外国人投資家は12月に入りこの日までで1兆3221億ウォンを売り越した。年間で見れば外国人投資家は4兆1823億ウォン相当を売り越した。外国人投資家は新型コロナウイルスが本格化した2020年に22兆1808億ウォン、韓国総合株価指数(KOSPI)が過去最高を記録した昨年25兆9984億ウォンを売り越したのに続き今年も売り攻勢を続けた。

2.「セルコリア」は「セル半導体」の同義語だ。KOSPIで占める割合はサムスン電子の18.9%とSKハイニックスの3.1%で20%を超える。半導体銘柄を売買する外国人投資家の動きに市場は泣いて笑った。

3.外国人投資家は9月まで10兆2111億ウォン相当のサムスン電子株を売った。だが10月には1兆5059億ウォン相当、11月には7393億ウォン相当を再び買った。この期間にKOSPIは14.71%上昇した。だが今月に入り再びサムスン電子が4076億ウォン売られ、KOSPIもやはり6.28%下落した。今年1年間に外国人投資家がサムスン電子を売り越した金額は8兆3737兆ウォンに達する。

4.韓国の証券市場が金利引き上げ、為替相場、景気低迷など対外変数に弱いことも外国人投資家の立場では投資をためらわせる要因だ。金利引き上げ期には韓国など新興国に対する投資心理が悪化する状況で、IT関連ハイテク株など成長株を中心に将来の実績に対する疑問が大きくなり大幅な調整を受ける。

5.実際に今年の外国人投資家の売り越し上位銘柄にはサムスン電子(8兆3737億ウォン)、ネイバー(3兆582億ウォン)、カカオ(1兆6940億ウォン)、エコプロBM(8783億ウォン)、カカオバンク(6962億ウォン)などの名前が上がった。

6.グローバルスタンダードと合わない政策も外国人投資家が韓国証券市場を避ける要素だ。

以上の6つだ。順番に見ていこう。

まずは1だが、12月26日までに外国人投資家が1兆3221億ウォンを売り越したと。年間で外国人投資家は4兆1823億ウォン相当を投げ売りと。外国人がシビアに韓国経済の状況を見ているのがよくわかるな。米利上げによる米韓金利差などで外国人から韓国から投資を引きあげている現状が確認された。もちろん、これは過去の話ではない、現在進行形なのだ。

次に2だ。セルコリア=半導体と。韓国の半導体が振るわない頃から、KOSPIは売られていくと。その代表がサムスン電子やSKハイニックスと。しかし、サムスン電子のKOSPIに占める割合が18.9%というのも相変わらずおかしい。サムスン電子が転ければ韓国経済が破綻すると同義レベルだもんな。実際、そうなってるが。半導体輸出が激減したから、韓国経済は極寒なのだ。ああ、証券市場もそうですか。

まあ、これはジンボルトの老婆心であるが、韓国はサムスン電子に集中しすぎなのだ。これは極めて危うい。サムスン電子は韓国経済が破綻してもアメリカやベトナムに本社を移せばいいだけだが、韓国経済はそうはいかない。サムスン電子を失えば韓国経済は大きく沈む。規模は異なるが、ちょうど中国が台湾を失う損失と同レベルで語っても良いぐらいだ。一国が一企業にあまりにもパワーバランスに差を付けられている。だから、韓国ではサムスン電子の言いなりになるしかない。

だから、韓国にはサムスン電子しかないといわれるのだ。実際、韓国で世界的有名なのはサムスン電子ぐらいだが。

次に3であるが、11月に外国人は買いこししている。この動きは掴んでいたが、これも言うなれば半導体需要が来年の下半期に回復するから、今から仕込んでおけば利益を出せると考えたのだろう。でも、その期待は無残に消えたので12月は失望売りである。ここで引用しよう。

世界的な半導体業況鈍化で魅力が消えたためだ。有進投資証券リサーチセンター長のイ・スンウ氏は「景気が良い時に世界的企業が設備投資を多くし、現在在庫が多く残った状況。(これに対応するには)需要が増えるか供給を減らす方法(減産)しか答がないのにサムスン電子が減産しない状況で外国人投資家の半導体業種に対する懸念が大きくなっている状況」と話した。

これ凄く重要な指摘だ。なぜなら、セオリーとは真逆だからだ。サムスン電子が大量の在庫を抱えてるのは何度か過去の動画で取りあげたが、振り返っておくと、7月から9月までのサムスン電子の在庫資産は57兆3198億ウォン。

特に半導体部門の在庫は26兆3652億ウォンで昨年末の16兆4551億ウォンから60%増加している。つまり、サムスン電子は本来なら、在庫を減らすために減産しないといけないのだ。しかし、それをしないで何故か在庫を抱えている。以前にのべた通り、在庫は資産として帳簿上は計上できる。だから、在庫を増やせば増やすほど帳簿上の利益は伸ばせる。

これを狙ってるのか知らないが、外国人投資家すればおかしな話だ。在庫をいくら増やそうが、売れなければバナナのたたき売り状態になるだけで、本来の利益より大きく減少する。サムスン電子が何故、減産しないのか。投資家も訝しんでいると。

あと、もう一つ気になるのはサムスン電子はこの状況でも半導体投資に積極的にでている。2022年9月に日経新聞で興味深い記事があるので引用しよう。

慶氏は2021年12月からデバイス部門のCEOを担当。

慶氏は「今年の4~5月に急激に半導体市況が変わった。下半期も良くない、来年も良くなるモメンタム(勢い)は見えない」と話した。その上で「市況サイクルの変化が速まっており、市況変化に振り回されない着実な投資が正解だ」と継続的な設備投資の重要性を説いた。

米中で半導体工場を運営するサムスンは米中対立で難しい経営判断を迫られている。慶氏は「長期的に中国の半導体工場に新たな設備を導入する際に困難が生じる可能性はある」としながらも「中国という巨大市場を見逃すのは難しい」とした。「米国、韓国、サムスン、そして世界のサプライチェーン(供給網)に利益をもたらす方法を探る」と強調した。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0787D0X00C22A9000000/

実際、何度も述べているが設備投資なくして企業の大きな成長あり得ない。半導体は毎年、巨額な設備投資がかかる業種なので、サムスン電子が強気に投資するのもライバルである台湾の半導体世界大手であるTSMCに差を付けられたくないからだろうと好意的に解釈はできる。しかし、これは一歩間違えれば、風呂敷を畳めない事態に陥る危険な賭けでもある。しかも、中国にも巨大な市場を見逃すのは難しいとまだ売るつもりだ。

このような動きを外国人投資家がどう見たのかがセルコリアの答えだ。サムスン電子は大丈夫なのか?というのが株価に表れているわけだ。そして、サムスン電子に対する信頼の減少がそのまま韓国経済の先行きを不安視する動きに繋がる。それが4だ。専門家の意見を引用していこう。

未来アセットメディアコンテンツ本部長のソ・サンヨン氏は「韓国の証券市場はネイバーやカカオなどのIT業種と二次電池などのハイテク株が多いため外国人投資家の立場では金利引き上げ期に魅力が落ちる」と分析した。

韓国の業種で儲けてるのは半導体やスマホ、ディスプレーなどのICT輸出であることはご存じだろう。だが、そのICT輸出も陰りが見えてきた。唯一、二次電池はまだ頑張ってる方だが、後は難しい。

次に5だが、こういう将来的に成長株が期待出来る株を「グロース株」というのだが、成長が期待できなくなれば逆に大きく売られることになる。その反対にバリュー株というのがあるんだが、これは比較的に安定した株のことである。グロース株とバリュー株、証券ニュースを見ていればお馴染みの用語である。

最後は6だ。そもそも、外国人投資家は韓国証券市場の制約事項を快く思ってない。ムン君がやった空売り禁止なんて最悪なのは言うまでもない。それを世界的な投資家のゴールドマンサックスやJPモルガンなどが指摘していると。最後に引用しておくか。

ゴールドマン・サックスやJPモルガンなど世界的な投資家や金融機関160社を会員に持つアジア証券産業金融市場協会(ASIFMA)は先月、韓国の資本市場に対する白書を通じ「KOSPI市場の外国人投資家持ち分率下落は市場構造問題と関連がある」と指摘した。

その上で白書は▽制限的なウォン取引▽空売り禁止措置長期化▽世界的投資家に制限された情報アクセス性――などを代表的な制約事項に挙げた。

まあ、投資する側としては当たり前だ。自由に開かれた市場だからこそ活発な取引ができる。

外国人投資家の「セルコリア」は進行形だ。今年だけで有価証券市場で4兆ウォンを超える株式を売り払った。半導体に偏っている上に金利引き上げと為替相場などに弱い構造、グローバルスタンダードに逆行する各種政策と規制が、外国人投資家が韓国市場を冷遇する要素に選ばれる。

26日の韓国取引所によると、外国人投資家は12月に入りこの日までで1兆3221億ウォンを売り越した。年間で見れば外国人投資家は4兆1823億ウォン相当を売り越した。外国人投資家は新型コロナウイルスが本格化した2020年に22兆1808億ウォン、韓国総合株価指数(KOSPI)が過去最高を記録した昨年25兆9984億ウォンを売り越したのに続き今年も売り攻勢を続けた。

「セルコリア」は「セル半導体」の同義語だ。KOSPIで占める割合はサムスン電子の18.9%とSKハイニックスの3.1%で20%を超える。半導体銘柄を売買する外国人投資家の動きに市場は泣いて笑った。

外国人投資家は9月まで10兆2111億ウォン相当のサムスン電子株を売った。だが10月には1兆5059億ウォン相当、11月には7393億ウォン相当を再び買った。この期間にKOSPIは14.71%上昇した。だが今月に入り再びサムスン電子が4076億ウォン売られ、KOSPIもやはり6.28%下落した。今年1年間に外国人投資家がサムスン電子を売り越した金額は8兆3737兆ウォンに達する。

世界的な半導体業況鈍化で魅力が消えたためだ。有進投資証券リサーチセンター長のイ・スンウ氏は「景気が良い時に世界的企業が設備投資を多くし、現在在庫が多く残った状況。(これに対応するには)需要が増えるか供給を減らす方法(減産)しか答がないのにサムスン電子が減産しない状況で外国人投資家の半導体業種に対する懸念が大きくなっている状況」と話した。

韓国の証券市場が金利引き上げ、為替相場、景気低迷など対外変数に弱いことも外国人投資家の立場では投資をためらわせる要因だ。金利引き上げ期には韓国など新興国に対する投資心理が悪化する状況で、IT関連ハイテク株など成長株を中心に将来の実績に対する疑問が大きくなり大幅な調整を受ける。

未来アセットメディアコンテンツ本部長のソ・サンヨン氏は「韓国の証券市場はネイバーやカカオなどのIT業種と二次電池などのハイテク株が多いため外国人投資家の立場では金利引き上げ期に魅力が落ちる」と分析した。

実際に今年の外国人投資家の売り越し上位銘柄にはサムスン電子(8兆3737億ウォン)、ネイバー(3兆582億ウォン)、カカオ(1兆6940億ウォン)、エコプロBM(8783億ウォン)、カカオバンク(6962億ウォン)などの名前が上がった。サムスン証券のチョン・ミョンジ情報チーム長は「韓国のように輸出の割合が大きい市場は世界景気の先行指標のような役割をする。世界の景気が良くなる前に先に上がり、景気が悪化すれば他の市場の平均より下回る傾向がある」と分析した。

グローバルスタンダードと合わない政策も外国人投資家が韓国証券市場を避ける要素だ。ゴールドマン・サックスやJPモルガンなど世界的な投資家や金融機関160社を会員に持つアジア証券産業金融市場協会(ASIFMA)は先月、韓国の資本市場に対する白書を通じ「KOSPI市場の外国人投資家持ち分率下落は市場構造問題と関連がある」と指摘した。

その上で白書は▽制限的なウォン取引▽空売り禁止措置長期化▽世界的投資家に制限された情報アクセス性――などを代表的な制約事項に挙げた。