韓国金融危機 韓国の金融不安指数については今年の夏頃に取りあげてまだ注意レベルだったと記憶していたので、まさか今年中に「危機段階」に突入するとは思わなかった。韓国輸出が連続して貿易赤字になっている頃でも、韓国では金融危機の兆候はなかった。だが、ある不必要な事件で状況が一変。ええ?一体何が起きたて?
もちろん、レゴランド不渡りである。あのレゴランド不渡りは日経新聞が取りあげるほど知名度がある金融イベントであった。そして、もう一つが政策金利を上げたことで貸出金利が上昇した。そして、利子を支払えなくなった韓国人が不動産を売却するようになり、不動産価格が急落していく。この2つが金融危機を招き入れることになった。
他にもウォン安なども原因とされているが、家計債務などもあるよな。なんかそこら中で赤信号が点灯していて、それが韓国銀行のリスクを増大させている。だが、不動産バブル崩壊が怖いからと規制緩和したところで、問題の貸出金利が高いままなら焼け石に水だろう。これを解決するには簡単だ。金利を逆に下げればいいのだ。ええ?米韓金利差が拡大する?
大丈夫だ。今の1300程度のウォンは米韓金利債が1.25%で維持できてるのだろう?金利差2%になっても、ウォンは1350ぐらいになるだけだ。ひたすら介入して通貨防衛するという前提はあるが。それも、韓国には4000億ドルの外貨準備高があるので楽勝だろう。
そういったところで記事の要点を整理していこう。
■記事の要点
1.韓銀が発表した下半期の金融安定報告書によると、金融不安指数(FSI)は5月の13.1から10月は23.6に上昇し、危機段階に入った。金融不安指数は20の金融・実体部門の月別指標に基づき、金融システムの短期的な不安状況を数値化したもので、22を超えると危機段階とみなされる。
2.急激なドル高により金融機関の流動性が打撃を受け、市場にも影響が及んだと、韓銀は説明した。同月末にはレゴランド事態で債権市場と短期金融市場で投資心理が凍りつき、流動性が急速に低下した。
3.最近、為替レートと債券市場は多少安定を取り戻しているが、来年の不動産市場がハードランディングした場合、金融不安は一層悪化しかねないとみられている。
4.ただし、韓銀は中長期的な側面では脆弱性が改善されていると指摘した。低金利時期には家計負債の急激な増加と資産価格の急騰で脆弱性が高まったが、今回は住宅価格のバブルがはじけ、外部の衝撃に対する敏感度が下がるという反対効果があったわけだ。
5. 韓国銀行のイ・ジョンリョル副総裁補は「今回の基準金利引き上げで金融不均衡が解消される効果を確実に収めた」とし、「資産価格の急激な(下方)調整は新しい不安要因だが、政府が努力しているため不動産市場が漸進的に安定化すると期待する」と述べた。
以上の5つだ。順番に見ていこう。
まず1だが、金融不安指数が10月に23.6となり危機段階に入ったと。確かにこれは韓国銀行のCDSプレミアムも上昇していたので数値が悪化しているのはなんとなく理解できたが、それでも、韓国銀行は韓国政府よりもまともな経営をしているというのが今までの常識だった。つまり、中央銀行はウォン安でダメでも、地方銀行は大丈夫だという認識だ。だから、金融危機なんてまず考えられる状況ではなかった。だが、レゴランド不渡りから事情が一変と。
これはレゴランド不渡りについて少し振り返った方がいいか。別記事から引用しておく。
9月末に償還期限を迎えた2000億ウォン(約210億円)の企業手形の不渡りを出し、これにより「レゴランド事態」と呼ばれるほど、韓国金融界を揺るがす信用不安の震源地となってしまったからだ。
企業手形は、地元自治体の江原道が債務保証し、「A1」という優良格付けを持つ資産流動化企業手形(ABCP)だった。しかし、自治体が保証した債券まで安全でないという話に投資心理が急速に冷え込み、金融市場はたちまち目詰まりを起したと言われる。
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/koreaworldtimes/world/koreaworldtimes-20221104195742396
このレゴランド不渡りによって韓国に対する投資家の信用度は地に落ちた。地方自治体が債務保証したのにだ。このときはこんな感じだった。
ええ?レゴランドの債券保証?前の知事(民主党所属)が決めたことだし、なんで出したかよくわからないお金だ。なら保証をやめて不渡りでいいか!どーん!
こんなアホな自治体の長や議員がいたおかげで、韓国の金融危機を引き金を勝手に引いた。政府は慌てて火消し。後に債務保証すると確約したのに事態の沈静化に歯止めがかからない。だから、社債やCPといった金利が年末でも高いままなのだ。まさに不必要なイベントである。他にも韓電債のブラックホール化現象も同じ時期だ。もっとも、この記事にもう一つ興味深い指摘がある。これも引用しておこう。
ところで、来年上半期までに償還満期を迎えるプロジェクト融資とABCPは、90兆ウォン(8兆5000億円)規模にのぼると言われ、レゴランド事態と同様に、債券市場の投資心理が凍りついて、借り換えに失敗するなど資金調達が困難になる事態は、むしろこれからが本番とも言われる。
来年の上半期までの償還満期を迎えるプロジェクト融資とABCPが90兆ウォンもあると。いやあ、韓国さん上半期の絶望にまた1つ債券の償還が加わりましたね。これはロールオーバー(借り換え)は難しそうだな。本当、どこにも不安要素だらけという。今、韓銀が必死にCP市場に大量の資金を供給して金利を下げようと躍起だが、それでもまだ5%以上あるからな。そう簡単に下がらない。
しかし、債券市場以外にも不安要素がある。それが3の不動産市場がハードランディングしたときである。ぶっちゃけると中国のようにバブル崩壊したときだ。それによって不動産を買うために借りていた家計債務のが不良化して、銀行への信用不安が加速する。政府は必死に不動産バブルを弾けさせないようにしているが、それも時間の問題てところだ。
連日のように不動産価格が下がったというニュースがある。例えば12億ウォンだった不動産価格が、今は4億ウォン台で取引されているとか。10億ウォンだった不動産が5億ウォンとか。もう、半額は当たり前レベルのバナナのたたき売り状態だ。分譲会社は大幅な値引きやプレゼント作戦に出ている。
面白いのは外車をプレゼントなどの特典もあったそうだ。なんと家を買えば車がもらえるのだ。もちろん、それでも売れない。政府もLTVの緩和などのてこ入れ策をするもあまり効果はない。
なぜなら、不動産を買うには銀行に借金しないといけない。貸出金利は高いので家を買いたくても手が出せない。まあ、このように不動産価格はこの先も、もっと暴落していく。1870兆ウォンの家計債務の7割が不動産のための負債。その不動産に資産価値がなくなれば借金だけ残って破滅する未来しか見えない。もう、家を売っても元手すら取り返せないのだ。
後、家計債務の時にチョンセ負債が1000兆ウォンというのが出てきたのを覚えているだろうか。チョンセというのは最初に不動産価格の7割ぐらいをまとめて支払い、済んでいる時に家賃を免除してもらうシステムだが、家を出るときには返却される。ここまでは説明した通りだ。
問題はだ。韓国の不動産オーナーはチョンセで得た資金で別の不動産の購入資金に充てている場合が多いてことだ。つまり、チョンセで不動産を購入して、その不動産価値が上がってまた売れば資金が増えていく理屈なのだ。だが、今は資産価値が下がっているのでチョンセで得た資産より、価格が下がっている場合がある。そうなればチョンセが借主に返せなくとなる事態が発生するのだ。
だから、もしかしたら1000兆ウォンの大半が、そんな理由で消えているとしたら、韓国政府が必死に不動産の暴落を食い止める理由にはなるんじゃないか。まあ、あくまでも想像であるが。
それで4だが、なんと韓銀は中長期的な側面では脆弱性が改善されていると。不動産価格が下がれば脆弱性が改善ね。まあ、投機商品として価値がなくなれば専門の投資家は引きあげるか。でも、それは別の問題を引き越しそうだよな。例えば、韓国の大好きなGDPで資産価値が激減すれば、それだけ海外からすれば、単なる不動産バブルでGDPを水増ししていただけの国と思われる。実際、韓国はGDPが12位とか述べているが、それは不動産価値を除けばいくつになるのか。興味は尽きないが情報はないな。
では、最後は5だ。政策金利上昇で金融不均衡が解消されたと。本当かね。全然、信じられないが次はもっと信じられない。「資産価格の急激な(下方)調整は新しい不安要因だが、政府が努力しているため不動産市場が漸進的に安定化すると期待する」とか。いやいや、あの無能なユン政権がバブル崩壊を食い止められるとでも?あの中国ですらどうしようなかったのだぞ。
韓国の金融システムの短期的な脆弱性を示す金融不安指数が「危機段階」に入った。今年に入って金利上昇とウォン安が進んだうえ、江原道のレゴランド事態まで重なり、状況が急激に悪化したのだ。それだけ金融システムが外部の衝撃に弱くなったという意味で、来年も金融引き締めと景気減速が続く見通しがある点を考えると、懸念すべき状況だ。韓国銀行は来年の主なリスク要因として不動産市場のハードランディングの可能性を挙げている。
22日、韓銀が発表した下半期の金融安定報告書によると、金融不安指数(FSI)は5月の13.1から10月は23.6に上昇し、危機段階に入った。金融不安指数は20の金融・実体部門の月別指標に基づき、金融システムの短期的な不安状況を数値化したもので、22を超えると危機段階とみなされる。23.6は新型コロナウイルス感染症の初期(24.7)以来の最高値だ。韓国政府と韓銀の市場安定化措置が実施された先月は、23.0と小幅に下落した。
金融不安が急速に深刻化した背景には、1ドルあたり1400ウォン(約144円)を突破したウォン安と江原道のレゴランド事態がある。米国の相次ぐ「ジャイアントステップ」(政策金利0.75ポイント引き上げ)の影響で、9月には1ドル1400ウォン台までウォン安が進んだ。急激なドル高により金融機関の流動性が打撃を受け、市場にも影響が及んだと、韓銀は説明した。同月末にはレゴランド事態で債権市場と短期金融市場で投資心理が凍りつき、流動性が急速に低下した。
最近、為替レートと債券市場は多少安定を取り戻しているが、来年の不動産市場がハードランディングした場合、金融不安は一層悪化しかねないとみられている。韓銀は基本的に金融機関の資本余力は十分ではあるが、不動産価格が過度に早く下がれば、家計負債が不良化し、一部金融機関の健全性が打撃を受けて、危機に広がる可能性もあるとみている。特に、国内金融システムで住宅金融が占める割合が大きいだけに、その余波は小さくないものと推定される。
ただし、韓銀は中長期的な側面では脆弱性が改善されていると指摘した。低金利時期には家計負債の急激な増加と資産価格の急騰で脆弱性が高まったが、今回は住宅価格のバブルがはじけ、外部の衝撃に対する敏感度が下がるという反対効果があったわけだ。実際、資産価格や借金の水準、金融システムの復元力などを中長期的な側面から調べた金融脆弱性指数(FVI)は、昨年第2四半期に58.5でピークに達した後、今年第3四半期には44.9へと下がった。
韓国銀行のイ・ジョンリョル副総裁補は「今回の基準金利引き上げで金融不均衡が解消される効果を確実に収めた」とし、「資産価格の急激な(下方)調整は新しい不安要因だが、政府が努力しているため不動産市場が漸進的に安定化すると期待する」と述べた。