物流スト 今回は韓国の物流ストにまた大きな動きがあったので紹介していく。11月24日に全国民主労働組合総連盟(民主労総)の公共運輸労組貨物連帯本部による貨物連帯ストライキが始まった。貨物連帯は陸の物流のほとんどを牛耳っている団体である。
そして、物流ストによって港に荷物が届かない。現代自動車の工場では臨時のバイトを雇い、人間が完成車を運ぶ、建設現場で生コンが届かなくて作業中断など。各地でストの影響が出始めた。産業界はストの影響で物流混乱している事態を重く受け止めて一斉にストの中断を要請した。
しかし、物流ストの表向きの目的はコロナ禍で特例だった安全運賃制を鉄鋼分野まで拡大することだった。彼らの要求は法律の改正が必要となるもので、実は韓国政府を相手に物流ストを行っていることになる。ただ、これはユン政権打倒という真の目的が隠されており、背景にいるのは野党と北朝鮮シンパである。そして、彼らは経済危機が深刻化するのを狙い、物流ストを仕掛けてきた。
そして、11月29日にユン氏は各地の被害状況を見て業務開始命令を下した。まずは1番被害を受けていたセメント分野から始めていく。ここまで前々回までに取りあげた内容だ。ここからの続報を記事の要点を整理しながら見ていこう。
■記事の要点
1.各地でガソリン不足が発生。建設現場コンクリート工事中止。セメントは未だに厳しい状況。30日までの被害額は約1000兆ウォン。
2.ユン氏は業務改善命令をセメント分野だけではなく、石油精製、鉄鋼業界など追加被害が懸念される業種に関し、業務開始命令を即時発動できるよう準備を指示。
3.今月6日に予定される民主労総のストライキについても「労働者の権益を代弁するものではなく政治ストと判断せざるを得ない」と強調。
4.鉄道スト回避
5.ユン氏の最新支持率
6.連帯のろうそくが点灯
以上の6つだ。順番に見ていこう。
まず、1だが物流ストの被害状況が色々と出てきた。特に今回注目したのはガソリンスタンドがガソリン不足に陥ってること。12月1日の午前11基準でガソリン不足に陥っているスタンドは34ヵ所と集計された。これが12月4日の時点で60ヵ所まで増えた。特に京畿・仁川よりソウルでガソリン不足現象が目立つようだ。
しかも、去る29日基準全国ガソリンスタンド在庫はガソリン8日分、軽油10日分程度、首都圏は状況がさらに深刻で、わずか2~3日分という。つまり、このままストが続けば首都圏は大混乱に陥る。
それで、業務開始命令がセメント分野の組合員に通達されたわけだが、その開始命令に従うことにした組合員は全体の3割程度である。744人に通達して174人が業務開始命令に従った。では、セメントは回復したのか。ここで引用しよう。
セメント業界は先月29日、史上初の貨物自動車運輸事業法上、業務開始命令(運送開始命令)以後、命令発動前よりはやや息苦しんだが被害が蓄積され続けている。
この日韓国セメント協会によると、前日全体のセメント出荷量は4万5500トンだった。これは平時18万トンの25.3%水準だが、その前日の出荷量(2万1000トン)より2倍以上増えた。出荷量はストの初日から先月29日まで最低1万トンから最高2万2000トンにとどまってきた。
協会は貨物連帯労組員はほとんど復帰しなかったが、ストライキに参加した非労組員が一部の輸送を再開して出荷量が増えたと説明した。
まず、セメント出荷量は4万5500トン。これが平時の18万トンよりも25.3%水準。つまり、75%の組合員は拒否したと。しかも、貨物連帯の組員はほとんど復帰しない。代わりに非労組員が一部の輸送を再開したと。しかし、これには事件が起きている。
貨物連帯組合員の3人がストライキに参加しなかった非労組員の車両に鉄玉を撃ち込んだとされて逮捕された。この鉄玉というのは直径1.5cmのパチンコ玉らしいが、ガラスが破損して運転手が怪我をするなどの被害も出ている。彼らは練習して道路で鉄玉を撃ったが、車両に向けて発射してないとか、容疑を否認しているが、明らかに嫌がらせだろう。その映像もあるので黒であることは間違いない。しかも、犯行二分前に鉄玉を撃つ練習までしていたようだ。
このような嫌がらせをして、ストライキの支持に従わない非労組員に嫌がらせをしていたことが公開されたのはかなりマイナスだ。世論からすれば貨物連帯のイメージが悪くなる。もっとも、民主労総に良いイメージなんて一般人はもってないんだが。なんせ世界最凶の労働貴族ですから。
では、被害状況を引用しておこう。
しかしストライキ長期化の可能性が大きくなり、被害規模は増え続ける見通しだ。前日基準の出荷遮断被害額は135億ウォンと集計された。ストライキの最初の日である先月24日から7日目の30日までの累積被害額は956億ウォンに達する。去る6月8日間続いたストライキでセメント業界は総1060億ウォンの被害を受けたが、この日当時被害規模を突破すると予想される。
建設現場も被害が深刻だ。大韓建設協会によると、24日、貨物連帯が総ストライキに乗り出した後、46の建設会社、全国985の現場のうち577(59%)の現場でレミコン打設が中断された。韓国住宅協会の調査によると、住宅建設現場の場合、全国的に200の現場で工事が中断され、今週中に128の現場の追加的な工事中断が予想される。
このようにもう、セメント業界だけでも6月のストライキよりも被害規模が拡大している。7日目で累積被害額が956億ウォン。石油業界も1日平均被害額を6月のストライキよりも多く680億ウォンと推算している。全体の被害額はストライキが8日目に入り、すでに1兆ウォン近くの損失が発生したと推定がでている。前回が1兆6000億ウォンだったので、このまま行けば確実に前回を超えると。
業務開始命令で非労組員は仕事に復帰させることに成功したが、だが、組合員にはほとんどスルーされた。ユン氏の伝家宝刀も貨物連帯には通じてないのが浮き彫りにされた。200以上の建設現場の工事は中断されたまま。だが、ユン氏の強攻策は続く。では、2と3、さらに4を見ていこう。
2は業務開始命令とセメントだけではなく、石油精製、鉄鋼業界などにも拡大すると。おそらく今日にでも、タンクローリーに業務開始命令が通達されるようだ。ガソリンの備蓄が首都圏はかなり少ないので、さらに強攻策を取ると。では、ユン氏は今後、どうするのか。引用しておこう。
尹大統領は「集団運送拒否だけでなく正常運行の妨害や威嚇行為、正常運行した運転手への報復行為は全て法に違反する犯罪行為」だと指摘。「組織的不法、暴力行為については法と原則に基づいて相応の責任を最後まで問う」と強調した。
ユン氏はこのように運転手への報復行為に言及して犯罪行為と私的。さらに、相応の責任を最後まで問うと強調した。しかし、これは悪手だろう。自分らのやっていることは正義だ。間違ってないことを国民に言及して、彼らは悪だと断罪するのは簡単だ。実際、彼らのやったことは悪質な犯罪行為で逮捕される案件だ。国民からも支持も得られやすい。しかも、政府は鉄道ストを事前に回避して、ますます彼らを孤立させようとした。
なんと、鉄道ストは話合うという歩み寄りをみせたのだ。鉄道労組と韓国鉄道公社(コレイル)は2日午前4時30分劇的に労使交渉を妥結した。最後まで最大の争点だった通常賃金項目の拡大による実績級(時間外手当など)増加分の処理問題は、3年にわたって段階的に支給することに合意したという。一方で貨物連帯とは交渉は拒否。
そして、6日から開始予定の民主労総のストについても、「労働者の権益を代弁するものではなく政治ストと判断せざるを得ない」「韓国経済が厳しい中、国民の生活や経済を人質に取ることは組織化されていない弱い労働者の生存を一層困難にし、未来の世代や国民の雇用を奪うもの」と批判した。
つまり、ユン氏は自分で認めてしまったのだ。これが「政治スト」だと。なら、ユン氏のやっていることはそれに対応するのだから、極めて政治的になっているんじゃないか?鉄道ストを回避させて、彼らを孤立に追い込んだのはどういう意図なのか。言っていることは正論に聞こえるんだが、彼も国民なんて見ていない。それがユン氏の最新の支持率を見ればわかる。
ストライキが始まってからユン氏の支持率は31%となり、先週より1%上がったのだが、これを見る限り、国民がユン氏のストライキへの対応について評価しているようには見えない。正論を振りかざすのは良いのだが、業務開始命令などで彼らを孤立させて追い詰めるやり方は、今後に禍根を残す。野党は当然、支持母体である民主労総の味方をする。ユン氏が独裁だと批判するのは目に見えている。
さて、最後の6だがジンボルトは基本的に中立なので彼らの言い分についても取りあげる。12月3日のロウソク集会を見ていこう。
この日、集会に出席した貨物連帯本部オ・ナムジュン副委員長は「政府の業務開始命令は憲法で禁止する「強制労役を強要すること」と政府を強く批判した。オ副委員長は「去る2月のストライキ当時、全国民が見守る中、国土部が安全運賃制の持続推進及び品目拡大のために努力すると約束したが、守らないまま破棄した」とし「政府と与党は国会議論を5ヶ月間放置ながら、道路で働く貨物労働者の安全と命を無視した」と話した。
また、「貨物労働者たちは、要素数の大乱と警戒値暴動にも経済動脈のような役割を果たしてきたが、限界点に達した」とし「貨物連帯は揺れずに最後まで闘争する」と話した。
https://m.hani.co.kr/arti/society/society_general/1070070.html
このように鉄道ストが回避されて孤立させられても、彼らは最後まで戦うことを宣言。業務開始命令の強攻策でどう見ても対立は深刻化した。では、最後が非常に興味深い。参加者の様子だ。
オ副委員長の発言に集会参加者たちはろうそくを持って「ろうそく市民と労働者が力を合わせてユン・ソクヨルを追い出そう」、「貨物労働者弾圧するユン・ソクヨルは退陣せよ」などのスローガンを一緒に叫びながら答えた。集会を終えた参加者は明洞、乙支路、世宗大路交差点などを行進した。一方、ろうそく行動は17日、100万人が集まる3回目の全国集中ろうそく大行進を開くと明らかにした。
政府が強攻策を取ったことで、ユン政権打倒という「大義名分」を彼らは得たことになる。これでロウソクの灯りが燃え広がるかは知らないが、ユン氏の支持率は31%と危険水域。12月という寒い時期なのによくやるなと。
全国民主労働組合総連盟公共運輸労組 貨物連帯本部(以下貨物連帯)の総ストライキが8日目に入り、産業及び建設分野のあちこちで被害が蓄積されている。
経済動脈である物流が詰まり、ガソリンスタンドには油が付いて建設現場はセメントなど原材料需給に大きな支障をきたしている。
1日、ソウル市各地ではガソリン在庫が落ちたガソリンスタンドが増え続けている。
有価情報プラットフォーム「オピネット」によると、同日午前11時基準の首都圏でガソリン価格を表示していないガソリンスタンドが34カ所に集計された。ガソリンスタンドは、販売可能なガソリンがない場合、価格を0ウォンで表示します。
特に京畿・仁川よりソウルでガソリン不足現象が目立つ。同じ時間基準でソウル内の在庫切れガソリンスタンドは前日11カ所からこの日19カ所に増えた。
ガソリンスタンドは総ストライキ予告に合わせて貯蔵庫をあらかじめ満たしておくなどに備えたが、貯蔵タンクが地方に比べて比較的小さく回転率の高いソウルと首都圏ガソリンスタンドがすでにガソリン大乱を経験しているのだ。
産業通商資源部によると、去る29日基準全国ガソリンスタンド在庫はガソリン8日分、軽油10日分程度であることが分かった。首都圏は状況がさらに深刻で、わずか2~3日分が残ったことで政府は把握している。
主流業界は貨物連帯ストライキ長期化が有力な状況であり、来週から本格的な「油大乱」が発生すると懸念している。
石油化学業界は1日平均被害額を6月のストライキよりも多く680億ウォンと推算している。原価上昇などで被害規模も大きくなるしかない見通しだ。
セメント業界は先月29日、史上初の貨物自動車運輸事業法上、業務開始命令(運送開始命令)以後、命令発動前よりはやや息苦しんだが被害が蓄積され続けている。
この日韓国セメント協会によると、前日全体のセメント出荷量は4万5500トンだった。これは平時18万トンの25.3%水準だが、その前日の出荷量(2万1000トン)より2倍以上増えた。出荷量はストの初日から先月29日まで最低1万トンから最高2万2000トンにとどまってきた。
協会は貨物連帯労組員はほとんど復帰しなかったが、ストライキに参加した非労組員が一部の輸送を再開して出荷量が増えたと説明した。
しかしストライキ長期化の可能性が大きくなり、被害規模は増え続ける見通しだ。前日基準の出荷遮断被害額は135億ウォンと集計された。ストライキの最初の日である先月24日から7日目の30日までの累積被害額は956億ウォンに達する。去る6月8日間続いたストライキでセメント業界は総1060億ウォンの被害を受けたが、この日当時被害規模を突破すると予想される。
建設現場も被害が深刻だ。大韓建設協会によると、24日、貨物連帯が総ストライキに乗り出した後、46の建設会社、全国985の現場のうち577(59%)の現場でレミコン打設が中断された。韓国住宅協会の調査によると、住宅建設現場の場合、全国的に200の現場で工事が中断され、今週中に128の現場の追加的な工事中断が予想される。
鉄鋼業界もストライキの余波で8000億ウォンに迫る損失が発生した。ポスコ、現代製鉄、東国製鋼など国内鉄鋼3社で1日9万7000トンの出荷支障が生じ、1日10万トンほどの鉄鋼材が出荷されていない。
自動車業界は6月に貨物連帯ストライキを経験した後、今回のストライキで運送員が車両を直接運転して運搬する「ロードタックソン」による人件費および運営費で、1日5億ウォンを超える追加負担金が発生していると見ている。
一部では今回のストライキが8日目に入り、すでに1兆ウォン近くの損失が発生したと推定している。去る6月ストライキでは産業界全般に1兆6000億ウォンほどの被害が発生したと推算される。
https://www.m-i.kr/news/articleView.html?idxno=968830
【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は4日、トラック運転手らによる全国規模のストライキに関する関係閣僚会議で、「全ての行政力を動員し、迅速に厳正な措置を取ってほしい」と指示した。石油精製、鉄鋼業界など追加被害が懸念される業種に関し、業務開始命令を即時発動できるよう準備を指示。運転手の代替人員や軍の人員・装備なども早急に確保し、産業への被害を最小限に抑えるよう求めた。
労働組合の全国組織、全国民主労働組合総連盟(民主労総)の公共運輸労組貨物連帯本部によるストは先月24日に始まり、政府は29日にセメント業界の運送従事者に対し業務開始命令を出している。
尹大統領は「集団運送拒否だけでなく正常運行の妨害や威嚇行為、正常運行した運転手への報復行為は全て法に違反する犯罪行為」だと指摘。「組織的不法、暴力行為については法と原則に基づいて相応の責任を最後まで問う」と強調した。
今月6日に予定される民主労総のストライキについても「労働者の権益を代弁するものではなく政治ストと判断せざるを得ない」と強調。「韓国経済が厳しい中、国民の生活や経済を人質に取ることは組織化されていない弱い労働者の生存を一層困難にし、未来の世代や国民の雇用を奪うもの」と批判した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/42f5433ee2a5d8086ad4988398719740ea024e56