韓国証券市場 ジンボルトがサイトに寄せられた読者様のコメントで気になるカ所を見つけた。何だろう?興国生命?
ということで、まずはコメントを一部を引用しよう。
韓国レゴランドのABCP不渡り、興国生命のドル債コールスキップ(どうやらこれは撤回され、予定通り早期償還が行われるらしいが)と中々お目にかかれない醜態を晒している韓国だが、まさかまさかのクラウディングアウトまで見せてくれるとは…。(後は省略)
このように書いてあるのだが、興国生命のドル債コールスキップ?という聞き慣れないものがあったので調べてみた。すると中央日報の記事がヒットした。中々、興味深い内容だったので記事の要点を整理しながら解説していこう。
■記事の要点
1.2日の金融投資業界などによると、興国生命は9日に予定していた5億ドル規模の外貨ハイブリッド証券に対し早期中途償還コールオプションを行使しないことにした。
2.ハイブリッド証券は金融機関が自己資本比率(BIS)を高めるための手段として活用してきた。永久債に分類され会計上は資本と認められる。通常5年あるいは10年後に債券を発行した金融機関がこれを買い戻すコールオプションがついている。
3.興国生命がコールオプションを行使しないと宣言したことで市場がまた大混乱!
4.ただハイブリッド証券の早期償還は一種の慣行とされてきた。投資家も韓国の金融機関が発行したハイブリッド証券は早期償還日時を事実上満期と見なして投資をしてきた。
5.こうした状況で早期償還が見合わせとなり世界市場で韓国債券に対する「信頼の危機」に続きかねないとの分析が出ている。
6.DB金融投資のユ・スンウ研究員は「そうでなくてもレゴランド問題で韓国の債券市場に対する不安感が高まった状況で、他の保険会社もハイブリッド証券発行が困難になったり、より高い利回りを設定しなければならなくなる可能性が大きい」と評価した。
7.NH投資証券のチェ・ソンジョン研究員は「来年満期を迎える外貨建て債券は約250億ドルで今年より22%増える予定のため、ドル建て債の借り換え懸念が大きくなる状況」と話した。
以上の7つだ。
さて、この記事でポイントなのはハイブリッド証券である。ほら、ハイブリッド車とか聞いたことあるんじゃないだろうか。用は株式と債券の2つの特徴を合わせ持つものをハイブリッド債と呼ばれている。具体的に劣後債や優先証券などをいう。つまり、株式と債券がわかっていれば普通に理解出来る内容なのだが、そこを飛ばすと難しいかもしれないので解説しておく。
本来は負債なのだが、実は株式に特徴から資産の計上もできる。他にも配当などを抑えることが出来るなどあるのだが、1番の特徴はハイブリッド債は普通の社債より、利回りが高いのだ。
ただし、劣後債なので、会社が何かで倒産したときの資産整理では普通の社債よりも優先される順番が低く、それらの処理が終わってから返済される。そのために利回りが高く設定されている。それで、今回の記事で問題になっているのはクーポンの話だ。
当然、債券なのでクーポンが設定されていて、満期日や償還時に額面通りに償還されますよと。
それで、まず1から見ていこう。
興国生命は9日に予定していた5億ドル規模の外貨ハイブリッド証券に対し早期中途償還コールオプションを行使しないことにした。
コールオプションって?これは市場の値段と関係なく決められた価格で買ったりする権利のことをいう。そして、興国生命はこのコールオプションを行使しなかった。この行為は法的に問題はない。そういう権利なので。行使するか、しないかは買い方が決める事だ。ただし、行使されたら、売り方はこの権利行使に応じないと行けない。
そして、2はその説明となる。さっき言ったとおり資本にも計上できますよと。BISを高めるために利用しますよ。そして、今回の問題となる、通常5年あるいは10年後に債券を発行した金融機関がこれを買い戻すコールオプションがついている。つまり、発行してから5年後か、10年後に買い戻すので安心してくださいといった話だったのだ。
ところがだ。興国生命は2017年11月に発行したハイブリッド証券のコールオプション行使日時が近づいてきていたのに、コールオプションを行使しないと決めた。
これによってデフォルトが発生するわけではないが、ハイブリッド証券の早期償還は一種の慣行とされてきた。投資家も韓国の金融機関が発行したハイブリッド証券は早期償還日時を事実上満期と見なして投資をしてきたという。
つまり、投資家から「ええ?」「嘘だろう!」という話だ。世の中、慣例を無視すればどうなるかなんて、レゴランド不渡りで学んだと思ったらそうではないらしい。
そして、5では世界市場で韓国債券に対する「信頼の危機」に続きかねないとの分析が出ていると。そして、数日後のニュースを読んでいただきたい。
6日金融投資業界とブルームバーグによると、国内外の外貨債券市場で興国生命の額面が100ドル新種資本証券取引価格は4日72.2ドルで、今月1日興国生命コールオプション未行事公示直前の10月末(99.7ドル)より30%近く急落した。
これまで韓国物の新種資本証券はコールオプション行事が暗黙的な慣行だったため、市場では今月の償還を予想して100ドルに近い価格で取引されていたが、返済時期を約束できなくなって価格が急落したものだ。他の保険会社と銀行が発行した新種資本証券価格もこの余波で急落した。
http://www.dt.co.kr/contents.html?article_no=2022110602109963074001
はい、確実にやってしまいましたね。投資家にもろ影響を与えてるじゃないか。つまり、慣行を誰かが無視してしまえば、このように債券市場は大混乱になると。本当、学習しないよな!
上の記事は数日後の結果だが、専門家は今後、どうなるかを警告していた。
DB金融投資のユ・スンウ研究員は「そうでなくてもレゴランド問題で韓国の債券市場に対する不安感が高まった状況で、他の保険会社もハイブリッド証券発行が困難になったり、より高い利回りを設定しなければならなくなる可能性が大きい」と評価した。
珍しく専門家が予想を当てているじゃないか。まあ、当然なんですけど。そして、これでさらに金利がアップしました。しかも、価格が急落したら取引量が増えたのか。いいえ、減っています。
ある証券会社海外債権運営担当者は「海外債券の場合、全体的な取引量を把握することは難しい」としながらも「興国生命コールオプション未行事以前から韓国物に対する流動性がスムーズではなかったがそれでも買収・売り好価がある状況だったらコールオプション未行事その後はそれさえ消えた状況だ」と伝えた。
さすがですね。自分らで勝手に自滅するスタイル。本当、それをやればどうなるかを誰1人、この保険会社は考えもしなかったと。最後は来年が心配ですと。自分らで信用無くしてどうとかいわれてもな。
一応、政府が乗り出してすぐに馬鹿な保険会社の劣後債のコールオプションを未行使を中止させたようだが、一度、破られた慣行は信用できない。保険会社だけではなく、これから一般海外債権の需要が減り、発行金利もさらに高くなると。全体的に債券市場はまた凍り付いたと。
世界の金融市場で韓国債券に対する投資心理が冷え込む兆しが現れており企業のドル資金調達に警告ランプが灯った。
2日の金融投資業界などによると、興国生命は9日に予定していた5億ドル規模の外貨ハイブリッド証券に対し早期中途償還コールオプションを行使しないことにした。金利上昇、取引萎縮などで早期償還に向けた新規債券の発行が不如意になってだ。韓国の金融機関が発行したハイブリッド証券の早期償還が見合わせられたのは2009年のウリィ銀行の劣後債から13年ぶりだ。
ハイブリッド証券は金融機関が自己資本比率(BIS)を高めるための手段として活用してきた。永久債に分類され会計上は資本と認められる。通常5年あるいは10年後に債券を発行した金融機関がこれを買い戻すコールオプションがついている。
興国生命も2017年11月に発行したハイブリッド証券のコールオプション行使日時が近づいており3億ドル規模の新たなハイブリッド証券を発行して償還資金を調達する計画だった。だが市場環境の悪化により取引が萎縮して資金調達に支障が生じ、コールオプションを行使しないことを決めた。
ハイブリッド証券は早期償還をしなくてもデフォルト(不渡り)が発生するものではない。ただハイブリッド証券の早期償還は一種の慣行とされてきた。投資家も韓国の金融機関が発行したハイブリッド証券は早期償還日時を事実上満期と見なして投資をしてきた。
こうした状況で早期償還が見合わせとなり世界市場で韓国債券に対する「信頼の危機」に続きかねないとの分析が出ている。ナイス信用評価はこの日報告書を通じ「今後会社の資本市場アクセス性が低下しかねない。ウリィ銀行も劣後債に対する早期償還を実施せず国際金融市場のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)プレミアムが急激に上昇するなど資本市場での評判が悪化し、さらには韓国債券に対する投資心理が低下したことがある」と指摘した。
他の金融機関にも余波が及びかねないとの懸念も出ている。ナイス信用評価によると2017~2018年に韓国の保険会社が発行したハイブリッド証券のうち2023年に早期償還コールオプション行使期日が到来する金額だけで12億ドル規模だ。
DB金融投資のユ・スンウ研究員は「そうでなくてもレゴランド問題で韓国の債券市場に対する不安感が高まった状況で、他の保険会社もハイブリッド証券発行が困難になったり、より高い利回りを設定しなければならなくなる可能性が大きい」と評価した。
金融当局は急いで火消しに出た。金融委員会などはこの日資料を通じ「興国生命のハイブリッド証券早期償還権行使と関連した日程・計画などをすでに認知しており、持続的にやりとりした」と明らかにした。続けて「興国生命の収益性など経営業績は良好で、契約者に対する保険金支払いなどに何の問題もない。早期償還権未行使にともなう市場状況をモニタリングするだろう」と付け加えた。
企業の資金調達の困難さも大きくなる見通しだ。金融当局は債券市場の物量圧迫を減らすために韓国電力や韓国ガス公社など高い格付けを持っている公企業や金融機関の海外債券発行を促してきた。だが海外市場の環境が悪化しこれさえも容易ではない状況に置かれる可能性が大きくなった。
NH投資証券のチェ・ソンジョン研究員は「来年満期を迎える外貨建て債券は約250億ドルで今年より22%増える予定のため、ドル建て債の借り換え懸念が大きくなる状況」と話した。
https://japanese.joins.com/JArticle/297319?sectcode=300&servcode=300