連鎖スト 韓国で起きている連載スト。いずれ本編で取りあげる予定になりそうな予感はしていたんだが、経済的な被害が出ているなら取りあげるしかない。実質、いつものストライキであるのだが、まだ6月のスト被害も復旧中だったそうだ。しかし、本当、韓国経済が崖っぷちなのにおかまいなくストライキが出来るよなあ。
一応、経緯は書いておくが、23日に産業別労働組合「公共輸送労組」がソウル大病院と国民健康保険公団でストライキに入った。その後、24日は貨物連帯、25日学校など公共部門非正規職労組と続々とストライキに参加。
だが、まだ終わりじゃない。ここから30日に、ソウル交通公社(ソウル地下鉄)労組、12月2日全国鉄道労組などもストライキに入る予定だ。つまり、物流・交通・教育・医療などを網羅した連鎖ストライキである。いやあ。皆でストライキを決行するとか。そこに痺れて憧れはしないが、中々、面白い状況となっているようだ。では、記事の要点を整理しながら見ていこう。
■記事の要点
1.韓国貿易協会は「集団運送拒否緊急被害申告センター」に現場企業の被害事例19件が申告されたとこの日、明らかにした。
2.被害事例では納品遅延による違約金発生と取引中止に関する内容が多かった。
3.物流費の増加や原副資材搬入の支障に関する申告もある。生活用品を輸出するB社は貨物連帯のストのため仁川(インチョン)コンテナターミナルの搬出日を守れない危機に直面した。
4.企業の被害が続くと、経済団体は一斉にスト中断を要求した。韓国経営者総協会と業種別団体はこの日、ソウル麻浦区(マポグ)韓国経営者総協会会館で労働界のゼネストに対する共同声明を発表した。
5.韓国経営者総協会のイ・ドングン常勤副会長は「6月の貨物連帯の運送拒否により韓国の核心産業で1兆6000億ウォン(約1660億円)以上の被害が発生したが、被害がまだ復旧していない状況でまた運送拒否を始めた。産業物流を担保に自分たちの利益を貫徹するという貨物連帯の闘争に共感する国民はほとんどいない」とし、直ちに運送に復帰するよう要求した。
6.業種団体の声も続いた。韓国鉄鋼協会のビョン・ヨンマン副会長は「最近、鉄鋼業界はポスコの浸水と世界的な需要沈滞で経営環境が厳しい状況」とし「政府もすでに安全運賃制品目拡大に鉄鋼材は含めないと明らかにしたため、ストを中断して物流運送に支障がないようにしてほしい」と述べた。
7.韓国自動車産業協会のカン・ナムフン会長は「ストで自動車生産と、生産の60%を占める輸出に影響が出ている」とし「また、部品を供給する1万3000余りの企業と約40万人の勤労者の生計に直結するだけに速やかに正常化してほしい」と訴えた。
以上の7つだ。まさに「不必要なイベント」としか言いようがないが、産業界が止めてといって、やめるならストライキなんてそもそも起きてない。とりあえず、順番に見ていこうか。
まず1だが、現場企業の被害事例が19件ほど申告されたと。しかも、貨物連隊が運送拒否に入る前日までの集計らしい。具体的に納品遅延による違約金発生と取引中止に関する内容が多いようだ。まあ、企業としてはたまったものじゃないよな。納期に遅れないように製品を届けたいのに、その製品の運送を拒否られるのだから。でも、それが現実だ。
しかも、この事例は中々面白い。次の2は引用しておこう。
東南アジアから冷凍水産物を輸入して国内に販売するA社は韓国・ASEANおよび韓国・ベトナム協定に基づき、最近、6カ月分の物量を落札して船積みを終えた。来月30日までに輸入手続きを終える必要があるが、貨物連帯のストライキで輸入・検疫過程が遅れている。履行期間を守ることができなければ今後1年間は入札に参加できず、税制優遇も受けることができない。
これ企業からすれば、相手国の取引先にストライキが発生して荷物が遅れるといっても、納期遅れは契約打ち切り。さらに1年間の入札も税制優遇もなしな。でも、この手の被害は賠償されないんだよなあ。つまり、企業からすれば踏んだり蹴ったりだ。しかも、事故や災害でもない。ストライキだからな。本来は普通に届くはずの船便が届かない。
とりあえず、このような始まってもいないのに被害が出ているのだが、当然、韓国政府はストを快くは思ってない。なので、ユン氏がフェイスブックでメッセージを出している。これも引用しておこう。いっ
尹大統領はこの日、自身のフェイスブックメッセージを通じて「国民や企業、そして政府が一丸となって危機克服に専念している状況で、貨物連帯が無期限集団運送拒否に突入した」と書いた。また「無責任な運送拒否を持続すれば、政府は業務開始命令を含んで様々な対策を検討するほかはない」と話した。
尹大統領は「他の車両の出入りを遮断し、正常運行に参加した同僚を苦しめるのは他人の自由を踏みにじる暴力行為」とし「地域別運送拒否、運送妨害などのすべての違法行動に対しては、法と原則に従って厳重に対応する」と明らかにした。同時に「不法的な暴力では望むものを得られないという点を明確にしようと思う」と付け加えた。
https://japanese.joins.com/JArticle/298139?servcode=200§code=200
言っていることは正しいだろう。でも、そんなことで止めるなら最初からストライキなどしない。しかも、支持率3割しかないユン氏が吠えたところで怖くもなんともないだろう。
3も似たような事例だ。このままだと納期守れない。生活用品を輸出するB社。だが、ストライキに巻き込まれて荷物が輸出できない。さらに、遅滞料と滞船料、保管料などの物流費が日々追加で発生し、その費用はすべてB社が負担するとか。酷いな。これは。もちろん、後で返してくれるわけでもない。
ストライキが終わろうが損害賠償とかあり得ないからな。むしろ、韓国政府は法律で取り締まれよ。ストの被害を救済するために。こんなの巻き込まれた企業が不憫すぎるだろう。しかも、その企業は別に何の関係もない。たまたまストライキの時期に船便を予約していただけ。
それで、4は企業の被害が続いてるので、経済団体は一斉にスト中断を要求したと。その内容が5になる。6月に韓国の核心産業で1兆6000億ウォン(約1660億円)以上の被害が発生した。その復旧も出来てないのに、まだ数兆ウォンの損失を出します。大丈夫だ。また来年の6月にやるからな。
産業物流を担保に自分たちの利益を貫徹するという貨物連帯の闘争に共感する国民はほとんどいない。まあ、いないだろうな。でも、そんなの関係ねえ!だから、何度も言うが共感してほしいからストライキしてるんじゃない。要求を通すためにしているのだ。さっさと要求飲まないから悪いだ。問題は一度、要求を聞いても、来年も要求をエスカレートさせて同じことをするてことだ。
次に6と7も似たようなもんだ。でも、そんな声明を出して、スト中止を訴えても聞くはずがない。しかも、まだ半分なんだよ。30日と12月2日も新たな団体が参加するのだ。鉄鋼業界の副会長がポスコの惨事を訴えてるが、そんなことは知らないだ。
しかし、あれだよな。物流を握られてストライキをされるほど厄介な物はないな。尿素水不足でも物流大混乱したが、アレは一応、尿素水が足りないという理由がある。しかし、今回は別に車に使う尿素水はちゃんとある。それなのに運送が拒否される。
ああ、オレ、ストライキ中なんだ。荷物運べないわ。ああ、残念だわ。こんな感じだ。ええ?損失?何それ?美味しいの?マジでこういうレベルだからな。物流を握るほど凶悪なものはない。でも、実際、起きてるのだ。韓国政府がどう対応するかは知らないが、どのみち、物流をおさえられたら従うしかないんだよな。物流とは人間で例えるなら「血液」だ。血液を回さないと人間は生きていけないのだ。それが物流の役割だ。
では、最後を引用しておくか。
中小企業中央会・小商工人連合会など中小企業界もこの日、声明を出し、「最近、物価高・ウォン安ドル高、高金利のほか、労働力不足、コスト上昇までが重なり、中小企業の被害は深刻」とし「貨物連帯の一方的な運送拒否は輸出まで防いで海外取引先の注文が途切れるなど、中小企業の経営難を深める」と指摘した。
指摘は正しい。でも、仕方ない。現実は受け入れるしかない。このままストライキが続けば、中小企業は倒産ラッシュだが、その損失だって彼らは一ウォンも払わない。本当、これ最悪だよなあ。
全国民主労働組合総連盟(民主労総)傘下の貨物連帯による集団運送拒否2日目の25日、産業界からは被害を訴える声が出ている。
韓国貿易協会は「集団運送拒否緊急被害申告センター」に現場企業の被害事例19件が申告されたとこの日、明らかにした。貨物連帯が本格的な運送拒否に入る前日の23日から24日午後6時までに集計された内容だ。
被害事例では納品遅延による違約金発生と取引中止に関する内容が多かった。東南アジアから冷凍水産物を輸入して国内に販売するA社は韓国・ASEANおよび韓国・ベトナム協定に基づき、最近、6カ月分の物量を落札して船積みを終えた。来月30日までに輸入手続きを終える必要があるが、貨物連帯のストライキで輸入・検疫過程が遅れている。履行期間を守ることができなければ今後1年間は入札に参加できず、税制優遇も受けることができない。
物流費の増加や原副資材搬入の支障に関する申告もある。生活用品を輸出するB社は貨物連帯のストのため仁川(インチョン)コンテナターミナルの搬出日を守れない危機に直面した。遅滞料と滞船料、保管料などの物流費が日々追加で発生し、その費用はすべてB社が負担する。美容医療機器を輸出するC社は貨物車を予約できず頭を悩ませている。代替手段を探しても貨物連帯が進入自体を防いでいるため、納期を守れないのではと心配している。
警察力の助けを受けて問題を解決した事例もある。国内化学企業に原副資材を納品する蔚山(ウルサン)のD社では、貨物連帯が工場の進入路をふさいで運送車両が進入できなかった。D社は貿易協会に支援を要請し、結局、警察の貨物車エスコートを受けて貨物を搬入した。
企業の被害が続くと、経済団体は一斉にスト中断を要求した。韓国経営者総協会と業種別団体はこの日、ソウル麻浦区(マポグ)韓国経営者総協会会館で労働界のゼネストに対する共同声明を発表した。韓国経営者総協会のイ・ドングン常勤副会長は「6月の貨物連帯の運送拒否により韓国の核心産業で1兆6000億ウォン(約1660億円)以上の被害が発生したが、被害がまだ復旧していない状況でまた運送拒否を始めた。産業物流を担保に自分たちの利益を貫徹するという貨物連帯の闘争に共感する国民はほとんどいない」とし、直ちに運送に復帰するよう要求した。
業種団体の声も続いた。韓国鉄鋼協会のビョン・ヨンマン副会長は「最近、鉄鋼業界はポスコの浸水と世界的な需要沈滞で経営環境が厳しい状況」とし「政府もすでに安全運賃制品目拡大に鉄鋼材は含めないと明らかにしたため、ストを中断して物流運送に支障がないようにしてほしい」と述べた。韓国自動車産業協会のカン・ナムフン会長は「ストで自動車生産と、生産の60%を占める輸出に影響が出ている」とし「また、部品を供給する1万3000余りの企業と約40万人の勤労者の生計に直結するだけに速やかに正常化してほしい」と訴えた。
中小企業中央会・小商工人連合会など中小企業界もこの日、声明を出し、「最近、物価高・ウォン安ドル高、高金利のほか、労働力不足、コスト上昇までが重なり、中小企業の被害は深刻」とし「貨物連帯の一方的な運送拒否は輸出まで防いで海外取引先の注文が途切れるなど、中小企業の経営難を深める」と指摘した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1d6fc81edd63ef61bea480a16df5537cdc4f14a2