日別アーカイブ: 2023年6月4日

韓国自営業 自営業者2人中1人「最低賃金上がったら廃業する」ー欠陥抱える韓国製LNGタンクに条件付き運航案も【動画】

韓国自営業 昨年、韓国の成長率は2.6%となったわけだが、実質所得は-1.2%前後だと推定されていた。成長率と実質所得に差があるのは、購買力では国民所得がむしろ減ったことを意味する。つまり、物価高騰による商品の値上げラッシュや電気・ガス料金などの引き上げで、韓国の最低賃金では実質所得が増えなかったことを意味する。

だから、今年は最低賃金は9620ウォン(1030円)だが、これを上げる必要があるわけだ。そして、韓国の労働組合の二大全国組織、全国民主労働組合総連盟(民主労総)と韓国労働組合総連盟(韓国労総)は2024年の最低賃金は12000ウォン(1288円)を要求している。

でも、実はこれはそれほど無茶な要求ではない。何しろ実質所得が下がっているのだ。これは明らかにその所得水準が低いことを意味する。12000ウォンが妥当かの判断が難しいが、最低賃金上げなければいけないのは言うまでもない。

問題は一度に25%もあげたら、自営業が潰れてるてことだ。しかも、今回の記事は25%ではなく、1%でも上げたら半数は廃業を考えるというもの。では、冒頭を読もうか。

国内自営業者2人のうち1人は最低賃金を上げれば廃業を考慮することが分かった。これ以上耐え難いほど限界状況に追い込まれたとし、今年最低賃金を凍結または引き下げなければならないという主張だ。

https://japan.hani.co.kr/arti/economy/45929.html

しかも、凍結か、引き下げろとかいう。どこの国が最低賃金を引き下げるのか。世界でも希なことを言いだす。もちろん、凍結はあり得ても、下げる選択肢はまずない。さらに実質所得が減るだけだ。自営業はこれ以上耐えがたいほど限界状況に追い込まれた。

でも、これからですよ?どうも、韓国は勘違いしているんだよな。わかるだろう?製造業PMIが日本以外の国、アメリカ、EU、中国、韓国など50を下回っている。だから、今、景気悪いんだよ。しかも、米経済を見ていれば利上げも終わってない状況で、景気の悪化が進行しているのはわかる。サービス業の雇用は堅調であったりするが、製造業の雇用は逆に減っているんだよな。

中国も市場予想より思ったより景気回復していない。EUまで注目できてないが、アメリカよりもインフレに苦しんでる。といった事情を鑑みれば、韓国経済に春はそう簡単に訪れない。さらに、電気やガス料金の引き上げもまだまだあるしな。

といったところで記事の要点を整理していく。

前半は韓国自営業 自営業者2人中1人「最低賃金上がったら廃業する」というもの。後半は欠陥抱える韓国製LNGタンクに条件付き運航案もというものだ。

■記事の要点(前半)

1.全国経済人連合会(全経連)は世論調査機関モノリサーチに依頼し、全国自営業者500人を対象に先月2~8日「最低賃金及び経営・勤労実態アンケート調査」を実施した結果、自営業者58.4%が来年最低賃金を凍結または引き下げなければならない’と答えたと4日明らかにした。適正最低賃金水準に対する意見を詳しく見てみると△引き下げ(11.2%) △凍結(47.2%) △1~3%未満の引き上げ(18.8%) △3~6%未満引き上げ(13.0%) △6~9%未満印象(2.8%)などだった。

2.最低賃金の凍結・引き下げを要求する回答の割合は、宿泊・飲食店業(67.5%)、教育時ビスアップ(65.6%)で比較的高かった。製造業は59.1%、芸術・スポーツ・レジャーサービス業は57.3%だった。全経連は「宿泊・飲食店業は最近、食材費の上昇で物価が依然として高い水準であり、関連消費不振まで重なり、人件費の引き上げ余力が不足した状況」と分析した。自営業者10人のうち4人(43.2%)はすでに現在の最低賃金(時給9620ウォン)も経営に負担となる水準だと答えた。

3.自営業者の半分を超える55.0%は来年度最低賃金引き上げの有無にかかわらず現在もすでに雇用余力がないと答えた。自営業者は最低賃金が1~3%未満引き上げた場合、9.6%、3~6%未満引き上げた場合、7.2%がそれぞれ「雇用を放棄するか、既存の職員解雇を考慮する」と答えた。最低賃金上昇による販売価格の引き上げの可否については、40.0%が最低賃金の引き上げの有無にかかわらず、販売価格を引き上げる計画があるとした。「最低賃金1~3%未満引き上げ時」は18.6%、「3~6%未満引き上げ時」は15.8%が販売価格を引き上げると伝えた。

4.来年最低賃金が5%台まで上がった場合、自営業者の半分ほど(49.0%)は「廃業を考慮する」と答えた。回答した自営業者の36.2%は「すでに現在も限界状況」とし、廃業を考慮しているという立場だ。自営業者の7.6%は「最低賃金を1~3%未満引き上げる場合」、5.2%は「3~6%未満引き上げる場合」廃業を考慮するとした。

以上の4つだ。順番に見ていこう。

最初の1は全国自営業者500人を対象にしたアンケート調査。その中で、自営業者58.4%が来年最低賃金を凍結または引き下げなければならないと答えたと。アルバイトなどを最低賃金で回す、自営業が最低賃金の引上げに協力するはずないものな。一番多いのは凍結の47.2%だと。下げろとは言わないが、上げるなと。

次に2は自営業の種類でも見方が異なると。最低賃金の凍結・引き下げを要求するのは、宿泊・飲食店業(67.5%)、教育時ビスアップ(65.6%)で比較的高いと。物価高騰や電気料金の値上げで、生活費が上昇しても、収入が変わらないなら、消費は落ち込んでいく。そして、そういうのは旅行や宿泊、飲食などレジャーや外食関係、塾などの教育分野から支出を減らすわけだ。

そもそも、今、韓国はランチが15000ウォンだよな。最低賃金9620ウォンだから、1時間半働いてもランチが食べられない。これは異常だよな。だいたい、今の最低賃金ですらきついが43.2%もいるのだ。だとしたら、まだまだ自営業は値上げするてことだ。それが3に書いてある。

最低賃金がどれだけ上昇したかで行動が変化すると。おそらく凍結は不可能だし、5%程度はあげてくるとこちらは見ている。それが仮に正解だとすれば、3~6%未満に該当するので、7.2%がそれぞれ「雇用を放棄するか、既存の職員解雇を考慮する」となる。さらに雇用が減ると。しかも、最低賃金を引きあげたら、販売価格も今より引きあげる予定。「最低賃金1~3%未満引き上げ時」は18.6%、「3~6%未満引き上げ時」は15.8%が販売価格を引き上げると。

最後に来年最低賃金が5%台まで上がった場合、自営業者の半分ほど(49.0%)は「廃業を考慮する」という。でも、労働組合が25%要求しているのだから、5%程度は確実に上がるだろう。さすがに凍結はこのインフレだと無理だろう。何もかも上がってる状況で最低賃金が増えないなら、生活の質が落ちるだけでますます消費が落ち込んでいく。では、自営業者が掲げた最低賃金制度の課題とは何か。引用しておき。

自営業者が挙げた現行最低賃金制度の最も緊急な改善課題は、「経済状況などを考慮した最低賃金引き上げ率制限」(28.2%)だった。続いて業種別・地域別差等適用(26.2%)、零細・中小企業に対する最低賃金上昇分支援拡大(13.8%)、最低賃​​金算定基準補完(13.2%)などだった。

全経連チュ・グァンホ経済産業本部長は「最近景気低迷、古物価などで家計消費が萎縮し、自営業者が深刻な販売不振に苦しんでいる」とし「相当数の自営業者がすでに耐え難い状況に置かれているだけに来年度最低賃金は合理的に調整される必要がある」ある」と主張した。

日本の最低賃金は地域で差があるが、韓国の場合は全国一律だ。だから、それおを地域別に適用しろと。経済状況などを考慮した最低賃金引き上げ率制限。これは下手したら最低賃金が上がらなくなるな。それで、専門家は合理的に調整しろと。その合理的とは何か。

来年の最低賃金が決まるのは遅くても夏頃だ。ぶっちゃけると12000ウォンでも、この先の様々な値上げや増税を考えたら庶民は苦しいだろうな。それだけインフレが高止まりしている。韓国政府は税収不足だ。本当、韓国の若者のニートに毎月6万円とか払っている場合じゃないという。

■記事の要点(後半)

5.液化天然ガス(LNG)タンカーの「SKセレニティー」「SKスピカ」は現在も慶尚南道の巨済島沖に停泊している。両船舶は外国企業への技術使用料負担を軽減するため、韓国ガス公社と国内の造船・海運会社が共同開発した韓国独自のLNG貨物タンクである「KC-1」を採用し、2018年に建造したLNGタンカーだが、6年間運航できずにいる。出港したところ、「コールドスポット」(結氷現象)と呼ばれる欠陥が発生し、数回修理を行ったが、問題を解決できず、設計、製作、運航を巡り訴訟が長期化する事態となっている。

6.韓国国産のLNGタンク「KC-1」の開発は、韓国の造船会社がLNGタンカーを建造するたびに1隻当たり約100億ウォン(約10億5000万円)をフランスGTT社に技術使用料として支払わなければならない技術従属問題を解決するため、国策課題として2004年に開始された。昨年1年間でLNGタンカーを120隻余り建造した韓国が貨物タンクの重要技術を持つGTTに支払った技術使用料は約1兆7000億ウォンに達した。造船業が好況になるほど、技術使用料も増える構造だ。

7.そうした問題を克服するため、ガス公社と国内造船3社(現代重工業・サムスン重工業・大宇造船海洋)がLNG貨物タンク技術の国産化に向けた国策事業に参加し、15年に「KC-1貨物タンク」の共同開発に成功した。その後、サムスン重工業がその技術を適用したLNGタンカーの建造に着手し、18年初めに「SKセレニティー」「SKスピカ」の2隻を完成させた。しかし、初運航当時から貨物タンクの超低温の冷気で船体が結氷するコールドスポットが発生し、4回の修理を繰り返したが欠陥は続いた。船舶の金属にコールドスポットが生じ続けると、最悪の場合、船体に亀裂が発生する恐れがある。結局、荷主の韓国ガス公社、運航会社のSK海運、船舶を建造したサムスン重工業の3社は19年以降、互いに「設計上の欠陥」「建造時の欠陥」「契約不履行」などを主張し訴訟戦に突入した。3社とも1000億ウォンを超える損失が発生し、今も増え続けている。

8. 4回にわたる修理を終えた今年初めの試験運航でも欠陥が発生し、ガス公社などはこれ以上性能改善は困難との立場だという。このため、水温が6度以上で気候が温暖な中東などの航路で条件付き運航は可能だと判断し、SK海運に運航を要請した。

以上の4つだ。要点を読むだけで面白いネタだな。こちらのツボに入った。あれだよな。読んでいる限りではプロジェクトXに登場しそうな韓国の国策プロジェクトなのに、その出来上がった性能が酷すぎるという。これぞコリアクオリティ。韓国独自のLNG貨物タンクである「KC-1」を採用し、2018年に建造したLNGタンカーだが、6年間運航できずにいる。もう、この時点で笑い転げるしかない。

それで、6は韓国独自のタンカーを作った理由が、フランスGTT社に技術使用料として支払わなければならない技術従属問題を解決するため、国策課題として2004年に開始されたそうだ。LNGタンカーを建造するたびに1隻当たり約100億ウォン(約10億5000万円)をフランスのGTT社に払うのが嫌だったと。でもな。それだけの技術があるからこそ、特許使用料が発生しているのだ。

そして、7が壮大な計画だ。韓国造船大手3社とガス公社が参加して、15年に「KC-1貨物タンク」の共同開発に成功した。さらに、サムスン重工業がその技術を適用したLNGタンカーの建造に着手し、18年初めに「SKセレニティー」「SKスピカ」の2隻を完成させた。ここまではまさに順風満帆だった。でも、韓国の劣化コピーで大型船のタンクが作れるわけないよな。案の定、初運航当時から貨物タンクの超低温の冷気で船体が結氷するコールドスポットが発生し、4回の修理を繰り返したが欠陥は続いたと。

そして、今度は責任のなすりつけ合いが始まった。韓国企業同士が訴訟合戦に挑んだのだ。

例えば、韓国ガス公社はサムスン重工業を訴えた。その理由は「ガラス繊維充填不良など修理を」

サムスン重工業はガス公社を訴えた。その理由は「設計ミスでコールドスポットなどの問題発生」

ガス公社はSK海運を訴えた。その理由は「運行契約批判で代替船舶、投入費用が発生・

SK海運はガス公社を訴えた。理由は「設計ミスで運航不能機関の金融コストが発生」

何だ。この泥沼展開は。しかも、面白いのは韓国ガス公社が4回の修理を繰り返してもダメで、ガス公社などはこれ以上性能改善は困難との立場。だから、条件付きで運航しろと。それが8だ。水温が6度以上で気候が温暖な中東などの航路で条件付き運航は可能だと判断し、SK海運に運航を要請したそうだ。

何だっけ。韓国最強のヘリ「スリオン」でも似たような事があったよな。冬はエンジンに許容量を超える氷が付着するので、もう、冬に飛ばすのは止めようとか。ああ、因みにスリオンは4年で韓国軍の納入停止にもなった最強のヘリだ。韓国はこの手の技術はまったくないんだろうな。しかし、専門家の意見はこうだ。

しかし、専門家たちは「条件付き運航は弥縫(びほう)策にも劣る」と指摘する。貨物タンク技術を研究する教授は「その場しのぎの対応に続き、『水温条件付き運航』は納得できない。不完全な技術を採用したLNGタンカーを発注する船会社がどこにあるだろうか」と話した。別の造船専門家の教授も「新車を発売する際、『この車は高速道路は走れません』と広告するようなものだ」と指摘した。

https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/06/02/2023060280151.html

わかりやすい例え、ありがとう。だから、諦めてフランスのGTT社に技術使用料を10億円払った方が良いじゃないか。6年経過しても損害が増えるばかりじゃないか。

国内自営業者2人のうち1人は最低賃金を上げれば廃業を考慮することが分かった。これ以上耐え難いほど限界状況に追い込まれたとし、今年最低賃金を凍結または引き下げなければならないという主張だ。

全国経済人連合会(全経連)は世論調査機関モノリサーチに依頼し、全国自営業者500人を対象に先月2~8日「最低賃金及び経営・勤労実態アンケート調査」を実施した結果、自営業者58.4%が来年最低賃金を凍結または引き下げなければならない’と答えたと4日明らかにした。適正最低賃金水準に対する意見を詳しく見てみると△引き下げ(11.2%) △凍結(47.2%) △1~3%未満の引き上げ(18.8%) △3~6%未満引き上げ(13.0%) △6~9%未満印象(2.8%)などだった。

最低賃金の凍結・引き下げを要求する回答の割合は、宿泊・飲食店業(67.5%)、教育時ビスアップ(65.6%)で比較的高かった。製造業は59.1%、芸術・スポーツ・レジャーサービス業は57.3%だった。全経連は「宿泊・飲食店業は最近、食材費の上昇で物価が依然として高い水準であり、関連消費不振まで重なり、人件費の引き上げ余力が不足した状況」と分析した。自営業者10人のうち4人(43.2%)はすでに現在の最低賃金(時給9620ウォン)も経営に負担となる水準だと答えた。

自営業者の半分を超える55.0%は来年度最低賃金引き上げの有無にかかわらず現在もすでに雇用余力がないと答えた。自営業者は最低賃金が1~3%未満引き上げた場合、9.6%、3~6%未満引き上げた場合、7.2%がそれぞれ「雇用を放棄するか、既存の職員解雇を考慮する」と答えた。最低賃金上昇による販売価格の引き上げの可否については、40.0%が最低賃金の引き上げの有無にかかわらず、販売価格を引き上げる計画があるとした。「最低賃金1~3%未満引き上げ時」は18.6%、「3~6%未満引き上げ時」は15.8%が販売価格を引き上げると伝えた。

来年最低賃金が5%台まで上がった場合、自営業者の半分ほど(49.0%)は「廃業を考慮する」と答えた。回答した自営業者の36.2%は「すでに現在も限界状況」とし、廃業を考慮しているという立場だ。自営業者の7.6%は「最低賃金を1~3%未満引き上げる場合」、5.2%は「3~6%未満引き上げる場合」廃業を考慮するとした。

自営業者の1日平均労働時間は8.7時間、月平均休業日は4.0日となった。昨年の調査と比較すると、日勤時間は0.6時間減り、休業日は0.2日増えた。全経連は「自営業者の勤労実態が昨年より改善された」とし「賃金労働者に比べては1日0.5時間さらに働き、月に2.6日ほど休んでいない状況」と伝えた。

自営業者が挙げた現行最低賃金制度の最も緊急な改善課題は、「経済状況などを考慮した最低賃金引き上げ率制限」(28.2%)だった。続いて業種別・地域別差等適用(26.2%)、零細・中小企業に対する最低賃金上昇分支援拡大(13.8%)、最低賃​​金算定基準補完(13.2%)などだった。

全経連チュ・グァンホ経済産業本部長は「最近景気低迷、古物価などで家計消費が萎縮し、自営業者が深刻な販売不振に苦しんでいる」とし「相当数の自営業者がすでに耐え難い状況に置かれているだけに来年度最低賃金は合理的に調整される必要がある」ある」と主張した。

液化天然ガス(LNG)タンカーの「SKセレニティー」「SKスピカ」は現在も慶尚南道の巨済島沖に停泊している。両船舶は外国企業への技術使用料負担を軽減するため、韓国ガス公社と国内の造船・海運会社が共同開発した韓国独自のLNG貨物タンクである「KC-1」を採用し、2018年に建造したLNGタンカーだが、6年間運航できずにいる。出港したところ、「コールドスポット」(結氷現象)と呼ばれる欠陥が発生し、数回修理を行ったが、問題を解決できず、設計、製作、運航を巡り訴訟が長期化する事態となっている。

 LNG貨物タンクは気体状態の天然ガスをマイナス162度超低温で約600分の1に圧縮・液化して貯蔵・運搬する設備だ。5月10日にはKC-1の設計を基礎とした第2世代の「KC-2」が採用されたLNGタンカーが運航を開始したが、業界は「第1世代の欠陥と訴訟戦が解決されるまで、KC-2が普及する可能性はない」とみている。抜本的な問題解決に至らないまま、温暖な航路だけで運航するとの意見まで出たが、業界からは「高速道路を走れない新車を発売しようとしている」「弥縫(びほう)策であり、韓国造船技術に対する市場の信頼だけが低下する」との指摘が出ている。

■「温暖な航路」で条件付き運航案も

 韓国国産のLNGタンク「KC-1」の開発は、韓国の造船会社がLNGタンカーを建造するたびに1隻当たり約100億ウォン(約10億5000万円)をフランスGTT社に技術使用料として支払わなければならない技術従属問題を解決するため、国策課題として2004年に開始された。昨年1年間でLNGタンカーを120隻余り建造した韓国が貨物タンクの重要技術を持つGTTに支払った技術使用料は約1兆7000億ウォンに達した。造船業が好況になるほど、技術使用料も増える構造だ。

 そうした問題を克服するため、ガス公社と国内造船3社(現代重工業・サムスン重工業・大宇造船海洋)がLNG貨物タンク技術の国産化に向けた国策事業に参加し、15年に「KC-1貨物タンク」の共同開発に成功した。その後、サムスン重工業がその技術を適用したLNGタンカーの建造に着手し、18年初めに「SKセレニティー」「SKスピカ」の2隻を完成させた。しかし、初運航当時から貨物タンクの超低温の冷気で船体が結氷するコールドスポットが発生し、4回の修理を繰り返したが欠陥は続いた。船舶の金属にコールドスポットが生じ続けると、最悪の場合、船体に亀裂が発生する恐れがある。結局、荷主の韓国ガス公社、運航会社のSK海運、船舶を建造したサムスン重工業の3社は19年以降、互いに「設計上の欠陥」「建造時の欠陥」「契約不履行」などを主張し訴訟戦に突入した。3社とも1000億ウォンを超える損失が発生し、今も増え続けている。

■「ロケット打ち上げのように長期的観点必要」

 4回にわたる修理を終えた今年初めの試験運航でも欠陥が発生し、ガス公社などはこれ以上性能改善は困難との立場だという。このため、水温が6度以上で気候が温暖な中東などの航路で条件付き運航は可能だと判断し、SK海運に運航を要請した。

 しかし、専門家たちは「条件付き運航は弥縫(びほう)策にも劣る」と指摘する。貨物タンク技術を研究する教授は「その場しのぎの対応に続き、『水温条件付き運航』は納得できない。不完全な技術を採用したLNGタンカーを発注する船会社がどこにあるだろうか」と話した。別の造船専門家の教授も「新車を発売する際、『この車は高速道路は走れません』と広告するようなものだ」と指摘した。

技術国産化のための国策事業という趣旨を考慮し、政府が仲裁に乗り出すべきだとの意見もある。 造船業界関係者は「GT社が数百回の試行錯誤を経て、40年余りにわたり積み上げてきた技術に早く、安易に追いつこうとして発生した試行錯誤を認め、妥協点を見いだすべきだ」とし、「現在のように他人のせいだけにする訴訟戦が続けば、これまで努力した技術は永遠に生かされない」と話した。貨物タンクの国産化技術を研究してきたソン・ハチョル木浦大総長(造船海洋工学科教授)は「韓国がロケット技術を開発し、試験発射に失敗しても改善点を見つけ、着実に投資して成果を出したように、KC-1の欠陥に対する責任だけを追及するのではなく、問題解決のための意見を集約し、投資を続けなければならない」と指摘した。

https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/06/02/2023060280151_2.html