日別アーカイブ: 2023年7月19日

韓国半導体 サムスン電子がトップのNAND業界で地殻変動が秒読み…キオクシアとWDCが合併推進ー米中半導体戦争の最大被害者となった韓国

韓国半導体 韓国勢にとってまさに黒船来港とも呼べるイベント。それは、キオクシアとWDの経営統合である。それが、ブルームバーグによれば来月中にも合併に合意するという報道が出てきた。これが本当ならビッグニュースなんだが、後でブルームバーグを確認しようか。

それで、中央日報はサムスン電子がトップのNAND業界で地殻変動が秒読みと警戒感を露わにしている。でも、実際、経営統合すればSKハイニックスを抜いて、業界2位になるからな。後はサムスンとの一騎打ちとなる。こうなれば韓国勢が有利だった半導体の分野ですら革命が起こる。日本と米国のタッグが韓国勢を駆逐する未来だってあり得ない話ではない。といったところで、おそらく半導体業界では今年トップの重大なニュースになるとおもうが、記事の冒頭を見ていく。

NAND型フラッシュ世界2位のメーカーである日本のキオクシアと4位の米ウエスタンデジタル(WDC)の合併が可視化している。市場では2002年からNAND型フラッシュ1位の座を守っているサムスン電子に対する牽制が強まるだろうという見通しが出ている。

https://japanese.joins.com/JArticle/306776?servcode=300&sectcode=320

このようにキオクシアとWDCの合併が何を引き起こすのか。しかし、来年だと思っていたら来月なのかよ。まだ、半導体需要が回復したわけでもないのに、業界が動きだろう。それでなくても、日本では台湾のTSMCを熊本県で新工場建設といった誘致をきっかけに、世界中の半導体企業から注目されている。2ナノ量産技術を研究・開発が目的のラピダス。まあ、本当に今年は半導体関連が日本の外交にも直結していて激アツである。

といったところで記事の要点を整理していく。

前半はサムスン電子がトップのNAND業界で地殻変動が秒読み。後半は米中半導体戦争の最大被害者となった韓国。

■記事の要点(前半)

1.ブルームバーグは18日、キオクシアとWDCが早ければ来月にも合併に合意するだろうと報道した。両社の合併はWDCのNAND事業部を分社しキオクシアと合併する方式で進められる見通しだ。新法人の本社は日本に置き、キオクシア経営陣によって運営される。WDCも経営に共同参加することになる。ブルームバーグは「これらが力を合わせればサムスン電子に挑戦するのに役立つだろう」と予想した。

2.両社が合併に成功すればサムスンは脅威を受けることになる。市場調査機関トレンドフォースによると、1-3月期のNAND市場シェアはサムスン電子が34.0%で1位を占めており、続いてキオクシアが21.5%、SKグループ(SKハイニックスとソリダイム)が15.3%、WDCが15.2%、米マイクロンが10.3%の順だ。キオクシアとWDCのシェア合計は36.7%でサムスンを上回る。インテルのNAND工場を買収して3位になったSKハイニックスの位置づけもやはり危ない状況だ。サムスン電子とSKハイニックスでは両社の合併ニュースがうれしいはずがない。

3.NAND市場は構造的に競争構図だ。サムスン電子が43.2%と半分近いシェアを占め、SKハイニックスが23.9%、マイクロンが28.2%と大手3社の寡占構造であるDRAMとは異なる。半導体業界高位関係者は「過去DRAM市場はチキンゲームを通じて1社ずつ脱落したが、いまのNAND市場では1社も脱落する所がない構造。各国の主力半導体企業のため赤字が続いても政府が助けようとする状況」と話した。

4.こうした状況のため半導体企業の赤字は深化している。サムスン電子DS(半導体)部門は1-3月期に4兆5800億ウォンの営業赤字を出した。4-6月期も4兆ウォン前後の赤字を記録すると推定される。証券業界によるとSKハイニックスもやはり上半期に6兆3000億ウォン台の営業赤字が予想される。専門家はサムスン電子DS部門とSKハイニックスの赤字のうち70~80%がNANDで発生するとみている。どうしようもなく価格は下落するがDRAMと違い各業者が「減産」を宣言しない理由でもある。トレンドフォースによると供給過剰が激しくなり7-9月期もNAND価格は3~8%落ちる見通しだ。

5.ここにはDRAMより価格弾力性が大きいNANDの特徴が影響を及ぼしたという解釈もある。アップターンサイクルを迎えればNANDは価格回復が速く、この時に「果実」を得るため互いに持ちこたえるのが有利だという計算からだ。中国の追撃も脅威だ。NANDは他の半導体より技術障壁が低いと評価される。対外経済政策研究院が最近出した「中国の半導体国産化推進現況と示唆点」と題する報告書によると、中国と世界トップ企業の技術格差はDRAMとファウンドリー(委託生産)部門では5年だがNANDは2年に縮む。

6.ただし両社の合併シナリオには変数がある。キオクシアとWDCの合併が最終決定されても米国と中国をはじめと複数の国で反独占審査を通過しなければならないという課題が残っている。過去エヌビディアがARMを買収しようとした時も各国の承認拒否により失敗に終わっている。漢陽(ハニャン)大学のパク・ジェグン客員教授は「合併するにしても4位企業の技術力が1位に上がりはしない。結局技術競争力の維持がカギ」と話した。

以上の6つだ。順番に見ていこうか。

まず1だが、今回の記事はブルームバーグの記事が元ネタである。そこでまずはそちらの要点を引用しておこう。

米ウエスタンデジタル(WD)とキオクシアホールディングスは、8月までに合併で合意することを目指している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

  関係者らによれば、ウエスタンデジタルがフラッシュメモリー事業を非課税の形でスピンオフしてキオクシアと合併させる。関係者らは、詳細は非公開だとして匿名を条件に語った。ウエスタンデジタルの株主が合併後の新会社の50%強を保有することになるという。

キオクシアと米ウエスタンデジタルの合併交渉が進展-関係者 (1)

  日常的な会社運営はキオクシアの幹部が中心になって行うが、WDの幹部も関与すると、関係者らは語った。資金調達の準備も整っているという。

  新会社の取締役会にはキオクシアとWDの双方から役員が派遣され、本拠地は日本に置かれる見通しだと関係者らは述べた。また新会社は当初ナスダック市場に上場するが、最終的には東京市場で上場するという。キオクシアに出資するベイン・キャピタルには特別配当が支払われる。

  最終合意には至っておらず、合意の時期が変わったり、合意なしに協議が終了する可能性もあると、関係者らは付け加えた。

  WDとベインの担当者はコメントを控えた。キオクシアと東芝からもコメントは得られていない。

キオクシアとウエスタンデジタル、8月までの合併合意視野-関係者 – Bloomberg

おやおや。気になることがあるな。ウエスタンデジタルの株主が合併後の新会社の50%強を保有することになるという。こちらはキオクシアがそのまま筆頭株主になると思っていたが、実はウエスタンデジタルの株主が50%強保有て。でも、日常的な運営はキオクシアの幹部なんだろう。しかも、ナスダックの後は東京市場に上場ともある。まあ、全部決まったわけでもない。匿名の関係者だ。8月合併もあるかどうかはまだ判断はできないと。

次に2だが、ああ、そういえばあったな。半導体規制の前にインテルに騙されて中国のNAND型と中国の工場を買ったSKハイニックス。しかし、未だにまだ決算は出ていない。どうせ赤字なんだろうけどな。サムスン電子とSKハイニックスでは両社の合併ニュースがうれしいはずがない。そりゃそうだよな。業界2位になる規模なのだから、当然、嬉しいわけない。

次に3だが、いまのNAND市場では1社も脱落する所がない構造。各国の主力半導体企業のため赤字が続いても政府が助けようとする状況」という。半導体が国の経済安全保障となれば、そりゃ、政府が赤字でも助けるよな。ああ、エルピーダの時にそうだったら・・・どれだけ良かったか。民主党が円高放置してエルピーダは破産においやられた。毎回、思い出すなあ。過ぎ去った過去を悔やんでも仕方が無い。

次に4だが、これ凄いこと書いてあるな。

専門家はサムスン電子DS部門とSKハイニックスの赤字のうち70~80%がNANDで発生するとみている。どうしようもなく価格は下落するがDRAMと違い各業者が「減産」を宣言しない理由でもある。トレンドフォースによると供給過剰が激しくなり7-9月期もNAND価格は3~8%落ちる見通しだ。

なんと政府支援があるから減産してないという。しかも、さらに下がるとかあるぞ。いいのか。これ。こんなんで本当に需要回復するのか。まあ、自分らで傷口を広げたいのなら構わないが。政府支援あてにして大量生産で供給過剰。なんかおかしいよな。

次に5だが、アップターンサイクルを迎えればNANDは価格回復が速く、この時に「果実」を得るため互いに持ちこたえるのが有利だという計算。これも本当かよ。半導体でシェア維持がどこまで有利なのか。みせてもらおうじゃないか。後、中国の技術がNANDだと2年差しかないのも驚きだな。これはそんな遠くない未来に抜かれるぞ。

それで6だが、キオクシアとWDCの合併が最終決定されても米国と中国をはじめと複数の国で反独占審査を通過しなければならないという課題が残っていると。まあ、これはどんな合併でもつきものだよな。例えば、大韓航空やアシアナ航空など。世界中の国家と取引している企業は必ず、この合併ハードルがつきまとう。

では、記事の後半を見ていこうか。

■記事の要点(後半)

7.中国紙・環球時報(電子版)によると、韓国の時事ジャーナルは14日、「米中半導体戦争の最大被害者となった韓国」とする記事を配信した。中国当局は、半導体などの素材になるガリウムとゲルマニウム関連の製品を輸出規制の対象にすると発表した。8月1日から中国の輸出業者は中国商務省の許可がない限り輸出できなくなる。記事は、中国の今回の輸出規制措置について「米国を狙ったものであるだけでなく、米国が過去数年間に繰り広げた半導体デカップリング政策の核心であるチップ4(米国、日本、韓国、台湾)を狙ったものだ」とした。

8。記事は、半導体やフラットディスプレーなどの国際的な業界団体であるSEMIによると、2022年の半導体材料市場は約727億ドル(約10兆円)で、地域別では台湾市場が約200億ドルでトップであり、韓国市場は約129億ドルで3位だったとした。そして、「ガリウムとゲルマニウムを戦略的に備蓄してきた米国とは異なり、韓国は材料鉱物を確保できないと半導体生産ラインが止まってしまう」「このような状況で最大の被害国は韓国だ」「台湾の半導体企業が長い間、中国本土企業と粘り強い協力関係を結んできたのに対し、韓国企業は中国の代わりになり鉱物輸出パートナーを探さなければならない」「さらに、DUV露光装置の中国向け輸出が詰まると、中国現地工場の運営に大きな支障を来すことになる」などと伝えている。(翻訳・編集/柳川)

以上の二つだ、中々絶望的だな。アメリカはしっかり備蓄いていると。韓国企業はガリウムとゲルマニウムの当てはあるんですかね。今、必死で探してそうだが、中国を冷遇するからこうなるんだよ。

NAND型フラッシュ世界2位のメーカーである日本のキオクシアと4位の米ウエスタンデジタル(WDC)の合併が可視化している。市場では2002年からNAND型フラッシュ1位の座を守っているサムスン電子に対する牽制が強まるだろうという見通しが出ている。

ブルームバーグは18日、キオクシアとWDCが早ければ来月にも合併に合意するだろうと報道した。両社の合併はWDCのNAND事業部を分社しキオクシアと合併する方式で進められる見通しだ。新法人の本社は日本に置き、キオクシア経営陣によって運営される。WDCも経営に共同参加することになる。ブルームバーグは「これらが力を合わせればサムスン電子に挑戦するのに役立つだろう」と予想した。

両社が合併に成功すればサムスンは脅威を受けることになる。市場調査機関トレンドフォースによると、1-3月期のNAND市場シェアはサムスン電子が34.0%で1位を占めており、続いてキオクシアが21.5%、SKグループ(SKハイニックスとソリダイム)が15.3%、WDCが15.2%、米マイクロンが10.3%の順だ。キオクシアとWDCのシェア合計は36.7%でサムスンを上回る。インテルのNAND工場を買収して3位になったSKハイニックスの位置づけもやはり危ない状況だ。サムスン電子とSKハイニックスでは両社の合併ニュースがうれしいはずがない。

NAND市場は構造的に競争構図だ。サムスン電子が43.2%と半分近いシェアを占め、SKハイニックスが23.9%、マイクロンが28.2%と大手3社の寡占構造であるDRAMとは異なる。半導体業界高位関係者は「過去DRAM市場はチキンゲームを通じて1社ずつ脱落したが、いまのNAND市場では1社も脱落する所がない構造。各国の主力半導体企業のため赤字が続いても政府が助けようとする状況」と話した。

こうした状況のため半導体企業の赤字は深化している。サムスン電子DS(半導体)部門は1-3月期に4兆5800億ウォンの営業赤字を出した。4-6月期も4兆ウォン前後の赤字を記録すると推定される。証券業界によるとSKハイニックスもやはり上半期に6兆3000億ウォン台の営業赤字が予想される。専門家はサムスン電子DS部門とSKハイニックスの赤字のうち70~80%がNANDで発生するとみている。どうしようもなく価格は下落するがDRAMと違い各業者が「減産」を宣言しない理由でもある。トレンドフォースによると供給過剰が激しくなり7-9月期もNAND価格は3~8%落ちる見通しだ。

ここにはDRAMより価格弾力性が大きいNANDの特徴が影響を及ぼしたという解釈もある。アップターンサイクルを迎えればNANDは価格回復が速く、この時に「果実」を得るため互いに持ちこたえるのが有利だという計算からだ。中国の追撃も脅威だ。NANDは他の半導体より技術障壁が低いと評価される。対外経済政策研究院が最近出した「中国の半導体国産化推進現況と示唆点」と題する報告書によると、中国と世界トップ企業の技術格差はDRAMとファウンドリー(委託生産)部門では5年だがNANDは2年に縮む。

ただし両社の合併シナリオには変数がある。キオクシアとWDCの合併が最終決定されても米国と中国をはじめと複数の国で反独占審査を通過しなければならないという課題が残っている。過去エヌビディアがARMを買収しようとした時も各国の承認拒否により失敗に終わっている。漢陽(ハニャン)大学のパク・ジェグン客員教授は「合併するにしても4位企業の技術力が1位に上がりはしない。結局技術競争力の維持がカギ」と話した。

中国紙・環球時報(電子版)によると、韓国の時事ジャーナルは14日、「米中半導体戦争の最大被害者となった韓国」とする記事を配信した。中国当局は、半導体などの素材になるガリウムとゲルマニウム関連の製品を輸出規制の対象にすると発表した。8月1日から中国の輸出業者は中国商務省の許可がない限り輸出できなくなる。記事は、中国の今回の輸出規制措置について「米国を狙ったものであるだけでなく、米国が過去数年間に繰り広げた半導体デカップリング政策の核心であるチップ4(米国、日本、韓国、台湾)を狙ったものだ」とした。

記事は、半導体やフラットディスプレーなどの国際的な業界団体であるSEMIによると、2022年の半導体材料市場は約727億ドル(約10兆円)で、地域別では台湾市場が約200億ドルでトップであり、韓国市場は約129億ドルで3位だったとした。そして、「ガリウムとゲルマニウムを戦略的に備蓄してきた米国とは異なり、韓国は材料鉱物を確保できないと半導体生産ラインが止まってしまう」「このような状況で最大の被害国は韓国だ」「台湾の半導体企業が長い間、中国本土企業と粘り強い協力関係を結んできたのに対し、韓国企業は中国の代わりになり鉱物輸出パートナーを探さなければならない」「さらに、DUV露光装置の中国向け輸出が詰まると、中国現地工場の運営に大きな支障を来すことになる」などと伝えている。(翻訳・編集/柳川)