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「韓国は物価が安い」なんて昔話!リンゴ682円、ナシ796円…そりゃ「激安」日本旅行が人気になるわけだ

韓国 経済の流れというのは多くの日本人は難しいと感じてるかもしれないが、実は我々が毎日している「買い物」という経済行為から多くのデータを得ることができる。それもあって、こちらは必ず一週間に1回はスーパーに立ち寄って野菜や果物を始め、様々な商品の価格をチェックしている。そして、買い物というのは消費者にとって身近なものであり、どうしてそのような行動を取るのかという理由を考えるにも有効的に活用できる。

経済って難しいとおもうかもしれないが、買い物という消費行動に当てはめて行けば、ある程度の輪郭はつかめるだろう。

例えば、韓国ではハイパーインフレというものが起きていることは何度も伝えた。インフレとはインフレーションの略称であるが、物価の上昇を意味する。逆に物価が下がることをデフレーション。デフレというわけだ。今回、簡単に用語を復習したのは解説に大きく関わってくるからだ。

インフレ、物価が上がる理由はなんだろうか。それはいつも買っている製品の価格が値上げされることで起きる。例えば、韓国ではハイパーインフレで果物の価格が凄まじく高騰している。一体いくらかご存じだろうか。リンゴ682円、ナシ796円である。

マジですかと思うかもしれないが、これが現実だ。リンゴや梨を買うのにこの値段を出さないと買えない。理由は韓国で起きている異常気象のために野菜や果物が品薄になったことからである。ここで重要なのが、商品の値段というのは希少価値で決定する。希少価値とはその商品の数や質で決定する。一般的に製品の品質が良く、数が少ない場合は高額となる。

だからダイヤモンドやゴールドなど宝石は鉱山で少ししか取れないので、希少価値が高い。つまり、値段が高い。そしてダイヤモンドやゴールドでもカラット(宝石の質量の単位)が高いほどいい。これが希少価値の例だ。

先ほどにリンゴや梨に戻るが値段が上がる理由は数が少ないからである。つまり、需要が供給を満たせていないから値段があがる。100人がリンゴを食べたくても、10コしかなければそのリンゴの価値は上がる。逆に100人がリンゴ食べたいときに、リンゴが1000個あれば、その価値は下がる。これは需要が供給を下回っているからだ。

さて、ここで範囲を拡大しよう。私たちは消費者としてスーパーに買い物に来ているが、そもそも野菜や果物を作っている農家は消費者に販売するスーパーだけが販売ルートなのかてことだ。答えはもちろんNOだ。ここで重要なのはリンゴジュースを作る企業もリンゴが欲しいのだ。そして、企業は消費者より、資金が豊富なのでリンゴをほとんど買い占めることができるとしよう。農家は当然、値段を高く設定する企業を優先する。実は消費者の競争相手は企業でもあるわけだ。

そして、企業はその高いリンゴを買ってリンゴジュースに加工するわけだ。そうなるとリンゴの価格が高いので、リンゴジュースという製品にそれを上乗せしないと利益が少なくなる。よってリンゴジュースの価格が高くなる。消費者はリンゴジュースを飲みたくなれば、その高いリンゴジュースを買うことになる。つまり、リンゴ1個にしても、そのまま食べるか。製品に加工するか。様々な用途があるが、それを使う商品の値段はどんどんあがっていく。例えば、リンゴを使ったタルトだって当然、値上がりする。

このような現象が連鎖していくとある日を境に物の値段がどんどん上がっていることに消費者は気づく。消費者の取るべき行動は二つだ。1つは高額のリンゴや加工したリンゴの製品を買うこと。もう一つはリンゴを買わないことだ。ここで大事なのは買うか、買わないかは消費者の自由選択権である。消費者は財布を見ながら、何を買うかを選択していくのだ。強制的に物を買わせるような行為は法律で禁止されている。

今日はやたらと経済の勉強になっているなと思うかもしれないが、ここまでは前置きだ。韓国でハイパーインフレが起きていることはわかった。とにかく商品の値段が高い。韓国の労働所得はマイナスだったので給料はインフレに対してほとんど上がってない。そんな韓国人の事情を察知したのが中国企業である。

韓国はハイパーインフレが昨年から起きているがその反面、「個人輸入」が激増している。つまり、海外から安い製品を買うことで、韓国内では消費しなくなってるのだ。そりゃそうだろうと。中国製のアプリで今は簡単に買えるのだ。届けてもらうには数日かかるかもしれないが、値段は圧倒的に安い。

そして、もう一つは円安である。円安によって数千円で日本旅行ができるため。韓国人は韓国より飲食物価が低い日本で買い物するようになった。日本旅行が人気な理由は円安だからと何度も述べているが、それもそのはずだ。なぜなら、韓国製の野菜や果物はあまりにも高いのだ。

では、記事を引用しよう。

韓国では長ネギ以外の野菜や果物の価格が高騰しており、ホウレンソウ1束3000ウォン(約341円)、ブロッコリー1株500ウォン(約569円)、リンゴ1つ6000ウォン(約682円)、ナシ1つ7000ウォン(約796円)といった具合で、もはや野菜や果物は「ぜいたく品」なのだ。

 そんな状況なので、日本に帰るたびに「日本も物価が高騰しているとはいうが、それでも安い。韓国の比ではない」と身にしみて感じる。韓国では旧盆、旧正月のための料理やキムチ漬けのキムジャンに何種類もの野菜や果物を材料として用いる。韓国人にとって、こうした伝統的な行事や日常の食生活に欠かせない野菜と果物が高騰しているのは、非常に切実な問題だ。

「韓国は物価が安い」なんて昔話!リンゴ682円、ナシ796円…そりゃ「激安」日本旅行が人気になるわけだ | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)

これは韓国在住のライターが書いている文章の一部分だが、日本と韓国を往復しているなら、その物価の安さについては肌で感じてるのだろう。因みにほうれん草は168円でスーパーで売っている。だいたい、果物や野菜の価格は日本の2倍~3倍以上というのが相場となっている。まじかよ!と思うかもしれないが、これが韓国の現実だ。キャベツ一袋3万ウォン。チキン3万ウォンとか。以前にも色々取り上げたが、そりゃ、買うのは難しいと。

それなのに中国製アプリでは中国産の果物や野菜が半額以下で売られているわけだ。韓国人が飛びつくのは仕方がない。では、日本旅行はどうなのか。

コロナ禍による海外との往来が規制されていた時期には、韓国では済州島が旅行先として人気を集めていた。しかし済州島は韓国の観光地の中でも特に物価が高いこともあり、規制が完全に緩和された後は、再び、海外旅行の人気が回復している。海外旅行先の中でも特に人気なのが日本旅行だ。「日本が好き」という理由で旅行をする人も多いが、やはり、韓国と比較して「物価が安い」「安くてもハズレがない」といった「コスパの良さ」が、日本旅行人気につながっている。

結局、円安が理由で、韓国人は日本に来ることが多いてことだ。結局、彼らはコスパ、コストパフォーマンスが良い方に飛びつくと。先ほどの個人輸入が激増しているのと同じだ。

さて、今まで色々と解説してきたが、コストパフォーマンスが良い方に飛びつく韓国人。これを消費者心理としては当然だが、そうなると何が問題となってくるのか。それは内需が壊滅的であるということ。中国製のアプリの物を買えば、儲かるのも中国企業であり、日本に旅行して金を使っても、儲かるのは日本企業だ。すると何が起こっているのか。内需の要である自営業が崩壊しているのだ。ようやくたどり着いた。

では、記事を引用しよう。

2021年から始まった物価高騰は「コストパフォーマンス(コスパ)」を重視する消費を煽っている。海外サイトからの直接購入がさらに多くなっている。関税庁の集計によると、2020年には6357万件だった海外サイトからの直接購入(電子商取引物品通関)件数が、2023年にはその倍を越える1億3144万件に増えた。品物の値段が安い中国のサイトから直接購入するケースが特に爆発的に増え、昨年には全体の68%を占めた。コスパの高い品目を主に販売するダイソーは昨年の売上が3兆4605億ウォン(約3930億円)に達したが、これは前年に比べ17.5%増えたものだ。(一部省略)

 金融委員会が28日に出した資料「庶民・自営業者支援案作りに向けたタスクフォース(TF)第1回会議」によれば、個人事業者のカード売上が昨年4月から引き続き対前年同月比で減少傾向を示している。金融委員会は昨年、個人事業者の廃業率が9.5%で、前年に比べて0.8ポイント高くなり、廃業者数は11万1千人増の91万1千人に達したと発表した。イ・ヒョンジュ常任委員は会議で、「家計所得の不振などマクロ的不確実性と共に、オンラインショッピングの増加など構造的変化により脆弱層がさらに追い込まれている状況」だと説明した。

 自営業者たちは卸・小売業の他に飲食業、運輸業、修理およびその他の個人サービス業に多く従事する。カラオケはコロナ禍の中で打撃が大きかった業種だ。コロナ禍が長引くにつれ、人々の生活パターンに大きな変化が生まれた。飲み会が減り、夜遅くまで飲んだり食べたりすることが大幅に減った。コロナ禍以降も、カラオケには活気が戻っていない。

■「ローンの返済のため廃業もできない」

 消費者も出費が苦しく、サービスを供給する自営業者も苦しい代表的な業種が飲食店業だ。キムチチゲ、定食など39品目で構成された「外食」物価は、4月までのここ3年間で18%も跳ね上がった。同期間中の全体び消費者物価上昇率11.8%を大幅に上回る。消費者は価格が高くなりすぎて苦しく、値上げした自営業者も苦しいのは同じだ。飲食店を経営するソウル市小商工人連合会のユ・ドクヒョン会長は「コロナ禍の時も苦しかったが、政府の支援で持ちこたえてきた」とし、「今は食材価格が高騰し、電気料金や燃料費などの上昇で固定費が大幅に増えたが、値上げで客足が遠のいたうえ、生活習慣の変化で夜9時を過ぎると客がほとんどいなくなり、営業を続けても商売にならない」と語った。さらに、ここで値段をもっと上げたら客が減って損失がさらに大きくなる段階に入り、自営業の中で最も危険な状況に直面しているのが飲食店だと付け加えた。

 韓国地域情報開発院は地方行政許認可データを公開している。ここには現在営業中の店とこれまで廃業した店のリストがある。ソウルの一般飲食店の現況を分析してみると、コロナ禍以降、飲食店業が被った打撃を確認することができた。ソウルの一般飲食店は2020年以降、毎年1万軒以上が廃業している。2020年には1万1633軒、2021年には1万3040軒が廃業した。2022年には1万2905軒とやや減ったが、2023年には1万4642軒の廃業と再び急増した。2023年の廃業率(前年末の店数に比べた年中の廃業店数)は11.5%に達したものと推算される。昨年末、ソウルの一般飲食店は12万5727軒だった。今年に入っては4月までに5248軒が廃業したが、これは昨年同期の4636件に比べて13.2%も増えたものだ。このような傾向が続けば、今年の年間廃業件数は1万5000軒を上回ることになる。廃業率は12.5%になり、8軒のうち1軒が廃業する見通しだ。

ソウルの飲食店、今年は「8軒のうち1軒」閉店へ : 経済 : hankyoreh japan (hani.co.kr)

なんと個人事業者の廃業数が昨年は91万。ほぼ100万近くが消えているのだ。自営業はどんどん消えていく。韓国人にとって自営業は40歳でリストラされたときに第2の人生としてルートだ。チキン屋、コンビニ、コーヒー喫茶が人気だが、それもハイパーインフレでどんどん廃業中だ。

これでわかったと思うが消費者の行動を理解していけば、その次に起こる経済の動きというものがある程度、理解できるようになる。韓国の内需は中国企業と日本旅行によって浸食されており、その影響がもろに自営業を被っている。このまま行けば廃業数は2024年が過去最高になるのはいうまでもない。